新・スパロボ学園 超外伝 ~決戦!騎士ガンダムUC VS OO 【20】~

つい先日までの暑さはどこへやら
いきなりこの秋一番の寒さとなりました

というわけで、碧玻の水槽のヒーターを初稼働させました
朝起きたら、やや22度を切っていたぐらいでしたので、今後はもう付けっぱなしかなぁ


さて、またもや間が開いてしまいました、スパロボ学園ネタ

長くなったのは・・・
飛白さんには愚痴ってたのですが、諸事情で「ガンダムUC」連中の掘り下げが足りず、今になって慌てて補完してるからですorz
大まかな流れが変わってないので、修正がきくにはきくのですが、その分回りくどくなると言う、一番やってはいけないパターンを踏んでいて、読者様に申し訳ない状態になっております

そういうわけで、外伝担当者様の補完にも影響が出やしないかと・・・心配


☆あらすじ☆
私立スパロボ学園
それは、スパロボに存在するあらゆるキャラクターが、学園生活という舞台を通じて、好き勝手するための空間である!


スパロボ学園高等部所属、神名綾人の風邪によって起きた時空の乱れにより、騎士ガンダムの世界にあり得るはずの無い歴史が、人々の意図を余所に刻まれていく
武者頑駄無をも巻き込んだ学園の混乱。それはさらに斜め45度上へと極みを増していく
あまりの混乱ぶりに、時空の番人も匙を投げ始める始末
一方、サイド3の森に辿り着いたバナージ達一行は、恐れていたジオン族とユニオン族の抗争に巻き込まれていく


最初の出逢いは、つまらない事だった
アイツが街で、無分別な連中に絡まれていたのを助けた
特に理由は無い。それが騎士としての自分の任務だった
ただそれだけだ
でもその時アイツは・・・きらきらした視線で
まるで宝石か何かを見るような目で、俺を見上げてた
他意の無い純粋な、賞賛の言葉と羨望の視線
それこそ、ずっとずっと自分が欲しくて、手に入れたくてたまらなかったものだった

どうしてって?
それはアイツがインダストリアルの街に来て日の浅い、何も知らない奴だったから
あの街に住んでる連中になら、俺の素性は割れてる
いくらリゼル隊長達がお膳立てしてくれたところで、それなら結果はたかが知れてる

でもあの日、出遭ってしまった。手に入れてしまった。そして知ってしまった
今の俺じゃ、どこまで頑張ったって得られない、その視線の喜びを


それからずっとアイツは、俺の後ろをついて回ってきた
あの、きらきらした眼差しを向けながら
手放したくなかった。その視線を失うのは怖かった
だから優しくしてた。いろいろと世話もしてやった。いつも自分にその目を向けさせたかったから
だから守った。他の奴に、あの視線を奪われたくなかったから

なのに何故
そのお前が"ガンダム"の力を得てしまうんだ?
何も無くて、俺の後ろを付いてくれば良いはずのお前が、どうしてそんな力を得てしまうんだ?
駄目なんだよ
お前はずっと俺を見てなきゃ
お前が俺を差し置いて、誰かの視線を集めちゃ駄目なんだよ
そうで無ければ俺は、立っていられないんだから
力を奮えないんだ。戦えないんだ。笑えないんだ
俺が、俺であるためには
・・・お前がガンダムになるのは、許せないんだ・・・


