【スパロボ妄想】ガンダム仕事人~第参話~

本を語ろうかシリーズ

エリア88 (1) (MFコミックス―フラッパーシリーズ)エリア88 (1) (MFコミックス―フラッパーシリーズ)
(2003/09)
新谷 かおる

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親父の部屋にうっかり忍び込んで、これを年端もいかない段階で読破してしまったのが、ある意味自分の人生観を決定づけてしまった、一つの要因かも知れません
戦争が政治だけじゃなくて、企業や個人の金でも動くのだなとショックを受けたもんだ
それはどんな戦争批判よりも重い説得力があり、且つ戦争そのものを否定することなど、結局誰もできないと言うことをよく示しているのであります

ちなみにアニメで見る場合は、初代OVA(真の声が塩沢さんのやつ)をお薦めします
神アニメです
スパロボ仕事人は、あんまり深くストーリーを追わないようにしてます
なので設定が浅かったり、説明が足りない時もあるかも知れません
その時は脳内設定をまた垂れ流すので、遠慮無く指摘してくださいw


そこは、限りなく近く遙かに遠い世界
華のバンプレ国
ここはスパロボ横町


町外れにあるうっそうとした森の側に、今にも崩れそうな屋敷風の建物があった
「・・・あああっ!ダメだダメだダメだ、そんな芝居じゃ客は呼べねぇよ!!」
その一室から、耳をつんざく中年男のヒステリーが駄々漏れる
これに圧倒され、舞台の角で縮こまる少年と、それをあっけにとられたながらも、“大丈夫だよ”と微笑みかける少女。この二人を劇団員達が、哀れそうに見ているのが何とも言えない
「こらまた、すんごい気合いの入れようだな、ホランドのオッサン」
そんな彼の言動を逐一目もしていたデュオも、さすがに引きつった笑みを浮かべて舞台の上の彼を見上げる。対してホランドは、ムッとした顔を客席のデュオに遠慮無く向ける
「うっせぇぞデュオ、オッサンなんて言ってんじゃねぇよ」
(・・・もう30になるじゃねぇか)
しかし、その台詞を口にしようモノなら、上下の歯が全部吹き飛びそうな鉄拳が飛んでくるのは目に見えている
「手を抜けねぇのは当たり前だろ。コイツは俺の夢がかかってんだ」
ホランド率いる劇団『月光』
こんなお化け屋敷のような場所に居を構えていても、その高度な芝居には定評があり、常に何らかの形で演じられる“リフ”というダンスは、毎度多数の客が訪れている
その彼らがまさに身命を賭して演じる次回作『アゲハ』
基本的なストーリーは、大地を象徴する少女と、空を象徴する少年の恋物語を通じて語られる、天地を貫く精霊“ニルヴァーシュ”の物語である
少女役として今回主演を演じるのが、以前からの花形スターのエウレカであり、ホランドの秘蔵っ子でもある。彼女の演技は爽やかな一陣の風とも評されている
そんな、劇団の心血を注いだ作品だというので、デュオの方もいつもの時事ネタではなく、真剣に劇を取材しに来ていたのだが、ホランドは公演が迫ってもまだまだできに納得できてないらしい
「俺の夢・・・そうそれは、師匠・アドロックから受け継いだ、このシナリオを完璧に演出することだァァッ!!」
力んでさらなる雄叫びを上げたホランドだが、急に咳き込んで口元を押さえてしまう。脇で様子を見ていたタルホが、慌ててホランドの背をさするが、彼の口も力は少量の血がこぼれ落ちていた
「ホランド、大丈夫?」
「すまねぇタルホ・・・ゴホッゴホッ・・・くっ、俺がこの『アゲハ』を演出できるのも、あと僅かのようだな・・・
彼はこの仕事に就く前にいろいろあったらしく、本当に体中ヤバいことになっているのだが、そんなこと言いつつ既に数年経っているので、最近ではすっかり“死ぬ死ぬ詐欺”状態であり、彼女であるタルホ以外は余り心配してなかったりする
「そのために新人雇ったんだろ?しかもその師匠の息子とありゃあ、渡りに船じゃんよ」
と、デュオが見上げるのが、先ほど舞台の角で怯えて、エウレカに呆れられていた少年である。その名もレントン・サーストンと言い、伝説の演出家アドロック・サーストンの息子だったりする
「うう・・・それ言われると、俺プレッシャーッス・・・」
力なく返事をするレントン。無理もない、なんせ素人同然なのだから
まぁ以前から“リフ”を自前でやっていたので、素人と言ってもそれこそ引きこもりのゲイナー辺りと比べれば、身体能力は高い方である。もちろん、劇団の本来の構成員と同列などは、絶対に無理だが
「ハン、血筋なんぞ当てになりゃしねぇよ。エウレカと相性が良いんじゃなけりゃ、こんな奴舞台に上げるもんか」
ホランドがレントンを舞台に上げざるをえない理由。それがエウレカの“笑顔”である
エウレカの芝居は確かに爽やかだが、余りに完璧すぎる上にほとんど笑わないのだ
そんな彼女が、たまたまレントンの居る舞台で“リフ”を演じていた時だけ、“笑った”のである。それをめざとく見つけたホランドに、その場で首根っこ掴まれて劇団に連れ込まれたというわけだ。ほとんど人攫いである
「このシナリオの鍵は“少女の笑み”なんだよ。コイツだけはどうあっても外せねぇ」
ホランドが長々とこのシナリオを抱えながら、ずっと公演に至らなかった理由がこれであった。彼にとって『アゲハ』を演じる少女は、エウレカ以外に考えられなかった。しかしシナリオの肝と見なされたそれが、彼がどう頑張っても出せずに、ここまで引きずってしまったのであった
「フッ、そんな細かいことに拘るから、身体に無理がかかるのだよ」
屋敷の入り口の方から、突然誰かの声がした。皆が驚いて振り返ると、そこには初老の男性と彼にひっついている少女の姿があった
「いい加減諦めて、『アゲハ』の公演権を私に譲れ、ホランド」
