新・スパロボ学園 超外伝 ~騎士ガンダム SEED (17)~

昨日の、スフィアの話の続き

考えてみれば、天秤という要素からして、十二宮の端と端が振り子になっている、とイメージするなら、今回先頭の牡羊座が出て来たのは自明の理。つまり次回は、末端の魚座か

しかし、魚座も二面性を持つ星座なので、キャラが被らんかな

あと、スフィアごとの能力って、一体星座とどういう連想なんだろう?
牡羊座の場合は、なんとなく「羊の皮を被った狼」ってなかんじでしたが

余談ですが、十二星座で二面性を持つものは、双子座・山羊座(山羊=地上と魚=水の混合)・魚座(水面下と水上)ですな
天秤座は二面性と言うより、バランサーという意味が強いんですがね


さーて

物語も大詰めとなる17話です
ここだよ、ここ
これ書きたかったんだよーw


プロットを練りに練りまくり、漆黒の翼さんを付き合わせること、幾度かと・・・ww

ま、そんなに言うほどの内容じゃ無いかも知れませんが、ワタクシのドS気分(by漆黒の翼さん)はかなり満たされました(ぇ


☆あらすじ☆
私立スパロボ学園
それは、スパロボに存在するあらゆるキャラクターが、学園生活という舞台を通じて、好き勝手するための空間である!


スパロボ学園高等部所属、神名綾人の風邪によって起きた時空の乱れにより、騎士ガンダムの世界に存在するはずの無い、『SEED』の時代が生まれてしまった
ターンXによって発動した月光蝶が、騎士ガンダムSEEDの世界に破滅的な悲劇をもたらしていく
それを止めることができる「希望の種」を、ストライクに宿るキラが発動させたとき、彼から"光の翼"が広がり、月光蝶を押し戻していく
世界は救われるのか?


プラント本土
未だクルーゼ+ジェネシスヒドラと戦っていた、ジャスティス(@アスラン)
しかしその場の全員が、背後で展開される巨大な"光の翼"が、月光蝶を押し返していく様に、思わず釘付けになる
「なに・・・あれは、一体・・・!」
策士であるクルーゼであっても、その光景は計算外であったようで、それまでジャスティスに見せていた絶対的な自信が揺らいだのか、その姿勢に隙が生まれていた
ジャスティスは、それを見逃すつもりは無かった
構えを緩めていたクルーゼの脇に入り込むと、手にした聖剣シュペールでその身を袈裟切りに切り裂いた
「むぅ・・・!」
ぶわっ、とクルーゼの身から体液がほとばしる。その量では、さしもの彼とて致命傷であろう事が見て取れる
「貴様の暗躍もここまでだ、ラウ・ル・クルーゼ」
ジャスティスは回り道をしつつも、プラントとオーブの戦いを招いたであろう本人を、ようやく討ち取ったのだ
「フフ・・・だが、それでも世界は滅びる・・・この世界に生きる者達の、自らの業によって!
「ほざけっ!」
ジャスティスがクルーゼを更に一閃したところに、ジェネシスヒドラの無差別攻撃が割り込んでくる。咄嗟に避けたジャスティスだが、クルーゼはそれを避けきれずに・・・いや、もはや無抵抗にそれを受け、閃光の中に消えていった
「ラウ・ル・クルーゼ・・・こんなことをして、何が・・・!」
この世界にあってさえ、滅びを望んでいた彼は止めた。しかし、そんな歴史の再現を止められなかったことが、ジャスティスには虚しい
『それを考えるのは後にしろ。奴は待ってはくれん』
神鳥インフィニティの言うとおりで、未だジャスティスの目の前には、忌まわしき咆哮を上げているジェネシスヒドラが居る
しかし、月光蝶の脅威がやや下がり、そして倒すべきモノが絞られてきたこの状況ならば、今のスパロボ学園組の力をもってすれば、乗り越えられなくは無い
混沌とした状況の中、ほんの少しではあるが"先"が見えだしてきていた