彼方に昇る銀の柱が放つ光に、ティエレン部隊は言葉を失い、歩みを止めて呆然としていた。それは、部隊を率いている"荒熊"も同じであった
「一体全体、何事だというのだ?」
見ているのは、サイド3の森の方角である。そこでなにやら異変が起きたという事を示すのか。彼が眉をひそめていると、後ろから声があった
「ターゲットが居る・・・その証さ」
「何故判る?」
「見たからさ。あれと同じ物を・・・インダストリアルの街で」
デュメナス・・・ニールは忘れようも無い光景を・・・ユニコーンと名乗った、白銀のガンダムが現れたときの事を指して、そう言った
「あのマダムの狙い通り、ってのは気にくわねぇが、奴らは辿り着いたんだろう。そうだろ、兄さん?」
ケルディム・・・ライルの言葉に、デュメナスは無言で頷いた
「あの場所が、争いを生み出す物の源泉であるなら・・・それを断つ事ができるのなら」
ヴァーチェ・・・ティエリアは、厳しい視線を柱に向けながら、まるで自分に何かを言い聞かせるようにそう呟く
「そうだ。例え、大量虐殺と言われようとも・・・やらなきゃならねぇ」
争いを、戦いを生み出す物を滅ぼす。それによってどのような犠牲が出ようとも、目的を完遂しなければならない。自分達がやった事の落とし前をつけるために
そんな思いで再び歩み出す三人のガンダムを、"荒熊"は無言で見ていた
スパロボ学園内 校庭の隅っこにある専用のクロスゲートの前に、ちょっとした人だかりができていた
その先頭に立っているのはアムロ、そしてジュドーにウッソやシーブックと言った、ニュータイプ達である
「聞えるか・・・?」
「ええ、かすかに、ですけど」
「これがクォヴレーの言っていた、道を造るための『コンサート』なんでしょうか」
ニュータイプ連中は、クロスゲートの彼方から伝わってくる、歌の歓喜の波動を感じていた。イングラムがクォヴレーから伝え聞いたという、正の力を集めるための一大コンサート・・・その成果がこの波動だというのだろうか
「確かな事は、ギリアムとイングラムが、逃避から帰ってきてからで無いと何とも言えないが、この感覚の先にあのリオン・カージがある。そう考えるのはおかしな事じゃ無い」
「それで、俺たちも集めたわけ?」
アムロ達の後ろには、歩く特異点である桂にオルソン、レモンやクリフと言った、時空間転移や異次元科学に通じている者達が、一堂に集められていた
「そうさ。俺たちNTは、意識を通じ合う事はできても、世界を飛び越えられるわけじゃ無いからな」
壊れる前のギリアムの見立てでは、アムロが感じる唄エネルギーの波長と、空間転移能力者(仮定も含む)の力らを併せた相乗効果で、クロスゲートを無理矢理開けるのでは無いかということだった
「でもそれだったら大尉・・・後ろのあれ、何とかした方が良いんじゃ有りませんか?」
セツコが恐る恐る指さす先
そこでは・・・
「ええい、ちょこまかと、いい加減にッ!!ファンネル!」
厳しい顔で総帥モードになってるシャアが、人間サイズファンネルをぶっぱする
「うわっ、あぶね!いいじゃんかよ、ザクを撮りまくるぐらい!」
「マジンガーの良さわかんないかな、大尉にはぁ!」
「名刺追加するのぐらい見逃してくれよッ!!」
「頼むぜ俺(達)、頑張ってメカをコンプだ!!!」
何故か4人のリュウセイがそれぞれに愚痴を言いつつ、シャアのファンネルを必死で避けながらカメラを回したり、様々なロボット達に挨拶回りをしたりと、忙しくかけずり回って居るでは無いか
「ああ・・・新とFとOGsとスパヒロのリュウセイさん(達)ですね」
「ジ・エーデルの置き土産で分裂してやんの」
どうやらジ・エーデルがダブルオーを分裂させた勢いで、リュウセイまで分裂してしまったらしい。そしてそれぞれが協力し合って、ロボオタ精神を満喫しようと張り切ってしまっているのである
さすがのライも開いた口が塞がらず、アヤは目眩を起こして倒れ、マイとラトは喜んでイイやら止めた方が良いのやら、嬉しそうにオロオロしている始末である
「ウッソ君、ジュドー君・・・なんでそんなに冷静なの?」
状況を冷めた目で見ているウッソらに対し、セツコは生来の気の小ささから動揺を隠しきれないで居る
「もう慣れてますから。付き合いも長いし」
それはリュウセイのロボオタ精神に慣れているのか、彼が数パターンの経歴を持っている事に慣れているのか、どっちなのだろうか
「落ち着きません、あんなの・・・時空が乱れたまま、クロスゲートに干渉したりしたら」
「少尉に賛成だね。ありゃヤバいだろうよ。いい加減止めようぜ」
セツコの言う事は尤もである
冷めた性格のアクセルでも、さすがに見かねたのか騒動に割り込もうとするが
「いいんだ。あっちはシャアに任せておけば良い!」
アムロに首根っこ捕まれて連れ戻されてしまう
「『分り合っているライバル同士の信頼』というものか、あれは?」
「いや・・・単に貧乏くじを押しつけてるだけだろ」
こちらの事情にあまり詳しくないユーサーのマジ呆けに、クロウは一応正しい理解をして欲しいので解説をしてやる
「それにしても、貴方が進んでこの案に賛成とはね」
ほぼ常識人とはいえ、一応は敵役のユーサーが、イングラムの案を聴いてすぐに、スフィアの連動も使えるはずだと提案してきたのを、レモンは好意を持ちつつも驚きの感情で受け取ったようだ
「余は何も、インサラウムの事だけを考える暗君では無いつもりだ。この学園は好意に値する場所である。そなたの行いも、それ故であろう?」
彼の視線の先には、猿ぐつわをされて布団で簀巻きにされたアイムを、面倒くさそうに担いでいるアサキムの姿があった
「そうだね。居場所がある、って言うのも悪くないと思ってる」
アイムとアサキムは天敵の間柄。そしてそのアサキムが今回の件に関して、裏はあれども協力を約束してるので、相変わらずこっちを煙に巻こうとするアイムを、こうして取っ捕まえて来たのである
「これで、現状判明してるスフィアリアクターは集まったよ、アムロ大尉」
「ああ。向こうに居るランドとの、共鳴効果もこれで得られるか」
スフィア同士の共鳴が、様々な効果や奇跡を起こすのは、第二次Zで判明している事である。傷だらけの獅子のスフィアと、学園にある悲しみの乙女などのスフィアが、それらと合一して力を発揮するであろう事も、想像に難くない
「あとは、お前達にかかってるぞ」
アムロが声をかけたのは、キラやシンと言った、最初に向こうに飛ばされたメンバーだった
唄の力、NTやスフィアの力でできた道の先。そこへ正確に跳ぶために、キラ達と『騎士ストライク』の絆が頼りになるであろう、と言う予測なのである
「・・・行けるかな」
「やってみるだけさ・・・」
アスランはそう言いながら、クロスゲートに手をかざす。すると、以前は氷のようだったその表面が、僅かながら波立った
「これは・・・!」
驚いてシンも続いてみる。すると彼の指はゆっくりとではあるが、クロスゲートの中に入ろうとして行くでは無いか
「ホントだ、聞こえる!」
シンは本気で驚いて叫んだ。シーブックに言われたところでピンとこなかった、唄に酔う歓喜の声が、指先から伝わってきたからだ
「これはたぶん・・・そう、『彼』も唄いたいんだ・・・
キラはそれを、ストライクが動き出したい衝動に駆られているから、と言うように理解したようだ
「だとしたら、封印を解くきっかけにもなる・・・!」
「そうだね、彼と気持ちを一つにすれば・・・」
キラ達の間に一気に期待が高まる。やっとことの解決に着手できる。置いてきてしまった人々を救える・・・!

