新・スパロボ学園 超外伝 ~決戦!騎士ガンダムUC VS OO 【2】~

今回は、第二話から重要な展開なんで、エラい書くのに苦労したでござる
そしてその間に、想鳶流さんからSSを投稿したとのコメントが・・・w
催促しちゃってすんません

この後載せますんで、少々お待ちを・・・


さて・・・今回は戦闘シーンはありません
描写がいろいろと長ったらしいかも知れません
でも、書きたかったから良いや(ぇ


☆あらすじ☆
私立スパロボ学園
それは、スパロボに存在するあらゆるキャラクターが、学園生活という舞台を通じて、好き勝手するための空間である!


スパロボ学園高等部所属、神名綾人の風邪によって起きた時空の乱れにより、騎士ガンダムの世界にあり得るはずの無い歴史が、人々の意図を余所に刻まれていく
天使の郷に招待された刹那は、そこでソレスタルビーイングのメインメンバーと再会し、「聖剣バスターソード」復活を依頼される
だが一方で、キラ達の学園帰還の隙を縫い、堕天使リボンズがスパロボ学園に潜入し、療養中であったガンダムルシフェルこと、青年ヒイロを誘拐してしまう



リオン・カージ西の地
大地にそびえる深紅の砦・・・レウルーラの尖塔
その一室
昏々と眠る青年ヒイロはそこで、見えざる支えに身体を預け、中空に横たえられていた
まるで死んだように、ぴくりとも動かない彼の、食い破られた病院着の右胸
そこに形を露わにしている"ジーク・ジオン"の文様をしたものが、ドクンドクンと静かに鳴動しているだけである
そんな彼に手をかざしていたリボンズは、しばらくするとその手を収めて後ろに振り返る
「色々と彼の中を探ってみましたが・・・我らの探すものと、完全に一致する情報は、どうもほとんど無いようです」
確かに、探している単語その物に引っかかる記録は、いくつかあった。だがそれは、いくら時空を隔てる理を知るリボンズにとって見ても、到底理解の外にあるような良く分からないものであることがほとんどであった
宇宙世紀とかアフターコロニーとか、封印戦争だの銀河大戦だの、そんな用語が出て来たところで、それは一朝一夕で把握できるようなものでは無いから、仕方ない
しかし、そんなリボンズの報告を聞いて、シナンジュはしばらく考えているような素振りをしてから言う
「彼が何かを隠している、と言うことは無いのか」
スペリオルドラゴンの関係者である以上、魔界の者へ何かしらの抵抗をしているのでは無いか、とシナンジュは疑っているのだ。だが
「それはあり得ません。この、ジーク・ジオンの刻印に、あのスフィアなる"自身の根源"を掌握されている以上・・・」
リボンズは青年ヒイロの胸に取り憑いている、その刻印に目をやる
「今や彼は我らの意のままに動く、操り人形も同然なのですから」
スフィアに邪悪なるこの刻印が穿たれ、ジーク・ジオンの呪いにより穢されてしまった故に、青年ヒイロの心身の自由は奪われてしまっていた
このためスフィアが彼の意に反し、リボンズの命令を優先実行するようになり、"ヒイロ・ユイ"という自我は失われた
この状態ではもはや、嘘をつくなどと言うことを考えることさえ、一切できはしない

「まぁ、彼は我々とは、理を異にする世界の存在ですからね」
「多元世界、とやらか」
並行して存在する、様々な時間と空間の存在
その中では同じような単語や存在であっても、意味を成さない言葉もあれば、違うものとして存在していることは、ままあることである
「であるならば・・・もう一つの目的のために」
シナンジュのモノアイが怪しく光る。リボンズも面白そうに微笑んでいる
「ええ・・・この、聖と魔の間を分け隔て無く行き来できる身体で、存分に役に立ってもらいましょう」
彼は再び、青年ヒイロの刻印に手をかざす
「とはいえ、ただの操り人形では面白くない」
刻印は妖しい光を強くし始める
「"君自身の意志"で、こちらに来なければ・・・自らが、舞台に立つ役者に立ってもらわなければ・・・ね」


