【スパロボ妄想】バレンタイン・パニック!

さぁて、久しぶりに新作SS載せます

先に言っておく
今回は長いけど、一気に載せるぞ!
かなりカオスっているぞ!!

なので、読む時は明るい部屋でモニターから20cmは慣れ、茶と茶菓子(酒とつまみでも可)とたっぷりの時間を用意してからにしてくれ!!!
管理人からのお願いだよ!
(壊れてる)


どのスパロボ世界からも、遥かに近くて限りなく遠い世界
そこは軍事基地かも知れないし、どこかの戦艦の中かも知れない
「か、完成かな?」
「ふむ、綺麗にできたようだな。練習としては上出来だ」
そこには、チョコレートまみれになったエプロンをした、セツコとラミアの姿があった
「それにしても、トリュフが一番簡単だなんて、知らなかったな」
「溶かしてまとめるだけだから、入門としては最適なのだ」
自分が作った、様々な形のトリュフに、セツコは驚いているようだった
そしてこれらの製造方法は、全てラミアが教えたらしい
「それで、本番では何を作るつもりなのだ?」
「ええと、それは・・・」


と、セツコがラミアの問いに答えようとしたそのときであった
二人の間に漆黒の影が駆け抜けたかと思うと、並べてあったあのトリュフがすっかり消えていたのだった
唖然としているセツコだが、ラミアはすでに犯人の方に向き直っていた
「出たな・・・ストーカー、アサキム・ドーウィン」
「フフ・・・確かに良くできたチョコレート菓子だ。でもね・・・」
かっこよさそうな台詞を口にしつつ、部屋の端っこでトリュフをつまんでいるアサキム
「所詮人形に習ったものだ。コレには“心”がない・・・
「ええっ?」
「・・・なんだと?(ピキッ)」
「と言っても・・・モグモグ・・・味覚の衰えた君には・・・ゴックン・・・それすら判らないのだろうがね。ごちそうさま」
「ううっ・・・」
そうなのだ。だからこそセツコは、ラミアに無理を言って時間を合わせて貰い、(レモンに“プログラム”された)彼女の正確無比な計量力と料理スキルを頼って、こうして懸命に菓子作りを習っていたのである
「ハッハッハッ、もがくがいいさ悲しみの乙女。バレンタインのその日、愛しの人に微妙な顔をされる君を見る・・・それもまた僕の糧なのさ」
言うが否や、またもや目にも止まらないスピードで、部屋から姿を消すアサキム
残されたセツコはと言うと
「ひ、酷い・・・私にだけだったらともかく、ラミアさんにまで」
怒りと悲しみで肩を奮わせるセツコ。とはいえアサキムに対して負けを認めるのは、自分自身が許せない。かといってラミアにこれ以上不快な思いをさせたくもない
「私が無理に付き合わせたせいで、ラミアさん・・・ごめんなさい。今回のことはなかったことに」
と、謝りつつ振り返ったセツコが見たものは、顔は相変わらず能面のようだけれども、静かに青白い炎をたぎらせているラミアの姿であった
「その提案はNoだ、セツコ・オハラ」
ラミアが怒ってる
その怒りのすさまじさは彼女の背に、漫画のような“ゴゴゴゴゴ”という書き文字が書いてあるような、そんな錯覚さえ起こさせるほどである
「あのような物言い、そして少尉へのストーカー行為、見過ごすわけにいかない」
「・・・どうするんです?」
「私に考えがある」


