新・スパロボ学園 超外伝 ~決戦!騎士ガンダムUC VS OO 【19】~

くろくろよ・・・今度は尾腐れ病か?
ヒレが裂けてるよ、ヒレが・・・
また病棟逆戻り
とほほ


そんな中でも、書き切っちゃいました。19話

もう一日ぐらいかかるかと思ったけど、そうでも無かったぜ

ていうか、学園の中が自分で書いてて、とんでもない事になってきてるw
飛白さんとの雑談だけのはずだったのに、どうしてこうなった

まさに『スパロボ学園 破界篇』・・・


☆あらすじ☆
私立スパロボ学園
それは、スパロボに存在するあらゆるキャラクターが、学園生活という舞台を通じて、好き勝手するための空間である!


スパロボ学園高等部所属、神名綾人の風邪によって起きた時空の乱れにより、騎士ガンダムの世界にあり得るはずの無い歴史が、人々の意図を余所に刻まれていく
スパロボ学園内に広がる時空湾曲線の乱れは、皆の予想を遙かに超えた斜め上の方向へと混乱の度を増していく
一方で、リオン・カージにある者達は、聖であれ魔の存在であれ、それぞれがぞれぞれに変わろうとし始めていた
だがその方向はまばらで定まらず、混迷の度合いを強めていた


かぽぽーん・・・
ところ変わって、スパロボ学園内・共同温泉
「いかがかな、我が学園自慢の天然温泉です」
「人間用の温泉というのも、風変わりで結構」
ビアン学長と二代目大将軍(武者頑駄無)は、温泉で待ったり語り合っていた。しかし、人間と武者頑駄無が並んで温泉で、一汗かいている(?)というのは、何とも不思議な光景だ
ひとしきり話が終わったところで、二代目はふぅむと一息深いため息をついた
「彼の地にてそのような混乱が起きておったとは・・・」
「その言いぶり・・・二代目殿は、リオン・カージをご存じで?」
「うむ。毘庵殿にであれば話しても構わぬであろう。我らの住まう天宮と璃音渦時(リオン・カージ)、そして虎蔓怒殿(=コマンドガンダム)の住まう世界は、"門"を通じ密につながり合い、一つの世界を形成しておるのでござる」
それは現代的に言えば、人間の脳を作り上げているニューラルネットワークのような姿形であり、例えば天宮自体も細かなパラレルワールドが存在し、それらすら脳神経のシナプスのつながりのような形で、複雑怪奇且つ有機的な絡み合いを見せつつ、同時に存在しているという。そしてこのような事実は、時の世界の支配者のみが、神々より伝承を伝え聞いて知っているのだという
だからと言ってその"門"をいつでも誰でもが潜れるわけでは無い
「故に・・・これ、四代目、四代目はいずこ!?」
周囲を見渡しつつ二代目が手をパンパンと叩いたとき、温泉のかぽかぽ流れて来るあの注ぎ口から、うにゅ~うと奇妙な音を立てて、二代目とは別の武者頑駄無が顔を覗かせた。そこから出てきたのは、二代目に輪をかけてゴタゴタと装飾の付いた、やけに派手な鎧姿の武者頑駄無であった
「お呼びですかな、先代」
「ワシはすでに先々代じゃ。いい加減自分が当主だと自覚せい、まったく・・・コホン、毘庵殿、これが現当主である四代目将軍・荒烈駆主にござる
荒烈駆主(あれっくす)にござる。以後お見知りおきを。ささ・・・まずは一献。温泉と言えば酒はつきものでしょう」
「毘庵と申します。これはまたご丁寧に」
と、荒烈駆主に差し出された盃を受け取るが、ビアン学長は心の中で
(あの風体で、どのように水道に紛れ込んでいたのだ?そして盃一式、どうやって持ち込んだ??というか、武者頑駄無の呑む酒とは・・・落ち着いて研究したい物だが)
と、さすがにいろいろツッコミたくなったが、グッとこらえていた
それ以前に・・・呑むべきか、この酒
ビアンの底知れぬ悩みを知ってか知らずか、二代目は話を続け始めた
「これは四代目へと昇進する過程で、璽威武装という時を越える武装を手に入れましてな」
今回二代目をここに送り届けたのも、その四代目の力なのだという
逆に言うと本当なら、このような特別な方法を得た者しか、たとえ大将軍であっても時も空間も自在には移動できないのである
「そのような関係に有りながら、璃音渦時の乱れは波動となり、確実に天宮にも影響を及ぼすのでござる。それ故・・・」
二代目は四代目に事の次第をかくかくしかじかと語って聞かせた
「璃音渦時の大事は天宮の大事である。異例の事ではあるが我らも彼の地に赴き、毘庵殿らと事態の収拾を行おうではないか」
「それは妙案。ではさっそく、出陣の準備を」
こくりと頷いた四代目は、今度は湯船の中にぶくぶくと沈んで消えていった・・・
「ご助力いただけるとは、かたじけない」
「何のこれしき。当然の・・・むむむ?」
二代目が顔を歪めたのと同時に、ビアン学長もまた顔を歪めた