青年ヒイロは、ゆっくりと瞼を開ける
その目には意志の光は無く、ぼんやりとしていて虚ろである
「・・・・・・ここ、は・・・・・・?」
周囲を見渡すが、黒とも紫とも付かぬ怪しい霧が一面立ちこめるだけで、ハッキリとした何かが見付けられるわけでも無い
やむを得ず、気怠い身体を起こして立ち上がってみる
「・・・・・・みんなは、どこに・・・・・・・・・・・・"みんな"?」
自分でそう呟いておいて、彼はハッとする
「・・・・・・みんなって、どいつらの事だ・・・・・・?」
頭の中で思いを巡らせるが、思い当たる節が無い
「・・・そもそも、俺は・・・・・・誰だ?」
自分自身というモノすら、何も頭の中に無い
「・・・分からない。何も・・・・・・何もかも・・・・・・」
周囲に広がる無限の霧と同じように、全く何も見えない中に放り出された彼は、言いしれぬ不安に囚われ、無意識に自分の両肩を抱いて、身体を震わせる

霧の向こうから、そんな彼を見ていたリボンズ
ほんの少しだけ意識を戻してやった彼が、自身の思った通りの喪失感に襲われ、パニック状態に陥っていることを確認し、予定通りとほくそ笑んでいる
では次の役者のご登場とばかりに、不安にかられている青年ヒイロの側に、リボンズはゆらりと姿を現す
「どうしたんだい?そんな不安そうな顔してさ」
いかにも心配そうな顔をして自分を見ている男を、青年ヒイロは不思議そうな顔で見返している
「・・・・・・お前は?」
もちろん彼にはその相手が、そもそも自分の記憶を奪ったものである事が、分かるはずもない
「どうしたのさ。"いつも一緒だった"僕に向かって、そんなセリフ」
さも親密そうにそう話し掛けるリボンズを、青年ヒイロはポカンと見上げるだけだ
「お前は俺を・・・俺の何かを、知っているのか」
「ええっ?・・・僕だよ、リボンズだよ。"親友"に向かって、酷いじゃないか」
「・・・・・・しん、ゆう?」
親友と言う単語が、彼の根源にある何かにひっかかる
だがもちろん、それが何かも分かるはずがない
「・・・何も、覚えていないんだ。自分のこと・・・・・・名前さえも」
そんな自分が申し訳ない、と言うように肩を落としてしまう青年ヒイロ
「なんだって?・・・そうか、"彼ら"によほど酷い目に遭わされたんだね。それでどうにかなっちゃったんだね、ルシフェル」
深く深く、相手を労るようにそっと手を顔に当て、心配そうに顔を寄せてそう言葉を紡ぐリボンズ
「・・・・・・ルシフェル。それは・・・俺の名か?」
何もかもが分からない
そんな時に、自分の何かを知っている相手に出会えたことの安心感
この喪失感を埋めたいという焦り
それ故、相手から何かを聞き出せないかと、切ない思いにかられている青年ヒイロの様子を、リボンズは内心面白くてほくそ笑んでいる
今の彼は、生まれたばかりの動物の雛も同然だ
何もかもの無い空白の状態。情報を求めて止まない心
それは、刷り込みに最も適した状態

「そうだよ。君は、ルシフェルだ」
そうリボンズが言った瞬間、青年ヒイロの胸に穿たれた"刻印"が、妖しい光を放つ
これに呼応するように、刻印に掌握されているスフィアが行動を起こす
『了解。擬似パーソナルデータ "ルシフェル"作成開始』
と同時に、青年ヒイロの根源に、"自分"というものが"書き戻され"始める・・・いや、新たに造られ、上書きされていく
だが今や己を失い、スフィアのことなど分かるはずもない青年ヒイロには、このスフィアの"声”は聞こえてこない
「そうか・・・俺は・・・ルシフェル・・・」
ただ、スフィアから与えられ、頭に流れ込んでくる情報だけが、彼にとっては"思い出された"正しいものとして認識される
「自分の名前を忘れてるなんて・・・本当に辛かったんだね」
慈愛の目で自分を見ている男を、青年ヒイロ・・・いや、ルシフェルは呆然と見ている
「・・・そう、だな。多分・・・辛かったり・・・苦しかったりした事が・・・あったんだな・・・・・・」
そうでなければ、こんなに不安な状況にかられることには、多分ならなかっただろう。だからきっと、相手の言っていることは正しいんだ、とルシフェルは一人納得していく
「でも、もう大丈夫。もうそんなことは何も無い。僕が側に居るから」
「そう・・・なのか?」
それは本当なら、別の誰かに言って欲しかった言葉
・・・そう、彼の根源が、口には出さなくても、誰かに言って欲しかった言葉
「君が辛い目に遭ったら、僕が全部何とかしてあげる。君が悲しい目に遭ったら、一緒に何とかしてあげる。これまでそうだったように・・・そして、これからもずっと」
そっと自分を抱き寄せ、その温かい腕の中で、優しい労りの言葉を投げかけてくるリボンズに、ルシフェルの心は引き寄せられていく
(・・・・・・なんだ?この・・・満たされている感覚は・・・・・・)
それまでの自分を失った彼は、いつもなら冷たい心の鎧の中に隠している、無意識下の願望を露わにされている状態である
その願望のうち一つ・・・そう、彼は常に求めていた
心底まで心を通じ合える相手。自分を分かってくれる相手
一緒に泣き笑い、話をし合える相手。似た境遇の中で、それを語り合える相手
確か以前はそれは、後一歩で得られたはずのところまで、手が届いていたはずだった