インパルス(@シン)達の目の前に、奇っ怪な岩が現れた
だが、インパルスもルナザク(@ルナ)も、それには見覚えがあった
なぜならばそれが、あの機動要塞メサイアの、まるで貝のような姿をしていたアレを、まさしくひっくり返したような形であったからである
「メサイヤの塔・・・」
「分かるのかい、インパルス?」
確信を持ってそう言う彼を、何も知らないレジェンドは逆に訝しんで見た
「いや、そう言うんじゃ無いんだけど」
だが、目指した方向、状況、そして形状、それらの情報の全てが、そこが目的地だと主張している
もちろん、レジェンドがそんなことを分かるはずないのは、インパルスも承知している
だから
「百聞は一見にしかずさ。とにかく、中を探索してみようぜ」
所々、ゴツゴツとした岩肌に、不自然に空いた穴の隙間を探してみる。そのうちのいくつかは、MS族である自分たちでも通れる大きさであった
中を覗いてみるが、何かの気配が有るわけでは無さそうだ
ちょっと引いているルナとレジェンドを置いて、インパルスがまずは思い切って中に飛び込む
「・・・大丈夫だ、なんか変なモノが居るわけでも、あるわけでも無いぜ」
そう言われて、続いて飛び込んできたルナも、目の前に渦を巻いた大きな円状のモノが、どういう意図でか床に描かれている光景だけがあるのを見て、気を抜いて良いのだかなんだか、複雑な気持ちになっていた
「なんも無いのか?・・・違う、のかな」
ただこの場所の形状が、メサイヤに形が似ていただけなのだろうか
やや落胆したものを感じたインパルスが、そう呟いた後ろから、レジェンドの言葉が聞こえた
「いいや、何も無くていいんだよ」
インパルスの言葉に応えたレジェンドの声は、しかしいつものそれとは違っていた
「何故ならここは、"終わりが始まる場所"だからね」
何か異変を感じたインパルス達だったが、次の瞬間突然身動きが取れなくなってしまう。周囲を見渡すと、彼らの足元に奇妙な魔方陣が浮き出ていた
「なっ、なんなのよ、これ!?」
「ルナ!・・・おい、レジェンド、これはどういうことだよ!!」
インパルスはレジェンドをどやしつけるが、彼はそれには応えなかった
「シン・アスカ、ルナマリア・ホーク・・・まずは、ここまで付き合ってくれたことに、お礼を言わせてもらおう」
「・・・えっ!?」
「なんだよ、お前っ、なんで、俺達の名前を・・・?」
それまで、実に穏やかな"レイ・ザ・バレル"を思わせる口調で喋っていたそれが、急に重い何か黒い物をもたげた、怪しい印象を持つ物に変わったことで、インパルスはそこに居るのがレジェンドでは無い何か、ということを何となく察した
しかも、この世界に来て以来、誰にも呼ばれたことのないフルネームを、すらりと呼ばれたことが余計に不気味で、恐ろしかった
「私に分からないことなどないのだよ。この世界では、ね」
くくくっ、と小さく笑ったそれはどう見ても、レジェンドという純粋な青年の印象ではなくなっていた
「さて、少々計画の変更はあったが、事は最後に向かいつつある・・・本来であれば君達は、あのキラ・ヤマトに関わった者達として、始末させてもらうところだが・・・あの時、ギルバートとレイ・ザ・バレルを最後まで見捨てず、ザフトに残っ事に敬意を表して命を助け、代わりに私の忠実なしもべにしてあげよう
その言葉に、二人はぎょっとして身をすくませた
「な、なんで・・・議長やレイのことを知ってんだよ?」
「知っているとも。良く・・・そう、キミよりずっと、ずっとよく知っているよ」
未だフードの下に隠れているレジェンドは、それでも冷酷な笑みを浮かべて居るであろう事が、有り有りと予想される口調だ
「なんなの・・・あんた、なんなのよ?」
相手の窺い知れぬ正体に、恐怖に引きつった声を上げるルナザク
「そうだね。これから君達の支配者になろうというのに、こちらの本性を知らせないというのは、いかにもフェアでは無い」
そう言ってフードを下げたレジェンドの顔は、それまで見慣れたものと何か違っていた
「レジェンドじゃ・・・無い?」
「いいや?それはそれで正しい答えだ。だが、あえて名乗るとするなら陳腐な言い回しだが、一応魔王プロヴィデンスとでも言っておこうか
インパルスは、かつてレイから聞いた話を思い出した
レイ・ザ・バレルのオリジナルである、ラウ・ル・クルーゼが駆っていたMS
レジェンドガンダムの大元になった機体、プロヴィデンスガンダム