ビービービービー!!
ギリアム達が詰めていた管理室に、大きな警報音が鳴り響く
「あらら~、とぉーっても巨大な次元震がぁ~。どーしましょー」
ココアが慌てているように言うが、彼女の仕草と口調からは緊急じみた雰囲気が感じられないのが難点である
「発生先はどこだ?」
事態に対処すべく声を荒げるイングラムの言葉に、ココアはあくまで調子を崩さずに応える
"ここ"ですわぁ~」
「・・・は?」
と、ギリアムがぱっと顔を上げたときだった
彼の目の前に光の柱が立ったかと思うと、それが急速変形して人の形を取り・・・
「光・・・太郎・・・・・・南光太郎!?
そう、それは仮面ライダーBLACKこと、南光太郎の姿になったのだ
「・・・ギリアムじゃないか。どうして!?」
方や光太郎自身、一体何事が起きたのか判っていない様子ではある。最強のライダーと言われる彼も、状況の不明瞭さにらしくなくおろおろしている。
が、辺りをきょろきょろ見渡し、ココアやルリと言った彼にとっては見慣れないキャラクターが居る事に気づき、ぽつりとつぶやいた
「もしや・・・俺は跳ばされてきたのか?」
さっきから無言でコントロールパネルをいじっていたルリは、その言葉を聞いてピポパと手早く計算を行う
「そうですね。ほぼ90%の確率で、今の次元震で幾人かの方が跳ばされてきたと思われます」
「南光太郎が跳ばされてくる世界・・・それはつまり・・・」
イングラムが固唾を呑んでギリアムを見ている
見られている方のギリアムはと言うと、しばらく光太郎を見ていた後
「ヒーロー戦記もよろしく!」
と明るく番宣して部屋から逃げようとする
「待てギリアム!逃避するな!!」
一人逃げようとするギリアムの首根っこを掴むイングラムだが、彼の前にも同様に光の柱が立ち上がり、そこに現れたのは・・・
「うっ・・・ハヤタ隊員・・・だと」
ハヤタ隊員、つまり初代ウルトラマンの中の人である
「イングラム・・・イングラムじゃ無いか、生きていたのか!」
「いや、そうなんだが、その・・・」
ことはそーゆー問題じゃ無いって言う状況だ。つまり
「あららら~、スーパーヒーロー作戦の方々まで来ちゃいましたわ~」
いくらスパロボ学園といえども交わる事が無かった、コンパチ系の世界まで紛れ込んできたというのは、ナイトガンダムの世界が紛れ込んだときと同じくらい、とんでもない事なのである
「いくら何でもヤバすぎですね、これは。どうしましょう、イングラム先生?」
今後の処置について、イングラムに指示を求めたルリルリであったが・・・
「フフフ・・・デットエンド・シュート・・・」
彼もまた明後日の方向を見ながら、意味不明な事をつぶやいて笑っていた
「イングラムせんせぇ~、ワケわかんない事言って、逃避しないで下さ~い」
とココアが呼びかけても、イングラムはずーっとフフフ・・・と笑っている
「んじゃそういうことで、ギリアム先生、お願いします」
ルリルリにそう言われても、ギリアムはジタバタ逃げようとしているのだが