けれど・・・その"事実"のことは、今のルシフェルの記憶には無い
再び訪れた喪失。それによって生じる心の隙を、リボンズが見逃すはずも無い
「そうさ・・・だって僕らは親友だろう?」
何の見返りも求めていないように、ただ自身に友愛の意を示してくるリボンズの瞳を見た時、ルシフェルは『確信して』しまった
(・・・・・・・・・ああ、そうか。"お前"が・・・いてくれるからか・・・・・・)
自身が無意識下で、ずっと、ずっと求めて居た者
それは、目の前のその"親友"だ、と

「・・・・・・そうだな。ありがとう・・・・・・」
普段であれば、ルシフェルが『感謝』の言葉をほとんど言わないのは、リボンズも記憶を探って把握している
それをするりと引き出せた時、リボンズは彼の心が自分に釘付けになった、とほくそ笑んだ
「随分、落ち着いたみたいだね。じゃぁ・・・ゆっくり、一緒に"思い出して"行こうよ」
「・・・・・・ああ、思い出さなきゃな・・・リボンズと、一緒に・・・」
今だ意識自体はハッキリしていないルシフェルは、そうやってリボンズに言われたことを虚ろに反芻し、それが"自分の意志"だと無意識に言い聞かせている
「じゃあ、そんな嘘の恰好、ここではもうしてなくていい」
「・・・・・・え?」
突然の言葉に、ルシフェルはその意味を理解できず、やや驚いた表情になる
「・・・嘘?これが・・・・・・?」
彼は自分の姿を見渡してみる。全体的な印象はリボンズと同じようであるから、それに違和感があるとは思えないのだが・・・
「君は、"彼ら"のせいで、そんなひ弱な人間族の姿をしてるに過ぎない」
「"彼ら"?なんだ、それは・・・」
だがルシフェルの言葉を遮って、リボンズは話を続けていく
「元の姿に戻ろう、まずは、そこからだよ」
「・・・元の・・・・・・?」
意味を理解できないルシフェルを見ているリボンズの目が、怪しい金色の光を放つ
すると、リボンズのテレパシー的なもの・・・現実世界で言えば脳量子波、この場合は"魔量子波"とでも言おうか・・・が、ルシフェルの中のスフィアに命令を出す
"外見をガンダムルシフェルへ変更せよ"
呼応して輝きを増す、ルシフェル右胸の刻印。そう、これはまさに、リボンズからの思念を受け取る、受信機のような役割を担っている
『・・・了解・・・フォーム変更・・・"ガンダムルシフェル"。状態、そのまま、維持』
その命令によって、スフィアから流れ込むイメージが、まるで大事な記憶の復活のように、ルシフェル自身には感じられる
「・・・!・・・・・・・・・・・・そうか、元に、戻らなきゃ、な・・・」
元の姿なんて、知るはずが無いし、覚えも無い
だが、これを記憶の復活と捉えた彼は、その"命令"のまま自身の姿を、『ヒイロ』から『ルシフェル』に変えていく
