【A.C.E3 番外】After War 20(上)

最近『キングゲイナー』のまとめ動画を見ていて思った
A.C.E3、告白イベントが面白すぎてすっかり頭から飛んでいたが、カリスが出ない代りに、ここは一発壊れたゲイナー(オーバーデビルに取り込まれたアレ)出して、ゲインとガロードで
「俺の声が聞こえるか!」イベントやって欲しかった・・・
え、それやるとただでさえ手に負えないオーバーデビルが倒せなくなる?
なに、ゲイナーの立場が無くなってゲインにお株を奪われるからだめ?
つーかそんなに言うなら自分でSS書け??

いやここは、スパロボZで期待してみる、ということで(無茶言うな)


さて、予告していた作品ができたので、思い切って載せます
ゲーム終了後の世界をイメージして作ったものですが、管理人独自の解釈、今まで自分が書いたSS、弁慶さんが投稿したSSなどなど、全てごちゃ混ぜで考えた内容です
できる限り原作を尊重しようと努力しましたが、中には納得いかないところがあるかも知れません
あくまで管理人の妄想と言うことで、割り切って見ていただけると幸いです


「これでやっと戦いが終わるんだよね」
最終決戦の直前、レントンはふとそう言った
「さぁ、それはどうかなぁ」
たまたま横にいた輝の発言は、どこか他人めいていた
「なんでさ。もう敵はあいつしか残ってないじゃん」
レーダーに映る巨大な真ドラゴンの影を見るガロード
「これが終わったから、はいみんなで仲良く行こうね、なんて上手くできてないんだよ。僕ら人間ってね」
それだけ言うと、輝はさっさとバルキリーのコクピットに消えてしまう
「なんでですか?歌で宇宙人と和解したんだよとか、ニュータイプを希望としてなんて言ってたのに。戦争が終わるって思わなきゃ、やってられないでしょ?」
せっかくこれで終わらせてやろう、と意気込んでいるとに腰を折られた格好になったゲイナーは、納得しかねるとアムロに詰め寄る
「歌の力も、ニュータイプの力も、普通の人より喧嘩をする期間を、ちょっと長くすることができるくらいしかできないよ」
アムロもまた、冷めた顔をしてさらりと答える。この直前に、ニュータイプの力を持ってして奇跡を起こした男の顔とは思えない
「そう言う・・・ものですか?」
輝と同様、コクピットに消えようとしていたアムロは、最後に一言こういった
「止まった時間の中にいるモノが生み出すの何かは、醜悪なのさ」


「早く原稿書きなよゲイナー。ホランド、かんかんだよォ」
「そんなこと言ったって・・・まだ"マクロス"書き終わったばっかりなんだよ?」
「ぶつくさ言わないの。あんたの担当にされたアタシの身にもなって欲しいね。レントンはさっさとリフ大会のレポート上げてるってさ。アンタも見習いな~」
シンシアにこづかれるゲイナーの目の前にあるのは、まだ枠線も引かれていない真っ白い漫画原稿用紙
「サ、サラ・・・枠線引きだけでも手伝ってよ・・・」
「またぁ?墨で手が真っ黒になるの、カンベンして欲しいんだけど」
冷たい目でゲイナーを見下ろすサラ
「人が描いた漫画読みながらにやけてる暇あったら、その続き書かせてよ!」
そう。サラはこの数年でゲイナーが書きためた漫画を見ていたのだった
きっかけは、ホランドが「ray=out」を廃刊にしようかと言い出したときのことだった
新連邦打倒という目的を達した以上、ゲッコーステイトの存在も「rya=out」を続ける理由もないだろう、と言うことだったのである
だが、ゲイナーを始めとする何人かがそれに反対した
せっかくあの雑誌によって人々の心が繋がり、またそれを唯一の情報源としている人もいる現実がある以上、無くすことはないのではないかと。そして政治目的主体である姿から脱し、純粋な情報誌になればいいのではないか、と
こうして、新世界情報誌「ray=out」と、雑誌社・ゲッコーステイトが誕生した
そのコンテンツの一つが、ゲイナーの漫画であった
「Another Century's Episode」と名付けられたその作品は、表向きはゲイナーの創作作品という体裁を取っていた
「こうして見返すと、もうだいぶ書いたわよねぇ」