が、その後ろで、ずどーんと大きな音がする
「校則を破る悪い子はい゛ね゛ぇが~!」
「げぇ、ヴァルシオン!?」
遂にこの混沌の事態にキレたビアンが、ヴァルシオンを持ち出して校庭に仁王立ちしている。その口調と相まって、完璧になまはげモードと化していた
「ああっ、言わんこっちゃない!!」
「アムロ大尉ッ!あれ、不味いですよ、止めてください!!」
ラスボス仕様のビアンが暴れたとなれば、いかにこの学園といえどもただではすまない。学長を落ち着かせるように懇願するセツコだが
「ええい!見るな、聴くな、関わるな!気が散るッ!!」
アムロはガン無視続行を決め込んでいた
<クロスマッシャー!! ドシャッ、グシャッ
<<<<ぎゃー!いてぇぇぇ!なにすんだー!!
「・・・あ、リュウセイさん(達)がミンチになった」
<ぐしゃぐしゃこねこね
「うわー、粘土細工みたいに固められてら」
<いきなり何すんだよー!せっかく良いところだったのに
「あ、一つに戻った」
「便利なのか何なのか・・・」
サイド3の森は全くの無音となっていた
ただ、ユニコーン・・・バナージが放っている光だけが、森の中に雪のように舞っている
しかしそれもまた音も無く、さりとて痛みを感じるものでも無く、ただただ静かに木々の間を這い回りながら、森を明るく照らし返していくように見えた
「・・・プレッシャーが、抑えられていく・・・」
ゼータプラス・・・カミーユが感じていた、森全体を覆わんとしていた負の感覚・・・それが、ユニコーンの放っている銀の粒子の柔らかい波動の広がりと共に、まるで水に当てられたように静まりかえっていく
「ゼータプラス様、この光。これは・・・」
まるで包み込むような、暖かさと優しさを併せ持った、美しく輝くその粒子を、ゼータプラスはかつて、身体で感じた記憶があった
「サイコフレームの輝きと、似ている気がする・・・」
ゼータプラスはその粒子から、バナージが何を訴えたいかを『感じる』ことができる
しかもかなり直接的に。それは彼がニュータイプだからだろう。だが、そうで無い人々には想い自体は伝わらない
それでも、この混乱に巻かれる事を良しとしない
・・・という感覚だけは、人々に浸透しそして、安らかで居たいという欲求をかき立て、わき上がろうとした負の念を抑えていくのだろう