そして『アレは嘘なのだから』と、人間の姿を忌むべき記憶として忘れようとする
「君はジオン族の中でも、とてもとても強い騎士だ。だから"彼ら"は、君を怖れたんだ」
『所属転向命令了解・・・ユニオン族より、ジオン族』
「・・・ああ、そうか、俺は・・・ジオン族・・・」
またもリボンズの言葉に反応し、スフィアからルシフェルの中に、偽の情報が無理矢理ねじ込まれていく
「そう、君はジオン族。この世界に破壊と混沌をもたらすのが使命」
『属性変更命令、Light-NeutralよりDark-CHAOSへ』
「・・・・・・世界に、破滅と・・・混沌を・・・・・・もたら・・・す」
自らを破壊者とする指令もまた、そのまま取り込んでいく
これに併せたかのように、それまでまだ多少は丸みのある、ウイングガンダムゼロに近しい鎧兜だったルシフェルの装甲が、徐々に刺々しく変化していくではないか
また、それまで虚ろで光を失っていた瞳は、邪悪な意志を湛え始め・・・そして、リボンズと同じような金色の光に染まっていく
「僕らは一緒にやってきた・・・ジーク・ジオン復活のために・・・そうだったね」
「・・・・・・ああ、そうだ」
リボンズに言われる言葉を、ただありのまま素直に、ルシフェルは自分の中に受け入れていく・・・それがどれほど根拠が無かろうと
「そんな僕らを、"彼ら"・・・あの、スペリオルドラゴンと、それに従う天使共が襲ったんだ。それで君はこんなことになってしまったんだよ」
「・・・天使・・・スペリオル・・・ドラゴン・・・」
本来であればそれらは自身の味方。特にスペリオルドラゴンとは旧知の仲であり、自らの雇い主のようなものでもあった。だが
「スペリオルドラゴン・・・敵・・・我らジオン族の・・・仇敵・・・」
「そうだよ。だから、許しておくわけに行かないね、彼らを・・・」
「ああ・・・その通りだ」
記憶が封じられ、さらに自身をジオン族と再定義してしまった状態では、そのような意識はもはや欠片も残っていないばかりか、いかなる方法を以てしても倒すべき敵、という認識が意識に刷り込まれていく
「そのために、僕は今とある方に仕え、機会を伺っている」
「・・・そう、なのか」
自分を辛い目に遭わせた者達への復讐。その機会が巡ってきている
ルシフェルはリボンズのその言葉に、それまでにない奇妙な悦びを感じている
「ああ、だから・・・君にも力を貸して欲しいんだ」
「お前が言うことなら、是が非でも無い」
「本当?・・・嬉しいな」
「当たり前だ・・・"親友"なんだから」
リボンズはルシフェルの反応を見て、満足げに笑う
彼は親友を得たという満足感故に、リボンズの存在と言葉に依存しきっていた
これならば"刻印"なしでも、彼を意のままにするのは容易であろう
(さあ、後は仕上げ、と行って頂きましょうか・・・)