「じゃあ、お前は・・・!」
だが、インパルスの言葉をかき消すように、プロヴィデンスが彼の方に向かって手をかざした
と、彼の足元に黒い風が舞ったかと思うと、それらが意思を持つように彼の体にまとわりつき、まるで蔓草が柱に絡みつくように、その身を浸食していく
「な、なんだよ、これ!?」
「シン!?」
インパルスの、いやシンの身に起こった異常を、ルナもまた驚いて見ている
「魔界の瘴気でできた棘・・・君を"改造"するための、闇の力、だよ」
何を言われているのか分からない
予測不能の事態に、恐怖を感じて身体を強ばらせているインパルス
「フフ・・・シン・アスカ、君は優しい。本当に優しい少年だよ」
プロヴィデンスはそう言いながら、闇に捕らえられているインパルスに近づいていく
「そう・・・その優しさがあったから、ギルバートの言うことが怪しかろうが、レイが自身を利用しているかも知れない、と言う疑念があったとしても、最後まで二人を見捨てられなかった・・・故に、私は特に君に好意を持つよ。実に、良い人材だ」
インパルスの顎に手をかけ、まるで商品を吟味するような仕草をするプロヴィデンス
口では親密であろうとするような言葉を言っておきながら、声にも仕草にも冷淡さだけが宿っている様が、手に取るように分かる
「だからこそ私は、君を最初に見たときから、私の忠実なしもべにしようと思ったのだ」
そこから何が起こるか。インパルスは嫌が応にも悪い予感しか思いつかない
「こっちは・・・そんなの、間に合ってますよ・・・っ」
いつもの、皮肉めいたセリフを投げかけてやるが、身体の自由が利かない以上、ただそうやって強がってみせるのが精一杯であった
「だが君は未だに必要としているはずだ。キミから大切な者を奪い、そうであってさえ英雄のように振る舞う者へ、復讐する力を
その相手が誰を指しているのか。それだけはインパルスはすぐに分かった。だが、相手が何を言いたいのか分からない
「この世界にも、彼らはやってきた。そして、いつものあの愚かな正義感が、世界を混乱に陥れ、大きな悲劇を招いた」
「彼ら・・・!?」
まさか、とインパルスは目を見開く
「そう。君達が魂ごと"あの世界"から跳ばされてきたように、あの忌まわしい男が、キラ・ヤマトがこの世界にも現れた。そうして・・・」
二人の目の前に映し出されたのは、オーブ上空での三つ巴の戦争の様子
その中で、月光蝶が発動する瞬間のこと
ジェネシスヒドラの災いの光が、大地を焼く光景
その中に映る、ストライクやジャスティスの姿

「見るが良い。彼らの行動が、この壊滅的な災いを引き出したのだ!」
あの光景のただ中に居た者であれば、プロヴィデンスの言葉を真っ向から否定するだろう
しかし、世界情勢から完全に切り離されていたた上、妙な噂ばかりを耳にしていたインパルスには、それらの風景がさも
『戦争の火種を蒔いて回っていたのは本当だった』
『うっかりストライク達がターンXを蘇らせた』
というように感じられ、以前から溜めていた不信感に、火を付けるきっかけになってしまった
(アイツラ ガ イルカラ セカイ ハ)
彼の無意識下で黒い姿をした何者かが、ゆっくりと鎌首をもたげた
だが、頭に血が上りかけたインパルスとは対照的に、ルナは冷静だった
「待ちなさいよ、あんた!シンに変なこと吹き込まないで!!」
「おや?妙なことを言う。私は真実を伝えているだけだが」
ルナだって、プロヴィデンスの言葉が正しいか否か、それはハッキリ分からない
しかし、詳細の分からない映像や、巧みな言動によるプロパガンダに振り回される恐ろしさを、原作世界で身を以て体験した彼女は、慎重であった
何故なら、早くから"国"という単位と別に行動した自分たちが、全体的な状況から一番遠く、そして何も分かっていないことを自覚していたのだ
「一方的なことで物事を判断させられて、それで道を踏み外してきたのよ、アタシ達は。だからこそアンタの言葉だけを、ハイそうですか、って信じるわけ無いでしょ!」
ましてやスーパーロボット大戦Zの中では、カイメラの情報戦に振り回されて、それこそ大変な目に遭っているのだ。慎重にもなろう
そんなルナの言葉を聞いて、インパルスはハッと我に返った
確かにそうだった。彼女の言うとおりだ。そう思って彼もやっと、自身が原作世界で何に振り回されたのか、思い至ることができた
「慎重なことは良いことだね。けれども、私はハッキリと、全ての悲劇を彼らが引き起こしたと、断言できる」
自分に対して言い返してくるルナを、プロヴィデンスはくくく、と嘲笑いながらも言葉を続ける
「君らも聞いて居たろう。アレの存在が現れるまで、オーブに居た"真の騎士ストライク"は無知無能であったと。カガリ姫も見ての通り。だがアレが騎士ストライクの肉体を乗っとり、自分勝手な正義で動き出したから、無くてもイイ争いが起きたのだ」
プロヴィデンスのその言葉を待っていたかのように、インパルスが心の中に押し込めていたほの暗い感情が、さっき顔を出した何かが、堰を切ったように"内側"から溢れだしてくる
(ストライク ガ アイツラ ガ イナケレバ ナニモ オキナカッタ)
インパルスは思わず、その感情に心を引っ張られそうになった
「バカ言わないでよ!アタシ達が来る前から、この世界では戦争やってたでしょ。事実、オーブだってとばっちりを受けていたじゃない。むしろ、放っておいたってあの大騒ぎは起きたはずよ!」
ルナの言葉で、インパルスはまたハッと我に返る。彼女の言葉は、確かにそうなのだ
「ルナマリア・ホーク。君はキラ・ヤマトという存在の、その魂が巻き起こす業を知らない。アレの存在自体が、騎士ストライクの中に内包されている、キラ・ヤマトの魂という物自体が、悪なのだ
(ソウダ アイツハ ソンザイ シテハ イケナイ ケシテシマエ)
その声が大きくなったとき、さすがのインパルスも自身の中の"異常"に気づいた
自分では無い自分が
インパルスの中にあった、忘れようとしていた憎しみが
呼び起こされ叫び声を上げている