だが、その姿はまた、別の問題を起こすきっかけともなった
「銀のガンダム・・・神の・・・我らの希望・・・」
ユーグら旧ラクロア派にしてみれば、銀の光を放つその存在こそ、まさしく予言に語られた『神に選ばれし者』に違いなく、自分達の悲願達成のために、心から求めて止まぬ物であったから
だからユニコーンの神々しい姿に、ユーグは我を忘れて跪いていた
もちろんその理由がわからないユニコーンの中のバナージは、ただただ戸惑いを覚えている
「・・・なにを」
「神は・・・遣わされた。我らに希望を・・・そして許されたのだ、ラクロアの復興を!」
ユーグはそう言うと、有無を言わさぬ勢いでユニコーンの肩をがっちりと掴んだ
「これで平和は成る!その力があれば・・・」
あえてゼータプラスが何も話してなかったことから、ユニコーンにはこの事態が何を意味するのか、全く判らない
「待って下さい、何の話です!?」
「・・・ゼータプラス君、君は何も・・・?」
言われて視線を受けたゼータプラスは、首を横に振った
「そうだと決まったわけでは無かったから」
いや、直感はあった
だがこの事をバナージに話すことに、どれだけの意義があるのかを、ゼータプラスは疑問視していた
もしその相手がそもそも、己の自出に自覚があれば良し。だが、バナージにはそういうモノは無い。彼の意地とはそこからは来てない。そんな彼に話をしたところで、ただ戸惑わせる原因となると、キュベレイ・・・ハマーンとも話して居た矢先だった
「その力、その姿。それこそ予言に語られし、ラクロアを継ぐ者の証・・・!!」
ユーグはそう前置きした上で、彼の目的とそれによって勝ち取る平和のために、バナージの力が必要だと説いた
「さぁ・・・ラクロア復興のために起とう・・・そしてこの世界より悪を排除し、平和を」
「そ、そんなことを・・・」
理由を話されたところで、いきなりその気になる者など、そう居るものでは無い
しかもしがない修理工見習いの自分が、貴種の血を引いているなどと言われて、ハイそうですかと納得する方がおかしい
だが、それ以上に納得いかないのは、エリクの方であった
「何故だ!?」
彼は憤りを隠さず立ち上がった。突き飛ばされて土にまみれた手を、血がにじむほど強く握りしめている
「何故我らの復権は拒否され、貴公らの復興は神に許される?その理不尽・・・神とは・・・一体何だというのだ!!」
そのまま拳を地面に叩きつける。大きな音がするわけでは、もちろん無い。だがその痕に残る黒いモノが、ゼータプラスにはまるで生きているように見えた
「今まで我らがどれだけの屈辱の時間を・・・どれほどの恥辱を耐え抜いたと思う?まだ我らに犠牲を払えというのか。数万の屍でも、まだ足りないというのか。お前達は同じような犠牲を何も払わずに、何故に赦され続けるのだ!!」
「エリク、君は自分の・・・」
立場を弁えろ、とユーグは言おうとしたのかも知れない
しかしその言葉を遮って、ユニコーンから姿を戻したバナージが、一歩を踏み出してそして一言呟いた
「ええ、とても理不尽な事だと、思います」
「知った風な口をきくな!貴様に・・・何が・・・!」
エリクにしてみれば、いきなり森に現れたどこの馬の骨とも知れぬ少年が、突然ユニオン族に祭り上げられる『神の使者』となり、自分達の思いを踏みにじることなど、当然受け入れがたい出来事であった
しかもその相手が、同情の言葉を吐くなど、言語道断に違いない
「・・・そうですね。判りません、貴方の気持ちは。だって・・・」
そう言われてもなお、バナージはエリクに歩み寄った
「僕は貴方では無いから」
その言葉にエリクだけで無く、オードリーにゼータプラス、その周囲の人々は思わずハッとした
「旅の途中で彼女から、ジオン族が受けてきた事を聴きました。それはとても、とても理不尽で悲しいことだと思いました・・・」
バナージはそう言いながら、目を閉じ悲しみをたたえた表情で、自らの胸に手を当てた
「心が痛かった。何故という疑問が湧いてきて苦しかった。それで良いわけが無いと憤った・・・」
だからこそ、最初に"ユニコーン"に言われたことはともかく、オードリーを何とかしたいという思いを強くした。何とかしたいから、デルタプラスに頼りもした
「それでも、僕が感じた痛みは、貴方とは同じになれない。僕と貴方は違うから」
バナージとて馬鹿では無い。己が感じた事は所詮は、ただの感想でしか無い
"事実"はいつも当事者だけが持ち得、それ以外の存在とは共有しきれないものだ
「それでも・・・貴方にしか判らない地獄を見たからと言って、その怨念をただまっすぐに吐き出してしまうのは、たぶん・・・何かが違うんじゃ無いでしょうか」
ふと目を開けて、バナージはそう言った。その瞳には濁りは無い。とても純粋で裏の無い色をしているのは、エリクも判ったかも知れない
「そしてそれに、オードリーを付き合わせるのだって・・・」
「・・・勝者側の理屈か!」
彼はそう言うと、踵を返して足早に森の奥へとかき消えていった
思わず手を伸ばし、エリクの後を追おうとするバナージを、ユーグが肩を掴んで止めた
「今は君の素性の確認と今後が大事だ」
「僕はそう言われてもっ・・・!」
未だに自分の主張にこだわるエリクに、嫌気が差したような顔をするバナージ
「いい加減解放してやれよ。二人を・・・離せ」
デルタプラスも間に割り込んで、ユーグの手をバナージから払いのけ、ユニオン族・ジオン族双方に囲まれて、恐れおののいていたオードリーも抱き上げて、自分の懐に庇うように抱き込む
「騎士ユーグ、アンタの言うとおりだったとしてもだ。最初に言ったろ、子供だって。休ませてやれよ。こんな小さい連中が、生死の狭間で、一ヶ月以上旅してきて、いきなりこれで話を聞く余裕なんて、有るはず無い」
それは確かに正論だった。正論故に、正論自体にこだわっているユーグには、返す言葉も無く、その手を引かざるを得ない
「・・・ごめんな、二人とも・・・」
抱き寄せたオードリーとバナージに対して、デルタプラスは顔を寄せて小さく呟く
「俺は、最善と思ってここに来たけれど・・・」
「・・・」
二人は黙ってデルタプラスを見上げている。それが判ってかどうか、デルタプラスは直接彼女らの顔を見れないほど、俯いたまま言葉を続けた
「俺の知らないところで、訳のわからないことが・・・進んでいたみたいだ・・・」

