目指しているのは『ディストピア』

ヤマトの新作が発表されたり、エウレカセブンの予告が展開されたりする中、老舗のアートランドが債務整理をするという衝撃的なニュースもあったりのアニメ業界
NHKのクローズアップ現代で、アニメ関係者の薄給が話題になりましたが、それでもアニメは作られていく
良質な作品は確かにあるけど、とある作家さんも言ってましたが、とにかく今はアニメも漫画も供給過多ですよね
その上3ヶ月やそこらで忘れられていく
だいたい、DVDやスピンオフの読み物の売上前提の作品作りもいかがなもんでしょうね?
そんなんじゃあ薄給も当り前ですわ

一つの作品を何度も再放送して、徐々に知名度が上がる、っていうも昔辺り間でしたけどねぇ・・・


このネタ書こうかどうか迷ってるうちに、某所でまとめネタになってしまいましたが・・・

自分のネタとしてもいろいろ書いてますが、ことこの4~5年って道徳的な美しさとか、物理的だけではない平等への論争が活発化しているように思います
「セクハラ止めろ」
「パワハラで鬱」
「子供を不健全なものから避けろ」
「仕事の機会を誰でも平等に」
・・・みんな言っていることは間違っておらず、そうなれば大変よろしいのですが
そう言った理想を現実にするには、世の中色々難しかったりします

何で難しいのかというと、それこそ人間個人個人が「自由」であることが許されているから、なんですよね
この自由というのは、結果がどうなるかは別として、思考・行動について何をやろうが(とりあえず)許される、と言うことです
許されているからこそ、不平不満への文句も言えますが、逆に暴力を行使することも(その時は)許されます

そう言う状況に対する改善の声をネット上などで見ていて、ふと思いました
こういう声を集めてたどり着く世界って、いわゆるSFや近未来ものに出てくる「ディストピア」なんじゃないの?と
映画「マトリックス」的なものでは無く(アレは肉体は不自由だが、精神はある程度勝手して居る)、手塚治虫がかつて「火の鳥未来編」で書いたようなアレに近しいような
最近のアニメなどで言えば、『機動戦士ガンダム SEED Destiny』のディスティニープランが成功した世界とか、『翠星のガルガンティア』の銀河人類同盟とか、『フレッシュプリキュア!』の管理社会ラビリンスとか、あーいう世界のことですよね

ディストピアについては、各種創作にて批判の対象となり、実現すべきではない悪しき社会像として、定型の悪役地位を確保していますが、実際問題「美しい社会」を目指している人々がたどり着く先って、こういうところなんじゃないでしょうか
ある人間に対して、生活可能な場所や業務が最初から割り当てられており、それ以上も以下もないとすれば、すなわち誰しもが平等であり、誰しもが文句も何も言わない
さらに男女の性差の意味を限りなくゼロにする、つまり肉体の直接交渉による生殖を無意味とし、適合した卵子と精子のみで人間が生産される状態となれば、痴漢が起き得るはずもなく、性的に搾取される対象も存在しない
こういうシステムがたった一つしかなければ
それ以外の行動原理を知らない状態になりさえすれば
そこはきっとそれなりに平和で平穏で、全てが停滞した変化の一つも起きない、確かに何事にも争いのない世界になるのではないでしょうか


では例えば、ディスティニープランを例にとって話してみましょう
私自身は、遺伝子ごときが「生存能力」適応不適応以外の、つまり創作的活動の善し悪しを決められる、なんてこれっぽっちも信じませんが、それは21世紀初頭の原始人の知識であり、遙か未来には確かにそれができるようになる、としまして

先ず生まれる時点で遺伝子検査が行われ、そもそも社会に必要か否かを選別されるので、まず社会不適合と明確に判る人間が出現しません
これはイコール、不適合な遺伝子を持った人間が子孫を残すことはできないので、さらに不適合者が増える芽を摘むことが「できる」わけです
そもそもSEED世界のコーディネーターは、遺伝子不適合があると子孫が残せない状態なのでアレですが、ディスティニープランが始動するとこれに拍車がかかるでしょう
自身が子供を残せるか、そもそも適合する異性が居るのか、というのも決められているので、恋愛をする必要がありません
セクハラという言葉は駆逐され、古代文献の謎の言葉となるかも知れません
そもそも、男女で適する職業の差があれば、男だけ女だけの集団を作って住んでしまいましょう
人類の性差はその内意味を成さなくなり、顔や身長ではスタイリッシュなタイプが増えるかも知れませんが、胸の大きい女性に価値は無くなるでしょうから、遺伝子の要素からそれは外されるでしょうし、アレがデカいもクソもないので、そこも設計要素から外されるかも知れません

さて、デュランダル議長によると、プランではある程度成長する前に適職・適した地位が「判る」らしいので、人はそれに応じた地域に住み、これに応じた教育のみを受けることになります
「最適」と判断された職業に就くはずなので、理論上最適な場所と境遇にある事になり、そこに居る人間は全て同じ環境にあるため、住居の格差は基本無くなります。教育も定められた量だけ行われるので、教育問題は解決します
といっても、最適にも程度差はあるでしょうが、その程度差も「遺伝子のもたらしたもの」と定義されれば、その人間のできることはそこまで
これ以上努力する必要性は発生しないので、適応力の高い人が能率的な作業を行い、適応力の低い人はそれなりにやれば良いのです。切磋琢磨することは意味がありません。憧れも嫉妬も過去の遺産
こうすると、「アイツは使えない」とか「もっと頑張れよ」という台詞は死語となるので、パワハラも古代語となるでしょう
仕事の時間と睡眠の時間も、適量が決められるので、残業はなくなります
そして、適した作業を適切に行っているなら、生命は保障されるでしょう
全てが定められため、規定された差異が当然の結果として起きますが、それは遺伝子によって求められた結果なので、当り前のこととなります
喧嘩も戦争も起こす必要は無くなります
勝つことも負けることも意味を失うからです

