ファイブスター物語13巻 感想

心の病というのは、なかなか周囲の理解を得られるモノでも無く
また、罹患している本人もそれを自覚していることから、
いつまでも多大なストレスを受け続け、
完治と言うものとはほど遠いのが実情です


しかし生きている以上、それでも稼いでいかねばならない
働かざる者食うべからず


さて、ファイブスター物語13巻が刊行されたので、購入しました

ファイブスター物語は連載再開時、ニュータイプ誌が売り切れ、月刊誌が異例の再販を行うなど、色々言われている割に話題に事欠きません
13巻が出るにあたっても、それがニュースサイトのトップを飾るとは・・・

「永野護、仕事しろ」
と言われる割に、結局なんやかんや言って、支持し、楽しみにしてる人が多い証拠ですね・・・


さて、13巻は一気に色々なお話が進みました

と言うよりも
設定のほとんどが、ジョーカー太陽星団から追い出されてしまいました(苦笑

連載再開時のダッカス(旧バッシュ・ザ・ブラックナイト)の変わりように、目眩を覚えたのは私だけでは無いと思いたい

この状態のファイブスター物語を読み続けることができるか
ある意味試練の内容だと思いました

が、だいたいの内容を読み切って感じたことは
「結局永野護という人は、ファイブスター物語の何も変えていない」
と言うことでした

もちろん、MH(モーターヘッド)はGTM(ゴティックメード)へと、用語だけでなくデザインや考え方すら変わり
ファティマにはAF(オートマチックフラワーズ)という異称が加わり、ファティマ・ファッションも変化しました
しかし、物語の根幹や、永野先生がこの物語で描きたい「目的」は、一切変わっていませんでした

選ばれた力を持つ者と、何の力も得ていないもの
地位のあるモノ、何も持たないもの
それぞれがそれぞれに、理不尽な苦悩の中で苦しみ喘ぎ
いつしか希望か絶望かに辿り着く様を、神たるアマテラスが見下ろしている

そう言うスタンスは何も変わっていません

例えば、冒頭では「エスト」という、特別さ故に誰からも求められながらも、常に自らは求める者を失い続けるファティマ
そして、それと対比して、自らの役目を果たすために力を尽す、特別でないファティマ達の悲哀が流れます

一方で、序盤で登場する、「クズ騎士」ハイトと、プロムナードに出演する「ちゃあ」ことワスチャ・コーダンテも、ある意味では対比の存在です
互いに騎士の力で誰にも認められない中、ハイトは(ミースに出逢うまでは)根性もまさにクズで、どうしようも無いわけですが
対してワスチャは王女という恵みを逆に重荷に感じつつ、それでも笑顔を忘れず「普通」であることを武器に、知らず知らずに味方を作り、やがてはそれがアイシャの跡を継いで、ミラージュNo.2になれる布石になるのでしょう
こういうキャラクター作りの基礎を見るにつけ、物語の当初から見え隠れした、人々の群雄劇というスタンスに、何の変化もありません


今回、MHがGTMに変わった理由は、いつものナガノ節
「真似できるんならしてみな!俺は違うもんね!!」
って言うのが、まあ大前提なんでしょうが
『花の詩女 ゴティックメード』を作っている間に、色々考えが変わった・・・と言うより
きっと永野氏の頭の中は完全にジョーカーの事しか無くて、結局突き詰めてったらアトールの巫女の話に結びついちゃったんでしょう(後でその辺はまた書きますが)

そしてこのGTM
AFはともかく、GTMはちょっと・・・と言うのが自分の気持ちです
MHとGTMのどっちが好きかと言われれば、私は迷わずMHを選びます
これはMHの方が見慣れているというだけでなく、MHにはMHなりのリアリティがあったと思うのです
GTMにはないあの「分厚さ」というか、「重厚さ」のバランス
永野氏にとってはアレすら誰かに模倣された、もしくは古くなったというのかも知れませんが、自分としてはあちらの方が永野氏の長年描いてきた、本来有るべき人型ロボット兵器として完成されていた、と感じます

特にジュノーンや、旧レッド・ミラージュなどは、私は傑作デザインだと断言しますね
グリット・ブリンガーになったレッド・ミラージュは、そのなんというか・・・
ゴメン、格好悪い(苦笑
バーガ・ハリ(旧A・トール)はまだ許せるけど

それに、ゲートシオン・マーク2なんて、あれもろエルガイムMk-IIじゃないですか、やだー
・・・って言うところを見る限り、やっぱりデザイン感の根底はやっぱ変わってないんだなー、とは思いますが
さて、13巻では、炎の女皇帝ナ・イ・ンが、ジョーカー太陽星団のあるクラウン銀河の中心にあるという、モナーク・セイクレッドに辿り着いたシーンが描かれます
そこでは人が人の姿ではなく、記憶と歴史だけの存在として、何らかの説明不能なデバイスとして管理される姿が映し出され、ナ・イ・ンの驚愕と絶望を覚える
そしてその「人の行き着く先」は、光のタイ・フォンによって、「慈悲が成したこと」と語られます

ここで光のタイ・フォンが「本来ジョーカー星団の人類はモナーク紀にすでに・・・」と言うことから、ああなるほどと思いました
詰まるところこのモナーク・セイクレッドは、人類の墓標と言うよりも
おそらくは天照大御神が成した、人類を永遠に存続させるために、「慈悲」によって造り出した夢の世界なのだろうと
要するに、その後のAD世紀にしろ星団歴にしろ、これらモナーク・セイクレッドによって造られる、夢と永遠の幻想に過ぎない、と推察されます
だからこそ、ファイブスター物語は神話なのだと