「・・・アンタには絶対に譲らねぇ」
その男を睨め付けるホランドの眼光は、レントンを叱咤するそれの何倍も強いように感じられる
「意固地になるな。公演権の譲渡、たったそれだけで五〇〇両の金が手に入るのだぞ。他の演目も好き放題やれようモノだ」
「アンタのように、師匠のシナリオを曲解してる奴に、コイツは任せられねぇんだよ」
「曲解しているのは貴様の方だ。物語の主要など、観客には関係ないのだ。彼らが求めるのは派手で斬新な演出。そうだろう?」
二人の意見は真っ向から対立し、平行線の一途を辿っていた
「あのぅ・・・あれ、誰ですか?」
もう慣れたというような顔をしてこれを見ているデュオに、レントンがこっそり話しかけてきた
「お前ホントにアドロック先生の息子なのか?」
余りに彼が何も知らないので、デュオはレントンの自出を疑ってしまう
「すみません・・・俺、じっちゃんにずっと演劇に関わらせてもらえなくて」
「ん~・・・まぁ、この業界、はまると身体壊すどこじゃねぇからな」
ホランドの例に漏れず、アドロックもシナリオ作りに没頭しすぎて、家庭も顧みずに病気になって亡くなった口である。祖父がキレるのも無理はない話だ
「アイツはデューイ・ノヴァク。名前くらい聞いたことあるだろ?」
「ああハイ、劇団『銀河』の敏腕プロデューさんですよね」
ホランドのこの掘っ立て小屋みたいな舞台とは対照的に、スパロボ横町のど真ん中に派手な演技屋敷を持つ彼を、横町住人ならほとんど知っているはずである
「んで、ホランドの兄貴だよ。つまり、アドロック先生の兄弟子、ってとこかね」
「そ、そうなんですか?」
言われてみれば二人の顔は、似ていないことはないのかも知れない
「アドロック先生も何考えたんだかねぇ、同じシナリオを兄弟弟子それぞれに預けて」
しかもそのシナリオの解釈と演出については、何の説明もなく世を去ってしまった。だが生前のホランドとの話し合いにおいて、公演権は彼に渡されており、これをしてホランドは自身の解釈に“よし”を得たと解釈していた
が、もちろん兄のデューイはそれを納得してないらしく・・・
「だからって相手役の男をカラクリで済まそうなんざ、師匠への冒涜以外ナンでもねぇだろうが!」
「やはり貴様は判っていない。このシナリオに必要なのは、美しい大地母神の象徴である、見目麗しい少女役なのだ。そう、このアネモネのように」
言われてデューイの脇から、いたずらっぽそうな・・・と言うには余りに意地悪な、皮肉めいた笑みを浮かべて顔を出したのは、エウレカと同い年ぐらいの、ピンク色の髪をした少女であった
「そうよデューイ。アタシデューイのためなら、どんな嬉しそうな笑顔でも浮かべてみせる。そこのお人形さんと違ってね!」
ニタリと笑って、舌まで出してみせるアネモネであったが
「・・・」
エウレカの方は何も感じていないのか、それとも受け流しているのか、敢えて何も言い返そうとしない。むしろ取り乱しているのはレントンの方だった。しかし、ここでただ黙っていては、自分はチキン以下ではないか
「エ、エウレカに、そんな酷いこと言うなよ!」
必死な顔で言い返してくる彼に気づいたデューイは、その顔を一瞥してフッと笑った
「ほう、アドロック先生のご子息は、その精巧なお人形さんがお好きと見える」
(ね、姉さんピンチです!大人の切り返しが来ました!!)
いつものレントンであれば、そう言う台詞にどう返して良いか判らなかったかも知れない
しかし真横には、憧れ以上の感情を持つエウレカが居る。引き下がってなるものか
「エウレカは人形なんかじゃありません!“リフ”を愛している、普通の女の子ですよ!!」
顔を真っ赤にして、思いの丈を叫ぶレントンの声は、ホランドのそれとは別の意味で劇団員達の度肝を抜いた、かも知れない
そしてエウレカも、珍しく口元が僅かに引きつったように見えた
これにはデューイも思う所があったのか、はっはっはと大声を上げて笑った
「レントン、ガキの癖にナマ言ってんじゃねぇよ!」
恥ずかしいヤツめ!と言うように罵声を浴びせるホランドだが、デューイは珍しく彼のその方を叩いてこれを制した
「面白いではないかホランド。ここは一つ、私と貴様と出演出勝負をしてみてはどうか?」
ホランドとデューイの考える舞台を二つ同時に並べ、互いに演じて見比べてみようと言うことらしい
「レントン君だったか、君の力でエウレカの笑みで芝居をシメて見たまえ。そうしたならば、この交渉は潔く諦めよう」
「・・・や、やってみせますよ。俺は彼女を、立派な“ニルヴァーシュ”にして見せますよ!!
彼の決意を耳にして、デューイは不満そうにしているアネモネを引き連れ、彼女のマネージャーであるドミニクの待つ入り口の方へと歩いて行く
「町の有志も集めておくか・・・七日後の本番を楽しみにしているよ。行くぞドミニク、人力車を回してくれ」
彼らの姿がかき消えたのを確認し、レントンは気が抜けて、またもや舞台に座り込んでしまった
「言っちまったな、レントン」
「言っちまっただなぁ」
マシューやムーンドギーが、そんな彼を哀れそうに見下ろしている。そんな彼らの後ろから、鬼の形相のホランドがのしのし迫ってきていたからだ
「そのへっぴり腰で、よくもまあそんな大口叩けたもんだな、ええレントン?」
「で、でもホランド、俺・・・」
何か言おうとしたレントンを、ホランドは問答無用で殴り飛ばした
「うっせぇ!言ったからにゃあ、今までの比じゃねぇほどの特訓を施してやる。覚悟しやがれ!まずは基本“リフ”百素振りからだ!!」
「ひぃぃぃぃ!」
“殴ったね”という返し言葉を出す余裕もなく、レントンはホランドの地獄の特訓に巻き込まれていった
デュオはそれに関わらないよう、こっそりと屋敷を後にしたのだった