「業だか何だか知らないけど、アンタは要するに都合の悪いことを、キラ・ヤマトのせいにしたいだけよ。こじつけもいい加減にして!」
それは全くもって的を得ていた。冷静に聞けば、すぐにそれは判ることであった
ところが、インパルスはそれを否定するのが、とてつもなく困難な状況にあった
(そうだ、何でもかんでもキラさんのせいにするのは、こじつけだ!!)
自身にそこまで言い聞かせなければ、何かに自身が引っ張られて、失われそうな恐怖を感じる
今、インパルスの精神は、キラを断罪しようとしているプロヴィデンスと、あくまで一人間として彼を見ているルナの言葉の間で惑い、揺れ動いて苦しみもがいていた
「ならば何故、二度までも大事な者が失われた?それこそ、あの者の存在による歪み、あの者の魂が犯す罪なのだ!」
確かにこの世界でさえ、マユが死に、デュランダルが死に、ステラも死んでいった
(フリーダムガ ステラヲ ミンナヲ コロシタ オレハ タスケヨウトシタノニ)
それは間違いない。けれども
「キラ・ヤマトが、マユを殺そうとしたんじゃ無いし、ステラを殺そうとしたんじゃないわ!そんなこと、あの人が知ってたわけ無いでしょ。戦争してたのよ、あの時!!」
ルナの言うとおりなんだ、わかってるんだ。いや、分かったんだ。だから今は、みんなと共に居るんだ
そう心で叫び、蘇る復讐の感情を、慌てて振り払うインパルス
「それはもう終わったんだ!今更、そんなこと!」
堪えきれず、必死で叫び声を上げるインパルスを、プロヴィデンスは哀れんだ目線で見下ろしている
「そう、その優しさ故に、彼らすら君は赦してしまった。だが、今までの事で思い出したろう?それが間違いだと。彼らの存在は赦せないのだと」
この言葉に、またもやインパルスの中の何かが、どす黒い姿をした何かが、彼の体を破らんばかりの憎しみの咆哮を上げる
(ユルサナイ キラ・ヤマト ユルサナイ アイツダケハ ユルサナイ)
「やめろ・・・!」
必死にその声をふりほどこうとするインパルス。その言葉を受け入れることはできない
「いいや、君は心の中では分かっているはずだ。キラ・ヤマトの存在の罪深さを!」
(ソウダ アイツラハ アイツラガイナケレバ)
「違う!違う、違う、違う!!」
「そうよ、そんなの間違ってるわ、シン。そんなヤツの言葉、聞いちゃ駄目!!」
だが、振り払おうとしても、自分の中の黒い感情はどんどん増幅していく
(ニクイ ユルサナイ ストライク ニクイ ユルスモノカ フリーダム)
「なんで・・・なんで!」
頭では違うと分かっているつもりなのに、ルナの言葉は分かっているはずなのに、自身の中の闇を抑えることができない
それはどうも、あの"呪い"が身体を覆っていくごとに、強くなっているようであった
しかもその闇の浸食が、心地よくさえ感じてきている。蕩けそうに、甘く染みこむ毒のように
「くっ・・・は、あぁ・・・ッ」
既に呪いは、彼の右半身を覆い尽くそうとしていた。と同時に、彼の精神をも浸食され始め、心が感覚が麻痺していく。それはまるで、暖かい海の中に抱かれ、ゆらりゆらりと浮いているような、そんな快楽をもたらしてくる
「どうだね、気持ちが良くなってきたろう・・・その感覚を、素直に受け入れるのだ」
「あ・・・あぁ・・・ふ、ふぁ・・・あ・・・駄目・・・だ・・・そんな・・・こと・・・できな・・・い・・・」
「シン、しっかりしてぇ!」
