【スパロボ妄想】ガンダム仕事人~第十話~

とりあえず、こんなニュースから
歴代ガンダム軍隊のエンブレムピンバッチ発売
とりあえず上から3列の右から2個目以降は要らん(ぇ
つーか値段高いよ
21,000円ってなに!?


さあて・・・
この第十話を書くのに、1ヶ月半近い充電が必要でした
しかもここから、若干シリアスになります
でも最後までのプロットはできてます
何とか書ききるよう頑張ります
勝手ではありますが、応援お願いします!


そこは、限りなく近く遙かに遠い世界
華のバンプレ国
ここはスパロボ横町


それは横町始まって以来の一大事であった
南町奉行所には、次から次へと住人の悲鳴が集まり始めていた
「ウチの牧場が・・・牛や馬たちまで・・・!」
「公園が凍っちまって、これじゃ仕事に出られねぇじゃんか!」
「海の方まで凍り始めてるって話だ」
「それじゃ魚捕れないじゃないか!?」
「“鉄”の温泉も凍っちまったって話だぜ」
「何でも自称、炎の魔神とやらが頑張ったらしいけど、全然ダメだったとか」

こうして凍り行く町を眺めながら、ラミアは一人物思いにふけったような表情を見せていた
『これが・・・“アレ”の合図だとするならば』
時が来たと言うことだ
「この町の時が動き始めたというのか・・・だとするなら、私は使命を果たすのみ・・・」
彼女は次の瞬間、その場から消えてきた


町の凍り方に一定性はなく、それはもう無差別と言わんばかりに、あちらこちらがこちこちになっていた。場合によっては、凍ったまま中に閉じ込められた人も居るらしく、またもや獣戦機隊は大忙しだし、そんな彼らを応援するファイア・ボンバーのバサラの喉は、そろそろ限界に達しつつあるように見えた
その状況を、アムロとクワトロが眉をひそめながら見ていた
「バサラ、少し休め。いくら君でも・・・」
「いや、彼には酷かも知れんが、一瞬でもこれを止めない方がいい」
バサラを気遣うアムロに対し、クワトロは間髪入れずにそう指摘した
「クワトロさん、何か思うところでも?」
「うむ・・・まだ確信がある訳ではないが」
と、その時
彼方から馬の蹄の音が響く。エレガントなバラの花を散らしながら、颯爽と現れたのは二人にとっては意外な人物であった
「貴方は・・・北町のトレーズ?
最近北町奉行になった、トレーズ・クリシュナーダその人であった
「南町奉行の諸君、ここは我々も協力させていただく」
さらりとそう言ってのけるトレーズに、アムロもクワトロも、そして陣頭指揮をしていたブライトも、三人して顔を見合わせてしまう
「町全体の危機に、北も南もないだろう?」
そう言ったのは、遅れてその場に駆け付けた、ゼクス・マーキスであった
『正論だがな・・・どうする、ブライト、クワトロさん?』
『彼ら、信用できるのか?』
『むぅ、この二人、北町ではかなりまともな人物ではある、かな』
町を牛耳ることしか考えてなかったジャミトフとか
実は木星党と通じてたシロッコとかカガチとか
ほとんど悪徳商人状態だったシベ鉄の連中とか
そんなのに比べたら・・・いや、比べるのが多分失礼なくらい、まともである。何かする度に、エレガントな光がキラキラ輝くこと、以外は
「我が方からは、このゼクスを筆頭で動かす。情報も惜しみなく出そう」
「情報収集において、優秀な人員が居ると聞いているが?」
「レディのことだね。彼女は確かにプロだよ」
ブライトの思う所を察したトレーズがそう応える
「ならば、俺たちは町民の救出に専念していい、ということか」
「そうしてくれると我々も助かる。よろしくお願いしたい」
「ああ・・・こっちは俺が中心でやってる。よろしく頼む」
互いに手を取り合うアムロとゼクスだが
(仮面の男、か。なんだかやりづらいな)
所在も不明の“あの男”を思い出し、アムロは複雑な思いであった
「ところでトレーズ殿。私から貴殿に許可を取っておきたいことがあるのだが」
クワトロがふいに声をかけてきたので、ほう?とでも言うような顔で見返すトレーズ
「夢登呂横町の雷電様のお社に、とある願い事をかけに行かせて貰いたい」
「あそこへ行くというのかね?・・・よほどのことと思われるな」
以前にもちらりと書いたとおり、雷電様はスパロボ横町の守り神の中心である。それに直接お願い事をしに行くというのだから、さしものトレーズもただ事でないと察したようだ
「参考までに、どのような願をかけるのか、教えて貰えないかな?」
「難しいことではない。雷電様・・・正確には、洸君の力を借りたい、ということだよ」
クワトロはそう言うと、傾奇者集団ファイア・ボンバーの働きぶりを指さしてこう言った
「彼らの唄の響き渡った所を見たまえ。確実に“凍結”が溶けているだろう」
しかもそこに、熱血集団・獣戦機隊の“やってやるぜ”パワーが加わっているので、一部の町は凍結からようやく開放されそうになっていた
だがしかし、唄バカ・バサラといえども人間である。その体力と、何より喉に限界が来るのは時間の問題であった
そこでクワトロとしては、雷電様のとあるお力を持ってして、バサラの唄を効率的に使う方法を考えついたのだという
「なるほどね・・・いいだろう。あそこは北南、両方の同意がないと近づけないからね。なら、私も野暮用を済ませるついでにお付き合いしよう」
「助かる」
「よし決まりだ。アムロは引き続き、獣戦機隊を手伝って町民の救出、ゼクス殿は情報収集だ」
「了解」
ブライトの掛け声に合わせ、町を護るために男達はそれぞれの持ち場に散った
・・・ただ一人、ゼクスだけがこのとき、祭貢神社に向かったのであった、が
得具洲久長屋に迫り来る“氷結”の恐怖を目の当たりにし、長屋の住人達は逃げ出す準備に大荒話であった
そんな中で、ゲイン一人が妙に冷静であった
「もしやこれは・・・ヤツか?」
ゲインには思い当たる節があったようだった。その相手がいる部屋、つまりゲイナー宅を見に行くと
「おーい少年、居るか?つーかまともか?」
「うーん印刷代が足りないかも…」
そこではゲイナーが、夏コミの同人誌の発行部数に頭を悩ませていた
「ぺしゃんこになっちまいな!」(バキッ
「ブリュンヒルデの腕使用反対!」

