【スパロボ妄想】Gravity scale out~恐るべき世界~

4月1日になりましたが、この記事は嘘ではありません
しかし、お禿様がとある雑誌で、「次のガンダム主人公は農業をやらせるべき」、と発言したというのは、嘘だと思いたいw


なんかすっかり種死の話になりつつありますな・・・自分で言うのもなんだけど

そんな中、ここから先が、ワタクシが3年前からずっと書きたかったシーンです
思えば今まで発表した、全てのSS(ギャグもシリアス関係なく)は、これのために書いてきた練習と言ってもいいかもしれない
それは物語の質とか、そう言う意味じゃなく、このシーンを醸成させるという意味ですが・・・


3日後
オービットベースを離れたマザーバンガード・・・というか、帆などを隠して偽装した、ブラックロー運送の貨物船に乗ったアスランとシンは、一路プラントに向けて出発した

背後では、ラー・カイラムとアークエンジェルも、その身をオービットベースから離そうとしていた。彼らは彼らで、ベガ星連合軍侵攻ルートに先回りし、万が一に備えて迎撃態勢を取ることになったのだ
敵襲来まで、あと15日程度と見込まれていた。それまでに、帰ってこなければならない
あの白い艦に

「しばらく世話になる」
アスランとシンは、改めてトビアに挨拶をしに、ブリッヂへと顔を出していた
「プラントへは2日ってとこだね。バレないようにちょっと回り道するから」
今の彼らは、あくまで民間の運送会社である。オービットベースから真っ直ぐプラントへ向かうことが、彼らの何らかの警戒心に触れてしまっては元も子もない
ちなみに、何故ナチュラルの集団なのに、とりあえずはプラントに近づけるかというと、彼らのバックとして木星公団が名を連ねているところが大きかった。プラントとしても、木星公団と事を交えることは得策でないし、この公団の関係者はヱルトリウム以上に中立的な立場に信頼性が求められ、且つそれを実施してきたからだ
とはいえ彼らは木星公団の直接の関係者でもない。よくぞ彼らのバックボーンを取り付けることができたと思うが、その辺りはベルナデットの手を少し借りたらしい
「トビア・アロナクス・・・封印戦争、木星戦役の英雄」
「それ、甲児さんか鉄也さんが君に言ったんだろ。よして欲しいよなぁ、俺はそんなんじゃないって言うのに」
トビアは自分を見て総評するシンに苦笑した
シンはトビアのことを全く知らない。トビアは戸籍上死亡したことになっているし、そもそも宇宙海賊クロスボーンバンガード自体、存在しなかったことにされていたから、受け売りの評価をそのまま口にするのも無理はない話だ
「だが君が、木星帝国の侵攻を防ぐのに一役買ったのは事実だろう。その、優れたニュータイプ能力を活かして」
アスランが5年前、ラー・カイラムのライブラリで見た戦闘記録を、率直に評してそう言った
「さぁ、俺って本当にニュータイプなのかな?」
封印戦争当時、ニュータイプ至上主義の教団に拉致されかかったというのに、未だにこういう物言いである
「ワシは正真正銘のニュータイプだぞい?」
「じいさんは自称でしょ」
自分を売り込んでくるウモンと、自重を求めるトビアがおかしい
「隊長、こうしてみると・・・ニュータイプって言われる人ほど、それを気にしてないんですね」
同じくニュータイプと目されるウッソと比べ、トビアが余りにも普通の人間なので、シンはなんだか拍子抜けしたような、意外そうな感じを持ったようだった
「そうかもしれないな。事実、カミーユやジュドーもそうだった」
ニュータイプの体現者と言われたアムロからして、その力そのものを重要視してはいなかった。それに固執するのは寧ろニュータイプに成れない者や、己がニュータイプであることを支えとしないと、どうにも先に進めない者達であった
「そういえば・・・カトルの報告にもあったとおり、ニュータイプ達が大量に失踪している中、君は特にそう言う連中に襲われたりしなかったのか?」
“犯人”がとにもかくにもニュータイプを求めているなら、彼が襲われても不思議ではない。事実、同様に戸籍上は死んだはずの、シーブックとセシリーも行方が知れないのだ。相手はかなり深い所まで情報を得ている
「それが寂しいことに、全然。ま、そう言う意味では、ホントに俺ってニュータイプじゃない、って証拠なんじゃないのか?」
ケタケタと笑って話を終わらせてしまうトビア。アスランとシンはというと、その脳天気さにあっけにとられてしまって、二の句も告げなかった