「何言ってんの?まだ半分も終わってないよ」
言うまでもなく、その実体はあの戦いを漫画化したものであった
かつてオモイカネのデータベースで見た記録や、本人達から聞き取った話を元に、あの戦いを書きつづっていたのだ
今まで、『機動戦士ガンダム』『聖戦士ダンバイン』『重戦機エルガム』『蒼きSPTレイズナー』そして、先頃最終巻を刊行したばかりの『超時空要塞マクロス』と細切れに発表しているが、それぞれが外伝的ストーリーの様相である
『機甲戦記ドラグナー』の1話をこれから書くんだよ?この後、『機動戦士ガンダム0083』、ああっ『新機動武闘伝Gガンダム』に『新機動戦記ガンダムW』、『ブレンパワード』『リーンの翼』『機動戦艦ナデシコ』・・・で、やっと本編なんだからね!」
「良くそんだけタイトル思いつくわ。感心するわよ。もう立派な漫画家ね」
ゲイナーも別に漫画家になろうと思って書き始めたわけではなかったが、今やファンレターが来る勢いとなり、止めるに止められなくなっているのだ
「つーか"Another Century's Episode外伝"だけで80冊近く行きそうな計算だよ。アンタ死にたいの?」
「しょうがないでしょ。ちょっとでもエピソードを疎かにしたら、漫画家としてもそうだけど、向こうのみんなに申し訳が立たないもの」
そう言うゲイナーの視線の先にあるのは、ナデシコで撮った最初で最後の集合写真
慌てて撮ったので、皆パイロットスーツだったり着替え途中だったり、ハチャメチャな格好をしながらフレームに収まっているけれど、あのときまでに育んだ友情と信頼の情により、一体感を醸し出しているのが今でも写真から見て取れる。特にカメラマン役を買って出たベア博士が、タイマー切れで危うくフレームに収まれなくなりそうなのを、エウレカとアネモネが引っ張り込んでいる姿などは、激しい戦いを繰り広げたあとの仲でなければ実現できない仕草だ
そのフレームと写真は、こちらの世界では再現できないもので作られていて、バレル曰く『よほどのことがなければ壊れないし、太陽の光にさえ当たっていれば蓄電して写真を表示し続けるから、大事にしてね』というシロモノで、彼らにとっては自分たちの不思議な体験を証明する唯一のモノにして、何物にも代え難いプレゼントであった
「ま、それを引き合いに出されちゃ、こっちも何も言えないけど」
トントン、と肩を原稿袋で叩くシンシア
「それと締め切りは別だよゲイナー。今回落したら、ホランドが首の骨折りに来るっていったから、覚悟しときな」
「なっ、なんだよそれー!?」
締め切りまであと3日だというのに、下書き状態のこの原稿をどうしろと言うのだろう。まぁ、真っ白でネタも何もないよりはマシだろうが
「そんな風に叫ぶなら、こんなこと始めなきゃ良かったのに」
サラが言うのはもっともなことだ。が、ゲイナーは無言でペンを走らせ始める
「ほら、締め切りまであと48時間だよ~」
シンシアは、容赦なかった
少し崩れた"塔"を遠目に視れる断崖絶壁に、リフボードを抱えた少年達が輪を作って集まっている
それを眺めるように、守るように立つ二体の白いLFOと、それぞれのコクピットに座る4つの影
「まったく、呑気にこんな大会などやっている場合ではないだろう」
「そりゃ、まだやることいっぱいあるけどさ」
レントンはドミニクからは目線を逸らし、リフボードを愛おしそうに眺める
「この地から脅威が去ったわけではないことを知っていて、娯楽に興じているようでは無責任じゃないのか?」
「別に遊んでいる訳じゃないよ。ただ、こう言うこともやってなきゃ、殺伐としちゃってつまんないだろ?」

バルドナ・ドライブ事件から5年
世界を救ったと言っても、何もかも平和というわけにはいかない状態であった
コーラリアンの一部は地球から去り、インベーダーの猛威は以前の比ではない
確かにクダンの限界は訪れなかったし、ゲッター線の暴走も避けられた
しかし地球上の一部には未だスカブの"殻"が残り、ごく少数だがインベーダーの存在も確認されている