魔方陣の中で膝を付いてしまったインパルスに、ルナが呼びかけるがどうしようも無い
「大人しくして居たまえ、ルナマリア・ホーク。次は君の番だからね」
彼女を一瞥すると、プロヴィデンスは再びインパルスの方に向き直る
「フフ・・・良い具合に呪いを受け入れているようだね・・・何故、だと思う?」
プロヴィデンスは、魔方陣の中で正気と快楽の間で悶え苦しむインパルスを、嘲笑うように見下ろしながら話し始めた
「シン・アスカ君、君は本当に回復魔法とやらで、ガイアガンダムの、いやステラ・ルーシェの命を延ばすことができていた、と信じているのかね?」
言われている意味が分からない。インパルスは唖然としながらプロヴィデンスを見上げている
「生き物は必ず、自らが生きるために他者を殺す・・・人間が、地球を食いつぶすように」
それは自然の摂理。命は有限。失われた分だけが、再生されるのである
「だから、命を回復する魔法なんて物は、この世に存在はしないのだよ。それでも彼女を生かしてやっていた。君の願いだったからね。そして、それができていたのは、その対価を君に支払ってもらっていたからさ」
「・・・え」
ぎょっとしたインパルスの顔が、プロヴィデンスには酷く面白そうに見えた
「そう、対価とは君自身の魂だ。君の命を彼女に捧げることで、命を延ばしていたに過ぎない」
いや、ただ単にそれだけであれば、インパルスは・・・いや、シンはその事実を素直に受け止め、それでも良いと思っただろう。それくらい、彼にとってステラの比重とは大きいのだ。だが、問題はその先だった
「もちろん、そのまま死なれては困るのでね。その分はちゃんと補強させてもらっていたよ・・・私が魔界で得た、幾多の魔族共の魂で。これがどういうことか分かるかな?そう・・・君の身体の8割はすでに、魔族の魂とすり替わっているのさ
もしそれが本当なら・・・西の砂漠に来て以来、自分だけが元気だった理由は、分かる
デュランダルはこの地に、魔界から漏れた瘴気が満ちていると言っていた
普通の生き物にはそれは害だと。しかし、魔族の力に染まり始めていた自分には、それはむしろ好気なるものであったのだと
そして今、瘴気でできた呪いを、身体は拒絶するどころか、喜んで受け入れているに違いない
「・・・嘘だ・・・!」
インパルスは必死で否定しようとした
「そんなリスクがあるなんて・・・その魔法が存在しないなんて、導師様もグラディス艦長も、一言だって!」
そんなことであれば、あの時あの場で"レジェンド"が魔法を持ち出したとき、おかしいと指摘があるはずである
「当たり前だとも。何せ彼らのシナリオに、そんなセリフは存在しないからね」
そこまで聞けば、心が麻痺しつつある彼でも分かる。全てはプロヴィデンスの仕組んだことだったのだ
孤児院ミネルバという場も、マユの存在もガイアとの邂逅も、全てはこの瞬間のために用意された、トラップに過ぎなかった。彼のやってきたことは、無駄だったのだ
完全に、はめられていた
「だが、これはやむを得なかったのだよ。君に、彼らを裏切らせるには、こうでもしなければ無理だったからね」
「・・・裏切・・・る?」
同情の視線を向けているプロヴィデンスの言葉を、インパルスはすぐに理解できなかった
「そうだろう?君は、妹と想い人の命を、世界の大事と同等に・・・いや、それよりも比重を重く見たから、私と共に来た。それを、正義の味方を標榜している、αナンバーズの連中が見聞きしたら、一体何というだろうね」

