【A.C.E 3 番外】病気と闘え!(下)

あるすはインフルエンザはもとより、風邪ともあまり縁がありません
馬鹿なのもあるんでしょうが、過労から熱を出す、を飛び越えて倒れて入院まで雪崩れ込むことの方が多いんです
いつもどうにかこうにか仕事も日常もこなしているのですが、自分を騙し騙し生活しすぎているのかも知れません

もう3度もこう言うことが続いて、周りにも家族にも
「お前が倒れるときは死ぬ一歩手前だ」
と言われる始末。トホホ
実際、最初の入院の時は
「あと一日遅かったら死んでたよ」
ってお医者さんに言われたっけねぇ・・・あっはっは


ちなみに
このお話でのエウレカの設定は、もう「そーかもしんない」ってな感じで書いてます
原作やゲームを見ての客観的な感想というか
あんまし突っ込まんといてw


「アムロ・レイだ。作戦を説明する
艦長の予言通り敵部隊が近づいている。機体の反応から見て、恐らくベルクトの部隊だろう
そこで今回の目的はズバリ、母艦の防衛だ
そのために部隊を、フォッカー少佐率いる迎撃部隊と、防衛部隊とに分けることにする
ナデシコも月光号もこの場を動けないが、特に月光号はもぬけの空だ。重点防衛である月光号は研究所付近に係留し、同時に防衛することにした
だがナデシコにも、まだ動けない月光号のメンバーが乗っている
苦しいが、この三箇所に絶対に手を出させないようにして欲しい」

一気に慌ただしくなるナデシコC発進口
「いいか野郎ども!近づくヤツラは容赦なく叩き落とせ。絶対に艦に近づけるんじゃないぞ!」
フォッカーの怒声
「合点承知ィ!」
「俺たちの家を墜とされてたまるかッてんだ!」
景気よく応答するケーンとリョーコ
「今回は幸か不幸か、ロランと大将は里帰りしていて居ないからな、気ィ抜くな!」
「それは・・・幸運だったのかもね」
「あーそーだな・・・うっかり月光蝶なんて出されたら、せっかくの作戦台無しだもんな」
うっしっしと笑いながら話し合うライトとタップ
「エステバリス隊は砲戦フレームで出撃、ナデシコに張り付いてとにかく撃ちまくれ!」
「了解ですぅ~、少佐ぁ~」
ヒカルのマイペースな返事が返ってくる
「フェイ、今回は休んでなよ。Form-Hで弾を撃つぐらいなら、僕一人でもできるから」
後に明らかになることであるが、B世界出身だったのが仇になり、うっかりインフルエンザにやられてしまい、ようやく歩けるようになったばかりのフェイ(体が昔から弱かったので、と言い訳してあるらしい)
そんな状態なのに、一緒に出ると言って聞かないのだ
「大丈夫よバレル・・・私も戦う。貴方一人になんか、できない」
特に今回の相手が本当にベルクトなら、バレルを集中的に狙って来るであろうし、そうであれば尚更一人では対処し切れるものではない
「幸いワクチンが効いて、他の人に比べれば症状は軽かったの」
「フェイ、そんな強がらなくても・・・」
バレルがそう言う横で、フェイはするりとコクピットに滑り込んでいく
「計器類はオールグリーンね。換装パーツはForm-Gを選択。急速エネルギーチャージ開始」
「ええ!?そんな高Gがかかる装備なんて・・・フェイ本当に倒れちゃうよ?」
「ベルクトが相手ならスピード勝負よ。俊敏な動きができるForm-G以外の選択肢はない。分かっているでしょう?」
フェイの眼は本気だ。ベルクトを相手にすると言うことが、彼女をここまで奮い立たせるのか
「・・・分かったよフェイ。君がそこまでの決意を固めてるなら、僕はもう何も言わない」
「ありがとうバレル・・・行きましょう!」
イクスブラウのメインエンジンに火が入る
「よぉし、全員出撃!」
フォッカーのかけ声に合わせ、数多くの機体がナデシコから飛び立っていく

「フン、何を目的にここに現われたかは知らんが・・・」
ベルクトは己の怨念をぶつける相手を見つけ、悦びとも怒りとも付かない表情を見せる
「ここで全てを終わらせてやる」
多数のグリゴリを率いたグレイブアークと、フォッカー達の迎撃部隊はすぐさま戦闘になった