某所の作戦会議室
アクセルの目の前には、ラミアから提出された作戦立案書が置かれていた
一応それに目を通したアクセルではあったが、正直それをどう評したものかと眉間にしわを寄せている
「・・・要するに、オハラ少尉の身辺の安全を守りつつ、正しくバレンタインに相応しいチョコレートを作りたい、と・・・」
「は、その通りで」
真顔で返してくるラミア。アクセルはポリポリ、と頭をかく
その計画書によると
誰の口添えなのか、あのエレガントなトレーズ・クリシュナーダの私邸を借り切り、破嵐万丈調達の高級食材を揃え、サンドマン手配の防御布陣による防衛網を敷き、全員が一致団結することで、究極にして至高のチョコ菓子を作ろう、と言うことらしい
「その名も、“オーペレーション 突撃ラブハート”?・・・たかだかバレンタインごときに大げさなことだな。所詮菓子屋の陰謀だろうに」
「ですが、あのアサキム・ドーウィンの介入を阻止しつつ、少尉の望みを達成するには、コレは絶対に必要なのです」
「そんなに厄介なの?そのアサキムってのは」
たまたま居合わせたマリナが合いの手を入れてくる。うーんと考えてセツコは一言
「そちらの“ベルクト”を思い出していただけると、まぁ何となくは判っていただけるかと・・・」
とだけ返した。そしてそれだけで、マリナにも何となくそのキャラクター性は伝わったようだった
「なら仕方ないですアクセルさん。これはバレンタインがどうと言うより、ラミアさんのプライドと、セツコさんの貞操がかかってる、と言っても過言じゃないことですよ」
そう言うフェイの手元にも、さっきまでマリナと試作していた、バレンタイン用のチョコが皿に盛られていた。後々互いの想い人に渡すのだろう
「だがな、ロシュナンテ少尉・・・」
「カリカリすると疲れますよ。とりあえずチョコのお裾分け、どうぞ」
そうフェイに差し出されては、断る理由もない
「・・・もらおう」
アクセルがそれを口にした、その瞬間。慌ててタックとバレルが部屋に飛び込んできた
「おいマリナ・・・あ、アクセル!?
「あ、ダメですよ、それ!」
「当のご本人達が登場か・・・うっ!?
バレルの静止も間に合わず、チョコ菓子をゴックン、と飲み込んだアクセルは突然悶え苦しみ、机に突っ伏して倒れた
「隊長!」
「アクセルさん、どうしたんですか!?」
驚いたラミアとフェイが、アクセルを助け起こそうとする。と、アクセルはむくりと起き上がってきた・・・が
いっやぁ~、美味いんだな、これがぁ!
「あ」
「壊れた」
「間に合わなかった・・・」
二人の料理の跡を片付けていたタックが、残っていたチョコレート(らしきもの)の異常さに気づいて、こうして追いかけてきていたのだったが、当のマリナとフェイは自覚がないのできょとんとするばかりだ
「だ~いじょうぶだよ、タック!コレ結構いけるぜ」
一方で、アクセルは完全にアホセルと化していた
「え~と、アクセルさん・・・それ、チョコレートソースと醤油を間違えて配合して、挙げ句塩と砂糖の量を逆にして、さらに重曹を配合してあるんですけど
一応説明してみるバレル。聞いていたラミアとセツコは唖然とした
「どうやったらそんなことができる?」
「と言うか・・・食べられませんよ、それ」
「そうなのか?普通だぜ。で、これがもっと美味くできる修行だったら、もっとやってきていいんじゃねぇ?作戦実行、オッケーなんだな。ハッハッハッ・・・ぐふっ
そこまで陽気に言いきった後、アクセルは本当に倒れて意識不明になった
タックはその姿に静かに十字架を切ると、マリナ&フェイに向き直る
「二人もラミア君達と行ってくること。命令」
「・・・ええとね、タック」
反論しようとするマリナ。フェイも納得行っていない顔だったのだが、怖ず怖ずとバレルが前に進み出て、こういった
「フェイ、気持ちは嬉しいんだけど・・・さすがの僕も、命がけでチョコは食べられないよ・・・」
こうして奇妙な4人組の、“突撃ラブハート”作戦は始動したのであった
さながらヨーロッパの山奥のような場所
質素ながら立派な木材で建築されたその邸宅の前に、四人の美女を迎えるトレーズの姿があった
「ようこそ、我が別荘へ。美しきワルキューレ達よ」
ただ立っているだけで、自らの周囲にキラキラと光を振りまくトレーズ。普通の人間だと、ある意味この雰囲気に呑まれてしまうのだが
「世話になる。トレーズ・クリシュナーダ」
ラミアにはあまり効いてないみたいである
「フフ・・・あのグラキエース嬢の友人が困っている、ということであれば、私も死の世界の向こうから戻って来ざるをえまい」
一応説明すると、“D”世界のトレーズは、最後の敵を食い止めるために自爆して死んでます
「ところで、その本人は?」
当のラキ本人の姿が見あたらないと、マリナが突っ込むと
「ああ、『ジョッシュが、頑張らなくても君の気持ちは分かってるから、大丈夫だよと言うので』と、作戦参加は見送ってきた」
「・・・見せつけられてる?」
「かも、しれないです」
未だはっきりバレルに告白できないフェイと、渡す相手が微妙なセツコは、互いを思ってつい肩を寄せ合ってしまう
「どうしたね。二人とも、やはりアサキムが怖いか?」
そんな彼女らの背後にぬっと現れたのは、こちらも立っているだけで後光が差してくる、サンドマン伯爵とその一行であった
「安心したまえ。我がメイド達だけでなく、多くの助っ人を用意して、あの変態を撃退して見せよう」
「そういうことで~す!」
「皆さんの敵は私達にも敵!」
「どうぞ安心してチョコ作りに専念して下さいまし」
メイド軍団も張り切っているうえ、サンドマンのツテで集めた助っ人軍団なぞ想像するに、恐ろしい面子が揃っていそうな気がしないでもない
「やぁ、オハラ少尉達。よく来たね」
そこへ、材料一式を抱えた万丈がやってくる。ダイタンクにつながれた荷台には、たかがチョコを作るだけに必要とは、とうてい考えられない量の箱が積まれていた
「やっほ~、毎度おなじみ、ビーターサービスでーす」
それを運ぶのを手伝っていたのは、メールであった
「あら、メールは仕事?」
同じく女性たるメールは、そう言えばこの作戦に参加する気配すらない
「う~ん、なんかチョコをあげる、って風習がピンと来ないのよね。別にそんなことしなくても、って感じだし」
メールがいた世界には、バレンタイン自体が存在してないらしい
「その気持ちは分かるけど・・・」
同じく、バレンタインをつい最近知ったフェイ。しかし、ナデシコの女性メンバーにいろいろ影響され、この“祭り”に参加しないと言う考えは浮かばなくなっていた
メールはといえば、そう言う文化の話を聞いても、必然性は全く感じないのだという
「それにね、今回はダーリンが別の仕事で忙しいし」
「そうなの?ランドさんも大変ね」
そんな彼女らを、草むらから狙う影有り。言うまでもなく、アサキムである
「逃げても無駄だよ、セツコ・オハラ・・・君が行く所、僕の姿有り。君はどう頑張ろうと、僕の刃からは逃げられない運命なのさ」
作者でさえ、そこかどこか設定してない場所に、セツコの臭いをかぎつけて現れる。まさにストーカー
未だに、そんなアサキムに気づいている人間はいなさそうであった。本人もその気である・・・が
「待てぃッ!」
響き渡る、凛々しい男性の声
「うら若き乙女に、漆黒の刃を向けんとする己が姿、明鏡なる水に映してみるが良い。闇という言葉にすら見放されしその姿・・・人それを、魍魎という!」
「むっ・・・その声、その言葉・・・誰だか知ってるけど、とりあえず応えてやろう。貴様、何者だ!?」
アサキムも人の子、スバロボの子。こういう時のお約束は心得ているらしい
「貴様に名乗る名はないッ!」
そして、もちろんそれに答える気のない御仁、ロム・ストールであった
「天よ地よ火よ水よ、我に力を与えたまえ!サンラァァイィィズ・ボンバーッ!!
パイルフォーメーションのかけ声もすっ飛ばし、バイカンフーとなったロム兄さんのキックが炸裂。アサキムが叫ぶまもなくはじき飛ばされた先には
「よう兄弟。今日も楽しくストーカーしてるみたいだな、オイ」
ガンレオンの肩を、ジャレンチでトントンと鳴らしているランドが居た
「ランド・・・君がそのポーズで待っていると言うことは、つまり・・・」
「言わずもがなだぜ、ライアット・ジャレェェェンチ!!
まるで野球の試合のように、ジャレンチで空高く打ち上げられたアサキム
「奥義を受けろ、ゴッドハァァァンド・スマッシュ!!
空中高く舞い上がったバイカンフーの必殺奥義炸裂!
「成敗ッ!!」
アサキムは星となった
「今なんか叫び声が聞こえませんでしたか?」
何気なく空を見上げるセツコ
「神経質になることはない。君は今、全神経をチョコ作りに集中したまえ(キラリ)」
サンドマンが意味深な笑みを浮かべる。セツコはその真意を測りかねたが、突っ込んでも仕方なさそうである
「それにしても、私たちだけでどこまでやれるか、不安になってきました」
豪華な材料がある反動なのか、フェイがふとそう漏らす
「安心したまえ、そんなこともあろうかと、こちらも助っ人を用意してある」
四人の不安をまるで察していたかのような素振りのトレーズ。彼は言うが否やすうっと息を吸い
「兄さ・・・」
とまで言った瞬間、フィールドに(一部の人間には耳慣れた)BGMが響き渡り、いつの間にかトレーズの横に、黒一色の服装で身を固めた、金髪の男性が立っていた
「中の人ネタは非生産的だと思わんか、トレーズ准将」
「誰も“エルザム兄さん”と言おうとはしていないがね?」
涼しい顔をして受け流すトレーズであった
「お前は、教導隊のエルザム・V・ブランシュタイン」
「軍でも有数の美食家と有名な、あの?」
「今の私はレーツェル・ファインシュメッカーだ。それ以上でもそれ以下でもない」
ラミアにズッパリ正体を指摘されているのに、毎度のようにそれを認めないレーツェルであった