そうして他のコロニーを回りながら2日後
一行は特になんの問題もなく、アプリリウスに接近しつつあった
『こんなところまでで、すまないけど』
アプリリウス市のプラントまであと少しというところで、マザーバンガードは二人のMSを降ろすことになった。どうもデュオとトロワの所には、そこそこ早く到着しなければならないらしく、入港手続きの煩わしさを考えてこの判断であった
「いや、俺たちは構わないが・・・なんだ、ずいぶん急いでるんだな」
出立した時の僅かに余裕のあった態度が、今のトビア達からは消えているように見えた
『ああ、ちょっと動きがあってね。もし、あの二人が見つけた人物に間違いがないのなら、それはウッソ・エヴィンへの強力な切り札になるはずなのさ』
「そいつは・・・誰なんです?もしや、あのアムロ・レイとか」
驚いて聞き返してくるシンに、しかしトビアは首を振った
『まだ確証が得られてないから、ここでは詳しく話さずにおくよ。それよりこの先、気をつけろよ?』
少し嫌な感じがする、とトビアは二人に忠告を送った
「・・・ニュータイプの感、というやつかい?」
『さぁね』
トビアの言葉を胸に、ジャスティス、続いてインパルスが漆黒の宇宙に身を躍らせる
マザーバンガードを離れた二機は、とりあえず首都に赴くことが先決と考え、アプリリウス市中心へと航路を取った

だが二人は、すぐにプラントの様子がおかしいことに気づいた
彼らの接近を知らせる通信に、誰の応答もない。しかしプラント自体の港はきちんと開放されており、慎重に中に入り込んだものの警報の発令もなかった
まさにもぬけの殻と言った様子で、港内部に収穫物はない
プラント内部に行くしかないか・・・アスランとシンは、お互いのコクピット画像でアイコンタクトを交わし、双方の意志が一致していることを確認した
意を決してMSをプラント内部に進めた二人だが、そこにすら人の気配がなかった
空気に異常はないから、毒ガスが撒かれたわけではない。プラントの自転も止まっていないから、重力異常や宇宙線の異常照射というわけでもない。そもそもそれなら、あっていいはずの人の遺体すらない
余りに異様な光景に、二人は互いになんの言葉も交わせず、ただ周辺の様子を伺うのが精一杯だった
『お帰り、二人とも』
突然、街の巨大モニターにウッソの姿が映し出され、二人に語りかけてきた
予想外の展開に、アスランもシンも思わず身構えてしまう
『ちょうど良い時に帰ってきてくれました。これから、僕の計画の最重要部分を実行するんです』
「計画・・・?」
アスランは慎重に言葉を選んで話すよう心がけた。彼は確かにニュータイプなのだ。以前のように心の焦りを見抜かれてはまずい
『ディスティニー・プランですよ。プラント中から集めた、膨大な遺伝子情報を解析し、人類の導き手となる者の運命を明示する、その時がやってきたんです』
そう言って微笑みかけるウッソの顔には、しかし少しの感情も感じられない
『さぁ二人とも、メサイアへ来て下さい。君達のような者こそ、人類の革新となれる資格がある』
「メサイア?・・・それは」
『そこからすぐの所に造った機動要塞。ディスティニー・プランの要であり、プラントを守る新たな力でもあるんです』
そう言うとウッソはカメラの前から少し遠ざかり、背後に設えられた超巨大コンピュータシステムを二人に見せてみせた
『今、彼女にも説明していた所。これが、遺伝子解析と管理を行い、人類の革新を導き出すためのシステムだ、ってね』
カメラは、そのシステムの近くで厳しい顔をし、ウッソと対峙している女性を映し出した
『ウッソ、いい加減になさい。こんな物が人類の革新など、世迷い言も良い所です』
それは一人ウッソに面会を求め、説得を試みていたリリーナであった
地球連邦政府が頑ななのは変えられないとしても、ウッソへの説得にはまだ望みがあるかも知れない・・・それが彼女の選択であった
『リリーナさん、そんな怖い顔しないで下さいよ。僕はそんな睨まれることをしている覚え、有りませんよ?』
相変わらず不気味なほどの笑みを浮かべ、リリーナの威圧を軽く受け流すウッソ
「ウッソ・エヴィン・・・ミネルバはどこです?」
リリーナへの危害を危惧したのもあり、アスランはとりあえずウッソの意識をこちらにそらそうと、自ら話題を振った
「グラディス艦長は?議会の委員達は、デュランダル議長は?アプリリウス市の市民達はどうしました?」
アスランのこの言葉を聞いて、ウッソはククッと笑った
『ミネルバはここには居ませんよ。残念ながら、あの艦の乗組員の皆さんや、議長殿は望まれた遺伝子をお持ちではなかったのでね』
アスランは思わず唇をかんだ。嫌な予感が的中した
ニュータイプでない自分でも分かる。このプラントの市民は、まさか・・・?
『アプリリウス市の市民の皆さんも残念でした。とても彼らでは人類の革新には成れなかったんですよ。あなたたち二人のような選ばれた遺伝子・・・そう、SEEDを持つ者でなければ
「シ・・・SEED!?」
シンはただ驚くしかできなかった。聞き慣れない言葉、そしてそれを自分が“持つ”と言うことの意義が分からない
『あれ、アスランさん・・・貴方はシンに教えていなかったんですか?じゃぁ説明するね。それは、“人類を新しいステップに進ませる可能性を秘めた遺伝子”のことだよ。キラさんや、ラクス嬢も持っている・・・君がそれに覚醒するだろうことは、シャクティの予言で分かっては居たけれど、僕の期待に応えてくれて嬉しいよ』
ウッソがそう解説するのを、アスランは絶句して聞いているしかできなかった
なぜシンがSEEDを持つと知っているのか?シンのパーソナルデータを調べ、それで分かる程度のことだったのか、それともこれがニュータイプの力だとでも言うのか
「俺が・・・あの、キラ・ヤマトと同じ力を?」
一方で、思わずシンの心はぐらついた
シンが映像で見たキラ・ヤマトの超絶な戦いぶりは、それこそ“スーパーコーディネーター”に相応しいと評されていた
自分に、その力がある