拍子抜けしたお返し、とばかりに叩きのめされるゲイナー、哀れ
「こないだサラに殴り飛ばされたって言うのに、まだそれかい?ちったあ成長せんか、主人公!」
「しょうがないでしょう。僕の生活費はここから出しているんだから!」
一体1冊何円で売りつけてるんだコイツ?
やめちまえ、そんな不毛な職業…というか、見た目にまったく凍っちゃいないようだな」
「何の話です?」
さすが引き籠もり。外があれだけ大騒ぎなのに、全く何も気づかないまま、同人誌に心奪われていたらしい
ゲインはがっくりと肩を落としつつも、とりあえず状況の説明をしてやる
「それは・・・大変だ!でも、それの犯人は僕じゃないですよ」
「そんなの見りゃ分かる。あとはもう一人、やんちゃな彼女はどうした?」
言われてゲイナーは、手元にあったネット(例のD.O.M.E通信のヤツ)のスイッチをオンにする
「やぁシンシア、聞こえる?」
「ハァイ、ゲイナー。来ると思ってたよ。あたしはこの通りフツーにしてるよ。そっちも・・・無事みたいね」
シンシアは事が読めていたらしく、状況の説明をしてやるまでもなく、自分自身が“氷の女王”になっていないことを説明してきた
「こいつはますます謎めいてきたな」
この二人が無事であるなら、誰が“アレ”を動かしたのか。そもそもその犯人自体が、自分の想像とは違うのだろうか?
思案に暮れる二人の背後、長屋の扉の向こうから、急に吹雪が忍び込んできたのは、その時だった
「ゲインさん!」
「ちっ、ヤツの方からお出ましか?」
大慌てでゲインがガラッと引き戸を開けると
「この辺なんだけどね」
「うむ、確かにジョッシュの心を感じる」
和服姿に身を固めた雪女と、にこやかな笑顔を絶やさない北風小僧が立っていた
(ヤツじゃあないようだが、しかし・・・?)
不審そうにこちらを見ているゲインに気づいたのか、その内の雪女の方がくるりと振り返って彼に近づいてくる
「すまない、この辺で、こんな男を見かけなかったか」
いきなり写真をずいっと近づける雪女だが、北風小僧の方がそれを制する
「ラキ、人にものを訪ねるのに、そんなぶっきらぼうな言い回しじゃあダメだよ。ええとすみません、僕ら人を探しているんですが」
その写真に写っていたのが、最近この辺りに現れたラドクリフ兄妹だというのが、ゲインにはすぐ分かった
「あんた達、ジョッシュの知り合いか」
「知っていたか。で、ジョッシュはどうした」
「ラキったら・・・ええと、知り合いって言うか」
返答に窮する青年の背後に、件のラドクリフ兄妹が都合よく現れた
彼らもまた、町が凍った現象が“捜し物”に関連することから、町を歩き回って戻ってきた所であった
「ラキとウェン?」
「どうしたの二人して」
「寂しかったからだ」
「ぶっ」
いきなりそう応えるラキに、その場の全員が吹いたり転けたりずっこけたり
「こら、ラキ!?」
「・・・と、言うように博士に言われたのだが、なぜそんな迷惑そうな顔をする」
どうやら何か“仕込まれて”来たらしい上、どうもこのラキという女性は天然のようだ、と一緒に居たギュネイは察していた
「あ~のクソ親父・・・」
「落ち着いてアニキ。なんか分かったの、ウェン」
犯人に歯ぎしりする兄をなだめつつ、ここに来た理由を改めて問うリム
「うん、博士の使いで、二人を追って来たんだ」
「おいジョッシュ、なんだこの二人は」
どうも4人だけで話が進んでしまっているので、ギュネイは少しイラついたように、事情の説明を求めてジョッシュに噛みつく
「ええと、異母姉弟と言うか、なんというか」
リムは分かり易く説明しようとするが、この場合は少し無理がある、と言うのがジョッシュの見解であった
「とりあえず正直に説明すると、親父が掘り起こした物体から生まれたものに、親父の細胞を移植したところに、俺の精神がリンクして