「始まったみたいね」
僅かに揺れるナデシコの船体。イネスがゴウにエウレカを託し、彼も無言で彼女を抱きかかえる。そうして医務室を出た二人の前に、レントンが辛そうな顔をしながらも立っていた
「僕も・・・一緒に行かせてください」
若さ故か、大人達よりもそれほど深刻なダメージは負わなかったものの、やはり病み上がりという感は否めない
「レントン君、エウレカちゃんが心配なのは分かるけれど、貴方が倒れてしまってはどうするの?」
「それでも僕は・・・エウレカの側に居なきゃならないんです」
必死ですがるレントン。ふと、ゴウがイネスの肩に手をかける
「・・・行かせてやれ」
イネスは一瞬眉をひそめたが、ゴウが時々こう言う不思議な説得力を持って声を発するときは、どうも何かあるらしいことは、うすうす感じていた
「しょうがないわね。その代わり、後でまた熱を出しても、お姉さん責任取らないわよ」
「あ、ありがとうございます!」
ゴウが無言でエウレカをレントンに託す
レントンはまだふらつく体で、それでも彼女をしっかり抱きかかえている
見届けたイネスは、ゴウとレントンを伴って、トレゾア研究所の入り口へと急いだ
「イヤッホー!こりゃまたお客さんが多くて、俺嬉しくなっちゃうね」
「戯れるなイサム。趣味と目的が一緒になっているぞ」
いつものように掛け合いをしつつも、確実に敵を墜とすイサムとガルド
「ハッ!人形相手ではつまらん(んんん)
「甘く見たらダメだよミリア。やるなら徹底的且つ、確実だろ?」
今日はバルキリーとクァドラン・ローのコンビで出撃中のマックス夫妻
出撃メンバー全員が、持てる力を出し切ってグリゴリ達を墜としていく
「む・・・今日のヤツラは、いつもよりも手強いようだな」
何か違う空気を伴っているバレル達を見て、流石のベルクトも少々対応を変える必要があると睨む
狙うは、先ほどから微動だにしない月光号。どうやら機能不全か何か起こしているらしい
グレイブアークがふっと合図を出すと、月光号の背後にアンジェのグリゴリが姿を見せる
「伏兵!?」
ナデシコから掃射をしていたリョーコが声を上げる
「後ろががら空きだよ!」
グリゴリから放たれた光線が、月光号を襲うと思われた瞬間、見えない何かにそれが弾かれ拡散していく
「な、バリア!?」
「この先は行かせん!」
それは、フィン・ファンネルで築かれたバリアだった
トレゾア研究所さえ囲むほど広げた、見えない巨大な三角錐が、νガンダムによって展開されていたのである
そのままアンジェに斬りかかるνガンダム
「こいつ・・・ッ、ビットを制御しながら、マシンで戦うだと!?」
相手は相当手練れ、と判断したアンジェ
すぐさま配下のグリゴリ達に、ビット(ファンネル)を狙う命令を伝達する
入力された命令に従い、4つのファンネルを破壊しようとするグリゴリ達だが、その攻撃を阻止するさらなる四つの影
「そう来ると思ってた!」
「ファンネルはやらせないよ!」
ファンネルの周囲にバリアを張りつつ、グリゴリを蹴散らすヒメ・ブレン&ネリー・ブレン
「邪魔するのなら!」
「容赦しないわ!」
同じくオーラバリアを展開し、ワイヤークローを駆使して戦うビルバインとダンバイン
「ちぃぃ、こざかしいね!」
さらなるグリゴリの投入で、数で攻めようとするアンジェだったが、増援のグリゴリ達を一条の閃光が吹き飛ばす。ウィングゼロのツインバスターライフルだ
「目標殲滅率60% これより残りの敵の・・・」
ビームサーベルを引き抜いて接近戦に入ろうとするヒイロだが、その彼の横を旋風が駆け抜ける
「残りは任せろ!超級覇王電影弾!!
Gガンダムの攻撃で、次々とグリゴリ達が墜ちていく・・・が、途中でGガンダムは失速して地面に落下してしまう
「貧血なのにそんな技を出すから!」
そんなドモンをフォローするように、エイサップがナナジンで突っ込み、こまかく残ったグリゴリを切り刻んでいく
「・・・任務継続、広範囲掃射のため、再チャージ開始」
フッ、っと珍しく"おかしそうに"笑ったヒイロは、安心したように次の射撃の準備に入った
この完璧な防御機構に、流石のアンジェも攻めあぐねてしまう
「比瑪、勇、ショウ、マーベル!この中では月光号のみんなが居る、そしてエウレカの命運がかかっている。一歩たりとも先には行かせられないぞ!」
敵の第一派を退けたのを確認し、アムロが号令を出す
「わかってるよアムロさん!」
「エウレカはきっと助かる。だから、俺たちがここで踏ん張るんだ!」
その時、僅かにνガンダムやブレン達の機体に、ぼやっとした光が浮かんでいることに気づいているものは無かった
その頃、イネスは何とかトレゾア研究所の所員と接触を図っていたが・・・
「なんですって・・・?」
研究所員が言うには、エウレカの医学的データはほとんど取っておらず、即答するべき情報がないという
「呆れた。貴方たち、本当に科学者なの?ヴォダラクの僧侶にしか治せない、だからハイですかというわけで、彼女の体をいたわる研究をしてこなかったわけ?」
「彼女は今まで怪我をしても何をしても、知らない内に治っていたんだ。だったら放っておくしかないだろう」
言い訳する研究所員達
「仮にも科学に手を染めているものの言う事じゃないでしょう、それ」
そう言ってすごむイネスの後ろでは、レントンがエウレカを必死で励ましている
「エウレカ、しっかり。みんなエウレカが助かるって信じて、俺たちを守ってくれてる」
と、僅かにエウレカの体が淡い光を発し、そして消えたのをイネスは見たような気がした
気になって体温を測ってみると、本当に僅かではあるが熱が下がっている。たまたまかもしれないがもしや・・・
「勝手に治る、と言うのではなくて自分で治す、と言うことなのかしら?」