「くっ・・・!そんなことを言っている場合ですか、ウッソ・エヴィン?今まさに、外宇宙から地球を狙ってる連中が来て、こっちを見境無く襲おうとしてるんです。そんな時に、遺伝子が良いか悪いかなんて、言っている場合じゃないでしょう」
アスランが返した言葉で、シンの脳裏にマリアや日吉の姿が掠め、そのおかげでどうにか我に返ることができた
『それはよく分かってる。もちろん僕だって世界のことを思うなら、彼らを野放しにはできない。だからミネルバには、プラントを守る最前線に出撃して貰ったんだよ。それが解明された、彼女らの運命だったのだから』
「な・・・!」
絶句しているアスランと、何が何だか判断が付かなくなっているシン。二人を追い詰めるように、別の映像が流されてきた
そこには紛れもなく、ミネルバが映っていた。その周囲に展開する、多くのザクウォーリアやドムとルーパーも一緒に
「・・・!ここは、サイド3の・・・!!」
そこはまさに、ベガ星連合軍が侵攻すると予測されていた、デブリ地帯であった。その中で一際大きな物体・・・廃コロニーである・・・に、ミネルバは進路を取っているように見えた。ウッソは何らかの手段で、ベガ星連合軍の侵攻ルートの情報を手に入れていた、と言うわけだ
『二人とも、ここがただのデブリ地帯だと思っているでしょう。それがね、実は違うんだよ。あの廃コロニー・・・あれはね、レクイエムの中継装置なんだよ。知っていた?』
「なんだって!?」
それを証明するように、廃コロニー周辺には連邦軍の艦船やMSが展開しており、ミネルバの接近を察知したそれらが、防衛のために動き出しているのが見えた。その中には、既にその空域に到達し、共に護衛に付いていたラー・カイラムの姿もあった
「バカな!貴方はもしや、アレをミネルバに破壊させようとしているのか?」
『察しが良いね、アスラン・ザラ。あんなものがこっちに発射されちゃ、困ってしまうからね。先手を打たせて貰ったのさ』
「ま、待てよ!アレはいざって時、ベガ星連合軍の連中を撃退するためにあるんだ。それを破壊するなんて・・・!」
『心配することはないよ、もう彼らはそこに迫っているから』
ウッソの言うとおり、デブリ地帯の0時方向から、大量のミニフォーや円盤獣が現れ、ミネルバにもラー・カイラムにも、見境無く襲いかかってきた
「なぜ、こんなに早く?奴らの到着は、すくなくともあと10日はかかったはずだ!」
『僕が教えたんだよ。ついでだからね、あの目障りなものと一緒に消えて貰おうかと思って、こっそり情報を送ったら案の定さ。大慌てでアレを潰しに来たみたい』
「!!」
その猛攻にラー・カイラムはどうにか対応していたが、ミネルバ側の様子がおかしかった。少なくともミネルバは奮闘していたが、その周囲に展開していたMSはろくな対応もできず、次から次へと撃墜されて行くではないか。いくらベガ星連合軍が強力とは言え、いくらなんでも対応が悪すぎる。一部の機体は、まるで逃げ惑っているようにさえ見える
『あれ、おかしいなぁ。あの人達は、軍人に向くって判断されたはずなんだけど』
まるで他人事のように言うウッソ
「軍人に向く・・・?正規に訓練を受けたザフト兵に、今更何を!」
『訓練なんて必要ないでしょう。軍人の運命を持っているなら、その運命を切り開いて対処できるはずだよ』
「・・・!まさか・・・まさか!?」
「ミネルバ、前に・・・とにかく前に出なさい、彼らの盾に!」
タリアは艦橋で必死に采配をふるっていた
『ひ、ひぃ・・・いや、おかぁ・・・!』
『し、死にたく・・・!!』