「・・・もういい、ジョッシュ」
「お前ん家が複雑怪奇極まりないのが、改めてよーく分かった」
長くなりそうなので、ゲインもゲイナーもギュネイも、それ以上理解するのは止めた
「・・・すまない」
ジョッシュの方もすまなそうではあった・・・
「と、とりあえず、話題戻すよ、アニキ?二人でここまで来たの」
リムに問われ、しかしウェンは首を横に振った
「ううん、イグニスと途中までいっしょだったんだけど」
「気づいたらはぐれていた」
「どの辺りで」
「うむ。確か大きな三角錐の大きな山の辺りだ」
町で噂になっていた、“鉄”に来た自称・炎の魔神というのが、何となくイグニスっぽいのが、ジョッシュとリムには容易に想像が付いた
「アクイラ、コンターギオ、ウンブラは?」
「南極で引きこもっているよ。暖かい所は嫌だって」
特にウンブラは明るい所からして嫌いなので、出てこないのも仕方ないだろう
「前置きはいいだろう。とにかくジョッシュ、どこかに通信装置はないか。博士が二人に伝えたいことがあるんだそうだ」
ラキに促され、狭いゲイナーの部屋には、男5人に女2人の計7人が、通信装置の前に雁首揃える形になった
「やあジョッシュ、パパだよ」
南極と繋がったとたん、ほやんとした顔の初老の男性が、にこやかな笑顔を送ってきた。これが先ほどのジョッシュの言う所の、クソ親父らしい
「どこかで聞いたような前置きはいいから、本題を言ってくれ」
「相変わらずクールな反応だな、息子よ」
「あんたの好奇心が原因で、俺とリムがこうして遠い地で苦労しているんだが」
ミニ親子喧嘩勃発の火種を感じた、と言うわけではないが、ゲインにはジョッシュの話よりも先に確認しておきたいことがあった
「ちょっといいか、ジョッシュ。おい、ジョッシュの親父さん、聞いたところによると、あんた考古学者だそうじゃないか」
「ん、まあね」
正確には古代の遺物を、いかに現代に利用できるかを考える、産業考古学と言われる分野に近い仕事なのだが
「そのあんたが、なにやら掘り当てて・・・」
「結論から言おう。我々はうっかり、超古代に封印された、悪魔を解放してしまった事が分かったのだよ」
突然、ジョッシュの父とは別人が画面に割り込んで、結論をさっさと述べてしまう
「あなたは?」
「博士には助手がつきもの。そういうことだ。クリフと呼んでくれたまえ」
「・・・お前ん家、本当に変わり者ばかりだな」
「・・・」
ギュネイにそう言われては、ジョッシュも返す言葉がない
だが、ゲインにとってはクリフの言葉は、悪い予感を的中させるモノの一つであった
「封印された氷の悪魔・・・というわけか?」
「正確にはその一部だがね。でなければ、我々はこうもピンピンしてはいないさ」
「呑気に言っている場合じゃないですよ!そいつはあの」
忌まわしいオーバーデビルが、世に放たれたか」
あのゲイナーが顔を真っ青にしているので、さしものギュネイも事の大きさに関心を持たざるを得なかった
「なんなんだ、そいつは一体」
「文字通りの悪魔さ。遠い昔、野心を持って世界を凍り付くそうとして、大暴れした」
それは今、スパロボ横町を襲おうとしている、全てが凍りついていく現象に逃げいなくともない
「親父、あんたよりによって、なんてものを掘り当てたんだ!」
「んー、2000年くらい前のさ、面白そうな札があったんで、つい剥がしたらさ。ハハハ」
彼の方は全然悪気も緊張感の欠片もないようだった
「・・・事が済んだら、一度殴り倒していいか?」
珍しく怒りで歯ぎしりしているゲイン
「お好きにどうぞ」
ジョッシュはそう応えるしかなかった
「ゲインさんもジョッシュのお父さんも、ちょっと待って下さいよ」
そんなカオスった状況に、ゲイナーがちょっと横槍を入れてくる