「でも助かります。エルザ・・・いえ、レーツェルさんは、料理の腕も確かと伺っていますから」
割とまともな反応で返すフェイは、空気を読んでいるのかも知れない
「そう言われると腕の奮いようがあるというもの・・・しかし、私一人の力ではできることにも限界がある。そこで!」
レーツェルが手を振り向けた先には、二つの人影があった。内一方の、金髪の女性から声をかけてきた。それはGEAR副司令、ベガであった
「はじめまして、ベガと言います。お噂はアクアさんからかねがね」
(なんで仮面・・・)
(マスク・・・取らないのか?)
数名ほど心の中でツッコミしていたが、アクア曰く『いつもあのままの格好』らしいので放置プレイすることにした。そしてもう一方はと言うと、レーツェルと良い勝負な黒装束のアキトであった
「俺もヒューゴに呼ばれた。なにやら俺の力が必要だ、と言うのでな・・・」
「でもテンカワ君、“そっち”だと五感がまずいんじゃ・・・?」
マリナとフェイは、“この”アキトに起きた悲劇を知っている。あの二人は何を考えてアキトを呼び寄せたのだろう、と心配して声をかけたのだ
「五感が・・・?それって」
似たような経緯を持つセツコにもまた、アキトのその状況は他人事ではない。だがアキトのは意に介した様子もなく
「安心しろ。ここでは時の流れは無視できる」
言うが否や、黒いマントとバイザーを脱ぎ捨てたアキト。そこには、ラミアの見慣れた黄色いパイロットスーツのアキトの姿があった
「ふぁ~、息ぐるしかったぁ!こっちならちゃんとコックしてるから、安心してくれよ!」
「・・・よろしく頼む」
反応に困っている4人を代表して、とりあえずラミアが返答しておく
「フ、いろいろ事情はあるが、その辺りはWikipediaでも見ておいて欲しい。ともかく、ベガ副司令には“おふくろの味”を、アキトくんには“人情の味”を教授して欲しい、というのが私の意向なのだよ」
ラミアがアサキムに指摘され、キレかかったことの要因を考えれば、レーツェルの目的は至極理に適ったことだし、他の3人にも必要なことではあった
「ところで、当の二人は?」
「うむ、彼らには最後の“仕込み”をお願いしてあるのでね」
サンドマンはそうとだけ答えた
「さぁでは始めよう。まずは原材料のクーベルチョコの選定からだ」
レーツェルが調理台に並べたのは、微妙に色の異なった分厚い板チョコ達だ
「色の違いは、カカオの配合量やミルクの適量分、産地の違いなどだ。だがどれも一級品なのは間違いない」
「そうそう。何せアポロ君とジロン君の、あの“嗅覚”でかぎ分けたカカオ豆から作ったんだからね。間違いはない」
万丈から情報を受けた二人は、先を争って熱帯雨林に飛び込んで、どちらが上級のカカオを見つけられるか、良い意味で競い合って材料を捜してくれたらしいのだ
二人の心意気を無駄にできないと、改めて肝に銘じるセツコ達
「甘めに行くならミルク多めのヤツ、渋く行くならカカオ分が濃いヤツを選ぶんだよ」
最終的に何を作りたいか考えるんだ、とアキトは念を押す
あれやこれや言い合いながらも、四人は必要なクーベルチョコを、手元のまな板の上に取り揃えていく
「まずはここが肝心。包丁の腹を使って、徹底的にクーベルチョコを粉々にするのよ。これの手を抜くと、次のテンパリングでダマができて、綺麗なチョコレートソースにならないわよ」
ベガの言葉に、マリナは少しばつの悪い顔をした。さっき作った試作品の時、ついここが面倒くさくなって、すぐにテンパリング作業に移ってしまったのだ。そのせいかなかなかチョコの破片が溶けず、今度は湯煎のお湯を熱くしてみたのだが・・・
「溶けないと思ってお湯の温度を上げちゃうと、カカオの油脂が分離して美味しくなくなっちゃうんだよね。意外とムズカシイんだ」
まさにアキトが呟いたとおりになったのは、言うまでもない
それで色もおかしくなったため、誤魔化すために醤油を入れたというオチである
「・・・でもなんか、楽する方法無いかな?」
正確無比なリズムでチョコを切り刻むラミアの横で、セツコがふと呟く
「チョコを“ムカつく相手”だと思って叩いちゃうの。それが一番早いわ」
主婦らしい発想を提案するベガ。なるほど、と手を叩く三人
「よ~し・・・じゃぁ・・・タックのバカァァァァァァ!!
すだだだだだだだだん
恐ろしい勢いで粉々になっていくクーベルチョコを見て、一体マリナとタックは毎日をどういう関係で過ごしているのだろう、と青くなっている他のメンバーであった
別荘上空に浮かぶ影が一つ。シュロウガである
星になったと思ったアサキムであったが、性懲りもなく復活してきて(と言うか死ねないらしいんだが)、今度は機動兵器を持ち出してきた
そしてその横に、もう一つの影
「フン・・・呼ばれて来てみれば、なにやら楽しそうにやっているな、あの連中」
邪気眼仲間・ベルクトであった。こいつもブラッドアーク付きである
「そう。彼らの楽しみは君の・・・そして僕にとっては苦しみ・・・違うかい?」
「確認するまでもない。奴らの笑い声がする度、この私の胸に、深々と十字が穿たれるのだ。この苦しみ、貴様なら判ろう」
別にベルクトはフェイが好きなわけではない
単にバレル(とその周囲)が幸せになるのが気にくわないだけなのだ
なんというかこう、逆恨みという域を超えている気がする。そう言う意味ではアサキムと同じ穴の狢らしく、アサキムは満足げな笑みを浮かべて応える
「フフ・・・やはり君とは気が合うようだ。ならば・・・行くかい?」
「無論だ。奴らにこの苦しみの代償を支払わせ、懺悔させねば気が済まん」
シュロウガとブラッドアークのエンジンに火が入った、その時
「それはてめぇのするこったァ!」
彼らの目の前に、突然巨大な真ゲッターロボが立ちはだかった。その手に握られた巨大なゲッタートマホークで、まずは吹っ飛ばされる二機のロボ
「サンドマンとやらに呼ばれて来て見りゃぁ、まぁだ懲りてねぇのかベルクトォ!」
「ぬあっ!ま、まだ何もしていないぞ!?」
吹っ飛ばされながらも減らず口をたたく二人だが、続いて変形した真ゲッター2のドリルが、二体をごりごりと削り取る
「貴様ら二人がつるんでここにいる時点で、悪巧みをしていること以外考えられるか!」
「酷い言い草だね、神隼人」
でも本当だから仕方ない
さらに真ゲッター3に変形したそれが、二体を大雪山おろしで放り投げる
「胸に手を当てて考えろってのは、お前らのためにある言葉だよ!」
為す術無く竜巻に揉まれる、シュロウガとブラッドアーク
「くっ・・・このまま諦めてなるものか!アサキム!!」
「判っている、体制を立て直し・・・」
まだ諦める気がないらしい。本当にしぶといというか粘着質というか、そんなお仕置きされきってない二人を狙う影
「ターゲット、ロックオン」
容赦なく火を噴く、ウィングゼロのツイン・バスターライフルが、シュロウガを撃ち抜く
「弾切れを気にする必要は、無い」
嵐のような段幕を放つヘビーアームズは、ブラッドアークを狙い撃つ
「死ぬぜぇ~!っつーか死んでこいや、俺のデスサイズで!」
「宇宙は君たちを必要としてないんだよォォ~」
デスサイズの鎌と、サンドロックの鎌が二体を切り刻む。そして
「貴様らは正義か!正義かと聞いているッ!!」
トドメのドラゴンファングが炸裂!
ちゅどーん
漆黒の機動兵器は二体とも、綺麗な花火になりましたとさ
「やだ、地震?」
グラグラと窓枠が震えたので、思わずフェイは肩をすくめて外を見やる
「この辺りでも次元震があるんでしょうか?」
地震というと、空間が歪むあの感じを思い出し、セツコも不安に駆られたようだった
「物騒なことはいかんな。レイブン、外を見回ってきてくれたまえ」
「わかりました」
ツカツカと出て行くレイブンを見送りつつ、ベガがぱんぱんと手を叩く
「ハイハイ、ここで手を休めちゃダメよ。テンパリング作業の方はさっきと違って、じっくりやらなきゃいけないんだからね」
「せっかくみんなが気を遣って周りを固めてくれてるんだから、失敗できないよ~?」
微妙な湯加減の中、とろとろと溶けていくチョコレート達であるが、少しでもゴムべらを泳がせる手を緩めようものなら、たちまちダマになってしまうのである
「うう・・・なんかいらいらするぅ・・・」
どうもマリナは、そもそも料理に向いてないような反応である
「我慢よマリナさん。このテンパリングはただチョコを溶かすだけじゃなくて、このときにチョコを渡したい人への“愛情”も溶かし込む、重要な作業なんだから」
「“愛情”を、ですか?」
ベガは仮面の下から、満面の笑みをマリナに返した
「そう。“このチョコレートが、想いの人の心を温めますように”って想いながら、じっくりじっくり溶かすのよ」
「もしやそれが、アサキムが私に足りないと言った、“心”なのか?」
なにやらキーワードに引っかかったらしいラミア
「ラミアに“心”がないとは思わないけどなぁ」
セツコのテンパリングのフォローをしながら、ひょいとアキトが声を上げる
「正確にやり過ぎただけなんじゃないのか?人間ってさ、そんなに何でもきっちりできないじゃないか。その時に出る“ずれ”って言うか“揺らぎ”って言うのかな、そういうのが意外と料理の隠し味なんだと、俺は思うんだ」
「その理論自体は、言葉として“理解”はできる。しかし、どのようにすればそのようなものが手に入るのか分からん」
人間らしい一歩を踏み出したと言っても、まだまだラミアの感情は堅い上、それを柔らかくする術も少ないというわけだ
「ラミアはさ、アクセルとかに渡すんじゃないのかよ、このチョコ?」
「むっ?な、何を突然にそんな」
「・・・あっちの方を見てみたらわかるよ、俺の言ってる意味」
にたりと笑うアキトが指さす方では
「バレル バレル バレルぅぅぅ・・・(ぐりぐりぐり)」
「べ、別にタックを喜ばせたくて、一生懸命溶かしてるんじゃないからね!」
「・・・(顔を真っ赤にしつつ必死でテンパリング)」

