〔過去記事〕ヤングガンガン連載『ユーベルブラッド』

かつて闇の異邦ヴィシュテヒとの戦いに明け暮れた時代があった
偉大なる始祖が神々から大地を託されし時より3968年
結界を越えてくる暗黒の軍勢の侵攻を封じるため
皇帝は14人の若者たちに指名と聖なる槍を与え送り出した
3人は旅の途上で命を落とし"尊き未帰還者達"と呼ばれた
4人は敵に寝返って討たれ"裏切りの槍"と呼ばれた
そして偉大な7人は、その十と尊い肉体と7本の槍と共に平和を我々の大地に持ち帰り
"七英雄"と呼ばれた

『単行本0巻より』

ここまでなら普通のファンタジーなのだが、「実は裏切ったとされる4人の方が使命を果たしていて、英雄とされる7人は4人を殺して名誉を奪った」ということろが面白い
そして主人公のケインツェルは、7人に殺されたはずの4人の生き残り・アシェリートである
アシェリートは、後の七英雄に体を切り刻まれ、谷底に突き落とされながらも奇跡的に息があり、妖精の血肉を食らって自らの力とし、名と姿を変えて舞い戻ってきた
自分たちを辱めた7人に復讐するために
そんなわけなので、ケインツェルの周りは敵だらけ
回想シーンで描かれるアシェリートは、まだ幼さの残る純真な青年だが、ケインツェルは裏切られたショックから、かかなり性格がひねくれているうえ、復讐のためならなりふり構わない
よって、立ちはだかる者は容赦なく切り刻むため、復讐とは無関係に争いごとに巻き込まれ、余計に敵が増える
とはいえ、ケインツェルは元は「帝国最強の戦士」と称されたアシェリートなので、普通の人間では太刀打ちできないほど強い
妖精と融合したために使えるようになったのか、右腕から自在に蠢く4本組の巨大な『黒い剣』を出せば、強大な魔導兵器も一発で粉砕する
しかしそれだけの力を持っていても、七英雄を心の支えとする民衆が、復讐の最大の壁になることが、2巻の頭のほうで如実に表現されていたのがなかなかの演出である
さらに、民衆の対応にショックを受けたケインツェルは、一度戦意喪失してしまうのだが、七英雄の名を盾に好き放題をする盗賊を目にして、再び剣を取るというのもよくできた流れでイイ
連載では七英雄の一人のシュテムヴェレヒへの復讐が果たせるかどうか、という局面に達している

個人的には、七英雄の一人に使える騎士・ロズンがこれからどうなるのかが注目
彼は偶然ケインツェルの正体を知ってしまって苦悩している
よくできた人物のようで、騎士として主に忠実でなければならないという思いが強いが、ケインツェルのこともなんとかしたいと考えているようだ
しかしそんな思いと裏腹に、七英雄側には不審な動きがあり、英雄の隠れ蓑を使って魔導の力に手を染めたり人身売買を行っているようである
そういった情勢に「普通の人」であるロズンはどう対処していくのだろうか

まだまだ連載が軌道に乗ったばかりで、復讐が果たせるのかどうかも見えてきていないが、これからが楽しみな作品である
ちなみにこれ、いろんな意味でお子様にはお薦めできない内容なのでご注意を(苦笑


初稿:2006/02/19
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2006/03/30 01:30 | 漫画書評COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

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