といってもゲッター線の大量供給源である真ドラゴンが消えた以上、宇宙から振り注ぐゲッター線だけでは、インベーダーもその数を維持できずにいた。そう言った意味では、真ゲッターは動く撒き餌といえた。これを利用した神隼人を中心としたメンバーは、インベーダーの駆逐のために奔走している
他方、ジャミルやゲインは裏の世界から表舞台へ返り咲き、魑魅魍魎が一掃された連邦をまとめる運動をしている
それとは別に、すでに青年の年齢に入っていたレントンは、リフのカリスマとしての地位をホランドから自然と引き継ぎ、世界の若者達の心の支えになる役目を負っていた
「そう言う意味では、真の英雄となったわけだな」
「やめてよ。そんなんじゃないし」
今度は右に視線を移すレントン。そこには、さらに美しさを増した(と彼からは見える)エウレカの笑顔がある
「レントン、これが終わったら東の方に行った方が良さそうだよ。ここも、もうすぐ崩れるってニルヴァーシュが言ってる」
「そっか・・・また違うリフ場、探さなきゃな」
一方で、残ったコーラリアンの存在そのものは、以前にも増して不安定になっていた
それまで強固に固まって地表を構成していたスカブコーラルは、年々崩落を起こしてはその姿を消している。バラ撒かれるトラパーの量も、それに応じて減っているのが現状だった。リフをやるのに満足な量がある場所となると、今では探すのが難しい部分もあった
「また、ガロード達と距離が開いちゃうね」
エウレカはそう言って、スカブコーラルに代わって現われてきている、"真の大地"に目をやる
スカブコーラルの下に隠れていたそれは、高度数千メートル下にあるらしい。が、強力な風と霞のせいで、その姿をかいま見ることは、上空からでは難しい。さらに、スカブが無くなったことでトラパーの濃度が極端に下がり、空船での侵入は困難であった
といっても、新たなフロンティアである可能性は充分あり、一部の冒険家達はそこを目指して旅立っている。中には比較的状況のいい土地を見つけ、開拓して住まう者をも現われているという
ガロードとティファもまた、そこに混じっていた
「物好きよねぇ。何があるかも分からないところに、自分一人ならともかく女の子まで連れて行っちゃって」
アネモネはと言うと、真の大地は嫌な感じがして行きたくない、と近寄るのを忌避している
「まったくだ」
ドミニクはアネモネの言葉に相づちを打つ
「レントン・・・アタシね、ガロードが心配だよ」
「・・・あいつ、何かおかしかったからね」
ガロードはもう3年ほどあちらから戻らない
最後に逢ったとき、彼は妙にそわそわ様子で、何かを避けているような雰囲気があった
そんな様子を見て、何か悩み事か困りごとを抱えていると、気づかない周りではない。特にレントンとゲイナーが心配して声をかけたのだが、当人は言葉を濁すばかりで確信を得たことは何も応えなかった
業を煮やしたレントンが、ついカッとなり無理にでも聞き出そうと迫ったりもして、喧嘩とまでは行かないものの、妙なシコリを残したままの別れになったままだったのだ
と、Type the endの通信パネルが急に光り、ドミニクがそれに応える
「はい、はい・・・了解です。それではまた後で・・・レントン、リフ場探しは後回しだ。ニホンの神隼人が我々を呼んでいるらしい」
「神司令が?僕らが行かなきゃならないほど、インベーダーが出たのかな」
「さあな。詳しいことは、ユルゲンス艦長と合流してからの確認になる。ジャミル・ニートとフェリーベ侯もご一緒だそうだ」
「・・・そう言われても、未だにそれがゲインさんだってピンとこないよね」
シベ鉄(というか新連邦)壊滅後、ゲインがかつて所属していたフェリーベ侯爵家は再興された。それというのも、新連邦で議員をやる男が、いつまでもアウトローな格好では示しがつかないと、メイダユ公爵家の裏の手回しがあったらしい
元貴族だとは聞いていたが、4年前いきなりヨーロッパ風貴族の格好になり、颯爽と議場に上がるゲインを見たときは、一同茫然として開いた口がふさがらなかったのも、今となってはいい思い出だ
「何かそうそうたるメンバーが集められちゃってるけど、何かあったのかな?」
「"何かあった"のは間違いないだろうがな。とにかく行くぞ・・・ところで、ロンドンはどちらだ?