その光景を冷ややかに見ていたキュベレイだったが、ゼータプラスがだいぶ気分を落ち着かせたのを見て、そっと耳打ちする
「あれから目を離すな、カミーユ・ビダン」
そうとだけ言うと、彼女はエリクが消えた方へと歩み出す
「どこへ行くんです」
"あれ"と言う言葉が指す意味は、ゼータプラス自身もよく判っていた。デルタプラス・・・彼から立ち上る何かは、あの銀の光の中でも煮えたぐり、ゼータプラスに猛烈な不快感を与えていたからだ
「あのイフリートを追う。おそらくあれは・・・」
「さすがですな、キュベレイ女史」
お供しましょう、とグラハムが進み出た。何を、と刹那が見とがめる
「グラハム?」
「少年、君はゼータプラスをフォローした方が良い」
グラハムもそうとだけ言って、慌ただしく森の奥に消えていくキュベレイの後を、急いで追いかけていく
「何が起ると言うんだ、一体?」
「・・・・・・具体的なことは、俺も予想が付かない」
だけど、とゼータプラスは気怠そうに身体を起こしながら、遙かな空の彼方を見やった
「悪意を感じる。このプレッシャーは・・・嫌な感じだ」
今の刹那には、ゼータプラスの言う感覚はあまりハッキリとはわからない
「悪意とは・・・争いか?」
「争いと言うより、争いを生み出すもの・・・それが、沢山森に流れ込んでくるのを感じる」
争いの源と聞いて、刹那は眉をひそめた。彼がグラハムとここまで放浪してきたのは、それを探し求めてのことだ
今までの経緯をまとめればそれは、ユーグやエリクと言った歴史を引きずる事を主張するものであり、オードリーのような否応なしに何かを背負った者のことだ
「俺はそれを、変えなければならないと感じた・・・そうして彷徨ってきた」
「変えていく・・・か」
「そのために何が必要なのかは・・・まだ俺は判らない」
争いが起きる理由は、今までのやりとりでだいぶ判ってきた。けれど、バナージの言うとおり、その根っこにある深い闇の理解を、自分ができているとはお世辞にも言えない
それでは、どんな解決策も虚しく響くだけだ
「だがその前に、争いを続けようとする者が迫っているというなら・・・」
刹那は取り戻した4つの剣に手をかけながら、最後にこうとだけ言った
「戦うしか、無い。答えを見いだすのは、生き残った者だけだ」