その日の夜中
猛烈な演技指導の疲れもあったが、何か魂が抜けたようなレントンは、夜の横町を一人彷徨っていた
そうしていつの間にか、件の劇団『銀河』の屋敷が遠目に見える辺りにまで、にふらりと辿り着いていた
既に人通りもあまり無く、静まりかえろうとしているその町の中で、この屋敷だけは未だ煌々と明かりをたたえている
何気なくその屋敷を見上げていると、その二階に二つの人影を認めることができた
一人はあのアネモネ。もう一人は、確か入り口で二人を待っていた、ドミニクであった
「ちょっとォ、そこで髪引っ張らないでよ、切れちゃうじゃないッ!」
「ああっ、ごめんアネモネ!悪気はなかったんだよ」
なんだか良く判らないが、痴話喧嘩してるようである。確かドミニクは彼女のマネージャーと言うことだが、その姿はどう見ても女王と下僕にしか見えない
「いい加減にしてよね、これじゃ明日の芝居ができないじゃない!」
「ちょ、大げさだよそれは・・・」
「うっさいうっさいうっさい!髪は女の命なの!!」
半ば錯乱したような彼女は、そのままの勢いで開いた窓に向かってドミニクを突き飛ばした
「あ、ああああ!?」
「ちょ、危ないっ!」

そのまま落下するドミニクを見過ごせるほど、レントンも疲れて果てていたわけではなかった。助けなければ、と考えた次の瞬間には、身体が動いた
“いくぞ俺!アァァァイ・キャァァァン・フラァァァァイ!!”
ドミニクの落下予測地点までは、余裕で六十尺(約10m)は離れていたはずであった。しかし鬼の特訓が功を奏したのか、彼の体はまさしく宙を舞い、ドミニクの身体を何とか受け止めることに成功したのであった
「ちょっと、何してるんだい、アンタ達?」
二人の少年がもみくちゃになっているのを見とがめたのは、カトリーヌであった
「あ、カ、カトリーヌさん」
大店の主人ともあろう者が、こんな時間に一人で出歩いている不思議を感じられるほど、その時のレントンは余裕はなかった
「大丈夫かい?レントンはあちこち擦ってるし、そっちの彼は打ち身とかないかい」
「あ、ありがとう・・・」
カトリーヌに世話を焼かれ、ようやく我に返ったドミニクと、彼を受け止めたは良いものの、さすがに少しダメージを受けてしまったレントンは、屋敷の壁に二人背をもたれて呆然としてしまっていた
「何か・・・大変だね、そっちも」
聞けばこんなことは毎度で、ドミニクは生傷が絶えないらしい。どおりでアネモネも、自分で突き落としておきながら、心配して声もかけてこないはずである
「彼女は、デューイ先生が『アゲハ』のために選抜したんだ」
「ふーん。で、いつまでも別の役をやってるから、キレてんだ」
「ハハ、そんな感じ」
何とも皮肉というか複雑なことだが、レントンの父の一つのシナリオの顛末が、こうして多くの人の人生を巻き込み、とんでもない事態を発生させているようだ
「そんなに八つ当たりされてて、ドミニクは平気なの?」
「みんなにも言われるけどね・・・でも、好きだからさ、俺彼女のこと・・・」
ドミニクはこう言うのを隠せない、馬鹿正直な男であるらしい。これを聞いたレントンとカトリーヌの方が赤面してしまうほど、ストレートな返事であった
「いや、仮にも女優のマネージャーが、こういう感情を持つのは良くないかも知れないけど」
「そんなこと無いよドミニク、判るよ俺、すっげぇわかる!」
一方でレントンもドストレートな少年であった
「ドミニク・・・もし、もしさ・・・俺たちの劇団がきっちり『アゲハ』を演じたら、デューイさんが引き下がってくれるって言うの知ってるよな。じゃあそうなったらアネモネも、納得して落ち着いてくれるかな?」
「え・・・ど、どうだろう・・・」
しかし可能性がないわけでもない。アネモネはデューイにべったりなので、デューイさえ納得させれば、アネモネは別の何かを見いだすかも知れない
「けどあと六日でどうする気だいレントン?」
デュオから話を聞いていたのか、カトリーヌはそう言ってレントンを諭す
「そうは言っても、やらなきゃならないんですよ」
「気合いでどうにかなるってもんじゃないんだよ?」
そう言っても諦める気配のないレントン。カトリーヌは呆れたのか諦めたのか、深いため息をついてふと遠くの山を指さした
カトリーヌに言われるまま、レントンは朝霧の中を萩野富士を登っていた
果たして頂上へと辿り着いた彼が見たのは、今にも崩れ落ちそうな件の祭貢神社であった。彼は懐からなけなしの金を取り出すと、それを賽銭箱へと丁寧に投げ込む
「神様、このお社に居られる神様、お願いします。どうか僕の演技のレベルを、せめてエウレカと釣り合うレベルまで上げてください・・・ついでに、ドミニクが幸せになりますように、できたらお願いします」
祈りを捧げ、鬼の特訓に戻っていくレントンを見送り、鈴々奈・デュオ・カトルの三人が社から顔を出した
「五文の賽銭の願い、ってレベルじゃねーだろ、オイ」
「まぁ彼、安月給でホランドさんにこき使われてますからねぇ・・・」
苦笑いしている二人の後ろで、しかし鈴々奈は相変わらず真剣な面持ちである
「“殺し”だけが、我ら仕事人の仕事ではありません。お二人とも、判っていますね?」
「へいへい、言われるまでもござんせんよ、巫女様」
「今回は僕らだけで何とかやります」
ヒイロは別の仕事で留守しているし、この手のことに五飛は絶対顔を出さない
「そういやトロワはどうしたんだ?」
「花火の仕込みが忙しいみたいです」
「表の仕事が盛況なのは羨ましいねぇ・・・さてさて、いっちょ行きますか」
神社から帰ったレントンを、ホランドの厳しい鞭が襲っていた
「ったく、そんなへっぴり腰で“リフ”ったところで、観客が喜ぶわけねぇだろおが!」
ぴしっと腰を叩かれるレントン・・・そう、リアルに鞭が飛んでるから恐ろしい
「うひぃ!ひえええぇ!」
そのたびに情けない声を上げるレントンだが
「・・・レントン、カッコ悪い」
などとエウレカに言われれば、次の瞬間にはぴしっと開き直るので、判りやすい
「ほれ、そこでバク転だよ!」
まだ一度も成功したこともないバク転を、平然と強制してみせるホランド。端から見ればイジメでしかない。毎度ここでレントンは、頭を打ってしまう所なのだが・・・
(あ、あれっ?)
急に意図せず身体が浮いて、レントンは慌てた
そうして腕も足もぴっちりと引き伸ばされ、彼の体は見た目には完璧なバク転を決めて見せたのである
「・・・!」
「ど、どうしたのよレントン。今の完璧なターン!?」
さしものタルホ達も驚きを隠せない。ホランドなどは絶句している
「スゴいねレントン・・・ホランドの特訓の成果?」
一方のエウレカはごく自然にそう聞いてくる
「え、あ、ああ、うん!多分そうだよ」
そうは言ったモノのレントンも首をひねっては居た
その後の特訓での彼の身体の動きは凄まじく、ホランドの出すどんな無理な動きもそつなくこなし、エウレカと見事に息のあった“リフ”を繰り出していた
しかし、エウレカは彼を賛嘆はしても、結局この日笑みを浮かべはしなかったのだけれども