三人がそれぞれの目的とその結果を妄想し、やおらスイッチが入って行動力がアップしていたのだった
「・・・アレが、そうなのか」
先ほどまでの硬い表情から、熱の入った行動へのスイッチによって起きた、おそらく言葉では説明しづらいチョコの変化が、アキトの言う所の“味”なのかも知れない
「大体今回は、アクセルに無理言ってきたんだろ?じゃぁ、ちゃんと結果報告しなきゃダメじゃないか」
実はラミア自身、セツコに付き合って作っていただけで、そもそも誰かにチョコを渡すと言うことは、当初の作戦目的に入ってなかったのだったりする。しかし、言われてみれば確かに“報告”は重要である。そこでラミアは、アクセルにチョコを渡す所を、何となく想像してみた
『あ?なんで俺が、お前からチョコを渡される?』と言われる所しか思いつかん・・・」
「んじゃぁ・・・十三君とか、一平君辺りに渡して感想聞く?」
がっくり肩を落とし、さめざめと泣いているラミアを慰めようと必死のアキト
「確かに爽やかに受け取ってはくれるだろうがな・・・ちっともやる気になれん」
他にフリーというと、ライト・ニューマン辺りしか思い浮かばない二人
まあバレンタインデー自体は、敬愛する人への感謝を述べる日、として捉えることもできるのであるが、そうだとしてもすごくオマケ扱いです
「・・・え、ええと。アクセルさんがさっきみたいに“アホ”になってれば、喜んで受け取ってくれそうじゃないですか?」
さりげなく酷いことを言っているセツコだが
「レーツェル、お前のツテでクスハ汁を手に入れることは可能か」
ラミアには良い提案だったようだ
「ハイハイ、話も纏まった所で、チョコも良い具合に溶けたから、冷めないうちに次の作業に入るわよ」
パンパンと手を叩いて、意識を自分の方に引き戻すベガ
「生チョコを作るなら、急いで生クリームを沸騰させる。その後ココアを振るから、今の内に茶漉しとかを使って、篩にかけなきゃダメよ。アーモンドガナッシュを作るなら、一度砕いてフライパンでカリカリに焼かないとね」
言われて、それぞれ自分の目的とするチョコ菓子の、サブ材料に手を付け始める4人
「アキトくん、この“砂糖適量”とはどの程度?」
「きたきた。そこが料理が下手になるか美味くなるかの境目なんだよね」
実際、世の料理下手な女性というのは、この“適量”とか“少々”を上手く処理できずにおかしな味を出すらしいが、逆に上手く行くと絶妙な味になる物なのである
「ベガさん、少しチョコが余りそうなんですけど」
「じゃぁ、クッキー生地を作ってそこに混ぜ込みましょう。アイスボックスクッキーならすぐに作れるから」
余った物も美味く流用するのが主婦クオリティ
今までも重要だったが、料理場はクライマックスに向かって一直線であった
三度上空に現れるシュロウガ。もうその蘇りッぷりには、ツッコむのも疲れる
しかも今度は、ブラッドーアーク以外の機動兵器がまた増えていた
「どうやら奴らは最後の仕上げに入ったようだね、兄さん」
「そうだなオルバよ。だが・・・それを完成させるわけにはいかん」
嫉妬仲間・フロスト兄弟であった
「フフ・・・吹き飛ばされた先に、君たちがいてくれたのは、なんの幸運だろうね?」
「最初は下らないことをしているかと思ったけど、聞いてみれば実に腹の立つ話じゃないか?ねぇ兄さん」
「ああ。お前達二人を拾ったのは、我らにとっても幸運だったかも知れん」
アサキム達にとっては幸運かも知れないが、その他大勢から見れば悪夢でしかない
「この場にティファとガロードがいないことが残念か、フロスト兄弟?」
「なぁに・・・僕らが憎んでいるのは、何も彼らだけじゃないのは君も知っているだろう?」
「そう言うことだベルクト。世の感謝からも、女性関係からも、ましてやスパロボ補正からも見放された我らの恨みと憎しみは、筆舌に尽くしがたいのだ」
「君たちのその感情、実に理解できる」
そこにはいつの間にか、もはや『嫉妬団』と表現してもおかしくない四人の妙な絆が生まれていたのであった
「では行くぞ。バレンタインという祭りに浮かれる者どもに、我らの妬心を見せつけてやる!」
と、シャギアが格好良く叫んだその時であった
四機の目の前に現れる、複数の影
「友よ、今が駆け抜ける時!」
「応ッ!!」