森の奥の拠点で、エリクは水晶球に向かって慌ただしく喋っていた
その向こうに移るのは、遠く離れた地に居るであろう、はぐれジオン族の騎士達だった
「そうだ!姫が見つかったのだ。今しか契機はない・・・我々が起つときだ!」
エリクは水晶球を通じて、各地の同志達に『ミネバ姫』生存を伝えていた
抑圧されてきた彼らが、それを聞いて沸き立たないわけが無い
歓声あるいは怒声が響いてくるのを、エリクは感無量な心地で聴いている
「時は来た!皆サイド3の森に集結し・・・」
が、それを言い終わる前に、エリクはキュベレイに突き飛ばされ、水晶球はグラハムにたたき割られた
「こんなことだろうと思った・・・この痴れ者が!
キュベレイにそう言われても、エリクは事態が飲み込めずにキョトンとしているだけだ
周りを取り囲んでいた、ザクやゲルググ達も唖然とし・・・それ以前にグラハムの牽制で身動きも取れないのだが
「お前はこの状況で、オードリー嬢が何に"使われる"か、考える頭を持たぬのか!?」
キュベレイは珍しく激昂した様子で、エリクの首をひっ捕まえて叫んだ
「これは罠だ!生きようとする願いを利用した、狡猾で卑劣な・・・!!」
「なん・・・だと・・・?」
そうまで言われて、エリクは未だにキュベレイの言葉が何を意味するか、理解ができない様子だ
「お前達はまんまと乗せられたのだ。どうして気づかなかった?」
「放っておきましょう、キュベレイ女史・・・こうなれば、我らが取るべき道は一つしか無い」
話にならない、とグラハムはエリクのことを切って捨てた。キュベレイもまた、そのようにせざるを得ないと呟いた
「降りかかる火の粉を払う・・・そうしなければ、生き残れんというのか!」
「・・・以上がご報告でございます」
魔凶公シナンジュの前に跪き、事と次第を報告し終わったルシフェルは、そう言うと深々と頭を下げた
「いつもながらお前は良くやってくれる」
「ありがたきお言葉。ですが・・・めぼしい成果もなく」
ねぎらいの言葉をかけてくれる主だが、ルシフェルの方は自身の仕事に進展が無く、主に顔向けできない気持ちでいっぱいだった
「焦る事は無い。結果は後から付いてくる。事実、お前のやっている事は間違っていない。安心して事に臨んで欲しい」
柔らかい口調でそう告げられると、ルシフェルは極端に安堵したような表情になっていく
「公・・・貴方のためなら、俺は・・・」
彼がそう言いかけたときだった
玉座の間に居入る扉が開かれ、カツカツと慌ただしい音を立て、リボンズが入室してくる
「お話中申し訳ありません、公・・・些か、見逃せない事実が判明しまして」
「どうした。些かと言うより、余程の事のようだが」
珍しくリボンズが厳しい顔をしているので、シナンジュはルシフェルを少し脇に下がらせる
「あの紅い騎士から吸い出した情報によりますと、アーク王国の女狐めは鍵の巫女を利用し、サイド3の森を焼き討ちしようと企んでいたようです
その言葉には、さすがのシナンジュも、そしてルシフェルも色めきだった
「事実、私の"目"で確認したところ、既に森の近辺に奴らの手勢が集結しているようです。これは・・・見過ごせますまい」
うむ、とシナンジュは頷いた
「ジオン族を預かるものとして、そのような暴挙が迫る事態に、動かぬ訳にはいくまい」
そう言ってから、自分の右手を顎に付けて、何かを考えているようなそぶりを見せる
「が、逆に捉えれば、これはかの森に潜む同族らに、私の威光を改めて示す機会でもある、と考える事もできよう」
「なるほど、それも然り」
魔王の言葉にルシフェルはなるほど、と頷いた
この機に魔王が動き、森を守ったとなれば、はぐれジオン族の魔界への不信を払拭し、転向を促す絶好のチャンスと言えなくもない
魔王はしばらく考えた後、二人に対して下す命を口にした
「卑劣なユニオン族の罠から、ジオン族を救うのだ。二人は連係し、この事態よりサイド3の森を死守せよ」
「・・・はっ!」
「仰せのままに」
二人は深々と頭を下げ、命を受け入れた事を主に示す
「征くぞ、りボンズ。公の意を地上の者達に知らしめるのだ」
「判ってるよ。でも・・・僕には少し考えがあるんだ」
疑似Gマテリアルを見せたときのような、悪戯っぽい笑顔を彼はルシフェルに向けている
「あの疑似Gマテリアル・・・使えると思わないかい?」
「まさか、あれを森の者達に使うのか?それでは・・・」
確かにはぐれジオン族達が絶大な力を手に入れる事は、想像に難くない。だがそれでは、ただの化け物を増やすだけだと、ついさっき言ったばかりだというのにと、ルシフェルは少々不満そうな顔をして答える
「そう、君の思っているとおりだ。だから僕はこれから大急ぎで、あれを改良する。君の意見を参考に、作り直すんだ」
「この短時間で・・・大丈夫なのか?」
「やってみせるさ。主命を果たすためだもの。そのために、ほら」
そう言うとリボンズは懐から、あの疑似Gマテリアルを一つ取り出してルシフェルに託す
「とりあえずは試作品は、もう作ってみた。君が良いように使ってみて欲しい」
見た目にはそう変わりのなさそうな代物だから、試してみないと何とも言えなさそうな物だが、ルシフェルは親友の意を汲んで、それを大事に懐にしまい込んだ
「もっとマシなのを急いでやるよ。だから君は先に行って、あの愚かなアーク王国の手先共の、足止めをしておいて欲しい」
「・・・わかった。任せておけ」
ルシフェルはそう言うと、小走りに玉座を後にした
リボンズもまた、シナンジュに軽く礼をすると、その場を後にする
それらを見送った魔王は、一言も何も言わずにただ、その場に鎮座し続けていた
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2012/10/08 19:37 | 偽騎士ガンダムUCVSOO本編COMMENT(2)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