それも虚しく、次々と断末魔の悲鳴を上げながら、撃墜されていく機体
『ミネルバ、こちらラー・カイラム!どうした、そちらはまともに戦えんのか?』
さすがに異常を察知したブライトが、ミネルバに慌てて緊急通信を入れてくる
「ブライト艦長・・・こちらの兵は、ほとんど素人の女子供ばかりなのです・・・
同乗させられていたデュランダルが、自らの力の無さを責めるかのように、歯ぎしりをしながら悔しさを滲ませてそう答えた
『な、なんですって!?いったいなぜ!!』
「ウッソ・エヴィンの采配なのです。彼らが軍人の遺伝子を持っていると、ただそれだけの理由でMSに乗せられ、ろくな訓練もないままこうして戦場へ駆り出されている・・・!
余りに残酷なこの発言は、ラー・カイラムのブリッヂの通信を通じて、アークエンジェルやヱルトリウムにも伝えられていた。あまりのことに、αナンバーズのメンバー全員は背筋が凍り付かんばかりの衝撃を受けた
『なら、早くその場を引いて下さい。後は我々が何とか・・・』
「できないのです・・・ラクス・クライン嬢が・・・彼女が救った人々が、別のプラントに捕らわれています」
タリアもまた顔を落とし、腹の底から絞り出すようにそう言った
「私たちがここで戦わずに逃げれば、彼女らのプラントが破壊されてしまいます!」
その状況をなんと形容したらいいのだろうか?
おおよそ、通常の人間が考えつくことではない。血も涙もない、と言う言葉すら甘い
『ひ、ひでぇ・・・それじゃ単なるなぶり殺しじゃねぇか!』
最初に声を上げたのは甲児であった
『くそっ、見捨ててなるもんかよッ!』
叫ぶやいなや形振り構わず、ミネルバとその周辺のMSを助けようと、マジンガーを駆る甲児。鉄也や竜馬も、もちろんそれに続いていった
そしてそれに呼応するように、まずはタシロが立った
「このような非人道的な行為、見過ごすわけにはいかん!ヱルトリウム、短距離ワープする!!」
「艦長、しかしそれではやつらに」
制止する副長だが、タシロは頑として退くつもりはなかった
「そんなことは後でどうにでもなるが、人命は取り返すことができん!」
艦長に一喝され、さすがの副長も持論を曲げるほか無かった
「彼らにもそう伝えろ!SRXチーム、甲板にしがみついておけ、離れるなよ!」
続いて声を上げたのは大河長官である
「GGG、総員発進せよ!全速力で現場へ向かえ!!」
「アルビオンも続け!エンジンが焼き付いても構わんっ!!」
人々の危機に、次々と現場へ集まるαナンバーズの面々
『皆さん、とにかくダイターンの影に隠れて!』
『グレートとダンクーガは、生きている人たちをミネルバに!!』
攻めと守り、両方に手を割かなくてはならなくなり、さすがのメンバーも苦戦気味になっていた。しかし相手に遠慮はない。キング・オブ・ベガは見えないが、どこかにマザーバーンが居るのだろう。攻撃の手が休まらない