どこからとも無く颯爽と現れた、ダイゼンガー&アウセンザイター
「斬艦刀・雲燿の太刀ィィィィッ!!」
ゼンガー親分気合い一閃、反撃の隙も与えずにシュロウガ&ブラッドアーク&ヴァサーゴ&アシュタロンを斬艦刀で薙ぎ払う
「いきなり何をする、ゼンガー・ゾンボルト!」
ベルクトが(彼の立場からすると)理不尽な攻撃に反論するが
「もはや問答無用ッッ!その悪しき野望、我らは見過ごさん!!」
「問答する気なし、かい・・・さすがだね、ゼンガー・ゾンボルト」
アサキムの言うとおり、どんな反撃も反論の隙も与えないのがゼンガー親分である
そして、またも吹っ飛ばされた四機を地上で待ち構える、5つの影があった
「人の恋路を邪魔するヤツは!」
「我らの拳で地獄に堕ちるが良い!」

がっちり腕を組んで見栄を切るは、ドモン&師匠の東方不敗師弟。そしてその背後には
「俺の拳が光って唸る!か弱い乙女を守るのは騎士の役目、ってね!!」
「俺だってやってやる!これ以上セツコさんを悲しませるな!!」
R-1とディスティニーが拳を光らせて4人を待ち構えていた。そして
「この面子すごいよ、さすがシャイニングフィンガーでつながれた世代!!」
どっから呼ばれたのか、ギンガナムまでターンXの拳を光らせて、獲物に狙いを定めていたのだった
「ギム・ギンガナム!いつもは敵側の癖に、僕らを裏切るつもりか!」
「ハァッハッハッッハ、甘いなオルバ・フロストッ!戦場で女のチョコレートを欲して暴れるなど、死亡フラグ以外何者ではない。そんなことに付き合えるかァァッ!」
「黙れ、貴様はシャイニングフィンガーを撃ちたいだけだろうが!」
「そんな下らない理由で小生が動くと思うか、シャギア・フロスト?今の小生の心はなぁ、ディアナのチョコで支えられているのだよ!!
落下しながらも反撃しようとしていた4人であったが、ギンガナムの叫びで腰砕けになってしまった
「愚かな・・・貴様が一番、チョコで釣られているんじゃないか・・・」
それが、ベルクトの最後の叫び(?)になった。ゴッドガンダムの胸に輝く、シャッフルの紋章が合図となった
「行くぞ、お前達!」
ゴッドガンダム&マスターガンダム&R-1&ディスティニー&ターンXの拳が一段と光を増し、そのまま4機の機動兵器に叩き込まれた
「ダークネスフィンガー!」
「T-LINKナックル!」
「お前達なんかにぃィィッ!(掌部ビーム砲炸裂)」
「本物のシャイニングフィンガーと共にある・・・感激であるッッ!!」
「くらえっ、石破シャイニングフィンガー同盟拳ッッ!!
地平を覆うほどの大爆発!
さらにその爆発の光の中に、彼方から彼らを追いかけてきたトロンベな二機が突っ込んでいく
「竜巻斬艦刀・逸騎刀閃ッ!!」
ぼっきゃーん
「フッ、我らに・・・」
「断てぬもの無しッ!!」