「ドミニクぅ、いい加減、地図読めるようになってよ!」
ふがいない"愛しい人"に、アネモネは情けないやら。しかし、だめなヤツほど放っとけない。そんなもんである
吹雪の中を、ガンダムXが駆け抜けていく
吹雪と言うよりはブリザードに近い天候に見舞われた場合、普通はその場に止まって嵐が過ぎるのを待った方が良い
だが、他の"脚"を武器にしたMSやKLFではここを進めないだろうが、辛うじてホバーのあるGXならば先に進むことはできる。食料が残り少なかったガロードとティファには、僅かな逗留も惜しかったのだ
「ったく、シベリアじゃあるまいし、こんなに吹雪くこたぁねぇじゃん」
聞く耳を持っているはずもない吹雪に憎まれ口を叩くガロード
「ティファ、もうちょっと行って海に近づいたら少し楽になると思う。寒くないか?」
「大丈夫。ガロードがいるから・・・」
固く触れあう二人の手
ニュータイプであることを捨てたティファを連れ出して5年。最初ジャミルには、この旅自体を反対されもした(当然の反応だが)。無理矢理飛び出し、所々ではぐれインベーダーの退治をしたりしながら稼いで2年ほど過ごし、やがて"真の大地"の噂を聞きつけて飛び込んで3年
思いもかけず冒険家として名を馳せつつあるガロードに、結局ジャミルも何も言えない状態になっていたのだった。ティファを守りきっていることもあるが、何よりガロード自身が楽しそうだったからだ
だが、レントン達が感じていたとおり、今ガロードは自分では抱えきれない何かを、どう処理したものか悩んでいた
「様子を見て一度、フォートセバーン辺りに戻らないと・・・」
今回の旅で手に入れた地形の情報が、ますます彼の心に重くのしかかっている。早く落ち着いて、それを処理できる時間と余裕が欲しい。それもまた、ブリザードの中を強行突破しようとしている理由でもあった
「・・・ガロード、あれ」
突然ティファが、GXのモニターを指さす
「小屋・・・?こんなところに、バルチャーが着いてるなんて、聞いてないぜ?」
それは小さな掘っ立て小屋だったが、明かりがあり人気がある
が、ガロードが言ったとおり、実際こんな奥地まで乗り込んでいるのは彼らだけであり、あの騒ぎで多くの優良なマシンが失われた今となっては、バルチャー達が元々持っているMSでは少々危険度が高く、もっと東のスカブコーラルが未だ続いている辺りで止まっているのが現状だった
「降りて様子を伺ってくる。ティファはここで待っててくれ」
「分かったわガロード。気をつけてね」
今となってはティファには、ここに何かあるかどうかを予知する力はない。黙ってガロードを見送るだけだ
いくらブリザードが続いているとはいえ、GXのバーニアの音は小屋に伝わっているだろう。こっそり近づいても仕方ない。ここは開き直って正面から行くまでだ
と言っても護身は必要である。しかし、こう寒くては銃も撃鉄が凍って使えない。小さなサバイバルナイフ一本を脇に抱えつつ、ガロードは小屋に近づく
「しっかし、なんて言って入ったもんかな」
こんばんわとも、いかがお過ごしですか、とも言えないし
と考えていたガロードの前で、ドアの方から先に開いた
「・・・!お前、生きてたのかよ・・・」
さしものガロードも息を呑んだ
そこに居たのは、すっかり背も伸び髪も伸びたが、見間違いようもないオルバ・フロストだったからだ。そしてその奥には、椅子に腰掛けつつこちらを見ている、シャギア・フロストの顔もあった
「実に5年ぶりに"他人"の顔を見たよ」
暖炉の前で湯をすするシャギア
あの戦いのあと、彼らはどんな運が働いたのかそのまま地上に落下し、奇跡的に命を取り留めていた