超音変形ジャイロゼッター 二話

いやはや、これスパロボティスト満載じゃないですが……ロゼッタストーンに刻んだ“存在”が居ると言う事ですね。それにしてもテレビ東京もこんな色気出して大丈夫ですか?


リュウセイ「スパロボにも出られそうだな」
キット「これで巨大化したらブライガーとカブるからなぁ」
キラ「でも、変形と言うよりも“変身”しているけど」


リュウセイ「そして“仕込み”が用意周到過ぎ」←経験者です。


ミサト「あの注射器と言うよりも家畜用浣腸器に見えますが……」
リツコ「つっこんだら負け」


ガールス&パンツァー

ただの萌え戦車アニメではなかった……SDF-1 マクロスとほぼ同じ規模の日本海軍型空母……飛行甲板に街があるとは……ラストシーンを見て驚いた。


ゴットバード 四巻

流石にクローンカルテットは避けたか……今回ばかりは晶ちゃんだけじゃ辛いかも……



騎士ガンダムSEEDASTRAY&騎士ガンダムOOP

吟遊画家騎士アウトフレームが魔導カメラを構えた瞬間、目の前に巨大な浮遊城が出現、そして禍々しい騎士が浮遊していた。

???「おのれ!この幻魔騎士リジェネレイト(@アッシュグレイ)様の結界を見破るとは!!!さては世界を混乱させている元凶を見出すものか!!」
ジェス「あんたか……アーク、オーブ、そしてザフトを惑わす者……マティアスの言う通りだ」
カイ「始末するぞ……ザフトも困るだろう」