「あら?レーツェルさん、どこへ行っていたんです?」
「ほとんど完成したから、味見していただきたかったんですよ」
ふらりと消えたかと思うと、またふらりと現れたレーツェルに、マリナとフェイが苦笑いしながらチョコを差し出す
「いやなに、野暮用がな・・・ふむ、実にトロンベ」
チョコを口にし、感激の声を上げるレーツェル。どうやら出来はかなりいいらしい
「やっとできたか・・・本当に誰の妨害もなく、平和に過ごせたものだ」
「これも皆さんのおかげです。ありがとうございました」
ぺこり、とトレーズ達に頭を下げるセツコ
「礼には及ばないよ、オハラ少尉。だが、本番はこれからだ」
「その通り。全ては『終わりよければ全てよし』という言葉に集約されている」
「サンドマンの言うとおりだ。バレンタイン当日まで、気を抜かないことだね」
万丈の言うことがもっともである。何せ不死身のアサキム、何をどうして最後まで粘着質を発揮するか、分かったものではないのだから
そしてその日は来た
別にお祭りというわけでもないのだが、あちこちの『限りなく近く遙かに遠い世界』から多数のメンバーが一ヶ所に集まっていた
ある者は久しぶりに会う面子に懐かしさを覚え、ある者は初めて逢う“戦友”との話に花が咲いていた
そんな彼らのど真ん中に、マジンガーより少しい小さいくらいの背丈の、巨大な箱が飾られていた。それこそ4人の成果の一つであり、多くの人が集まった要因の一つでもあった
「こりゃまたすごい量を作ったモンだね」
「集まってくる人数考えたら、当然かも知れないけどな」
“日頃お世話になっている人たちに”というお題目で、かなりの量のチョコ菓子を作ったらしく、それをこれからお披露目しようと言うことなのだ
「皆さん、今日はお集まりいただいてありがとうございます」
バルゴラがぺこりとお辞儀する姿は、なんかおかしい
「じゃぁこれから、箱の紐を解きますね・・・」
セツコがバルゴラのアームを器用に使って、リボンを解こうとしたその時だった
その場の上空が突然歪みを持ち、そこからカオス・レムレースを先頭としたシュロウガ達が現れたのである
「ヒャッホォ~ウ、こんな楽しいイベントをボクに知らせないなんて、相変わらず君達はイケズだねぇ♪」
ジ・エーデルの嬉しそうな声が響き、チョコが入っているはずの箱が奪われてしまう
もうここまで来るとアサキムも手段を選ばないのか、とうとうジ・エーデルまで呼び出してきて邪魔だでしようという魂胆らしい
「誰が貴方になんて教えるもんですか」
「ちょっと、それ返しなさいよ!」
「返して、って言われて返すわけ無いでしょ。だってボクたちはこれを盗みに来たんだもん♪」
マリナ達の抗議を華麗にスルーする辺り、やはりジ・エーデルである
「ほんじゃま、これは頂いていくよん♪」
言うが否や、時空のひずみが閉じて5機の姿は姿を消した
「今度こそ、誰も追ってはこれんのだろうな?」
今まで散々な目に遭っているベルクトは、用心深く辺りを見回す
「安心してよベルクト君、このボクがちょっと次元力を操作すれば、例え天空宙神拳の継承者だって、ここに来るのは不可能さ♪」
「あの神出鬼没、時間も時も超える男をも遮断するとはね」
「ふむジ・エーデル、侮れんな」
このオリキャラ集団に、何気に馴染んで紛れているフロスト兄弟であった。嫉妬心万歳
「今回ばかりは君に頼って良かったよ、ジ・エーデル」
「あれあれ?アサキムにしちゃ素直じゃない♪」
「素直な感想だよ。この礼として、箱を開ける役目は君に任せるよ」
「ホント?んじゃ遠慮無く」
カオス・レムレースの杖が振り上げられ、箱の蓋が開いた・・・と、そこには
「フン、次元連結の力を誇示する愚か者がいる、とヒューゴ・メディオに聞いて来てみれば・・・実に下らん連中だな」
「ラァァァー」(←どうやら同意しているらしい)
「げぇっ、ツンデレ冥王と調律者!?」
最悪コンビの出現に、5人は度肝を抜かれてしまう
そう、ゼオライマー(木原マサキモード)とラーゼフォン(in真聖綾人)が待ち構えていたのだ
ヒューゴとアクアのコンビの“最後の仕込み”とは、この二人を動かすための説得だったわけだ
「誰がツンデレだ」
『そうよ、この人はどちらかというとツンツンよ』
「美久、お前は黙っていろ!・・・貴様がジ・エーデルとやらか?次元の力を操る魔王は、この世に二人も要らん。消えて貰おう」
「ええっ!?やだよ、ボクはまだ楽しみたいことがあるんだからね!」
いきなり抹殺宣言をされ、そうはさせじと“天獄“を構えるジ・エーデルであったが
「チャージなどさせん。塵一つ残らず消滅させてやる!
「ラァァァァァー・・・・・・」
すかさず“めいおー☆”と“調律の唄”が同時に炸裂した
MXの同時援護攻撃につき、威力は落ちても命中率アップ、その上必ずクリティカルだよ!
「ちょ、待っ・・・」
メイオウ攻撃の前には、断末魔の叫びも上がらない
閉じられた空間の中で起こった、形容しがたい爆発の後から、“調律の唄”のハーモニーが響いてくるのを、“外”にいたセツコ達は確かに聞いた
そしてそれに呼応するように、地上に“チョコレートの粒”が雨のように降り注いでいく
「うーん、計画通りに調律されたみたい」
「余りに予想通りの結末だったな」
チョコの雨を遠目に見ながら、サーベラスのコクピットでヒューゴとアクアは、ありがちすぎるオチに呆れかえっていた
一方の地上では
「すげぇ、チョコの雨だぜ?」
「これ、食べても大丈夫な物なのかな?」
銀河と北斗は、それらを恐る恐る拾い集めた物の、出所が判らずお互いを不安げに見ていた
「大丈夫だよ二人とも。それは元々、セツコさん達がみんなに渡そうと思った物だから」
二人の間に突然綾人(人間形態)が姿を現した
「あ、綾人さん!?」
「それってどういうことなのさ」
「僕が歪んだ未来を調律したんだ。だから、あれらがチョコを奪う“未来”が消えて、セツコさんが箱を開けた“未来”に繋がった」
「つまり、元々これらのチョコの雨は、最初から計画していたことであって、正真正銘セツコ君達が作った物なのさ」
補足説明のために現れた万丈が、そう簡単にオチを付けて話を終わらせる
「なんかよくわかんねぇけど・・・とにかくこれ、プレゼントとして受け取って良いんだよな?」
「彼女たちはそう望んでると思うよ」
「そうなんだ!じゃぁ銀河、ある程度集めたらセツコさん達にお礼を言いに行こうよ」
「おう、勝手に食べちゃあ悪いもんな」
二人は“うん”と頷きあうと、他のメンバーにもチョコを勧めるべく、広場を駆け抜けていった