ふいに霧が晴れていく
するとルシフェルの視界の中に、一段高い場所の玉座に腰掛けた、赤いMS族の姿が入ってきた
その圧倒的な魔力から、それが有力な魔王クラスの存在である事は、すぐ分かる
「あの方が、今僕が仕えている・・・魔凶公シナンジュ様さ」
「・・・」
ルシフェルはそれにどう対応したものか、言葉に詰まったままシナンジュの方を見ている
「よく来てくれた、ルシフェル。君のことはリボンズからよく聞いている」
シナンジュの方はそんなルシフェルを意に介した風も無く、王者らしい風格を持って彼に対応してくる
「突然のことで、君が困惑しているのは重々承知だ。だが、我らが世界を支配し、新たなる世を作り出すために必要な力を探すには、君の助力が必要なのだ」
「・・・新たな、世?」
シナンジュの言葉の意味を理解しきれず、ルシフェルは相手の言をオウム返しにするほか無い
「まずは話を聞いてくれるか」
だが、シナンジュもそれは分かっているようで、静かに頷いた後にこう続けた
「・・・・・・・・・はい」
しばしの沈黙の後、ルシフェルも聞く意志を示したため、シナンジュは事を語り出した
「かつて、天界の者共が"天を焼く剣"を造りだし、地上に使わしたのは他でも無く、我らのようなもの・・・つまり彼らの言うところの、"魔"の存在を一掃するためであった」
地上を完全に浄化しよう、という天界の目論見。この動きのため、当時の地上は魔界派と天界派の、真っ二つの陣営に分かれて壮絶な戦いを繰り広げた
しかしそれは、"天を焼く剣"・・・そして、そのカウンターとして造られた"白きもの"の暴走により、天界も含めたまさに何もかもが破壊され、失われるという結果にて幕を閉じる
「その時、生き残ったジオン族の幾ばくかを連れ、魔界に落ち延びた我らであったが、恥辱の時は過ぎ去った・・・ついに魔界の封は解かれ、再びこうして地上へと足を踏み入れることに成功したのだ」
なお、この時地上に残されたジオン族が、今世界で問題となっている『はぐれ』である
こうまでして我らがこの地上に出たのは、天・地・魔を平定するために必要な、三つの要素を手に入れるためだ・・・そしてそのうち2つの探索を、是非君に任せたい」
「・・・それは?」
そんな重要なモノを?という驚きを胸に抱きつつ、ルシフェルはシナンジュの言葉に耳を傾ける
「ラプラスの箱、そして鍵を探して欲しい」
「ラプラスの・・・箱、その、鍵・・・」
ラプラスの箱、と言う単語に何処か覚えがある気がしつつ、明確に思い当たるものを思いつけないルシフェル
「そこには、我らが盟主、ジーク・ジオンの肉体が封じられている」
「・・・!!」
これにはルシフェルも敏感に反応する
「そう、あの忌々しき、スペリオルドラゴンによって、その身を箱の封じられたのだ」
かつて初代騎士ガンダム、即ちスペリオルドラゴンその人によって身を破壊され、後にエギーユ王の肉体を乗っとって復活した後、さらにバーサル騎士GP01を介したスペリオルドラゴンEXに倒された、闇の皇帝ジーク・ジオン
二度の復活を憂慮した天界の神々は、その魂魄を魔界に封じるという形では足りぬと考え、聖なる力に充ち満ちた"箱"へ封じ込め、明確なる鍵無しには世に出られぬよう、封印をかけたのだという
「主亡き後ジオン族を任され、魔界に封じられてきた私としては、如何にして陛下を蘇らせ、我らを復権させるかが問題であった」
魔界で他の魔王達を牽制しつつ、ジオン族積年の恨みを晴らすべく、シナンジュはその機会を伺っていたというのだ
「そんな公の思惑とね、僕の思いが一致を見たんだよ」
シナンジュの話を聞いていたルシフェルの横から、リボンズがそうフォローを入れてくる
「お前の、考え・・・」
「ああ。先ほど公の仰ったように、新しい世を目指す、と言うところがね」
サンボーンが生まれた後の、神々の秩序の元にあったこの世界
何もかもが平穏に過ぎ、大きな争いがあるわけでも、劇的な変化も無いその時間
そうした中で起きた戦いと、その後始末に対する神々の態度
やがて現れた新しい世代でさえも、争いを繰り返している愚
「このような世界と歴史の繰り返しを無くすには、根本的に新しい支配者世代が必要だ、と僕は考えたのさ」
「新世代・・・だと?」
「僕はそれらを、イノベイターと呼ぼうと思っている」
リボンズの理想
それは、ジーク・ジオンという強大で絶対的な支配者の元、管理された支配層である『イノベイター』が、時間も空間も全てを支配する世界だという