だが、リジェネレイトはモンスターモードに変形して捕らえられない……MS族では。

チェルシー「空の速さなら」
ステラ「私達のステージです」
アルト「聖剱デュランダル、いくぞ」

SMS傭兵騎士団らが一斉に飛び出しリジェネレイトを追い込んでいく。

フェルト「甲板をかります」

飛行甲板に祭壇が出現しフェルトは瞑想する……すると白く純白な翼が背中に出現。同時に魔導鎧鳥ザンライダーが出現する。

アッシュ「ま、まさか!おまえは……運命の天使」
フェルト「貴方の心を惑わしているのは……背後のコアモジュール……それが本体ですね」
アッシュ「そうだ……MS本体は鎧のみだ。取り次ぐ事も出来るんだぜ!」

ルカ「その呪いは既に無効化してます、アーク王国の皆さんどうぞ」

空中で巨大魔法陣を展開させるRVF-25(@ルカ)

エド、ジェーン、レナ「「「狩の時間だ」」」


アッシュ「シド様ぁああおたすけを~~~」


・アッシュは助けを呼んだが誰も来なかった。


アスナ「無駄よ……シドはAGE-FXが抑えている。私を惑わしその友人を惑わしたのも……そしてヤバキ教導騎士、言えお父さんを惑わしたのも……全ては貴方の」

アスナはアーク王国では珍しい両刃双剣を翳すと妖精騎士ル.シーニュと変身。

ル.シーニュ@アスナ「コールシーニュ!」

巨大な白鳥が出現し猛吹雪を発生、そこに聖剱デュランダルの力により聖飛竜騎士デュランダル(@アルト)と聖飛竜騎士パラディンプロフィシー(@チェルシー)の連携攻撃によりリジェネレイトがコアユニットだけになる。

ステラ「予備の手足は狙撃しました」←魔導ライフルで全て破壊。

コアユニットは一目散に逃げるが目の前には巨人兵モードに変形したマクロスクオーターがスタンバイ。巨大魔導砲にもなるガンシップと盾になるキャリアは浮遊している。そして羽我弩列弩(パワードレッド)に変化したレットフレーム(@ロウ)もそこにいた。

フェルト「今フェルトグレイスが命じる、勇気ある翼を持つ者に悪しき魂を焼き払う浄化の炎を……」


ジェフリー「ブチかませぇえええええ!」
ボビー、ロウ「「炎の一撃(レットフレイム)」」


コアユニット、あっという間に吹き飛ばされる。


エド「すげぇ……」
ジェーン「あれつぶされてないかい?」
レナ「それよりも灯台へ」

ル.シーニュ@アスナ「逃げて!」

灯台から光が発射される。

アスナ「そんな。エミリアが……モンスターに取り込まれている」
エミリア「あっ、あはははっはっ」

エド「なんだありゃあ」
レナ「ジオン系の……もしかしてアクシスに封印されていた……」
ジェーン「ダークヴェ」

アスナ「アーク王国の皆さん、そしてフェルトさん……後は頼みます」


アスナが転送魔法を発動させる。


アスナ「シーニュ、フェルトさんを彼の元へ!」

魔導鎧鳥ザンライザーにシーニュの力が宿り、アーク王国の騎士とジェス、カイトは地上へ……。


・リオンカージ某所

オーライザーが眼が覚めて守っていた魔導剣を足で掴み飛び立つ。


???「今こそ次なる姿へ……四人の騎士達よ」


あとがき

ダーグヴェはエコールの第12巻で登場するMAでヴァルヴェロを大型化、メガ粒子砲内蔵クローが片腕しか無いですが大型ビットを装備してます。

アスナとエミリアの決着がついてないのでこんな形で終わらせてます。

元ネタ通りレットフレームでシメるも考えましたがボビーさんの男気溢れる姿も好きなのでクオーターの一撃も加えました。




No:3691 2012/10/09 23:56 | YF-19k(kyousuke) #vOF08ZPo URL [ 編集 ]

ソレスタの皆さんですが・・・

おそらく次回の話の中で、刹那とロックオン兄さん達の大喧嘩が開催される予定です
アレルヤさんは喧嘩からはハブられてますが、バサラと重要な仕事をしてるので、出てこないと思います

たぶん、格好良いカガリが書けると思うんだ・・・
頑張ろうっと

No:3696 2012/10/10 23:41 | あるす #- URL [ 編集 ]

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