どうにかこうにか特訓を終えたレントンであったが、その最中の違和感はどうしても抜けなかった
「一体どうしたんだろう?なかこう、あっちこっちから引っ張られてるような・・・」
『フフフ・・・今頃気づいたか、愚か者め』
突然、聞いたことがあるような無いような、しかし妙にドスのきいた女性の声が響いてきた。周囲を見渡すが、それらしい人影もない
『貴様の手足から頭に至るまで、既に私の手中にあるのだ・・・そう、このマリオネット・メサイアであるレビ・トーラーのな』
「は!?何ッスかそれ、俺カタカナ語苦手なんで勘弁してくださいよ!」
『貴様の名前もカタカナの癖に、妙にずれたボケをするな!』
レビと名乗るその声の金切り声に合わせたように、レントンの四肢が有らぬ方向に曲がろうとする
「うぎゃあああ!?痛い、痛いッス!!」
彼の悶える声がひとしきり響いた所で、腕はようやく普通の状態に開放された
『フン、これで判ったろう。貴様は私が操る糸に絡み取られている。私こそは至高の人形使い、できんことなどない!』
実際は逆なのは言わない約束
『“私が”って、実際操ってんの俺・・・(バキッ)
何か違う声が一瞬混じったあと、鈍い音が響いた
「へ、今なんかノイズ混じったッスよ、レビさん?」
『気のせいだ』
まるでそれを誤魔化すように、またもやあらぬ方向に首や腰を曲げられてしまう
「うぎゃあ!ちょっと、死んじゃいますって、ちょっとー!?」
『フフフ・・・苦しかろう、辛かろう・・・だがそれに耐え、この糸の引かれるままにしておれば、貴様は完璧に“リフ”を演じることができよう』
「え・・・じゃぁもしかして、貴方は俺の願いを叶えに来た神様!?」
『フ、まぁそう言うことにしておけ。もはや貴様は何も考えずとも良い。我が手中でただ踊っておれば、それでよいのだ』
次の日からは、まさにその声の言うとおりだった
タルホが文句の一つも言えないほど、あらゆるタイミングでエウレカをサポートし、時には主役を張りそうになるほど、完璧な“リフ”をレントンは演じて見せた
もちろん、まだ身体の堅いレントンの身体は、Sッ気たっぷりのレビにいびられつつ、好きなように弄られているので、決して楽をしているわけではない。少しでも気を抜くと、筋肉痛で意識が飛びそうであった。しかし後のことを思うと、根を上げるわけにも行かない。それだけが支えだった
そうした噂を聞いて、様子を見に来た火消しのDC組やジャンク屋フリーデンの一同も、驚嘆の声を上げるほど、見た目には美しいお芝居が姿を見せつつあった
しかしホランドは、少しも首を縦に振らなかったし、エウレカも笑わなかったのだけども
さらに三日後
劇団『銀河』
「なんなのよ、もう、腹が立つ!」
瓦版を賑わす、レントンとエウレカの仕上がり具合と、うなぎ登りの評判に、アネモネは神経をとがらせていた
もう明日は運命の七日目である。彼女は自信はある、いやあったつもりだった
しかしこうなっては、先がどうなるか判ったものではない、などと周囲に噂されつつあることぐらい、いくら彼女でも判っていた
「だ、大丈夫。落ち着いてアネモネ。きっと平気だよ」
レントンに後事を託したとは言え、アネモネに負けて欲しくないのもまた、ドミニクの本音ではあった。彼女が納得する形で頑張って欲しい・・・しかし、そんな彼の思いはアネモネには届いていなかった
「うっさいわね、アンタにアタシの何が判るの!?」
またもや半狂乱になったアネモネの手には、意図せずカミソリが握られていた・・・
最後の仕上げに余念のない劇団『月光』を、自警団のギリアムが訪ねてきたのは、勝負の朝のことだった
「よおギリアムの旦那。深刻な顔してどうしたんだ」
こっちゃ何も悪いことしちゃい無いぜ?と付け加えつつ、ストナーがそう尋ねる
「いや、一応こちらにも知らせた方が良いと思ってな」
そうしてギリアムは、ドミニクが不慮の事故で意識不明の重体になったことを知らせた。しかもその原因が、アネモネにあると言うことなので、これからの芝居勝負もどうなるか判ったものでない
「いや・・・それでもやるだろうな。デューイはそう言う男だ」
ホランドは取り乱すこともなく、ギリアムに丁寧に礼だけ言うとまた特訓に戻っていった
「大丈夫かな、ドミニク・・・」
彼の一途さを見ているレントンにとっては、この騒ぎの根の深さが身に染みるような気がした
『フン、敵を心配している場合か』
そう煽ってくるレビに、レントンもさすがにムッとする
「敵とかそんなんじゃないですよ。人の命がかかってるんですよ?」
「レントン、誰と話してるの?疲れてるの」
エウレカにそう言われ、レントンは慌てて何でもないよと取り繕う
「でもなんやかんや言って、あと数刻・・・エウレカ、頑張ろうね」
「・・・うん」
浮かない顔のエウレカ。特訓が始まって以来、ずっとこうだ。レビ(+α?)のおかげで芝居そのものは完璧なのに、彼女は結局今日この日まで、ぴくりとも笑わない
「どうしたのエウレカ。俺の“リフ”、まだなんか足りないの?」
レビ曰く完璧に操作されてるらしいし、エウレカの求める高速“リフ”にも追いついているはずなのだ。なにせラストの“大ジャンプ”もこなせている(ように見える)のだから
「・・・ねぇ、レントン本当に本気?」
いつもは言うことも言わないエウレカに、突然そう聞かれてレントンは答えに窮した
「アタシは、いつも必死なレントンとやりたいな」
レントンがどきっとしたのは、言うまでもないことだった。結局のところ“操り人形”でしかない自分を、しっかり見抜かれていたと言うことである
「う、うう・・・エウレカ・・・俺・・・」
確かに初めて彼女に逢い、そしてホランドに攫われたあの日、彼は本当に純粋にエウレカを想い、そして彼女のために精一杯声援を投げかけた
それが彼女を笑わせたのだ。今になって気づいた