「アークエンジェルは現状で敵を押しとどめます!何とか堪えて!!」
ラー・カイラムから少し離れた宙域で、アークエンジェルもまたベガ星連合軍の侵攻を食い止めるべく奮闘していた
『なぜだ・・・何故こんな酷いことができる、同じ地球人同士で!』
その中でさしものデュークも、背後で起きている悲劇を、守ると決めた地球人が引き起こしていると思うと悲しく辛く、たまらずに叫び声を上げた
『全ての人が、自分が居る世界を愛しているとは限らない・・・』
それに応えるのは、キラだった。キラには、過去に起きたあの悲劇と、今起きていることに何かの同質性を感じていた
『誰かが、誰かが今のこの世界を、壊そうとしてるのかもしれない。この世界が美しくないと、否定しているのかも知れない・・・!』

容赦ない円盤獣の怪光線がミネルバを襲い、艦内に衝撃が走る。艦長席から思わず振り落とされそうになるタリアを、デュランダルは慌てて抱き留め庇う
「ギ、ギル・・・」
余りに不利な状況に、さしものタリアも弱気になっていた
「すまないタリア・・・私が、私が非力なばかりに、こんなことになって」
それはデュランダルも同様だった。自分自身にもっと力があれば、こんな事態を招かないで済んだはずだ
「・・・貴方のせいではないわ・・・それに、最後の瞬間が貴方と共なら」
「諦めてはいけない。幸いにも私たちの前には、αナンバーズが居てくれている。まだ希望はある」
だが、事はそう簡単にいきそうもなかった
「え、円盤獣、本艦に接近っ!」
ミネルバのブリッヂに迫り来る不気味な円盤獣。至近距離過ぎてタイホンザーを発射できない。タリアも乗組員も、息を飲んだ・・・その時
『バスタァァァ、シールド!』
彼らの目の前に立ち塞がり、円盤獣の攻撃を弾いたのは、超巨大マシーン兵器、ガンバスターだ
『ノリコさん、アマノさん!!』
『久しぶり、みんな!』
『わたくし達が来たからには、もう安心してくれて構わなくてよ』
二人の力が合わされば、一人の火も炎となる。その力こそがガンバスターの源。二人の自信たっぷりの声を聞く限り、それに衰えはないようだ
『テレキネシス・ミサイル・・・味方に当たるな!』
群がるミニフォーを一掃したのは、早速合体してご登場のバンプレイオスである
『お前ら、合体して大丈夫なのかよ!?』
だいぶ安定したとは言え、バンプレイオスの合体は危険と隣り合わせなのは変わり無い
『こんなの見過ごしてられっかよ!』
『リュウセイの言うとおりだな。それに比べれば合体の危険など、どうと言うことはない』
『いつもは、合体の掛け声無しで動けないリュウが、それを省略してるあたり、真剣さを感じるわね』
『アヤ、そんなことを喋ってる余裕はないわよ』
『とにかくこの戦場を納めないと・・・!』
ワープアウトしてきたヱルトリウムも加わって、ベガ星連合軍撃退及び、非戦闘員保護活動はどうにか軌道に乗り出した。この戦域を突破した円盤獣も中にはあったが、到着の遅れが幸いして、後方より接近しているアルビオンが、これの対処に当たっていた
しかし、悲惨な戦場であることは、未だに変わらなかった。この戦場に円盤獣を送り込む、その元凶がまだ健在だからである
『砲門開け!円盤獣侵攻方向に向け、光子魚雷・・・てぇっ!』
タシロの号令に合わせ、ヱルトリウムから数条の光が放たれる。それらが何もないように見えた黒い空間に吸い込まれたかと思うと、次の瞬間目もくらむような爆発が周辺を覆った。そしてその光の痕から、あのキング・オブ・ベガがのそりと姿を現したのである
『でやがったな、このドラム缶め!』
ヱルトリウムの光子魚雷を受けて、なお健在のその巨体。豹馬は思わず背筋に悪寒が走るのを覚えた