「そしてそのためには、3つめの要素・・・すなわち、この世界の何処かに隠されているという、"太陽の柱"を見つけ出さなければならない」
「・・・それは、一体」
「この地上から、天界へと伸びる唯一の道。それを使って、天界へ攻め上がるんだよ」
本来であれば、リボンズは天使の郷や天界へと赴けるはずだ
しかし堕天使となった今となっては、それら"通常通ってきた"道には身体が拒絶され、容易に昇天することはできない
だいたい、無理矢理その理を突破したとしても、後にシナンジュ達の軍勢が続かなければ意味が無い。"太陽の柱"であれば、属性に関係なく天界を目指すことが可能、と言われているのだから、使わない手は無い
「それについては、手がかりが無きに等しい」
こういうことに関して言えば、天界が月の繭戦線で全てを無に帰したのは功を奏していた。伝承の類に関する文献が、かなり散在して残って居らず、逆にそれがシナンジュ達に二の足を踏ませているからだ
「しかし陛下が復活され、地上を平定してしまえば、次なる手を打つのは容易い。故に、まずは箱と鍵を揃えることが最重要なのだ」
「そのような重要な役割を・・・俺に」
そこまで、ぽつりぽつりとは言葉を発しつつも、じっとシナンジュの言葉を聞いていたルシフェルだったが、託されようとしている使命の重要さに、やや不安を覚えているようでもあった
「君の疑念はその通りだ。しかし私はこの地にあって、他の魔王共が魔界より溢れるのを防がねばならん」
プロヴィデンスが解いた封の真上に、こうして日々座しているのは、溢れ出ようとする他の魔王達を押さえ込み、自らの行動に水刺させないためなのだという
「僕も公のお手伝いをし、ついでに天界に牽制をかけなきゃならないから、あまり自由に動けないんだよ」
魔の力を魔で抑えるのは限界がある。そこに堕天したとは言え、聖なる力を持つリボンズの能力を混ぜることで、なお強い壁が魔界と地上の間に張られているのだ
「故に、このような重要な使命、任せられるのは今現在、君しか居ないのだ」
「何せこの世界のジオン族と来たら、長い時間が経ちすぎたせいか、公の波動を浴びても、ろくに使い物になる連中が出てこなくてね・・・本当に困っていたところだったんだよ」
それは本音であった
ニューラル騎士団の結界があるとは言え、本来は古の血に目覚めた者達が今より多く現れ、それらがシナンジュの尖兵として仕えるはず、というのが最初の目論見であったからだ
「もちろん、最大限に助力はしよう」
シナンジュはそう言うと、おもむろに自らの右腕を闇の刃で傷つける
「なにを・・・!?」
驚いているルシフェルの前で、したたり落ちた黒い体液が地面に集まっていき、それらがやがて煉獄の炎をまとって、一つの形を成して広間に姿を現した
「もしも君が、私に力を貸してくれるのであれば、この剣を君に授けよう」
それは、シナンジュの体液その物を媒介に造られた、神器"炎の剣"を模した・・・邪炎の剣とも言えるものであった
「このようなものを、俺に!?」
「君ほどの力を借りるというのだ。それを預かるものとして、器を示さねば成るまい」
この言葉を聞いた時、ルシフェルの魂に、何か電気のようなモノが走った
自分の持つ力を評価し、そのために公爵ともあろう者が自らの身体を傷つけ、強大な武器を造って預けるという行為
(それほどまでに・・・俺を必要と・・・して下さる)
この想いを後押しするように、シナンジュは更に言葉を付け加える
「君という最強の剣のため、惜しみない力を与える」
それはルシフェルが、根源で望んでいたもう一つの願望
自らを必要とする居場所が欲しい、という思いを埋め合わせるのに、充分な出来事であった
種族全体の存亡がかかった中、リボンズに招き寄せられたばかりの自分の力を見立て、まさにあらゆる鍵とも言える物の探索を依頼された、という事・・・

「光栄です・・・シナンジュ公」
ルシフェルは感嘆の思いに胸を振るわせながら、自らシナンジュの前に跪いた
「ルシフェル、私に仕えてくれるか」
「はい・・・公のためならば・・・俺は・・・」
即答したルシフェルの表情は恍惚とし、シナンジュの傍にあれることを切望していた
「ならば私の力を受けとれ。そして貴様に・・・暗黒騎士(ダークナイト)の称号を与えよう」
「ありがたき幸せ・・・」
言われるがまま、ルシフェルは目の前に降りてきた、その邪炎の剣を手に取る
その瞬間
それまで仮にも白さを保っていた、彼の背にあった羽根の装飾は、まるで血に染まったようなクリムゾンレッドに変わる
そして、その胸元と袖口に、シナンジュと同じような金と黒の装飾が現れる