「お二人が解放しちゃったのは、オーバーデビルの一部でしょ。いくらアレが強力な力を持っていても、一部だけじゃ世界を凍らせる力なんて、出せるはず無いんだけど」
「そこまでは私も知らないな。南極から出てきたのは、一番デカい顔のところだけで」
が、そこでギュネイはこの会話に、根本的な“おかしい”ところがあるのに気づいた
「おい、ちょっと待て。お前ら、なんでそんな昔の事、知ってやがる?」
しかもまるで、“文献で知っている”レベルではなく、“生で見た”レベルの会話にしか聞こえない。それについては、ジョッシュもおかしいとは思っていた
「・・・それは」
どう説明したものか、と顎をさするゲイン
が、そこへ別のモノが乱入してきた
「ギュネイ、ギュネイ居る!?」
「・・・ハサ?」
それは、剣術道場の同門だった、ブライトの息子のハサウェイであった
「クェスは・・・一緒じゃ、無いの?」
「そんなわけないだろ。何言ってやがる」
まだギュネイが下級武士の息子であった頃は、二人はクェスを挟んでそれなりに仲良くやっていた。だがギュネイの家が落ちぶれてしまった後、家柄の問題もあってクェスと疎遠にならざるを得なかったギュネイは、急速に彼ら二人との仲もよろしくなくなっていた
「そうぶっきらぼうにするなよ、ギュネイ・・・ハサウェイって言ったっけ?何があったんだい。その慌てよう、ただ事じゃないだろ」
さすが空気の読める男、ジョシュア・ラドクリフ。ギュネイを諫めると、肩で息をしているハサウェイを落ち着かせる
「クェスが・・・行方不明なんです。攫われた、って話もあって」
「なんだと!?詳しく聞かせろ、ハサ!」
思わずハサウェイに飛びかかるギュネイ
「ぼ、僕だって、アウデナーのおじさんから、クェスが居なくなった、って聞いただけなんだよ!」
その数刻前に、クェスの部屋から争うような声が聞こえた、という証言もあることから、誘拐の節も考えられているらしい
「くそっ、どこのどいつだ、そんな・・・!」
「ギュネイ、こっちの件は俺達でやる。お前はハサウェイと一緒に、そのクェスって子を捜してこい」
ジョッシュの、ギュネイの心情を察してのことだった
「だが、お前の捜し物は」
「いや、もう捜しても遅い。コイツは“止める”段階に入ってる。いいから、速く!」
ジョッシュに肩を押され、ギュネイは渋々と言った表情をだしながら、ゲイナーの部屋から飛び出した
「・・・クッ、行くぞハサ。クェスを感じられるか?」
いくら“にうたいぷ”になりたいと修行したギュネイであっても、天然にうたいぷのハサウェイの感性の報が信頼が置けるくらい、分かっているらしい
「それが、弱すぎて分からないんだ・・・でも、あっち・・・くらいなら」
ハサウェイが指さすのは、永井藩の近くにある亜久志鶴の山の方であった。山と言っても、現実世界の物理法則を無視して、“浮いて居ている”この世界で言われる浮遊山というものであったが
「それだけでも充分だ。とにかく近づいてみるぞ」
「う、うん・・・!」
こうして二人が駆け去ったのを見送り、残った面子は今後を話し合うことに専念することにする
「とにかく、ゲイナーの言うとおり、誰かが何かの手段で、オーバーデビルのパーツを集めているのは間違いない」
「そうでもしなけりゃ、こんなことにはなりませんもんね」
しかしゲインにも、それが“誰”でどこから情報を仕入れたのか、想像も付かなかった
「それに問題は“コア”だ。オーバーデビルに真の力を発揮させるには・・・」
そこまで聞いて、ジョッシュは持ち前の直感を働かせる
「その“コア”って、例えば女性の方が相性がいいとか、そいうのあるんですか」
「無いとは言い切れん。実際、以前はシンシアって娘が・・・」
ここでゲインもハッとした
「もしやそのクェスって子は・・・!?」