「良かったねセツコさん、無事にみんなにお礼ができて」
銀河達と同様に、チョコの雨の中を乱舞しているステラを遠くに見ながら、シンはそう言ってセツコを見上げた
「ありがとう、シン君。後で聞いたわ、あのお屋敷を守ってくれてたんですってね」
「だって・・・もう誰も、悲しんで欲しくなかったから」
恥ずかしそうに応えたシンの前に、綺麗な包み紙でまとめられた、小さなチョコの粒が差し出された
「ハッピー・バレンタイン、シン君」
「え・・・セ、セツコさん?」
戸惑うシンに対し、セツコはただただ笑っていた
「貴方が好きだとか、愛してるとかじゃないの。ただお礼をしたくて」
「え?」
「貴方があのときくれた飴玉、本当に嬉しかった。私の心を癒してくれた。アレがなかったら私、最後の決戦の前に壊れちゃってたかも知れない。本当に、ありがとう」
「セツコさん・・・」
少し躊躇いのような表情を見せたシンだったが、思い直してそれを手に取り、口に入れた。それはミルクの効いた、しかしカカオのビターも主張している、複雑ながら優しい味のチョコ飴であった
「ルナマリア、シンがとても嬉しそうな顔してる。でもステラ、なんか嬉しくない」
遠くからシンを見ているステラは複雑な表情だった
「大人しくしてなさい、ステラ」
そのステラをがっちり組んで押さえつけているルナマリアも、正直複雑な思いではあった。けれどもいつも“救われる”側のシンが、セツコにあれだけ感謝されてるなら、それはそれでいいのかな、と考えてはいたのであった
「あたしの分は後で渡せばいい、か」
「ステラも渡す。一緒に渡そう?」

「若いって良いわね、バレル」
「僕も君も充分若いと思うけど・・・うん、甘み抜群」
「ホント?嬉しいわ、バレル!」
「ぎゃ・・・入ってる、入ってるってフェイ・・・」
嬉しさのあまり、バレルの首を締め付けすぎているフェイ
「うーん、かなり出来はいいんだがな、砂糖はもう少し控えめに、隠し味に岩塩を入れても良かったかも知れないぞ?」
「・・・タック、褒めてるの貶してるの?」
「え、褒めてるよ、充分」
普段“主夫”しているタックは、無意識にマリナの料理批評をしてしまっていた