そこでなんとか体を休めようとしていた直後、突然大地を作っていたスカブが隆起し宇宙へと飛び去り、新たに現われたこの地に放り出されて以来、MSもない状態では動きようもない二人は、近くの海から魚を捕るなどして細々と過ごしていたのだという
「我々が生きているのが納得いかないかね?ガロード・ラン」
複雑な顔をしているガロードに気づいたシャギアがそう声をかける
「別に」
が、ガロードは即答した。ティファも何も言わない
「サテライトキャノンとサテライトランチャーの撃ち合いを凌いだ上、スカブの大移動の騒動だって乗り越えたってんなら、それは何か意味があるんじゃねぇの?こんなところでよく5年も二人で頑張ったって、俺は逆に尊敬するぜ?だいたい今更、お前らを断罪する!なんて言ったって何か元に戻るわけでもないし」
それはガロードの本心だった。確かに彼らの理不尽な妄執によって多くの人の命が失われ、土地が傷付いたのは事実だ。だが、それももう過ぎた話だ
「安心したよ。僕も兄さんも、ここまで生かされるのなら、世界に裏切られていないのかも、って考えられるようになっていたからね」
オルバもそう言って温めた湯をすする
「最近は、この星の歴史に目を向けるようになっていてね・・・そう、相当過去の歴史に」
見慣れたあの笑みを浮かべながらそう言うオルバの言葉に、ガロードは眉をひそめる
「おかしいと思わないかい?スカブが去った後のこの大地には誰も何もなかった。なのに僕らがこうして拠点を持ち、生活していると言うことが」
「・・・ハッキリ言えよ」
急に機嫌を悪くするガロード、そして不安げに彼を見るティファ
別にワザとと言うわけでは無いのだが、どうも昔からシャギアもオルバも回りくどい手法が治らないだけなのだ
有ったんだよ、ここに街の跡がね。今は吹雪の時期で何もないように見えるけれど」
が、ガロードは驚かない。むしろ、真犯人を捜し当てた探偵のような目をしていることに、逆にシャギアの方が驚いてしまう
「見つけたのは、それだけか?」
さらに探りまで入れてくる
自分たちとしては隠し札を見せたつもりだったのだが、どうもガロードの方が一枚上を行っているようだし、こちらの知らない何かも知っているようだ。単にガロードに自分たちを認めさせようと思っていたフロスト兄弟だが、なにやら思わぬカードが出てきそうな予感に駆られ、下心無しで話す方がイイと判断したようだ
「いや、かなりいろいろ出てきてな・・・」
言って、オルバは手近な戸棚を開け、なにやら板のようなモノを沢山取り出してくる
「最初見たときは何かサッパリ分からなかったが、どうもこれは我々の知らない記録装置のようなモノらしい。原理はよく分からんので好きなように内容は見れん。だが偶然見ることができた情報によると、この地に住んでいた者は"統一歴"という暦を使っていた。それがいつのことかは分からんが、スカブが居なくなってから現われた地である以上、我々の時代より古い時を指すことには違いない。その時代の人間達は、比較的自由に地上と宇宙を往き来し、最終的には外宇宙の開拓という大胆な行為にも出ていたようだ」
「・・・で?」
「聞きっぱなしは感心できんなガロード・・・実はその件で、ずっとお前達に聞きたいことがあってな。そちらの情報も出してもらおう」
オルバがそう言ってガロードに示したモノには、大勢の人が映っていた
「・・・!」
それは、ゲイナーが部屋に飾っていた、あの画像データそのものであったが、かなり古びた印象を受けるほど、フレーム部分が色あせ傷付いていた
何故、ここにお前達が映っているのだ?