「こうしちゃ居られないよアニキ、二人を追おう!!」
暗い暗い闇の中。そこはとても寒かった
クェスは何かに絡み取られ、身動き取れずにいた
「約束どおり彼女を連れてきたぞ」
「うむ、さすがは一流の仕事をする」
交わされる会話の内、片方の声に、クェスは覚えがあった
「・・・大佐?」
「気づいたか、クェス?」
そこにはあの事件以来行方を眩ませていた、シャア・アズナブルその人が居た
「大佐、これどういうこと?何か寒いよ、気持ち悪いよ」
クェスがお城の役人の娘であることを考えれば、まだ旧字音藩が現存していた頃、ある程度の面識があったことは想像に難くない。そしてクェスは、シャアに大人の男を見ている節もあったのだ
「怖がることはない、クェス。私は君に、君の役割を果たして貰う。そのために、彼女に頼んで、ここまで連れてきて貰ったのさ」
シャアの横に立っていたのは、彼女の部屋に押し入ってきたラミアの姿があった
「あんた・・・あんた、大佐の何なのさ?」
「私は仕事をしただけだ。シャア・アズナブルとは個人的関係にない」
能面のような顔でそう言ってのけるラミアに、クェスはぞっとして顔を引きつらせた
「その通りだ。このオーバーデビルのパーツを集め、そしてその“コア”として君を連れてくる・・・ただそれだけの関係だよ」
「なに?大佐の言ってること、よく分からないよ・・・なにこれ、なんかいろいろ、流れてくるよ、怖いよ、いやなカンジだよぉ!」
「それは、クェスの“にうたいぷ”としての能力を利用し、オーバーデビルに真の力を発揮させるための儀式みたいなものだ。大人しくしてなさい。何、すぐ終わる」
「やだよぉ、なにこれ、アタシ、パンクしちゃう!」
亜久志鶴に近づいたギュネイとハサウェイは、その周辺自体がすでにかなり凍りついている状態であるために、肝心の山に近づけずに二の足を踏んでいた
「ギュネイにハサウェイじゃないか?どうした、二人して」
背後から二人に突然声をかけてきたのは、アムロであった
「アムロさん?」
「アムロ・レイ。アンタこそ何でここに」
「ここが凍結の中心だ、と言うのを何とか突き止めてな」
と、地面がずしんと揺れる。何事かと見上げるギュネイとハサウェイは、そこに10年に一度見れるかも分からない、雷電様の像が降り立ったのを見て仰天した
そしてその手の平には、真っ赤な陣羽織をはためかせる、クワトロ・バジーナの姿もあった
「洸君、熱気バサラ君、準備の方はいいか?」
『ええ、準備は万全ですよ』
『俺が出せる、最高にして最後の声を出してやるぜ!』
なんとその雷電様のコクピットには、本来の操縦者であるひびき洸だけでなく、バサラも乗り込んでいたのだった
そうして、安全のためにクワトロを地上に降ろした雷電様は、両腕を構えて胸のパーツを引き出す
「じゃぁ行きますよ、バサラさん!」
「おぉう!海よ山よ亜久志鶴よオーバーデビルよッ!俺の歌を聴けぇぇぇぇッ!!
「ゴオォォォッドォォォ、ボォォォイイイイイスッッ!!」
ゴッドボイスに導かれた、バサラの熱血の歌は超音波となり、亜久志鶴に凄まじい勢い襲いかかった。もちろんそれは周囲の山々で反響し、空前絶後の音波攻撃となって、凍てついた大地を熱いパワーで穿ち続ける
(何でそんな状態の側に居て、アムロやクワトロ達が大丈夫かというと、ファンネル・バリアで身を守ってるからである)
「おい、見ろ!亜久志鶴が・・・」
バラバラと崩れ去る亜久志鶴の山から、オーバーデビルがその姿を現したのを、ギュネイは見逃さなかった。そして、それに捕らえられているクェスの、痛々しい姿は若者二人に大いにショックを与えた
「クェス!」
「おいハサ、待てよ!!」
思わず飛び出すハサウェイと、それを追うギュネイを、アムロは止められなかった