その頃、校庭でも次元震の影響が出始めていた
学園の空が怪しく揺らめいたかと思うと、そこからわらわらとSDサイズのガンダムやウルトラマンやらが、続々と現れてくるでは無いか
SDガンダムはまだしも、ウルトラマンや仮面ライダーを見慣れない、葵やシモンと言った新しい世代の生徒達は、仰天して大騒ぎである
が、この大騒動の中、別の方向で大騒ぎしてる男が居た
「うひょ~、壮観だなぁ、オイ」
誰あろう、スパロボ界の超ロボオタ、リュウセイ・ダテである
仮面ライダーやウルトラマンは懐かしいが、なにより色とりどり・よりどりみどりに揃い踏みなSDサイズのMS達が、彼の視線を釘付けにしているのは、今更説明するまでも無いかも知れない・・・のだが
「いや待て、彼らが居るのはおかしいぞ」
ライの指摘は至極正しい。なぜならそこには、コンパチ系にすら居ないはずのMSが混じってるからである
「そんなの関係ねぇ!いやー、こんな光景二度と無い!!写真、写真!!」
相棒のツッコミを完全スルーし、リュウセイは愛用のカメラを手に校庭にまっしぐらである
「ちょっと待て、リュウセ・・・」
と、手を伸ばしかけたライの目の前にも、光の柱が降り立つ
「・・・デュワ!」
「こ、これは・・・ゾフィー隊長・・・ご無沙汰してます・・・って、え!?

ぽかーんとしてしまっているシモンや、唖然としているアルト達を押しのけ、リュウセイはSDサイズのMS達の所に駆け寄っていく
「うおお!エクシア・エクシアリペア・ダブルオー・ダブルオーライザー・エクシアR2・・・おお、クアンタまで!揃い踏みじゃねーか、こいつはスゲェ!!」
「いや、だが待て。ダブルオーライザー以外は、居るのがおかしいだろう!?」
ルルーシュの言うとおり、本当のところを言うと居る事自体がヤバいのだが、理由は予想が付く。『ロストヒーローズ』の影響だ
だとしても、それ以外の「刹那・F・セイエイが搭乗した機体」は、ロストヒーローズに出てない。ていうか、なんで全部別々に居るんだ
「考えたくないが・・・Gジェネ版が跳ばされてきていないか?」
酷い頭痛を覚えつつ、シャアは考えたくも無い答えを口にした
それは無理も無い。なにせ赤ザクや百式ならまだしも、赤いガンダムとか赤いドムとか居るんだから。そんなの、カオスなスパロボだって手を出してない、『ギレンの野望』と『機動戦士ガンダム 小説版』のシャア専用機体なのだ
それがSD形態で出てきて、別々に存在(というか生産)できるのは、Gジェネシリーズしかあり得ない
「そんな馬鹿な。それは世界の壁を飛び越えすぎている!」
「そうだ、その通りなのだよ、ルルーシュ・ランペルージ。だが現実はそこにある。我々は受け入れねば成らん・・・それだけ、時空の乱れは深刻だと言う事を」
などと真剣に話し合う二人を余所に、リュウセイはもう人で盛り上がっていた
「初めまして、地球連邦軍SRXチームの、リュウセイ・ダテと申します」
深々とお辞儀をする彼の手元には、お手製の名刺
「リュウ・・・何してるの」
一応ツッコンで上げるアヤ
「なにって、これを機会に交流を深めようってんだよ。見てわかんない?」
いや、問題はその名刺なんだが・・・いつどのようにして、そして何のために作って置いたのだろう
「ふふふ~ん、こんなので興奮してるようじゃ、まだまだだねぇ~♪」
この超カオス状態を受けてか、出てきちゃ行けない奴が出てきた
「げぇ!ジ・エーデル!!」
「その通りん♪この僕の次元力を持ってすれば、もっと素敵な事が出来ちゃうんだよん。ほーら、ラミパスラミパス、ルルルル~♪
書き手の世代がバレるネタを仕込みつつ、ジ・エーデルが杖を振るとあら不思議。ダブルオーライザーが5体に増えたでは無いか!
「うお!?なんじゃこりゃぁぁぁ!」
「いろーんな並行世界から、ダブルオーライザーくんを呼び寄せてみたよん♪でも、どれがどれかなんて、僕にしか判らないけどね~」
どうだい、悔しいだろうと言わんばかりに、リュウセイにあっかんべーしてみせるジ・エーデル。だが、意外なキャラがそこに現れた
「何言ってるんだい、基本的に目が入ってるのがコンパチ系で、無いのがGジェネ系だろ?だから君がロストヒーローズので、こっちのがGジェネで・・・ああ、この角張はカード版。丸っこい君はスパロボの。全体のバランスがいい君が無双版だよね
5体のライザーをちらりとだけ見ていた、スパロボ界のガンオタ、コウ・ウラキはさらりとそう解析した
彼の台詞が終わるやいなや、ジ・エーデルの顔からみるみる余裕の色が消えていく
「・・・生意気だ!コウ・ウラキのくせに生意気だぁぁぁ!
どうやら全問正解だったようだ
「おお・・・あの、ジ・エーデルが」
「ウラキ少尉に完敗した・・・だと」
たとえ一ガンダムの主人公といえど、どうしても能力が他のガンダム主人公と比べ、二軍と揶揄されるあのウラキ少尉が、超ラスボスのジ・エーデルを一発撃沈
これもまた多元世界の成せる技か
「むっきゃ~!納得できなぁ~い!!こうなったらもっと酷い事・・・」
ごちん
後ろから突然現れた765(ナムコ)ハンマーが、ジ・エーデルをぺちゃんこにした
それを持っていたのは、エルガン代表であった
「これは私が、責任もって回収する」
ぺらぺらになったジ・エーデルを、ずーりずりと引きずって持って行くエルガン代表の後ろ姿から、後光が差しているようにすら見えるギャラリー一同
「さすがエルガン代表。やる事が早くて徹底してる」
「ていうか、あの二人って本当に『異世界の同一人物』?」
そしてその後ろでは、嫌々ながらカメラを持たされたマイが、リュウセイとたくさんのガンダムとの集合写真を撮らされていた
「いっやー、いいもん手に入った!これ、刹那に見せたら元気になるだろーな!!」
「驚き一周して、どん底だと思いますわ・・・」
ラトゥーニのツッコミは、いかにも正しい


