ガンダムという歴史《2》

機動戦士Zガンダム -星を継ぐ者- 機動戦士Zガンダム -星を継ぐ者-
安彦良和、大河原邦男 他 (2005/10/28)
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機動戦士ZガンダムII -恋人たち- 機動戦士ZガンダムII -恋人たち-
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機動戦士ZガンダムIII -星の鼓動は愛- 機動戦士ZガンダムIII -星の鼓動は愛-
安彦良和、大河原邦男 他 (2006/08/25)
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『ガンダム』は『正伝』と『異伝』の果てしないカオスである
まるで聖書が『正統』と『異端』に分かれている(?)のにも似た様相であるが、『白・赤・青でツノさえ付いていればガンダム』と言わんばかりに記号化した"ガンダム"は増殖を続けている
そんな中、「新訳」Zガンダムが作られると聞いたときは、期待していいんだか不安になっていいんだか・・・実際に第一作目を見た後はちと落胆してしまい、「ただでさえガンダム増えてるのに、Zまでオチを2個に増やすなよー」と思ったのだが
ふっとあることを思いついたときに、「まぁ、それもまたありなのかな」と思ったのである


古くは「三国志」、近代においては第二次世界大戦の一戦場の物語においてさえ、それを題材にした副次作品はごまんとある
最も歴史伝承に近い物を『正伝』と呼ぶなら、日本人に好まれるのはこれと一線を画した『異伝』であろう
それは、『(実際はありえないかもしれないことを前提に)登場人物は実はこういう事を考えていて・・・』というシーンや、『あの悲劇の人物は無為に死んだのではなく、実は生きていて・・・』というifで構成された物語である
それは歴史を愛する作家の心の顕れであると言えないだろうか。そしてこういう感覚は、どちらかというと日本人特有の感性らしい


ある時、こんな話を聞いたことがある
明治の終わり頃にアメリカを旅したある日本人が居た
その日本人はリンカーンの生涯に深く感銘しており、ワシントンでリンカーンの子孫がどうしているか、消息を訪ねて回ったという
しかし帰ってきた返事は素っ気ないもので、末の娘がどこそこの某と結婚して子供をもうけたらしいが、それ以外は知らないという類の物だったという
日本から来たその人物は、アメリカには過去を振り返る気持ちがないのだとひどく落胆したとか
このエピソードから片鱗が見えるが、おそらく日本人というのは生来、過去に思いを馳せ過去を懐かしみ、思いを寄せる過去の"誰か"の知られざる生涯を想像するのが好きなのだろう
もっと言うなら、歴史上の"結果"にさえ辿り着けば過程をどう解釈しようと、人それぞれでいいという考え方が強いのでは無かろうか?
それ故に、古典でさえ多数の『異伝』を派生させる日本人ならば、例えそれが漫画やアニメだとしても、愛するキャラクターを思うのならば、もっと別の人生を歩んで欲しいと望むことがあるのかも知れない
つまり先のZガンダムに限って言えば、後の世でカミーユが生きていさえできるオチであれば、精神崩壊しようとも明るく戦争を終わらせようともかまわないということだ
それなら「新訳」についてとやかく言うことは無いんじゃないか、という方向に落ち着いたわけだ

それもこれも、ガンダムが『歴史』であるからこそ成せる業である
宇宙世紀においては、アムロがガンダムを動かし、カミーユがZガンダムを駈り、ジュドーがハマーンと決着を付け、アムロとシャアは互いを巻き込んで消えていく。やがてシーブックから改めて時代が流れ、ウッソの時代で『正伝』が幕を下ろす。そう決められているのだ(ガイア・ギアは一応アンオフィシャルだから除く)
かの世界は全く触ることのできない遠い世界のことなのであるが、すでに過ぎることが決まっている過去の物語として定義されていて、この『終わり』に向かってさえいれば、数多くの『異伝』が発生することはある程度容認されているわけだ

こんな特異な世界を構築された作品が、ただの空想物語とはなぁ・・・と思うことが時々ある
監督の演出・表現力と言われればそれまでだが、架空戦記とは思えないリアルさを感じることがあるし、なにより"ガンダム"としての記号だけでここまで成り立てるのは尋常じゃない
もしかしたら>少なくとも宇宙世紀の世界に限っては、果てしない未来あるいは決して越えられない壁の向こうの平行世界として、慄然と存在しているのではないかと考えることがある(突拍子もないけれど)
もっと突き詰めて言えば、宇宙世紀の住人が史実としてのガンダムに影響されて、さらなる空想のガンダムを生み出しているとすれば面白い。もしかしたらそれが、GガンダムだったりSEEDだったりするとか・・・
ぶっちゃけ、その空想ガンダムさえパラレルワールドとして存在しているのかもしれない

作家さん達の脳にその世界のことが夢や空想として伝わり、「おお、こりゃおもしれぇ」ということでアニメや小説になっているとしたら?今この瞬間にも、あちらの世界で歴史が刻まれているとすれば、「まだやるか」と言われるほどガンダムが出てきてもおかしくはないのではなかろうか
いつか我々の時間が∀の時代に至るまでは、無限の"ガンダム"が世に"公表"されるのだろう
そんな風に考えれるガンダムは、本当に面白い
そういえば昔とあるアニパロマンガで、アクシズ落とし直前のシャアが、こちらの世界に迷い込むというストーリーがあった
彷徨い出た街中で、偶然ガンダムのアニメを目にしてショックを受け
「いったい自分にとって現実はどちらなのか。自分は道化なのか?」
と悩む姿が描かれていた
あるすの想像が正しかったら、全てのガンダムの登場人物が、きっとそう思うだろうに違いない
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テーマ : 機動戦士 ガンダムシリーズ - ジャンル : アニメ・コミック

2006/11/10 01:42 | アニメ考察COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

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