そう考えると、ファイブスター物語が進む中で、設定がころころ変わるだの、いきなり『花の詩女 ゴティックメード』とFSSがくっついたのも、全ては天照大御神がこのモナーク・セイクレッドに介入し、設定をいじくってそれまでのことを丸ごと切替えてしまい、しかし夢の中の星団では誰もそれに気づかない、ということ考えられないでしょうか
(傍観者である我々読者は別として)

すえぞうが「起きたらこーなってた(姿が変わってた)」のも、ドラゴンという設定に飽きた「神」が、それまでの記録を「セントリー」に置き換えてしまった
しかし、管理された世界では誰もそれに気づかない

ログナーだけが真の遺伝子を持つのは、そういった慈悲が行われる前、何らかの形でその理から外れ、人であることを保ち続けているという意味ではないでしょうか
その彼が何故、非情な慈悲の元凶であるアマテラスの元にいるのか
それは彼すらも既に、夢の存在であるジョーカー太陽星団の民を、傍観する立場になっているからかも知れません

これらに薄々気づいた人々が、神の管理から抜けられるかどうか
それがラキシスの語る「五つの星の物語」であり、FSS第二部でコーラスの子孫達が戦う原動力になるのかも知れません
だからこそコーラス家は、「誰か」から神に抗する力(例えば謎の剣聖ハリコン)を与えられていて、最終的にジュノー星で人類を存続させるのかもしれません
にしても、後半はあちゃー、という展開でしたね
旧ハスハ領地を彷徨う難民の列に、ブーレイ騎士団が「ワザと」飛び込んで、けが人を出して難民キャンプに集めさせた後、海賊を使ってそれらを攫わせる
妙に立派になったジャコー曰く、それを国家は黙認する
これはつまり、ある種合法的に「旧ハスハ住民を追い出し」、「カラミティ星の移住者を入れやすくする」策略に他なりません
この辺りは間違いなく、フィルモア元老院がブーレイを使ってやっている、カラミティ脱出の布石でしょう

12巻末で、クバルカンのノンナがやっている事も、おそらくは同じ事でしょう
救出と銘打ってギーレルの民をカラミティに移し、自分達と入れ替えるための策
こんなこと本来、法と慈悲を標榜しているクバルカン法国のやることではありません
それ故にノンナは、「そんなことはミューズは知らなかった」と言わせるため、自分だけがこの非情な作戦に関わると決意しているのだと判ります
んで、最後の最後
こういうアマテラス陛下だからこそ、みんなついていくんだろーなー、と思わず目頭が熱くなりました

ランドの人としての意思を尊重すべく、理由を付けて休みを与えて思いの丈を晴らさせる
例えそれが、アマテラス自身は「自分に感情はない」と言っていても、充分王として評価できます
12巻でこれもタイトネイブが言っているように、その非情さも完璧な平等さ、公平さを司り、ツバインヒも入れ込みすぎて惚れ込む原因なんでしょう
にしてもあれだー
ジィットはデコーズ殺すな、これ(確信
その前にアレクトー奪おうとして、ハイトと一戦かますかもしれん
ハイトがどーやって勝つっていうか、そもそも戦えんのかワケわかめですが、アイシャみたいに天位なしでも、アマテラスのことになるとブーストアップするみたいに、ミースの事で覚醒(?)すんでしょうか・・・
スポンサーサイト

テーマ : 漫画の感想 - ジャンル : アニメ・コミック

2015/09/13 19:57 | 漫画書評COMMENT(2)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

言ってはならない事

シン「『ファイブスター物語』って中々終わらないからスパロボもオファーが出せないと」
タリア「ヘビィーオブジェクトの的になりたい?」

“ヘビィーオブジェクト”とは『ヘビィーオブジェクト』の作中に登場する陸戦兵器。



一休み

刹那「Terrariaが進まない」
AG「何か気分転換になるような……あっ、ハッキングする際に幾つかのサーバー経由していてポチッている奴が……届いてないですね」
アルト「危うく発送元送り返す所だったぞ……」←SMS運輸でバイト中のアルト、正に仁王立ちの営業スマイルである。

ダンション飯

黒ヒイロ「なんだこれ?」
AG「何でもYF-19k(kysouke)さんがお勧めする作品ですよ」
アルト「ああ、これはランカのバイト先の店長も絶賛していたからな……」
AG「中華料理ってグロ食材もありますからね」

何処からともなく中華包丁が飛んできてAGの頭上を通過。

アルト「娘々は横浜中華街がルーツだからな、本土とは異なるそうだよ」
トライア博士「ほう、妹がドラゴンに食われてしまって主人公の兄(剣士)が救いに行く話か」
ルカ「何気にダンジョンに行く際に準備する物があるのもリアルですね……」
アルト「主人公らは妹の魔法のお陰でダンジョンから脱出するも荷物は置いたまま、しかも金も無いし、仲間が抜けた……そこで食材をモンスターに目を向けた訳か」
ゼンガー「食通の友が入り浸りそうだな」
ライ「兄ならやりかねない」

何気にモンスターの設定が納得するんですね。

No:5113 2015/09/21 22:02 | YF-19k(kyosuke) #vOF08ZPo URL [ 編集 ]

FSSスパロボ未参加の理由

> シン「『ファイブスター物語』って中々終わらないからスパロボもオファーが出せないと」
シンちゃん、それは違うんだよー
作者(永野氏)が、俺のマシンは最強だから、他のロボに負けるなんてあり得ない、って言ってるから出せないんだよー

> ダンション飯
話には聞いたことがありますが、面白いのですね
YF-19Kさんが薦めると言うことは・・・
機会があったら読んでみようかな?

No:5114 2015/09/22 00:23 | あるす #- URL [ 編集 ]

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

 | BLOG TOP |