「へくしっ」
サイド3の森入り口で、刹那はらしくないくしゃみをした
「どうしたねセツナ。こんな重要な場面で風邪か」
「いや・・・」
そんな事では困るぞ、とグラハムに言われて、首をかしげる刹那であった
そう、今現在パーティの内情は複雑にして、一触即発と言って良い状況であった

一度命の駆け引きをしあった相手同士が、危機を乗り越えたとは言えども、すぐに仲直りなど出来ようはずも無い
バナージにとって刹那は、オードリーを付け狙う追跡者の一人なのである
デルタプラスにとっても、自分のプライドをかけて対立した相手のうちの一人だ
ましてや一度本気で命を狙われた間柄だ
もしも、互いの素性を知っているゼータプラスが居なければ、その場で一戦始まってもおかしくなかったところだった
それでも、追われるものと追ってきたもの、そしてそれらをまとめる先導者という、不思議な一行は言葉を一切交わす事も無く、粛々とサイド3の森へと足を踏み入れた
「お、ゼータプラスとキュベレイの姐さんじゃないか。もう戻ってきたってことは?」
早速彼らを見つけた、ザクの姿をしたゲラードが駆け寄ってくる
が、ゼータプラスは自らが感じた事は敢えて表に出さず、そうでは無いと首を振った
「途中で、難民を拾ったんです」
「難民?そりゃぁ一体」
キュベレイの肩越しに、その『難民』一行を目にして、彼は驚きの表情を見せる
「お前・・・ロンド・ベルの」
「・・・インダストリアルの街の、生き残りを二人だけ連れてきた。匿って欲しい」
デルタプラスは感情を抑えたような口調で、バナージとオードリーを前に差し出す
「デルタプラスさん・・・?」
急に事務的な対応をし出した彼を、バナージは不思議そうに見上げていた