「レビさん、今までありがとうございました。今日こそ僕、一人でやります!」
周囲に人が居ないのを見計らい、レントンはどこかで自分を見ているであろうレビに、そう決意を叩きつけた
『ほう、見上げた根性だが・・・貴様一人で、あの芝居を守ることができるか?』
「ぼ・・・僕は一人じゃありません。エウレカもホランドもタルホさんも、ドギー兄さん達だってみんな・・・口ではああ言ってても、みんな僕を指導してくれてます。レビさんだって僕を導いてくれたじゃないですか。そんな甘い環境にいつまでも頼ってたら、それこそ僕があの人の言う“人形”じゃないですか?」
レビの返事はない。レントンはそれに構わず言葉を続けた
「“ねだるな、勝ち取れ。さすれば与えられん”」
『アドロック・サーストンの言葉か』
レントンにとって父は、それほど重要な壁でも、嫌うべき対象でもなかった。しかしこの言葉だけは、一つの光となって彼に希望を示していたように感じられていた
「僕は自分の手で、エウレカの笑顔と、父さんのシナリオを勝ち取ってきます!」
『暑苦しいヤツめ・・・そんな暑苦しさに当てられては、私も頭痛が酷くなる。ならばとっとと舞台へ上がってくるが良い』
そこでレビの声が遠のき、ふと自分を縛っていたようなモノの感覚も途切れた
あとは自分でやるしかない、本当に。でも一人じゃない
舞台へ駆けていくレントンを見送るように、佇む影が二つ
「あっちはどうにかなりそうだな。ふぃー、操るのも一苦労だぜ」
「泣き言を言う暇があるか。あと一つ問題が残っているのだ、さっさと行くぞ」
「・・・あのさ、モード戻してくんない?」
「黙れ、ウジ虫め!(バキッ)

向かって右に、劇団『月光』の舞台
対する左に、劇団『銀河』の舞台

そしてそれを正面に見据えられる客席を用意し、町の有志を募って鑑賞して貰う
勝負はこういう趣旨のモノであり、ホランドの予想どおりに、デューイはアネモネを連れて何食わぬ顔でそこに現れた
二人の兄妹は声を交わすこともなく、またアネモネも一言も声を発さず、こうして舞台の幕は上がった