なぜなら、オーバーデビル手の平にのっている人物が、彼の予想外の存在だったからだ
「・・・シャ、シャア、だと!?」
「フッフッフッ、よくぞここが分かったな、アムロ」
「貴様、生きていたのか・・・やはり!」
そう簡単に死ぬ男ではないとは思っていたが、ここまでやらかすとは思ってもいなかったアムロには、ある意味彼の行動はショックであった
「当然だ。貴様を倒し、世界を征服するまで、私が死ぬことはない!」
「・・・は、世界征服?」
今までに聞いたこともない台詞を聞き、アムロは開いた口が塞がらない
「この世界を支配し、暗黒と氷の世界に閉じ込め、民に絶望を与えるのだ、ハッハッハッハッハッ!」
高らかに笑う彼の姿に、アムロはますます顔を引きつらせた
「・・・おい、シャア。お前この間のことで、どこかおかしくしたのか。俺達はリアル系だぞ、なんでそんなスーパー系のラスボスみたいな事言ってるんだ?
「アムロ君、今の“アレ”に何を言っても無駄だ」
動揺するアムロの肩を掴み、引き下がるように言ってきたのはクワトロだった
「クワトロさん?だがしかし、ハサとギュネイが」
「隙を見せたな、アムロ!」
不敵に笑い、何かの攻撃を仕掛けようとするシャアだが、そこにハサウェイが割って入ってきた
「クェスを返せ!」
「ほう、思い切りがいいな。しかし!」
なんと彼の手から氷の刃が飛び出し、ハサウェイに襲いかかってきたではないか。だが、それをギュネイが庇った
「ギュネイ!?」
「クッ・・・行けよハサ、クェスを取り戻せよ!!」
一瞬戸惑ったハサウェイだが、ギュネイの意志を無駄にできないと、オーバーデビルのコアに向かって全力疾走していく
「ほうギュネイ、私に逆らうのかね。君は、字音藩に仕官したかったのではないか?だとするなら、私のやることに異を唱えるのは、どうかと思うがね」
「お、俺が仕えたいのは、字音藩であって、アンタじゃない!」
彼にとって、字音藩とシャア・アズナブル個人は別であった。彼が仕官したかったのは、単純に生活のためであったし、故郷のためであったのだから
「クェス、しっかりして!」
その頃、どうにかクェスの元に辿り着いたハサウェイは、彼女を絡め取っているオーバーデビルの“糸”から、必死に彼女を救い出すことに成功していた
「ハ・・・ハサ・・・ウェイ?」
その身体は半分凍りつきかかっていたけれども、どうにか正気を保っていたようだった
「ギュネイ、クェスは助けたよ!逃げよう!」
ハサウェイに促され、シャアから離れようとするギュネイだが、シャアは彼を逃がさなかった
「何、意地を張る必要はない。私に付けば、貴様にそれなりの力を与えてやろうというのだ」
「な、なに・・・っ!?」
彼に触れたシャアの手は、余りにも冷たく凍りついていた。そしてその凍った波動が、ギュネイの中の負の部分、つまり字音藩の事件以来、ハサウェイを“逆恨み”でもしないと、自身が安定できないほど、屈辱を感じていたことを、掘り起こそうとしていた
(な、なんだこれ・・・俺が・・・こ、凍・・・る?)
「ギュネイ!?」
彼を気遣うハサウェイの声に、ギュネイは最後の理性で叫んだ
「行け、行くんだ・・・ハサ!クェスを・・・頼・・・む」
その頃の萩野富士の祭貢神社
ゼクスは誰憚ることなく、社の扉を開けて中を探ろうとした
「北町の役人が、何の用だ」
背後から気配もなく近づいたのは、言うまでもなくヒイロであった。だが、鈴々奈が意外な声を上げたことで、事態は急変する
「・・・お兄様」
「鈴々奈・・・美しくなったな」
「兄、だと?」
行方知れずの兄が居る、と言うことだけは鈴々奈からヒイロも聞いていた。だがその本人が、北町の役人となって現れたのは、何の理由があってのことであろうか
「社から消えた五柱の神像・・・もう手がかりはここにしかない」