ユーグやマットは、全滅したと言われていたロンド・ベルのうち、デルタプラスが生きて現れた事に驚きと喜びを隠せないようだった
「お前、良く生きて」
「・・・運が、良かっただけで」
声をかけてくれるユーグに、まるで合わせる顔が無いとでも言うように、デルタプラスは俯いたままだった
「それでも、よく頑張ってここまで来たよ。しかも、人間族の子供を二人抱えて」
マットはポンッと肩を叩いてそう声をかける
「ま、後は俺たちガンダムに任せとけば良いって」
フォルドが何気なく言ったその言葉に、デルタプラスはびくりと肩を震わせた
いや、それは純粋に、自分を労おうとして言っているのは判る。フォルドに限って"そんな"他意が無いのぐらい、それなりの付き合いがあったから知っている。けれど今の彼は、完全に過去に心を引きずられて、余裕の無い状態になっていた
「それで?なんでユニディスのエースさんも居るんだ」
ルースがそういうのも無理は無い。難民が来たと言うから来てみれば、名うてのフラッグ族、しかもあのグラハムが混じっているのであれば、違和感も覚えるだろう。その連れとして、あのマリナ姫ご贔屓の青年(刹那)が居れば、尚のことだ
「個人的な事情と、彼との事情が一致してね。どちらかというと旅の主人はセツナで、私はその尻尾だよ」
「ふーん・・・?」
聖なる竜である、ライザードラゴンを操るあの青年の旅。世界を変えると言って出立した彼の旅と、グラハムの何が一致したというのか。フォルドは興味津々だったが・・・
「あの・・・僕とオードリーは、どうなるんでしょう」
不安そうにユーグらに声をかけるバナージ。その少年の不安そうな瞳を見て、ユーグはおっと、と軽くつぶやいてから笑みを向ける
「すまないな、こっちの話に夢中で。でも、君たちの安全は保障されたも同然だから、そう緊張しなくて良い」
優しくバナージに声をかけ、その頭を撫でるユーグ。しかし、オードリーの方はバナージの後ろにそっと隠れ、何か警戒するような視線を崩さない
「お嬢ちゃん、どうしたんだ?ここにもし誰か来ても、俺たちが・・・」
そこまで彼が口にしたときだった。背後からけたたましい駆け音がしたかと思うと、ゲラードとは色の違うザクのようなMS族が、大慌てでオードリーの肩を掴んだ
「エリク、なにを・・・」
が、ユーグは最後までそのエリクという、イフリートの姿をしたMS族に声をかけられなかった
「姫!!」
エリクは感極まったように、声を震わせながらオードリーにそう声をかけた
オードリーはその、禁断の単語をつぶやく相手が目の前に現れた事で、困惑と恐怖を感じて身を竦めた
「間違いない、ミネバ姫・・・よくぞ、よくぞご無事で!」
「そなたは・・・私は・・・」
「おお・・・ジオン族の希望・・・我らの主たる姫と、このような形でお逢いできようとは、このエリク、感動の極みです」
がくがくと身を震わせているオードリーだが、エリクの方は喜びのあまりか、そんな彼女の姿に気づいていないようであった
「止めてください、オードリーは怖がってる!」
バナージは相手がMS族であるのも構わず、その間に入ってオードリーを庇った
「少年、君が姫を連れてきたか?大義であったな。だがこれからは・・・」
「止めてくださいって言ってんです!」
「・・・バナージ」
毅然としてエリクに自重を求めるバナージに、オードリーはすがる気持ちでいっぱいになっていた
「何を言っているか判らないな。いいからどきなさい、君の役目は終わったのだ」
「終わっちゃい無い!彼女を、その姫とかジオン族とか、そういうのに縛られるのから助ける。そう決めて力を貰った。だから、アンタみたいな人に彼女は渡せない
言い放つバナージだが、エリクの方ははぁとため息をつくばかりだ
「それこそおかしな話だ。姫のご存命さえ判れば、我らはあの魔王などにすがらなくて良い。これで正当なるジオン族の再興が叶うのだ」
今までジオン族が、サイド3の森にひそひそと隠れ住んでいたのは、シナンジュの魔力を避けるだけで無かった。己の身を守ろうにも、それを保障してくれる主上を欠いていたからである
いや、そう言った集団であろう、とする証を持たなかったため、バラバラで居ざるを得なかった
だが、証を引き継いできた巫女がその手にあれば、そういう不安定な状態を脱せる
いや、脱したい
ユニオン族と馴れ合っていたくない