レントンの出だしはもう、今までの評判は何だったのだ、と言うくらい酷いもので、エウレカに振り回されるのはまだ良い方で、滑る転ぶの大騒動であった
しかし、レビにいぢられまくったのは伊達ではなかった。徐々に、本当に少しづつではあったが、彼の動きはエウレカのそれと息を合わせ始めた
身体が“リフ”の手順を覚えていたのだろう
思い出されるその動きを、必死で再現しようとするレントンの姿に、エウレカの表情もまた、徐々にほころび始めてきていた
最初、派手で見栄えの良い劇団『銀河』の舞台に目を向けていた町の人々も、明るく熱意ある二人の芝居に徐々に引き込まれつつあった

一方でアネモネは完璧だった。手先の動き、足先の捌きまでの全てが・・・いや、表情・・・その一点を除いて
いつもは、悪戯そうな笑顔の一つも浮かべる彼女であったが、今日はまるで仮面を被ったような笑顔であった。その裏に例の事件があることは明白であったが・・・
町の診療所。名医テクスの手によって、何とかドミニクは意識を取り戻したが、絶対安静なのは変わり無く、それゆえに彼は暗い闇の中にいた
それはもちろん彼自身のイメージ、精神的なモノが表すものである
『いいざまだな、ドミニク・ソレルよ』
闇の中にドスのきいた女性の声が聞こえてきた
『自らの気持ちを素直に表さず、ただあの娘のなすがままになってきた・・・これはその罰だ。そして今から私が、さらなる地獄を見せてやろう。征くぞ、第1地獄カイーナ!』
その声に合わせてドミニクの脳内に、まさに今演技対決をしている、アネモネの姿が流れ込んできた
(ああ、アネモネ・・・!)
彼女が無理をしているのくらい、ドミニクにはすぐ判った。この大事な時に、自分は何をしているのだろう
確かに自分は彼女のなすがままだった。辛い時も苦しい時もあった、言いたいこともあった。それでもただ、彼女が好きだから、できなかった
『ほう、まだ反省する気がないようだな・・・ならば、第2地獄アンティノラ!』
すると今度は場面の焦点が、アネモネを集中的に追うようになってきた
(もしこの舞台が終わっても、女優をしていていいって言われたら、小さな鏡を一つ買って、本当に微笑む練習をしてみよう)
アネモネの声が聞こえてくる。押し殺した何かを含んだ、重い重い声が
(何度も何度も練習しよう。もう一度、ちゃんと逢うために)
それは誰に逢うためなのだろうか。デューイは客席で、渋い顔をしながらもそちらを見ているじゃないか
『どこまで鈍い男だ。もう少し仕置きする必要があるか・・・第3地獄トロイア!』
アネモネの声がさらに続く
(ちゃんと演技をしたい、ありがとうを言うために。ちゃんと演技をしたい、たくさんの気持ちを送るために)
そう言いながらも身体を動かすアネモネは、やはりプロだ。ドミニクはそんな彼女に賛嘆を送る一方、それほどまでにデューイを思っているのかと、少々落胆したりもしていた
『本気でどうしようもないヤツめ・・・ええい、ここまでさせるとは!最終地獄ジュデッカ!!
場面がいきなり広域になり、レントンとエウレカの演技へと移った
彼らは大詰め、空の彼方から大地の精霊へと、少年が愛を語るシーンにさしかかっていた。これは舞台の高台から、紐無し生身のダイブが必要だと、ホランドが主張して譲らない所である
「やるぞ、俺!アイ・キャン・フライだ!!」
レントンは自分に言い聞かせる。練習の時はレビに引っ張って貰ってたので、上手いこと落下寸前に着地できていたのだが、今回はそうはいかない
それでも彼は行く。何故自分が、訳も分からず引っ張られた劇団で、こうしてここまで頑張ってきたのか。たった400行しか書いてないSSだが、その背景は皆さんご存じだろうことなので、ここでは省く!
思いの丈をぶちまけるべく、レントンは華麗に宙に舞った
「エウレカーーーーーーーーッ!」
彼は想いの彼女の名を叫んだ。それは台本にはない
突然のアドリブに戸惑ったエウレカだったが、一直線に自分に向かって舞い落ちてくるレントンに向かって、自然と腕を広げていた
さらにアドリブで、伝説のカットバック・ドロップターンを決めつつ、その温かい両手の間に、レントンは狙い違わず、見事に着地して見せたのだ
沸き上がる歓声、拍手の渦で埋め尽くされる観客席
「スゴい、スゴいよレントン!」
さしものエウレカも、台本など完全に頭から飛ぶほど喜び、本当に今までにないほどの笑顔をぱっと咲かせた。レントンもまた、もう何もかも終わって良い、と言うぐらいの笑顔をエウレカに向ける
「エウレカ・・・君だから出来たんだ、君じゃなきゃ駄目なんだ・・・今判った!」
レントンはエウレカに精一杯抱きつきながら叫んだ
「俺は君が大好きだぁ!」
「はぁ!?」
いきなり告白し始めたレントンに、観客席はあっけにとられてしまっていた
だが、エウレカは真剣に聞いて、そして笑顔で応えた
「好き・・・そう、レントンは、私のこと好きなんだね」
「そう、大好きさ!その気持ちに、みんなが気づかせてくれたんだ!!」