レントンの呼びかけに応じて"治そう"という力が働いた、と仮定するならば彼女の肉体には人間とは違う治癒機能があるということである
「・・・そういえば彼女は人の姿をしたコーラリアンなのよね」
じ~っとエウレカを観察するイネス
「と、いうことは 彼女の表皮はスカブコーラルと同質のもので、その内側にコーラリアンという本質が隠されている、と言うことになるのかしら」
「・・・は?」
いきなり突拍子もないことをイネスが言う。レントンは素っ頓狂な声を上げるだけだ
「だとしたら、彼女の中にはミクロレベルの抗体コーラリアンがいるかも知れないわよねぇ」
「あの~・・・もしもし、イネスさん?」
「その抗体コーラリアンはインフルエンザウィルスと戦っている、でも不利。そこに未知の物質がやってきた。それは実はワクチンだけど、抗体さん達は知らない」
「さっきから何言ってんですか??」
サッパリ話の読めないレントン。と、イネスが怖い顔をしながら振り返る
「レントン君、病気になると熱が出る原理を知ってる?」
「はい?いや、そういうもんじゃないんですか」
「体内で抗体が働き、体がウィルスを殺そうとするから、体温が上がるのよ」
大概のウィルスは、微妙な温度差に弱い。だから自己防衛として体全体の温度を上げてウィルスを弱め、そこを抗体が攻めるのである
「つまり彼女の体では、普通の人間とよく似た解毒活動が行われている可能性が高い。そしてコーラリアンを癒すのが抗体コーラリアンの役目だとしたら、彼女を癒そうと頑張っているのも抗体さん達なんじゃないかと思うの。その抗体さん達に、私が投与した薬が"味方だ"と教えられれば・・・」
いつも見慣れた抗体コーラリアンが、エウレカの中でもぞもぞしている姿を想像してしまうレントン
「・・・それ、科学者としてどうなんですか?」
「すっごく認めたくないわね」
だが、一つの選択肢であるような気はする
「そうだとして、どうやってワクチンの存在を伝えるんですか」
そればっかりはイネスでもどうにも思いつかない
「ああっ・・・エウレカの中の抗体さん達、そこに来ているワクチンを分かってよ、受け入れてよ!そうしないとエウレカが死んじゃうんだ!」
苦しむエウレカを抱き留め、聞こえているかどうかも分からない相手に、必死で呼びかけるレントン
「みんな、エウレカが助かるって信じて、ここを護って戦ってるんだ。その僕たちの声を、心を信じてよ!」
「ふん・・・今日はずいぶん粘るじゃないか?」
意外に苦戦していることを自覚してか、ベルクトは自分と剣を交えているバレルに、賞賛とも皮肉とも取れる言葉をかける
「護るものがあるからね!」
バレルが即答する。ベルクトはそれを聞いてぴくり、と肩を震わせる
「護るだとか救うだとか・・・毎度そんなことばかりだな、貴様らは。だいたい住む世界も生きる目的も違うもの同士が寄り集まって・・・そんないびつな集団が互いを護るだなどと、ずいぶんなお笑いぐさだな」
「言いたいことはそれだけか、ベルクト!」
いつもなら返す言葉を見つけられずに黙るバレルだが、今日は違う
「目の前に困っている友達が居て、自分たちがそれを助けられる可能性がある。ただそれだけを理由にして何が悪い!」
熱に苦しむエウレカ、それを救うことができずに苦々しい想いをしているレントンの顔が思い浮かぶ
「あら、結構言うじゃないバレル君達」
マリナのガンアークがアークライフルのチャージをしつつ、イクスブラウに接近してくる
「護るべきもののために戦うことがいかに力になるか、それも分からないような坊やに、これ以上アークシリーズを悪用されてちゃたまらないわね。ここで終わりにさせてもらうわ」
「おー、マリナさんが言うと説得力あるね」
「さすが、前回愛のために(実質)ラスボスになっただけのことはあるな」
ぼそっと突っ込む輝とアキト
「一言多いわよ、二人とも!」
叫ぶが否や、VF-1とブラックサレナごと、アークライフルフルチャージをグレイブアークに叩き込む鬼マリナであった
ナデシコのレーダーが、敵の第二波を捉える
弾薬・精神力ともにまだ余裕はあるが、しかし終わりが見えないのが苦しい
だいたい、エウレカに残された時間のリミットが迫っている
「くそっ、まだか?まだ何か報せはないのか、イネスさんから?」
「未だ応答ありません!研究所員との接触には成功しているようなのですが・・・」
焦るアムロの問い合わせに、ハーリーも返答に困ってしまう
「ちっくしょう、もどかしいな。こう、なにもできねぇってのはよ」
「俺たちが焦ってもどうにもならねぇ・・・でも、だからってこんなの理不尽だぜ」
医務室にいる月光号のメンバー達も、動きの鈍い体を忌々しく思い、絞り出すように声を出す
全員に焦りと、そしてとにかく何かにすがるような祈りの気持ちが生まれた
その時だった
展開していたフィン・ファンネルの障壁がキラリと光ったかと思うと、まばゆい光線を放ち始めたのである。同時に、ブレンのボディからオーガニックエナジーが、オーラバトラーからはオーラ力が立ち上り、それらが集約してフィン・ファンネルバリアに集まっていく
「これは!?サイコフレームを通じて、みんなの想いが!」
そこには、フォッカーやイサム達の想いだけでなく、ティファやジャミルと言った人々の、なんとかしてこの状況を打破したい、という温かい心が詰まっていた
そしてそれらを全て包み込んだ光が、細く長く集約していき、やがてエウレカの元に辿り着いて彼女の体を癒すように照らし出す
「なんだというのだ、あの光は!?」
突然の光の洪水に驚き、身じろいだグレイブアークをフェイは見逃さなかった
「バレル、プラズマコーティングモードのチャージ完了!」
「了解、突っ込むよフェイ!!」