あの時
この世界に自分たちを探しに来た、レントンやゲイナー達の姿を見たとき、すぐ手が届く場所に彼らが居たにも関わらず、声もかけずに先を急いだ判断
それは彼らの、学園の好意と意思を無視し、意図せずに袂を分かった瞬間だった

そしてその発端となったのは、自分だけが大事と思っている者を、その手から離したくなったという、自分勝手な欲望
言ってみればそれを正当化するために、世界を変える力なる物で戦争を止めようと、その手に得ようと行動していたのだと言われても、否定はできない

それは過去の自分が、キラの行動に対して抱いて否定したものと同じ
カガリの大事を世界の大事と同じにして、訳のわからない行動を取ったキラ
自分の行為だけが正しいのであって、他の者の行動は全て世界の不幸に繋がると断罪していた彼らを、おかしいと嗤ったのは自分では無かったのか

その時、同じように彼の行動を止めようとし、その後の自分の暴走でも身を挺して立ち塞がり、だからこそ世界の大事とは何かを共に考えたのは、甲児や竜馬達では無かったか

そんな彼らとの絆を、自分が自分自身で否定した


この時、微かにあった彼の中の何かが、折れた
「だがおかげで、君をあの忌まわしい男から引き離し、こうして話をする場を設けることができた。その過程で、ギルバート達を二度殺すことになったのは、とても心が痛むことだったがね」
その言葉は詭弁ですら無い、都合の良い作り話に過ぎない。普通に聞いていれば、それはわかる、だが
「・・・ああ・・・そう・・・なんだ・・・」
インパルスはあっさりと、その言葉を受け入れていた
「そうだ。これもそれも、すべてはキラ・ヤマトの存在なのだ。あれさえなければ私は、君がギルバート達と暮らし続けたって、全く異論は無かったのだよ」
端から聞いていれば、それは完全に嘘だと判る。しかし
「そう・・・だったんだ・・・キラさんが・・・いなければ・・・」
「だから、キラ・ヤマトは排除しなければならない」
今のインパルスにはその判断は無理だった。何故なら、彼にはプロヴィデンスの言葉は、真実にしか聞こえなくなっていたから
インパルスにもルナにも、魔術などと言うモノは皆目分からない
だから彼はプロヴィデンスの視線自体が、"魅了(テンプテーション)"の力を持っていて、旅の中で徐々に自身の心を魅了し始めていたなど、分かるはずもなかった
さらに今、瘴気の中に放り込まれた彼の耳には、プロヴィデンスの言葉がまるで、子をあやす母親のそれのように、優しい波動を持って入っているのだ
「そのための力を、私があげよう。そうすれば、君はあの男を、屠ることができる」
「力・・・キラ・ヤマトを・・・ころ、す・・・」
自身のやってきたことの全てを否定され、折れた心はその魔術の"気持ちよさ"に溺れ・・・救いを求め、甘い言葉が隙間を埋めるように染み渡っていく
「そう。君は最初から望んで居たろう?それは正しかった」
「俺は、ただし、かった・・・」
棘の侵攻は容赦が無い。それと比例して、彼の中に残っていた、キラへのわだかまりの心を持つ方が、徐々に支配力を増していく。だが、それを拒む心はもはや封じられていた
「駄目、シン!気をしっかり持ってよ!!」
うっとりとした目でプロヴィデンスを見上げているインパルスを、ルナは何とか引き戻そうと必死に叫んだ
「五月蠅いと言っている!」
「きゃあっ!!」
プロヴィデンスが、ルナザクを魔方陣の中で押さえ込もうとする
その光景を見た途端、インパルスは自身を覆い尽くそうとする闇から、わずかに正気を取り戻した
「や・・・め・・・ルナ・・・手を・・・」
意外な反応に驚いたのは、プロヴィデンスであった
「・・・ほう?ワタシの影響下にあってまだ、彼女を気遣えるのか。彼女もまた、キラ・ヤマトを赦してしまった一人だというのに」
「ル・・・ル・・・ナ・・・関係・・・な・・・」
しかも彼は、必死に身を起こし、何とか彼女を助けようとしている。それは身体の三分の二を覆い尽くそうとしていた、瘴気の棘を引きち切りそうな様相を呈していた