そう。古い時代の大地で拾ったはずの"遺物"に、しかも"若い"ガロードや竜馬達が映っているのである。フロスト兄弟ならずともぞっとするシロモノに違いない
「そいつを説明するには、時間がかかる」
フロスト兄弟は、自分たちの前に立ち塞がるバルキリーやドラグナーのことは知っていても、それがどこから来て誰が乗っていたかまでは知らない。その由来を説明するだけで力尽きてしまいそうだ
ここにゲイナーが描いている漫画があれば少し簡単なんだけど、とガロードは内心苦笑する
「あとできっちり話すよ。それよりそれ、この周辺で見つけたのか?」
「いや、ここから北西に1,000キロ余り行ったところにある、巨大な建造物の周辺だ」
「1,000キロぉ?お前ら歩いたのかよ、んなトコまで」
「まさか。アシュタロンがまだまともに動いた頃に偶然ね」
「・・・そうか」
言うと、ガロードは突然立ち上がる
「どこへ行く?」
「その建物ってのを確認したいんだ。例の話は、そこから帰ってきたら必ずするよ」
「止めた方がいいよ。あそこは未だにインベーダーが出る。こんな吹雪で視界が悪い中で飛び込んだら、いくらキミとGXといえども対処しきれないだろうね」
「へぇ?ずいぶん評価してくれてんだな、俺のこと」
「仮にも僕らを止めたのは君たちじゃないか?」
「まぁね・・・でも、そうか・・・インベーダーか」
それなら尚更早く行きたいが、確かにたった一機では分が悪い上、救援も呼べない以上吹雪が止むのを待つほか無かった
「と、言うわけで・・・」
「時間はたっぷりある。話とやら、聞かせてもらおうか」
「・・・マジ?」
にじり寄るフロスト兄弟と、この後を想像して身構えるガロード
こうして吹雪が止むまでの3日間、ガロードはフロスト兄弟に根掘り葉掘り話をさせられるハメになったのだった
その二人の顔が、かつてのような嫌らしい笑顔ではなく、純粋に世界に興味を持つ少年のような表情だったのが、彼には唯一の救いといえた
それからさらに2日後
GXは半壊したヴァサーゴとアシュタロンを牽引しながら、雪原を駆け抜けた
そもそも、GXのコクピットに4人も入れないという問題もあったが、あのときの戦いで損傷した上、5年近くまともな整備もされていないMSでも、愛機を放棄するのは忍びない、というフロスト兄弟の意向を汲んでのことだった
「あの建物の正体がお前の予想通りだというのなら・・・」
オルバはガロードから聞いた話が、未だに信じられない様子であった
「予想通りだからって、何か変る訳じゃねぇよ・・・ただ」
「ただ、なんだと言うんだい?」
懐疑的なのはシャギアも同様らしい
「知っとかなきゃならない・・・イヤ、自覚しとかなきゃならない。たぶん、それだけのことなんだ」
「ガロード」
心配そうにのぞき込んでくるティファに、ガロードは無言で微笑み返す
「む。ここで一旦止まれ。この先に、大きな湖がある。いくら氷が張っているとはいえ、慎重に行かねば墜ちて一巻の終わりだぞ」
オルバの通信が入ってくる
「そいつは湖じゃねぇ・・・大きな堀だ」
言って、ガロードはGXのエンジンを切る
雪雲が去り、晴れ渡る空の下、彼は目の前に姿を曝すその"建物"を見上げ、息を呑む
「マク・・・ロス・・・」
長年の腐食により崩れ始めていても、見間違いようもない、その特徴的な二本の"砲門"と、腕のように繋がっていた二隻の艦の骸
それは間違いなく、彼らが守ろうとしてやむをえず破壊した、あのマクロスそのものに違いなかった
「間違いない・・・間違いなくここは、"あの"アラスカの・・・
マクロスシティだ!」


《続く》
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テーマ : Another Century's Episode 3 THE FINAL - ジャンル : ゲーム

2008/06/06 23:31 | SS【A.C.E 3】COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

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