と、反対側の舞台で、ガタンと大きな音がした
そこには、カラクリの“少年”を受け止めきれず、がっくりと舞台に膝を落としたアネモネの姿があった
「アネモネ・・・?」
エウレカは彼女の異変に気づき、レントンを伴ってそちらにゆっくりと近づいていく
「ちゃんと演技をしたい・・・したかったの・・・気づかなければよかった。こんな気持ち・・・」
誰にともなくそう言うアネモネが、誰に何を見せたかったのか・・・エウレカにはすぐ判ったようだった
「大丈夫、言えるよ。アネモネ」
そう、諭すように語りかける彼女の背から、羽のようなモノが生えてきたのを、レントンは不思議そうに見ていた
一方で、アネモネはどうしようもない自分自身の声を、エウレカにぶつけてきた
「無理だよエウレカ・・・だってアタシが、あの人を傷つけちゃったもの!彼が見てない所でお芝居なんて・・・できないよ!」

その叫びを聞いて、ドミニクはようやく彼女の苦しみの根本に気づいた
届いていたのだ、自分の心は
(なんてこった・・・くそっ、動け、動けよ僕の身体!)
だが、手足がぴくりとも動かない。いくら彼が重傷の身だからと言って、いくらなんでもこれは無いのではなかろうか?
『ふん、最終地獄ジュデッカまで発動させておいて、まだもがくか。貴様の身体は既に、我が手中にあるのだ』
ドミニクは知る由もないことだが、彼もまたレントンのように糸によって身体を縛られ、身動きを封じられているのだ
『だから、実際やってるのはオ(ドカッ)
(な、何だ今のは!?)
『貴様には関係ない。とにかく、どれほどあがこうともその四肢は・・・』
しかし、そんな言葉も全てはね除けるかのごときパワーが、今やドミニクに集中しつつあった
「ア・・・アネモネェェェェェ~ッ!!」
その凄まじい愛の叫びはレビの呪いを吹き飛ばし、デュオの操り糸を強引に引きちぎり、まだ血の回らぬ五体を無理矢理たたき起こし、ドミニクのその身を時間も空間も越え、一瞬のうちに舞台会場まで跳躍させたのであった
「・・・!ドミニク!?」
彼の叫び声を聞いたアネモネはハッと顔を上げた
そこには、会場に駆け込んだは良いものの、致死量の出血から回復していないばかりに、超貧血状態になってふらふらのドミニクが居た
「ア、アネモ・・・ネ・・・その・・・ゴメン」
そこまで言うと彼は、やり遂げたように笑顔を浮かべて倒れてしまった
「ドミニク・・・来てくれた、来てくれたのね!」
その彼をどうにか抱き留め、そして満面の笑みを浮かべるアネモネ
「良かった・・・良かったね、アネモネ」
「ありがとうエウレカ・・・本当、伝わったよ」
互いの勝負などそっちのけで、求めていた“愛”を手に入れた二人の少女の、幸せに満ちた笑顔
「なんだかよくわからんが、とにかくよし!」
DC組一番隊隊長、ゼンガー親分の言葉の通り、とにかくホンワカな気分になった観客達は、ブラボー!と口々に叫びながら、二つのカップル誕生を祝ってくれていた
その満足げな観客の姿には、ホランドも文句を言うことはできなかった
(レ、レントン・・・恐ろしいヤツ!)
自分自身の演出自体に間違いはなかったのだ。それは確信を得た
しかし最後のアレは、あのカチコチの状態から出るアドリブではない。レントンは一体何を悟ったのだろうか
「むぅ・・・故人曰く、“その者、金色の首輪を身につけ、恋人をその腕に抱くべし。失われし大地との絆を結び、ついに人々を青き清浄の地にみちびかん”・・・伝説は誠であったか!」
「それ漫画が違うだろ、兄さん・・・」
感動したなら感動したと、素直に言えばいいモノを、訳の分からない微妙な某漫画のパロディをして誤魔化すデューイに、ホランドは半ば呆れて久しぶりに”兄さん”と呼ぶのであった

「エウレカ、アネモネ嬉しそうだね」
ドミニクをしっかりと支えるアネモネを、レントンもまた祝福していた
(姉さん、祭貢神社の神様はホントにスゴいです!俺、千両役者になれたら、必ずもっとお賽銭持ってお礼に行きます!)
心の中で心底神に感謝しているレントン
と、我に返って彼は、エウレカの背中に生えた例の“羽”に興味が移った
「ところでエウレカ、これ衣装か何か?スゴい演出だね」
「え、これ本物だよ」
と、その“羽”はエウレカの言葉に呼応して、ぱたぱたと風を起こしてみせる
「・・・へ」
レントンにはその意味がとんと分からなかった
精霊ニルヴァーシュの証として生えてくるの。アタシ、レントンのおかげで、ちゃんとニルヴァーシュになれたよ。ありがとう」
「マジで!?」
「いやっはぁ~、参ったねこりゃ・・・」
そう言った感動の渦とは外れた場所で、ドミニクの勢いに吹っ飛ばされ、もみくちゃになりながら呆然としている、デュオとカトルの姿があった
「愛の力って偉大ですね・・・」
緊張の糸が途切れたのか、カトルもS女王“レビ”モードが切れて、いつもの調子に戻っている
「んまぁなんだ、とりあえず“依頼”はこなせたようだし、帰ろうか」
「帰るって、こんなに糸まみれになって、身動き取れませんよ?」
デュオご自慢の組紐が、ばらけて散乱して二人の身体に絡みついていた
途方に暮れている二人は、近寄ってくる人の気配に気づいて眉をひそめた
この体たらくでは“仕事人”とは気づかれないだろうが、特にカトルに関しては顔を見られるのはまずい
どうしたものかと考えていると、近づいてきた人物の方は彼らの姿を見ないよう、僅かに離れた所で立ち止まる
「・・・デュオさんとカトルさん、ですか?」
カトルの本名を知る者は少ないが、かといって相手の声は余り聞き慣れない
「・・・誰だよ?」
「師匠に言われて迎えに来ました。今、糸を解きますから」
ひょいと顔を出したのは、種死長屋で有名な引き籠もりニート、キラ・ヤマトであった
「キラじゃねぇかよ・・・なんだ、師匠って?」
彼が表に顔を出してることも驚きだが、この男に“師”と呼ばせるヤツが居たのだろうか
「いろいろあって、ヒイロ師匠に弟子入りしました。これから見習いで、よろしくお願いします(ぺこり)」
あとで知る話だが、ヒイロが担当していた別の仕事で、アスランの依頼で引き受けたニート脱却計画のため、引き摺り出されてきたらしい
「なんだそりゃ!?」
「・・・また変なのが増えた・・・」