彼が行方をくらましたのは、かつて王国であったこの地を守護していた、五柱の神像を捜してのことだった。だが、方々を駆け回ってもヒントらしきモノにすら当たれなかった。
「けれどお兄様、そんな物があるのなら、私でも分かるはずです。それがないのであればやはり・・・」
そう。それ故に鈴々奈に至っては、それは完全におとぎ話だと思っていたぐらいだったのだ
「そのための封印は、私が持っているよ」
ふいに声がして、3人は振り返った。そこに立っていたのは、トレーズと・・・ギリアムであった
「“今”のこの世界には“不要”になった神像・・・故に、それを封じさせて貰ったが、この世界に干渉し、不和をまき散らそうとするモノがやってきたようだ」
ギリアムの言う台詞が、“今”のヒイロ達にはイマイチ理解できなかった
「そう。この馬鹿らしくとも楽しく、永遠とも言えるループの中で、アホなことをしながらストレス発散をしてきた、この世界に、ね」
エレガントに、しかしまだわかりにくい説明をするトレーズを余所に、ギリアムは腰に差していた刀・・・即ちXNガイストをすらりと天空に掲げる
「これによって、歪めた記憶、封印した歴史、不要と思われた力、全てが解放される。もうこの“楽しき永遠”には戻れんかも知れない。だが、“奴ら”がこの世界を好きにするのであれば、それの方が地獄だ」
「待て、ギリアム・イェーガー。貴様の言っていることがわからん。お前は俺達に、何を選択させようというんだ?」
一人悲痛な顔をするギリアムに、ヒイロは問いかけた。だが、ギリアムはそれに応えず、ただ静かに“光”を天空に放った
「コアを失ったな、シャア・アズナブル。この穴、どう埋めるつもりだ?」
彼の足元で、完全に“凍って”しまったギュネイを見下ろしつつ、ラミアはシャアに問いかける
「まぁこうなっては仕方あるまい」
言うが否や、彼はラミアの腕をむんずと掴み、オーバーデビルに投げ込んだ
途端にラミアはオーバーデビルの“糸”に絡み取られてしまう
「・・・!?こ、これはどういうことだ、シャア・アズナブル!!」
「君はよきスパイであったが、君の創造主がいけないのだよ」
ハッハッハッと笑うシャアの姿に、ラミアは珍しく“動揺”せざるを得なかった
(創造主?・・・まさか、レモン様、私は、私はこのときのための“予備”?そんな、そんな馬鹿なッ?・・・隊長、教えて下さい、隊長ッ!!)
ラミアは我知らずアクセルを呼んだ。だがそんな彼女の心もまた、凍りついていくのだった
「・・・ん?」
超音波攻撃のせいで、見事に破壊され切った温泉“鉄”の後片付けをしていたアクセルは、誰かが自分を呼んだような気がして天を見上げた
そこには異様な姿をした、豚のような何かが浮かんで居るではないか
(なんだ・・・あれを・・・俺は、知っている?)
そういった『感じ』がしたのも、ギリアムの“選択”のせいかもしれない。彼はごちゃごちゃした記憶の何かの糸が、解れていくような感覚を覚えた
(あれが・・・アレが今、思い出した通りのモノ・・・なら・・・なぜあそこから、奴の声が聞こえる?)
「おい、どうしたんだよアクセル。南町の人が来て、速く逃げろって」
後ろから甲児が声をかけてきた。オーバーデビルのことがどうやら奉行所に伝わったらしく、退去命令が出たらしい
その、真剣に自分を心配する甲児の姿が、アクセルの何かを動かした
「すまん甲児、やることを“思い出した”。お前らは先に逃げておけ」
「え、アクセル?まさかお前・・・!」
甲児の台詞を最後まで聞くことなく、アクセルもまたオーバーデビルの元に駆けだしていったのだった・・・
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テーマ : スーパーロボット大戦 - ジャンル : ゲーム