そのインパルスの姿に、プロヴィデンスはフムと呟いた後、ルナの方に振り返った
「どうやら、先に堕とすべきは、君の方だったようだ」
「・・・!」
ルナの顔が、恐怖に引きつる
その時だった
塔の窓から一陣の黒い風が舞い込み、プロヴィデンスとルナの間に割って入った
それが手にした剣を魔方陣に打ち込むと、それはあっさりと崩れて消し飛んでしまったのだ
「・・・貴様は」
ルナを後ろに庇ったその黒いMS族に、プロヴィデンスは見覚えがあった
「あの時の、黒いガンダムさん!?」
この世界に最初に飛ばされたとき、彼女らを救ったガンダムルシフェルを、ルナは忘れていなかった
ただ、彼が月光蝶を巡る争いで、キラ達の目の前から姿を消していたことなど、知る由も無かっただろうが
あの時失った手足を修復させるべく、ひっそりと身を隠していたルシフェルであったが、それがどうにかなったこの瞬間、彼らの危機を察知して、リスク承知で乱入したのだ
「あの時、名前を聞いていなかったね。一体何者だ?」
この世界のことで、知らないことが無いはずのプロヴィデンスの、記憶に無い存在だということだ
「貴様に名乗る名など無い」
「どこかで聞いたような台詞だね。しかし、正体がなんであれ、計画の邪魔はしてもらいたくないな」
だが、ルシフェルはプロヴィデンスのそれには応えず、ふと独り言を言った
「願わくば・・・」
「・・・ん?」
「願わくば、貴様がただの、"レイ・ザ・バレル"であって欲しかった・・・」
プロヴィデンスは顔をしかめた。どうも相手は、ただのガンダム族では無い。明らかに時空を超越して、このリオン・カージに乱入してきた存在で無ければ、こんな言葉は出てこない
そのプロヴィデンスの後ろで、すでに全身のほとんどを呪いに囚われたインパルスが、必死の形相でルシフェルを見ていた
「・・・頼・・・む・・・あん、た・・・・・・」
彼の視線は、ルシフェルの背後にいる、ルナを見ていた
消えかかっている理性をなんとか奮い立たせ、彼女の身を案じるインパルスに、ルシフェルは無言で頷いて応えた
「・・・・・・ルナマリア、ここは俺に任せて一端退け。これは、ヤツをみすみす見過ごした、俺のミスだ」
ルシフェルがすらりと自身の名を呼んだことに、ルナは一瞬焦った。まさか彼も、プロヴィデンスの様な存在なのだろうか
「なんで、あたしの名前知ってるの?・・・もしかして学園の・・・」
「そんな事を訊いている場合か!・・・ストライクとジャスティス・・・キラとアスランは、必ずここに来る!あいつらと合流しろ!」
彼はストライク達の中に、キラの魂が居ることさえ知っている。そこまで言って逃げろというなら、味方だろうと信用して良さそうだし、情報も嘘ではあるまい
「でも、シンが!」
「・・・おれ・・・に、かま・・・う、な・・・・・・・・・」
インパルスはもうほとんど限界だった。それを察したように、プロヴィデンスはトドメをかけに来る
「茶番は、そのくらいにしようか、シン・アスカ君・・・聞いたかい?あのキラ・ヤマトは、まだ健在のようだ」
キラの名が出た途端、先ほどまで大人しかった瘴気の棘の侵攻が、それまでの不満を晴らすように加速度的に進んでいく
「・・・キ、ラ・・・キラ・・・殺・・・す・・・・・・ル、ナぁ・・・・・・!
最後にようやく彼は、ルナの名を口にした。その目は、彼女に"行け"と訴えていた
「何をしている!?早く行け!!」
「・・・うう、ううう!」
ルシフェルの後押しもあり、ルナは声にならない鳴き声を上げながら、塔の窓から宙に身を躍らせた
と言っても、どちらに向かえば学園の皆と合流できるのか
いや、精神的にそこまで考える余裕は、今の彼女には無かった
とにかく、塔から離れなければ、その危機を学園の誰かに伝えなければ
その思いで一杯だった
だが、月光蝶で負った傷は癒えず、そして魔方陣の拘束でやや消耗していた彼女は、途中で目眩を起こし始め、ふらふらとその高度を下げて行っていた