「・・・力が・・・素晴らしい力が・・・溢れてくる・・・」
・・・それはルシフェルが、自らの意志でシナンジュの魔力をその身に受け入れた、何よりの証拠である
と同時に、シナンジュの邪悪な意志をも、その身に取り込んでしまっていく
「く・・・くくく・・・地上に・・・世界全てに闇を撒く・・・フフフ・・・」
(フフ・・・完全に堕ちたね)
邪悪なる力に身を任せ、悦びに身を震わせているルシフェルを見、リボンズは己の企みが思い通りに進んだことを確信した
『魔凶公シナンジュを・・・アークマスターとして承認・・・以後、公の言を至上として行動する。"ルシフェル"パーソナルデータ、作成完了』
そうしてスフィア自体も、完全にこの状態のデータで"ルシフェル"を固定してしまう
こうなってしまえば、彼に与えられた刷り込みは容易に解けることなど無いだろう
何せ全ての選択は、ルシフェル自身が行ったことであり、彼の意志なのだから
シナンジュもまた、有力な手駒が手に入ったことを、喜んでいるようであった
「ルシフェル、大いに期待している。貴様ならば、必ずや目的を達してくれよう」
「お任せ下さい。吉報を持ち帰って見せます」
シナンジュから期待されている、と言うことが、さらにルシフェルの心を高揚させる
「共にこの世界を我らの物としよう、ルシフェル。そのための協力は惜しまないさ」
「ああ・・・頼む」
「確かにこの世界から、古の記録は失われた・・・だが先ほども言ったように、はぐれジオン族は世界に散らばっている。彼らが何かの記録を持っているかも知れない。そこを当たるといい」
ジオンのことはジオンに当たるのが一番良い、というリボンズの見立てらしい
「ではルシフェルよ・・・征け」
「・・・・・・は!全ては我らが悲願の為に!」
ルシフェルはシナンジュに深々と礼をすると、そのまま矢のような早さでレウルーラの尖塔の窓から、その身をリオン・カージの空へと躍らせていく
すぐに、ニューラル騎士団の結界にぶち当たるが・・・それをまるで紙のように切り裂き、易々と東の地へ侵入する
「ふん・・・シナンジュ公より頂いた力であれば、この程度」
だが実際のところは、彼自身の体質の問題なのだが、そんなことを覚えているはずも無かった
東の地へと解き放たれた、暗黒騎士と化したルシフェルは、そのまま箱を求めて空を駆ける・・・
オーブ 結界の間
『・・・邪悪な意志が、こちら側に侵入した!?』
『馬鹿な・・・我々の結界ですら、抑えられない存在だと?』
ニューラル騎士団の中に、大きな動揺が走る
『いかん、このままではその存在に、この地を良いように乱されてしまう』
『しかし、私たちはこの場を動くわけには・・・』
彼らは、己の力の無さを呪い、歯がゆそうにしている
『せめて、彼らが居てくれれば・・・』
騎士フェニックスはかつてこの地を駆けた、三人の騎士と仲間達を思い、憂いの表情を隠せなかった・・・
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テーマ : スーパーロボット大戦 - ジャンル : ゲーム

2011/10/29 02:19 | 偽騎士ガンダムUCVSOO本編COMMENT(7)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

悪堕ち節絶好調だと・・・・・・w

丸々1話使うあたり、絶好調っぷりがリュウセイとかシンとかの時の比じゃないですね……w


………さて、正気に戻った後どんだけ後悔する事やら(ちょっと待て

No:3178 2011/10/29 09:24 | 漆黒の翼 #e9EPk88s URL編集 ]

悪堕ちすなあ

すごい堕ちっぷりで、あるすさんが止まらない・・・w

>SS 掲載またお願いします。タイミング悪くて申し訳ないです(汗

>騎士フェニックス・ゼロ
騎士フェニックス(マーク)と法術士フェニックス・ゼロ(エターナ)がごっちゃになってますね。名前が似ててすいません・・・。

No:3179 2011/10/29 11:41 | 想鳶流 #s1IOzH.I URL [ 編集 ]

私は認めん(笑)

私は悪堕ちでは無いと見てますね。
何より苦しんでない!
↑そこかよ!

漆黒の翼さんは突っ込んでないけどミディエーターは?

No:3180 2011/10/29 18:32 | 飛白 #- URL [ 編集 ]

切り離してましたよ?