金色に輝くイクスブラウが、グレイブアークを撃ち貫く!
不意を突かれて吹き飛ばされたグレイブアークを、間一髪抱き留めたアンジェのグリゴリは、そのまま戦場から慌てて撤退せざるを得なかった
その時、イネスとレントンは、つぶらな瞳をした可愛い手のひらサイズの抗体コーラリアンと対面していた
彼らはまるで、「そちらの言い分はよく分かった」と言うように体を震わせ、そしてエウレカの体内に消えていった
それは悪い冗談、白昼夢だったのかも知れないし、確かにエウレカの体内で起った何かだったのかも知れない
ただ一つ事実なのは、光が消え去った後、エウレカの熱はすっかり下がっていた
ということだけである
トレゾア研究所近くの崖に、半ば寝間着のままのホランドの姿があった
「・・・不味い」
楽しみにしていたはずの煙草だったが、どうもいつもの味がしない
「病み上がりの煙草とは、関心できんな」
同じような姿をしたテクスが、コーヒー片手に近づいてくる。仮にも医者のテクスだが、流石に今回はまとめてやられてしまったらしい
「ああ、空気は美味いのに煙草は不味い。最悪だね」
愚痴を言いつつ、それでも手にした煙草を口にするホランド
「・・・なぁ、テクスさんよ」
「なにかね」
「人の心ってのは、意外と暖かいもんなんだな」
あそこに集まった"心の光"を、ホランドも僅かながら理解していたのだった
「捨てたもんじゃねぇな・・・できるかも知れねぇ」
「コーラリアンとの共存、と言うやつか」
ホランドが目指す真の目的について、テクスも多少はジャミルから聞いてはいる
「目指しながらも、どこかで疑って諦めていた自分に気づいたぜ」
様々な人同士のいがみ合いに揉まれ、自ら閉ざしていた希望への道
しかし、遠くで互いの回復を祝い合う、世界の壁を越えた仲間達を見ると、それは所詮自分の思いこみに過ぎなかったのだろう、と痛感する
「存分にやりたまえ。ジャミルも同様に、地上と宇宙の共存を望んでいる。やろうとしていることの方向性は、皆一致していると言えるだろう。そうして越えなければならない壁を持つ同士が分かり合うのは至難の業だが、そこがまた戦いがいのあるところだ」
医者にしては不謹慎なことを言うテクス。ホランドの方が苦笑してしまうような内容だ
「ところでアンタも、病み上がりにコーヒーはいいのか」
「これは私の命の雫なのでね」
「じゃ、俺も命の素なんで、止めねーぜ」