特にジオン族の中でも『貴族』や『騎士』の階級の者達は、だからもしものことがあっても、シナンジュに寄り添おうかとさえ言っていたのだ

「エリク、勝手に話を進めるな」
「勝手をしていたのは、貴公らとて同じだろう。ラクロアの血筋を探すと言っていた」
「それは君らの事も考えての事だ。今一度、全てが平和な・・・」
「どうかな。それを気に、我らを締めだす体だった、と思っている者も居る」
そんな二人のやりとりを、森に潜んでいたユニオン族も、ジオン族も、コーディ族も皆々が、ひそひそと話をしながら遠巻きに見ている
そこには目に見えて、不穏な空気が充ち満ちてきていた
「いい加減にしろよ、子供相手に政治の話で怖がらせて・・・」
さすがに見ていられなくなったのか、意を決してデルタプラスが助け船をだそうとした
「ガンダムで無い二級の者が、我らに意見か!?」
エリクのあざけるような言葉に、デルタプラスは凍り付いた
「・・・エリク!!」
いつもは理知的なユーグが、一言も無くエリクを殴り飛ばした
「そんな事を今引き合いに出すな!こいつだって、彼女らをここまで連れてきた、事の張本人の一人だ。関わる権利はある!!」
「ふ・・・さすが、正当な血統の持ち主。気遣いを忘れんと言う事か。聞こえは良いが」
「いい加減にしろ!!」
がくがくとしているデルタプラスを放って、二人は殴り合いの喧嘩を始めてしまう
「・・・いかんな」
「自分もそう思いますよ」
その状況を肌で感じ、キュベレイが呟いたのに、グラハムもすぐに同意を示した
「サーシェスとか言う男、"予定通り"と嘯いていた。アレが企んでいたのは、まさにこの混沌とした状況・・・」
「でしょうな。聞いた話では、あの戦争屋、オードリー嬢の素性を知っていたようでした。そしてあの男が、彼女らを追い立てるだけで、殺さずにいた・・・であるならば」
まさにかつてオードリーが語った、ジオンの姫という存在を中心にして回る、災いの渦をこの森に引き込む事。そうすることで起きる事・・・
「・・・この、気持ち悪いのは・・・駄目だ・・・」
「大丈夫か、カミーユ?」
人々の負の想念とも言うべき物を大量に感じ取り、ゼータプラスは思わず膝をついてしまう。刹那は慌てて彼の肩を持つが、その息は荒くなっていくばかりである
「あいつ・・・あいつは、駄目だ。あのままじゃ・・・」
「あいつ?」
デルタプラスの事を指さして、苦しそうにするゼータプラス
「グラハム。さっきの、二級というの。あれはなんだ」
刹那は話の筋が読めず、自分の近くで一番事に詳しそうなグラハムに、解説を頼むしか無かった
「・・・・・・私が話して良いか判らんが・・・デルタプラス、彼は・・・彼の祖先は、ガンダムになれなかったガンダム族

かつてラクロアの昔
アルガス王国から、騎士ガンダム率いるラクロア騎士団が、ジーク・ジオンとの決戦に赴き、そのまま帰らなかった・・・その後
ガンダム族を生む聖なる樹に、いくつかの実が実った
そこから現れた者達は、後に円卓の騎士としてキングガンダムを補佐し、ブリティス王国の再建に貢献した
そのうち一つに、特別な実があった
その名を、デルタガンダム
金に輝く身体を持ち、翼を携えて生まれたその者は、スペリオルガンダムの色を持つ故に、後に王国を支えて行くであろうと期待された
だが、それは叶わなかった
理由は定かでは無いが、彼はどんな力も発揮する事が出来なかった
騎士として剣を振るう事も、法術士として魔法を使う事もできなかった
弱々しい身体で、背に生えた翼を羽ばたかせる事すら、まともにやれないほどであった
その体たらくは、王族を大いに失望させた
そのため、彼のために特別に造られた、「デルタ家」は一代限りで取りつぶしとなり、その存在すら歴史書から消されてしまった