2009/07/04 00:25 | SS【スパロボ系】-スパロボ仕事人COMMENT(3)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

かくて神風は吹く

どもっす!世間がヱヴァに注目する中、一人『怒りの獣神』を聴いていたあっしですwww
だって日テレ映りませんからね、この土地

あと、今日また面接が一つ終わりました。正直、自信はある方です。結果が分かったらまた連絡します

>仕事人
ありゃ、シリアス展開?でも面白かったっす。しかし、ガンダムゲーでなくスパロボで輝くギュネイとは…w
目覚める者、立ち上がる者。とにかく、楽しみです

>スパロボNEO
3Dだそうですが、そんなのあっしには関係ないっす(爆
隼人のドリルストームの画像見ただけでね、もう!
という訳で、誰かWiiをくれ(マテ

…そういえば、前あっしが古くに書いた参戦希望リストにゴウザウラーと新ゲッターが一緒にありました。まさか本当に実現するとは…。

そして、これをネタに3バカどもの会話誰か書いてくれないかな…かな…?

>ディケイド
以前記したてつをの世界。何と南光太郎本人が出演なさるそうです!
…たた、その時戦うのはXライダーの宿敵・アポロガイストだそうで。何で?

では、今日はこの辺りで失礼しやす!!

No:1384 2009/07/04 01:29 | 弁慶 #9fYuzJy. URL [ 編集 ]

久しぶりの仕事人

お久しぶりです。
仕事人なんか怒涛のシリアス展開ですね。
ギュネイが思い切り敵に回りそうで嫌です。ラミアもそうですが、凍らされた二人を助けるすべがあるのか?スパロボお約束の説得で復活できるんでしょうか?と、言うかシャアとクワトロさんは別?もしかして分離した?そこも気になるところです。
最期はトレーズ様のエレガントな特攻死?まさかそんなDみたいな、ね…………
とにかく楽しみにしています。

No:1385 2009/07/04 06:56 | 壱華 #4JcWZNxE URL [ 編集 ]

ワタクシは一体何をしているのだろう

PSPの動画を撮ろうとしたら、ドンドコ道を踏み外し始めて居ていた管理人です
もうS端子に戻れない orz

弁慶さん>
>ガンダムゲーでなくスパロボで輝くギュネイとは…w
「ガンダムバトルユニバース」では余り強くなく
「ガンダムVSガンダム」では、シャアの援護攻撃にすら呼んでもらえない
そんな彼を活かすことができるのはスパロボDだけ!(・・・アレ?
>以前記したてつをの世界。何と南光太郎本人が出演なさるそうです!
な、ナンダッテー!?
いつ放送だ、それはッ!!
なに、敵がアポロガイスト?
んなの知るかッ、仮面ライダーRXの前には、ヤツなんぞ敵では(もちつけ

壱華さん>
>仕事人なんか怒涛のシリアス展開ですね
柴田先生の漫画を思い出して下さい
アレも途中までギャグで、最後はシリアスに〆るっしょ(意味不明
>凍らされた二人を助けるすべがあるのか?
ラミアっちは、以前あくとさんがリクエストしてくれたネタを使います
ギュネは・・・あいつは分かり易く行くつもりです、ハイ
>言うかシャアとクワトロさんは別?もしかして分離した?
アンタはニュータイプかw

No:1386 2009/07/05 00:33 | あるす #- URL [ 編集 ]

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