こうしてインフルエンザ大流行という危機を乗り越えた一行は、様々な意味で絆をさらに深め、今度は世界崩壊の危機を乗り越えるべく、一丸となって戦い抜くことを誓ったのであった・・・
面会謝絶
と張り紙された新連邦系の某病院の一室
「あのベルクトが病だと?一体何がどうしたというのだ」
殺しても死ななそうな男が倒れたというので、シャギアは何かの間違いではないかと病室を訪れたのだが、どうも事実らしい
鬼の霍乱とはこのことだろうか
「何でも例のヤツラが、新型のインフルエンザウィルスを撒いたらしいんだよ」
裏から情報を得たオルバが兄に答える
「なに?細菌兵器を使うとは・・・ただ者ではないようだな、ヤツラ」
「そうだね兄さん。舐めてかかると、僕らも痛い目に遭うよ」
なんと高度な技術を持った敵なのだ・・・フロスト兄弟は今まで彼らをバカにしていたことを反省せざるを得ない状況に陥ったことを認識した

本当は、イクスブラウ表面に付着していたインフルエンザウィルスが、戦闘中にグレイブアークに移って運ばれただけなのだが

「くぅっ・・・そぉぉ・・・ば、バレルめぇぇ・・・うぅぅ」
猛烈な熱と吐き気に襲われ、ベットで身を縮めているベルクト
「死んで、死んでなるものかぁ・・・貴様から・・・全てを奪うまでわぁぁ・・・へっくし!」
「安心しなベルクト・・・42度出てるのにそんだけ喋れるなら・・・アンタ死なないよ」
マスクに手袋姿で看病させられているアンジェは、心の中でぼそっと『憎まれっ子世にはばかる』とはまさにベルクトのためにある、と考えていた・・・

こうして『恐るべき見えない兵器を使う部隊』という間違った評価を受けたナデシコ&月光号は、さらなる敵の猛威に晒されることになるのだが、それは別のお話
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テーマ : Another Century's Episode 3 THE FINAL - ジャンル : ゲーム

2008/02/07 02:12 | SS【A.C.E 3】COMMENT(1)TRACKBACK(0)  TOP

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