「そのデルタガンダムより、唯一生まれた『騎士』になり得る力を持った男・・・それがあの、デルタプラスだ」
父の汚名を晴らそうと、己の血筋を証明しようと、デルタプラスは必死で修行をこなし、自力でロンド・ベル所属まで上り詰めた。その必死な姿は、グラハムも目をとめるほどだったという
「そこまで・・・そこまで頑張っている人に、二級とかどういう言いぐさなんです!?」
ここで初めてバナージは、何故サーシェスがデルタプラスを『出来損ない』と罵っていたか、ようやく理解した。そしてその理不尽さに、どうしようも無い怒りを隠せなかった
側に居たマットに食ってかかるバナージに、マットは首を振った
「世界を回す者はガンダムであること・・・それは、この世界の理なんだよ。だから」
「そんなの・・・おかしいでしょ!?そんなへりくつで、どうしてデルタプラスさんが、あんな風にされなきゃいけないんです!!」
彼の高ぶる気持ちに反応してか、胸ポケットに仕舞ってあった『ユニコーン』の鍵が、まばゆい光を放ち、蒼い粒子をまき散らし始める
「あの人がガンダムかどうかなんか関係ない!あの人のおかげで、俺とオードリーは生きてる。生きてここまでこれた。あの人無しじゃ何もできなかったんだ。それは事実だ、俺がこの目で見てきた事だ!」
粒子の川に気づいて、ユーグとエリクははっと我に返り、デルタプラスもまた彼の必死な言葉に、徐々に心が落ち着いたのか、ゆっくりと振り返る
「古い習わしも、盟約も知った事か!!今、そんなの関係ないだろ!!」
渾身の叫びに共鳴して、彼を中心に銀色の柱が、天を突くように昇り立ち、森の中の暗い空気の全てを飲み込まんとした
「あ・・・あれは・・・!」
今度色めき立ったのは、ユーグの方だった
「銀の・・・柱・・・ガンダム・・・」
柱の中心で仁王立ちしている『ユニコーン』の姿を、ユーグだけで無くその場の全員が、唖然として見守っていた
その誰もが、言葉を紡げないほどの、何か強い意志が、森の全てを支配しているようだった・・・
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テーマ : スーパーロボット大戦 - ジャンル : ゲーム

2012/09/18 21:45 | 偽騎士ガンダムUCVSOO本編COMMENT(4)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

どうしてこうなった

いや~、やっぱり話がはずみますなぁ(笑)

単なる雑談が実を結ぶとはね?

それにしても順調ですな

エリクとユーグの口論>
いつの時代も変わらないものですね
権力に必死で(笑)

で再生編はどうします?

No:3630 2012/09/18 22:40 | 飛白 #- URL [ 編集 ]

大先輩が語る今の特撮……

black「それにしても今の若い奴(仮面ライダー)は派手になったなぁ……初めからバージョン違いも珍しくなくなったしなによりも改造人間でないのが多くなった」←
因みにシリーズでは唯一“自動車”を使用したライダーである。
ゾフィー「ウチに至ってはイケメンが多くなって防衛組織が女性アイドル演じて、ラノベで妹モノがでるわ……まあ衝撃的なのがURUTORAMANだろうね……アレ、ヒーロー戦記に出られるわ」←作画がスパロボに参戦した某原作作品の作者。
ハヤタ「そこの自分は防衛大臣で子供をもうけて……いやはやイデ隊員も知っていて黙っていたなんてねぇ」←よくよく考えるとスゲェ出世している。


アイマスシンデレラガールスに驚異の新キャラ登場……設定上ヤバい香りが

P「まずシンデレラガールス出身アイドルは出身地が明確になっている(因みに765プロの面々は響以外は出身地が設定されてない)」
小鳥「星 輝子……出身地は福島県、趣味はキノコ栽培……何所が危ないのですか?」
P「特訓後には魅力がアップするのだが……彼女の場合“病変”しちゃうというか、普通は少し暗い……」
輝子「栽培しているキノコがマジックマッシュルームとか……変な誤解している人多くって困ってます」

例えるならアイドル版クラウザーさんですね。この衝撃はバスト三桁である雫さん以来だな。

No:3632 2012/09/19 01:40 | YF-19k(kyousuke) #vOF08ZPo URL [ 編集 ]

大脱線

ギャグシーンの方が力入りすぎて、本編がおろそかな件

飛白さん>
ホントにどうしてこうなった
再世篇は、学園レッツゴーまでお預けにします
これ以上はあのテンション持たないw

YF-19Kさん>
あり、今回は外伝が無い
ちょっと内容が単調すぎたから?
それともギャグネタの方がインパクトありすぎた??

No:3633 2012/09/19 23:11 | あるす #- URL [ 編集 ]

あるすさん>

返信どうもです。

今回外伝は少し捻っていた所にシンデレラガールスに驚異の新人が出てきたのでその衝撃で脳内HDが飛びました(笑)。

blackが驚愕するほど今の仮面ライダーってハデになりましたからねぇ……今放送している“ウィザード”も結構凄い。

No:3634 2012/09/20 01:23 | YF-19k(kyousuke) #vOF08ZPo URL [ 編集 ]

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