さて、このようなシステムを維持するには、必要な人間の数と結果は計画的に調整される必要があります
衣食住は全て計画された中で実施しなければなりません
余剰はむしろ怠惰を産み、争いと不平等の元になるので、定められた量以外は決してあってはなりません
故に、生活に必要な場と食料は、必ず必要な量のみが配給されます
しかし金銭は存在しなくなります。買う必要も売る必要も無くなるからです
これで貧困問題は解決です

ですが万が一、実際の生活の中で何らかの支障を得て、求められることができない存在は、すみやかに排除の対象となります
介護・福利厚生の概念はありません。計画から外れた存在は居なくて良いのです
適した職業と定められた場所で能力を発揮できなければ、他のどの職業に配置転換もする理由が存在ません
その存在は居なかったことになります、すなわち処理されます
不当解雇と言う概念も、もちろんありません
ただ適さなかっただけです。それ以上もそれ以下もありません
これで労働条件に関する訴訟もなくなりますね

そしてこの場合、政治というものは必要なくなります
政治は変化する世界で、その状況に応じて社会を動かすためのシステムです
しかし全ての計画が定まった以上、耳障りの言い言葉で民衆にすり寄ることも、高潔な意思で世界を変えようと意気込む必要もありません
このシステム以外の概念が存在しない以上、広い範囲で人と交渉することも、ネゴシエーションでコネを作るということも全く必要ありません
政治問題も古代語です
極端なことを言ってると思いますが、今ネットで流行の「美しく汚れのない世界」を極めたら、どう考えたってこうなります

何処かの政治屋が、某選挙時に「批判無き政治」とかのたまったそうですが
批評・批判こそ、自由があるから起る、健全な議論の最初の発端なのですが、そういうことが起きるのを異常だというなら、それこそディストピア寸前の考え方です

世界が変容し発展していく、変化のある状況にあるためには、残念ながら不条理な差異や納得のいかない圧力が必要悪です

どの創作作品でも、ディストピアを否定したあと、結局本当はどうなれば世界が平和になるのか、どうすれば争いがなくなるのか、と言う問いかけが残ったまま幕を閉じることが多いですが、それも仕方の無い話

だからと言って、『翠星のガルガンティア』続編小説みたいに、無闇矢鱈にディストピア否定&人間賛歌ってのもアレなんですが
何事も匙加減次第

なおこのお話では「権力者」、つまりディストピアの管理はどうなるんだ、って言う話は省きました
これについては今、「良くある悪の組織のボスってどうなのよ」という題材で、色々とネタをねっとりますので、別の機会に
スポンサーサイト

テーマ : アニメ・感想 - ジャンル : アニメ・コミック

2017/07/08 19:21 | アニメ感想COMMENT(3)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

自由と制御の狭間

まあ、あんまり奇麗にし過ぎても世の中変わる事はありません……江戸時代の某老中や某将軍の思惑通りにはなりません、庶民は鬱積溜まるもんですから……生類憐みの令も過剰過ぎて庶民はたまったもんではない、だから赤穂浪士の討ち入りが庶民にウケた訳です。ただ綱吉としては戦国の風潮が残るのを憂いており、姥捨てを禁じないとダメと言うから幾分将軍様の責務を果たしている訳です。

(綱吉の死後、生類憐みの令も過剰な動物愛護は取り下げたけど他の項目は継続されました)


奇麗事言い過ぎるのも考えモノですね……最もそいつらは政治家目指している輩も多いが私から言えば向いてませんよ……政治と軍は悪人出ないと務まらない。


『翠星のガルガンディア』の場合、無理やり怪物になった“ヒディアーズ”とそれを拒んだ銀河同盟を尻目に氷河期を乗り切る事を選択した地球の民……果たしてどれが正しかったのか?恐らく地球に残り氷河期を終えて大海原になっても地球の民として生きている各船団の方が人間らしく生きていると。共に管理されているから……。


エイミー「レドが居る船団ってどうなっているのかぁ」
レド「スパロボならバジュラか宇宙怪獣で共倒れかな」
マヤ「ラシーブにも襲われているかもね」


そしてロボット作品だけでもディトピア国家が幾多も出て、それを否定する者達により倒されたり解決したりしてますね……

No:5636 2017/07/08 22:47 | YF-19k(kyouske) #vOF08ZPo URL [ 編集 ]

Re: 自由と制御の狭間

YF-19Kさん>
レドの居たアヴァロンはね・・・実は滅びてるんです
詳細は続編小説をご覧頂くと良いんですが

一部には、怒られたことがない世代が、無闇矢鱈に政治に首突っ込むとああなる、という話が上がってましたね
怒ると批判と批評は全然違うのですが、その辺区別付かないんでしょうな

No:5637 2017/07/09 20:24 | あるす #- URL [ 編集 ]

物事の限度を知らない大人達

あるすさん>

返信どうもです。


一時期話題になった某学生運動の連中を見ているとタイトル通りの言葉なんですよ……自分の身で経験しないと理解出来ねぇ人はどんな高学歴でも無能ですから……そしてピンクモンスターのあの方もね、ただこれには被害者になっている“秘書”が以前にも同様の仕事をした事があり、なおかつだれの紹介でその職に就いたのか……それにあのレコーダーの音声はどうも高速道路を逆走寸前だったと言う事で……

No:5640 2017/07/10 01:34 | YF-19k(kyouske) #vOF08ZPo URL [ 編集 ]

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

 | BLOG TOP |