「“心”を込めたチョコはできたのか?」
死のチョコから何とか生還したアクセルが、ラミアを横にその光景を遠くから眺めていた
そんなアクセルの前に、ラミアの手からチョコの箱が差し出される
「なんだこれは」
「本当に“心”が籠もったか、隊長自身で確かめて下さい」
結局ラミアは、チョコをアクセルに渡す以外、自分の修行の成果を確認する術を思いつかなかった
アクセルが未だレモンとの関係にこだわっていることを知っていたし、何よりこの『限りなく近く遙かに遠い』次元にいる限り、死んだ人もどこから出てくるか判らない。レモンに見られたら何を言われるか・・・
(ちなみに“クスハ汁”計画は、アクセルの命の危険を考慮して中断された)
「・・・」
それを察してかそうではないのか、アクセルは何も言わずにそれを受け取り、ぶっきらぼうに包みを解いてみた。そこにあったのは、綺麗に整えられた生チョコだった
上目遣いでこっちを見ているラミアに気づいたアクセルは、相変わらず何も言わずにそれを口にする
「・・・レモンの味がする・・・」
「は?」
「あ、いや、何でもない。美味いぞ。計画は成功だな」
慌てて言い直したアクセルであったが、横を見やるとラミアは地面にのの字を書いていた
「やはり自分はどれだけ頑張っても、自分の味を出せないのか・・・」
「うあっ、いぢけるな!・・・あ~も~、俺が悪かった!!ほれこう考えろ、造物主に近づいたんだと、もう少しなんだと!!!」
アクセルなりに慰めの言葉を投げかけるが、ラミアは相変わらずどんより雲を背負った状態で振り返ろうともしない。それどころか、泣いているような素振りさえ見える。普段能面なのに泣き出すなんて、よっぽどショックだったのか
「巨乳の美女を泣かせるとは、ずいぶんだねぇ、色男」
にやりと笑いながら、ランドがアクセルの肩にがっちりつかみかかってくる
「暑苦しい。離れろランド・トラビス、貴様に関係は・・・」
「ん~?ここまで来て、責任取らないつもり?」
ランドが仕草で、『こういう時はアレしかないでしょ』とせっついている
あの“ヒート・スマイル”で迫られれば、アクセルも逃げ場を探し求めるのは無理、と腹をくくるしかなかった
「・・・顔を上げろ」
「ぐすっ・・・隊長?」
無理矢理ラミアを立ち上がらせたアクセルは・・・

2009021401.jpg
チョコの雨が降り注ぐ中、それぞれが想いを遂げる
全ての人に、ハッピー・バレンタイン

さて、ラミアはこの後アクセルに何をされたのでしょう?
  1. 抱きしめて慰められた
  2. 歯ぁ食いしばれ、そんな人造人間は修正してやる!
  3. 頭をナデナデ
  4. 接吻
人気が高いネタで絵でも描くか?
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テーマ : スーパーロボット大戦 - ジャンル : ゲーム

2009/02/14 00:39 | SS【スパロボ系】COMMENT(3)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

うわぁお!

お久しぶりです!
公私共にゴタゴタありましてコメント付けられませんでした(汗

それにしても大作ですね~、感激です!!
MXとDとαとAとZとA.C.Eを混ぜるとは・・・・・。
チョコの話だけに、良いブレンド具合ですw
一言でいうと「実にトロンベ!」

冒頭にて茶と茶菓子を用意せよとの事でしたので
ルーツ・アロマブラックホットブレンド(珈琲)
フロール・デ・コパン・ベリコソ(葉巻)
を嗜みつつ読ませて頂きました。
読み終わった後にチョコ欲しくなったのでロイズの生チョコ食べてますw

>アクセルの対応
個人的な予想では、アクセルは不器用ですので
「あ~、その・・・なんだ」とか言葉を濁しつつ最終的に頭ナデナデかと思われ?

そういえば自分もチョコ作ったことあるんですよ。自分用ですけど・・・
タックの言っていたように、シチリア産の岩塩(高級)があったので入れてみたんですよ。



・・・・・・・入れすぎました(涙)



まぁしかし、そのあと開き直って牛乳と香辛料入れて大昔の「チョコラトル」を半ば再現して飲んだんで結果オーライでしたけど。

ちなみにマリナよ、重曹はヤバいぞ重曹は!!(汗)

No:1120 2009/02/14 01:45 | ワイルドヘヴン #- URL [ 編集 ]

どうも、面白く読ませていただきました。
ネタもいっぱいで面白く読ませていただきました。
死後の世界から戻ってきたトレーズを見て頭に天使の輪っかが浮かんでいるトレーズが速攻で思い浮かんだのは私だけだろうか。
アクセルの対応は、う~ん。
それじゃあ、ツンデレ全開で全身をトマトみたいに真っ赤にして2番をした後にメソメソして体育座りして泣きながら寝ているラミアに愚痴りながら毛布を掛けてやるといいと思うよ。(え)

P.S.
最後のゼオライマーと真聖ラーゼフォンの同時攻撃はひょっとしてこれを参考にしましたか?
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1320142

No:1121 2009/02/14 09:18 | あくと #6Z79jEeU URL [ 編集 ]

疲れた・・・

2月末に24度とか、地球終わってるだろオイ
そんな日に外回りして疲れてしまいましたorz

ワイルドヘヴンさん>
>公私共にゴタゴタありましてコメント付けられませんでした(汗
ワイルドヘヴンさんの足跡が途切れると、つい今までの経緯でヤバいことが起きたのかと勘ぐってしまう管理人です
>一言でいうと「実にトロンベ!」
好評で良かったw
最初は、まずいチョコを食ってアホになるアホセルを出したかっただけなのに、いつの間にかオールスター競演になったという経緯がありますが、結果オーライと言うことで
>チョコに岩塩
シチリア岩塩は高いですよ。確かにお菓子には向いてますが、ありゃどちらかというとパスタソルト・・・

あくとさん>
>天使の輪っかが浮かんでいるトレーズ
それなんて、フジリュー版封神演義の趙公明?(わかんねーよw
>最後のゼオライマーと真聖ラーゼフォンの同時攻撃
完全な元ネタじゃありませんが、見たことはありますよ、これ
ジ・エーデルと木原マサキは最初から対決させたかったんですよ、これとは別に
ラーゼフォンを出してきたのは、もしかしたらあの動画の影響かも知れませんが

で、今のところは、オチとしてアクセルがナデナデするので良いのかな?

No:1122 2009/02/15 00:35 | あるす #- URL [ 編集 ]

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