『ここで・・・ここで決着を付ける!』
健一も、ボルテスを操る手元に、嫌な汗が滲んでいるのを感じたが、背中に浮かぶ蒼い星のためにも、負けられない
『おう!地球には一歩でも近づけねぇぜ!!』
今ここに、地球を賭けた戦いが始まろうとしていた・・・
『フフ・・・集まる集まる、世界の改革には不要な人たちが・・・』
だが、そんなαナンバーズの状況を知ってのことなのか、満足げにほくそ笑むウッソ。その歪んだ表情は常軌を逸していた
『ウ、ウッソ・・・貴方という人は!』
それらの光景にもまるで心を動かされず、あまつさえ嗤っているウッソに、リリーナは珍しく怒りを露わにしていた
『このメサイアには、ネオ・ジェネシスが組み込まれてる・・・さぁ、それをあの場に撃ち込もうか。これで世界は綺麗になるよ。“要らない”遺伝子も、過去の秩序もまとめて消し去れる
続々と集結し、混乱を収めようと必死の彼らを、ウッソは感情のない目で、しかし冷徹な笑みを口元に浮かべながら見つめていた
「要らない・・・要らない、だって!?
『そう、要らないんだ。君のような、特別な運命を切り開く力を持つ者でなければ』
ハッキリとそう言いきるウッソに、シンは露骨な嫌悪感を持った
『シャア・アズナブルの言う、宇宙の民による人類の革新を成功させるには、まず宇宙の民に潜んでいる、無駄な要因から排除しなければならない。そのようにして選別され、正しく運命を開花させられる者のみが、この地球圏を救う権利を有している・・・シン、君はその一人なんだよ。だから恐れることはない、僕に従うんだ』
画面の向こうから、すらりと手を伸ばしてくるウッソ。なんと感情のない、薄気味悪く恐ろしい姿だろう・・・
ウッソの態度自体は、以前と何ら変わりはなかった。だが多くの“生の感情を持つ”人々と触れ合ったシンの方は、以前とは変わった感情を養っていたのだった
「ちょっと待てよ、要らないってどういう事だよ!遺伝子の可能性は、誰にでもあるって言うの、嘘だったのかよッ!!それを信じてアンタに付いてった人に、なんて言い訳するつもりなんだ!」
それじゃ守れない。こんなことでは、俺が守りたいモノが消えてしまう。シンはそう直感していた
だが、自分に反論するシンに、ウッソはきょとんとしている
『あの人達は、自分の運命を切り開けなかっただけなんだよ。そういう輩は、排除されなければならない。君には分かると思ったけれどね』
この言葉に、シンはついに爆発した
「アンタって人は・・・アンタって人はぁぁぁぁッ!!」
頭の中で、何かが弾ける音がした
次の瞬間、インパルスのビームライフルが放った光弾が、ウッソを映していた大型パネルを粉々に破壊した
爆散し、キラキラと光る破片が何故か妙に美しく、その場にパラパラと舞い落ちていった・・・
《続く》
スポンサーサイト

テーマ : スーパーロボット大戦 - ジャンル : ゲーム

2009/04/01 00:40 | SS【スパロボ系】-Gravity scale outCOMMENT(4)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

・・・・・

毎日更新を楽しみにしているイヴです。

ついに恐ろしいことになってしまいましたね。これからどうなることやら・・・。まぁ、これも師匠が何か考えがあって書いたのでしょう。しかし、本編でもディスティニープランが本当に実行されていたらこんなふうになってたでしょうね。

それにしてもウッソの豹変ぶりはどっかで見たことあるような・・・たしかイ○イあたりだったような気がしますねぇ。とするともしかしてラストにはガンエデ・・・ちょっまてなにをくぁwせdrftgyふじこlp。