>飛白さん

誘拐シーンの最後にこっそり切り離してたんだな、実は。

………後、ミーディエイターです。地味に脱字。


※悪墜ちIFはこちらのメールに直接どうぞ☆

No:3181 2011/10/29 19:08 | 漆黒の翼@携帯 #e9EPk88s URL [ 編集 ]

ほろ酔いの飛白参上(笑)

いやぁ久々の飲み会楽しみましたよ

漆黒の翼さん>
読み直して発見(笑)
しかしあれは分かりにくいですわ(汗)

悪堕ちIFねぇ…
何パターンかは思い付きますけど二話掲載前にあるすさんに送った奴送りますね?

No:3182 2011/10/30 01:42 | 飛白 #- URL [ 編集 ]

やっと始まった感

ま、これでも序の口なんだけどな(ぇ

漆黒の翼さん>
>丸々1話使うあたり
本当はもうちょっとストーリー入れようと思ったけれど、エラい長さになるのでぶった切ったですよ
>正気に戻った後
さぁ・・・
それはこの後の所業次第だな(ぇ

想鳶流さん>
SS頂きましたー
これは第三話への反映を行わないと・・・
>フェニックス・ゼロさん
なんだと?
・・・任務失敗、自爆(ry
~しばらくお待ち下さい~
・・・修正しました・・・
やはり人様のキャラを使うのは難しい・・・

飛白さん>
>悪堕ちでは無い→何より苦しんでない!
えー・・・これからなんですけど、いろいろと・・・


なんだよルシフェルさん?
その手に持った剣、ワタクシには害にしかならないから、こっち向けないの

No:3183 2011/10/30 02:02 | あるす #- URL [ 編集 ]

史上初の珍事

大帝様「……悪の侵略組織同士が戦うって」
トビア「ガイアーク側にゲスト怪人が居なかったのが残念」

???「蒸着!」
???「赤射!」
???「焼結!!」

トビア「ソコノオッサンヒーロートリオスコシマテ」


ガンダムAGE 第四話

・UEの正体

ブルーテック「UEの正体、ザフトか」

ニコル「あの~~ミラージュコロイドの様なシステムがあるからって、あれ連邦の……」
キラ「とりあえずゴルディオンハンマーで突っ込もうか?」


・カタパルト

マリュー「普通、地球に対応するから真横にはならない筈」
フラガ「本当に変形ってあるかもな」

・ウルフとスウェン

ウルフ「なんだい、今回は添い寝なしか」
スウェン「……セリーネ、こいつ太陽の近くまでぶっ飛ばそう」




騎士ガンダムSEED ASTRAY&騎士ガンダムOOP

・王キャラバン隊

クリスティナ「で、私は魔法使い」
リヒテンダール「何故、錬金術師?」

瑠美「まあ、妥当なチョイスです」

フェルト「あの……もう服着ていいでしょうか」
モレノ「ああ、すまないね」
イアン「何調べていたんだ?」
モレノ「彼女の背中には聖疵がある……恐らく彼女も天使だ」
王「でも、あの二人はフェルトの事を知らなかった……彼女は何か特別な存在かもしれないですわね」

ひゅ~~~~×∞

イアン「また、天使か!!」
モレノ「いや……MSだ」

ドゴォオオオン


???「いたたたっ」

イアン「ガンダム」
モレノ「アーク王国の騎士ではないな」

ジュミナス01「……守護天使グラーベ様のお告げ通りの……私の名はMO-V自治領騎士団のジュミナス01……二人の後ろに居るのは魔導士のフェルト.グレイスですね」

イアン「ああ」
モレノ「と言う事は例の守護天使が夢に出てきたのか?」
ジュミナス01「私の場合は兄と共にこの力を与えられました……しかし兄のジュミナス02が、OZプライスに連れ去られまして……」
モレノ「なるほど、飛んでいたが力尽きたのか」
フェルト「この出会いは運命なんですね」
ジュミナス01「……私も同行しましょう」
イアン、モレノ「「是非!!!」」
クリスティア「そうね」
リヒテンダール「騎士がもう一人いると助かるけどなぁ」


・アーク王国 エコール砦

ロウ「結局見つからなかったな」
劾「もしかするとアスナとやらの少女は自らの足で運命を切り開くつもりだな」
トロヤ「……で、アーク王国の連中は白い目っすか?」
劾「自作自演はこの国家のお家芸だ、さて行くぞ」

エコール砦を後にする三人。


No:3184 2011/10/30 20:03 | YF-19k(kyousuke) #vOF08ZPo URL [ 編集 ]

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