「シンも・・・返してもらおうか」
すらり、とグロウバスターを抜いたルシフェル
プロヴィデンスはヤレヤレ、と肩で息をする
「まったく、あの男に関わると、どうしてこう邪魔者が入るか」
彼は、闇に飲み込まれようとしているインパルスを背にし、その身からドラグーンに似た魔道兵器を展開した
二人の対決風景を、しかしインパルスは・・・何の感情も無い瞳で見つめていた
「・・・ろす・・・キ・・・ラ・・・」
すでに意識が混濁しているのか、ただキラへの憎しみだけを、ブツブツと繰り返している
「シン・アスカ君。君はそのままそこで、瘴気に身を任せていなさい」
そう言われても、もう何にも感じない
いや、気持ちが良い
瘴気に浸っていると、暖かくて、ふわふわして・・・身体の内側から、力が湧いてくるのが分かる
ああ、なんだか夢心地だ
次第に彼の表情は、邪悪に緩んできた

そうしてついに、彼の右腕に決定的な変化が現れた
それまでMSの装甲然としていた表面が、突然泡だって鱗のように変化し始めたのだ
ビキビキと音を立てその変化は続き、右手が恐ろしいカギ爪のようになっていく
「そう、それが君が得るべき力・・・魔族の力」
プロヴィデンスの、その恐ろしい言葉を聞いても、インパルスはうっとりとした目で嗤っていた
「まぞ・・・く?」
バキバキ、メキメキと音を立て、異形のモノに変化する自身の先の姿を言われても、インパルスはもはやそれに、興味を抱くことすら無かった
「そう、それを受け入れるのだ。イメージするんだ、アレを殺すための力を。もっとも、その果てに君は、君で無くなっているだろうけどね

・・・そっか・・・変わっちまうのか、オレ・・・
でも・・・どうせ、オレはもう、皆のところには、戻れないから・・・いっか・・・

・・・・・・・・・戻る・・・?
どこに・・・・・・戻るんだっけ・・・・・・
皆、って・・・なんだった・・・っけ・・・・・・


彼は分かるはずもないが、インパルスの周囲を覆っていた"棘"は、ついに彼の頭の中にまで侵攻を始め、その記憶を精神を・・・インパルスという器の中にある、シン・アスカの魂を、ぐちゃぐちゃといじり回し始めていた・・・
こえが する
おれを よんで いる

わかる
この こえ は

おれの
あるじ
しはいしゃ
ごしゅじんさま

プロヴィデンス さまの こえ
め を さませと
しめいを はたせと よんで おられる

しめい
シメイ
使命

ご主人様の お与え下さった 力 で
使命を 果たす


メサイヤの塔で、闇の繭の中から、凶悪な何かが、目を醒まそうとしていた
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テーマ : スーパーロボット大戦 - ジャンル : ゲーム

2011/09/12 02:35 | 偽騎士ガンダムSEED本編COMMENT(4)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

ついに・・・

最終章の幕開け、といった感じでしょうか?しかしあるすさん、ドSですねーwなかなか酷い扱いのシンです。
このあとルナが奥さんパワーを発揮するんですね(中の人的な意味で)
こっちももうすぐ書き終わりますが、かなり甲児達と絡む感じになりそうです・・・。

No:3065 2011/09/15 12:54 | 想鳶流 #PQz7vE8o URL [ 編集 ]

愛のあるいぢめ(ぇ

> しかしあるすさん、ドSですねーwなかなか酷い扱いのシンです。
釈明させていただきますと、一応この後シンちゃんの見せ場はちゃんとあるんで・・・w

> このあとルナが奥さんパワーを発揮するんですね(中の人的な意味で)
シン×ルナのワタクシにかかれば、中のヒトネタなんぞ使いまくるに決まってるじゃないですか!

> こっちももうすぐ書き終わりますが、かなり甲児達と絡む感じになりそうです・・・。
かしこでーす
想鳶流さんの投稿が来てから続き書こうかな

No:3066 2011/09/15 23:03 | あるす #- URL [ 編集 ]

NTエース版 セイグリットセブン

アルマ「ずいぶんと変えたなぁ」
ルリ「こっちの方がスパロボに出やすいですが」

・アオイが石に覆われてない。事情で学校には行ってない?

・秘密基地が学園地下にある。なお組織名は“藍羽機関”でルリの父親が司令。

・エンゲージスーツが鏡の他にも複数同時運用、メイド隊で編成されたメイドES隊があり、頭部の飾りがネコミミ(?)

・ナイトが藍羽機関に所属し、どうも学園にも通っている模様。

・アルマのヘタレっぷりが倍増。


Gジェネ新作

キラ「みなさん、ガンダムAGE……参戦します!」
刹那「対話の時が来たな」
ドモン「って言うか、DG軍やエメス、AEの三竦みステージってあるかもな」

アスラン「SMSでも呼んでくるか?」


狂四朗「昭和のプラモ魂をみせてやるぜえええぇ!」
竹田「……ふ、燃えているな、貴様も!」

キラ「お二人とも参加できるとは限らないですが……」

・ガンプラビルターズも初参戦です。


No:3071 2011/09/17 00:05 | YF-19k(kyousuke) #vOF08ZPo URL [ 編集 ]

ルナを助ける人を忘れていた

外伝キャラの誰かを使わせてもらおうか知らん・・・

> NTエース版 セイグリットセブン
スピンオフにもほどがある内容ですなぁ


> Gジェネ新作
3DS持ってないからパス(ぇ

No:3072 2011/09/17 23:05 | あるす #- URL [ 編集 ]

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