(後書き)
さすがに、エウレカセブンのTVストーリーを、1話に凝縮するのは無理があったかw
とはいえ、ワイルドヘヴンさんが振ってくれたネタのために、これが必要だったりする
なので、エウレカの羽のネタ振りも、デューイのすっとぼけも、ギリアムやゼンガー親分も、あとでちゃんとストーリーがあるです

さてその前に、ガロードの話を書かねばな・・・
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2009/04/22 22:10 | SS【スパロボ系】-スパロボ仕事人COMMENT(6)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

・・・・面白い!

成る程!ゲッコーステイトを劇団一座に仕立て上げ、カトルが中の人にて化けた人形師・・・・
交響詩編の筋書きを辿りつつ演目と相成った揚羽・・・
いやはや感服です!

スパロボ横町へ一座あり、銀河はたまた月光か、片目に見えるはアネモネか、それともレントンエウレカか

両目に見えるはリフの舞い、音に聞こえたニルヴァーシュ

アゲハに割り入る愛の声、それははたまた台本か

さァ見なきゃ逃げるよ揚羽蝶

横町来たなら一度はおいで
横町来たなら一度はおいで


・・・・・とまぁお粗末です(滝汗)

No:1269 2009/04/23 00:51 | ワイルドヘヴン #- URL [ 編集 ]

第三話

本筋の仕事人に近い第二話とはまた違う第三話はおもしろかったです。ところで仕事人の設定が以前紹介されていまししたが、アムロたち南町奉行の設定も見たいですね。また楽しみにしています。

No:1270 2009/04/23 06:45 | 壱華 #NneUd/oM URL [ 編集 ]

どうも、今回も面白く読ませていただきました。
最後にキラを出していただきましたが扱いはあんな感じでいいです。
あいつはこの作品じゃ基本パシリってイメージですからww
基本完璧超人なんで雑用は何でもできるってイメージですからね、キラは。
あくまで情報収集とか危険すぎる任務をやらされて最後にガンダムWチームがカタをつけるって形でお願いします。
どうせ嫁補正で死なないだろうし。

No:1271 2009/04/23 23:05 | あくと #6Z79jEeU URL [ 編集 ]

エ、エ、エエウレカァッ!

どもっす!

今回の仕事人、エウレカを一話でまとめようという『仮面ライダーディケイド』的なチャレンジャー精神に感銘を受けました
個人的には、物語の主要要素やキーワードが散りばめられていて良かったです

さて、最近あるすさんによる書籍紹介がありますが、あっしはアニメ&特撮&映画紹介でもしますか…

・座頭市と用心棒…我が実家では大晦日にこれを観る事が習慣です(笑)
勝新太郎と三船敏郎の掛け合いはもちろん、九頭竜(くずりゅう)を演じた岸田森の不気味な佇まいはゾクゾクきます

用心棒 「バケモノ!」
市 「ケダモノ…!」

では、今日はこの辺りで失礼しやす!

No:1272 2009/04/23 23:06 | 弁慶 #9fYuzJy. URL [ 編集 ]

元ネタはガラスの仮面

ある瞬間に
『瀕死の状態で演技指導するホランド(月影先生)』と
『啀み合いながらもつい応援してしまう、デューイ(紫のバラの人=速見)』
を妄想して、吹いたのがきっかけ

ワイルドヘヴンさん>
おお、なかなか粋な煽り文句をありがとうございます
今回ネタが降ってきたのも、ワイルドヘヴンさんのおかげなので、こういうコメントは毎度毎度有り難いッス

壱華さん>
奉行所の設定は、まぁいろいろありますが・・・
実に適当に始めたこのストーリーも、ワイルドヘヴンさんのおかげで『根っこ』が決まり、その設定に関わる所になってしまったので、適度な所だけ今度曝しますかね

あくとさん>
また外伝書いて下さい(ぇ
>どうせ嫁補正で死なないだろうし。
というか、この世界自体では、よほどのことがない限り人が死ぬことはないです
なぜか?
そう言う場所だからです(ぇぇ

弁慶さん>
>エウレカを一話でまとめようというチャレンジャー精神
途中で止まらなくなってこうなりました
どうやらニルヴァーシュが書けと言っていたようです(ぉ
>座頭市と用心棒
・・・なぜか、石ノ森章太郎先生の、『佐武と市捕物控』が頭をよぎった・・・
(知らねぇって、今の若い人絶対判らんねぇって!)

No:1273 2009/04/24 01:23 | あるす #- URL [ 編集 ]

何てこったい…

スパロボ所か時代物まで混ぜますかい?

イチさん>
ありがとう、妄想が爆発してます。

あるすさん>
そんな訳でエディルレイドの妄想設定を転送願います

No:1276 2009/04/25 02:00 | 飛白 #- URL [ 編集 ]

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