(なんとか帰ってこれた)ふぅ、さて皆さんには攻略本がないといけないくらい難しかったゲームってありますか?ちなみに私の場合はサガフロンティア2というPS用のゲームですね。あれはドラマチックだし、なにより私好みの水彩画風のフィールドが好きですね。ただこのゲーム、経験値に値するものがないので(戦闘でどれほど活躍したかで能力が上がるか決まります)いかに装備と技の連携(技どうしをくっつけてさらに強力にすることができる)できるかでしょうぶが決まってしまいます。しかも体力などのポイントを回復できる機会やアイテムはほとんど限られているので下手するといつまで経ってもラスボスが倒せないことに・・・。
では小説と一緒にまってます。

No:1222 2009/04/01 05:00 | イヴ #cnZdQCf. URL [ 編集 ]

怖い……………………

スパロボDに関して色々教えて頂きありがとうございます。頑張ってみます。
しかし、ウッソは「向いている」というだけで訓練を受けていない人々を戦いにだすとは…………………
ただ、ここまでウッソを「怖く」演出しているということは、ウッソが自分の意志でなく、操られているという証拠のような気がします。
「トビアのように行方不明でないニュータイプがいる」この文を見たときに行方不明=誘拐ではないのかなと思うようになりました。そして「切り札」は誰なんでしょう?実はシャクティって言う可能性もあるのかなと。この話でシャクティはまだ一度も人前に顔を出してないですし。
しかし、ウッソの影に隠れて嘲笑っているのは誰なんでしょう?SEEDの弾けたシンとウッソの戦いの行方は?
一日一日更新を楽しみに待ちたいと思います。

No:1223 2009/04/01 06:41 | 壱華 #6L6LjdBg URL [ 編集 ]

おかしいですよ…

そろそろ書類の一次審査が判明するであろうあっしです

今回のウッソの冷徹では形容しがたいセリフが、一言一句阪口大助氏の声で脳内再生してました。さすがにあるすさんが書きたかったシーンというだけあって、破壊力も凄まじかったですね…

ただ、作中に出てきたニュータイプに関する会話の中で、かの作品(あっしの好きな「アレ」ですねwww)がどう関わるのかも気になります
あと、キラの『全ての人が、自分が居る世界を愛しているとは限らない・・・』という言葉が、非常に印象に残りました。アニメ本編では己の過去の戦いに決着のつかぬまま次の作品に移行していた感がありましたが、彼なりに向き合っている雰囲気が出ていて、新しい一面を感じました。…まさかボンボン版のキラじゃなかろうな、お主?(笑)

とにかく、真相が気になります。お体に気をつけて、作品を完成させてください!

では、失礼しやす!

No:1224 2009/04/01 12:32 | 弁慶 #9fYuzJy. URL [ 編集 ]

ウッソがカテジナ状態

大昔に書いたSSで宇宙全部ぶっ飛ばすオチを使った時、黒富野の仇名を貰ったことがある管理人が通りますよ

イヴさん>
>本編でもディスティニープランが本当に実行されていたら
それもこのSSの一つの主題です。モデルはポル・ポトの政策も入ってるけど
>ラストにはガンエデ・・・
それは反則過ぎるので止めたw(考えてたのかよ!)
>攻略本がないといけないくらい難しかったゲーム
うーん
昔は攻略本を買うのが普通だったので、ってのもありますが・・・
女神転生シリーズの悪魔合体だけは、攻略本無しじゃ辛かったかな
あと、ロマサガ2の武器や術の開発も辛かった記憶がある

壱華さん>
読みが鋭すぎて苦笑いしておりますw
>ウッソの影に隠れて嘲笑っているのは誰なんでしょう?
SSの主題の、これまた一部になっております。すげーいやなオチです、予告します


弁慶さん>
>さすがにあるすさんが書きたかったシーンというだけあって
まだ終わってないんだな、これが
>キラたん
とても綺麗なキラになっております。自分でも不思議です
もしかしたらこれが本当のキラなのかもしれない(ぇ

No:1225 2009/04/02 00:37 | あるす #- URL [ 編集 ]

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

 | BLOG TOP |