【スパロボSS】真・スパロボの学園(16)~試行~

SoftBankが発表したガンダムケータイ、ご覧になりました?(945SH S

何かもうここまでくるとね・・・ガンダムならいいってもんじゃねーぞと・・・
SoftBankはいつも、やることが斜め下なんだよな。iPadを確保して調子に乗ってんのだろうか

それより、ドコモがスマートフォンを大量投入して、バックアップ体制をいろいろ整えているほうが、携帯業界がやることとしては正しく、そして堅実だと思うんだけど?

auについてはノーコメント(ぇ


ようやく休みが取れたので、SSがかけました
その分プラモはお休みだが、同時並行でできるほど器用じゃないのだお


「どうします、これ?」
「どうしたもんかねぇ」
スパロボ学園中等部地下にある格納庫で、修理部の面々とカトルやトロワ達が集まって見上げているモノ
それは平行世界からもたらされたという、もう一機のウィングゼロであった
平行世界のモノ、と言っても中身は全くここにあるゼロと同じモノで、回路が特別だとか装甲が特殊だとか、そう言う事実は全く無いそうである
こう言うモノが転がり込んでしまっては、修理部のメンツにかけて必死にゼロを直したアストナージ達の立場がないというものではある
「ま、それならこの際、予備機にしておいて良いんじゃないのか?」
「一機丸ごと予備パーツとは、ねぇ・・・贅沢にもほどがあるな」
その方が楽じゃんと言う理由でそう提案するキャオと、いかにも納得がいかないと言う表情のウリバタケ
「それなら!今度こそバラしてパーツに!!」
「お宝、お宝ァァァッ!!」

その噂を聞きつけたジュドーとガロードが、目を血走らせてその場に乱入してきた。が
「こおらぁぁぁッ、貴様ら、何をサボっとるか!」
そんな彼らを追いかけてきたのは、近所の百鬼帝学園学長・百鬼ブライ先生の乗る、今週のビックリドッキリお仕置きメカ・メカ百鬼であった
「わぁぁ、追っかけてきたよブライのオッサン!」
「もう疲れたよ、未成年への強制労働反対!」
どちらかというと素直に反省したデュオと違いこの二人、どこまで行っても壊れたメカを売ろうと言うことに固執していたため、ビアン校長の依頼でスパルタに定評のあるブライ先生に、『ご近所様を徹底的に掃除する』と言うお仕置きを執行していた
「このワシを前にして、どの口で偉そうなことをほざいて居るか、馬鹿者がぁ!ポチッとな
ブライ先生が手元のスイッチを押すと、二人の首に付けられた輪っかから、強力な電撃が走った
「「しびびびびびぃ!?」」
まるで70年代アニメのごとく、全身骨格がスケスケになりながら痺れる二人には、とてもリアル系主人公の面影は、無い
ぷしゅう、と真っ黒子げになっている二人を、ブライ先生は無理矢理たたき起こす
「ホレ、あと50軒ほどお掃除を待つお宅があるのだ、さっさと行くぞ」
「「うう・・・百鬼ブライ・・・」」
「うん?声が小さぁい!ポチッとな
「「ぎょええええ!?・・・ひゃ、百鬼ブラーイ!!。゚(゚´Д`゚)゚。」」
ブライ先生のしごきの時には、必ず言わなければならない合い言葉『百鬼ブライ』を叫ばされつつ、二人は渋々お仕置きお掃除に戻っていく
泣き叫びながら夕陽に向かって駆けて行かざるを得ない二人に、しかしクラスメイト達は冷たかった
「懲りねぇなぁ、あいつら」
「アイツらのお陰で、学校も一時期不穏な空気が広がったし、先生達も面倒抱えたっぽい、ってのにね」
まぁそう言う反応をされても当然なのだけれども
「ほんで、どうするよアストナージ部長?ここは腹を決めるべきでしょ」
「うー、予備機・・・それが妥当な線かな。まぁ正直アイツらの機体、特殊部品が多くて手こずるのは、認めざるを得ないんだよね」
マッドサイエンティスト部にも属する、Dr.Jを初めとした変態科学者5人が関わった機体は、かなーり彼等の趣味が入っていて、(5機の内では共用部品が多くても)他のMSとは一切仲の良くないパーツばかりだったりする
「そういや、一番の被害者のヒイロはどうしたよ?」
彼らのせいで心身共に甚大な被害を被ったヒイロは、既に3日ほど寝込んでいる。あのヒイロが寝込むこと自体希だから、さらに心配になるのも無理はない
「ええ、リリーナさんが来て看病を」
と、カトルが説明して指さした先、学園の医務室では

「うう・・・リリーナ、俺は・・・俺はッ・・・」
何かにうなされ、うめき声を上げて飛び起きたヒイロは、傍らで優しく自分を見下ろしていたリリーナに気づいた。彼女は何も言わず、ただヒイロの優しく手を取った
「大丈夫です、ヒイロ。ここに居る貴方は貴方、ここに居る私も私。それは変わりありません」
その眼差しは、悪夢に怯える子を見守る、慈愛に満ちた母のようであった
「・・・リリーナ」
「ヒイロ・・・」


「・・・」
その光景にちょっと引きつる刹那の後ろで、甲児や弁慶もゲンナリした顔をしてしまう
「んだよ、メッロメロじゃねーか」
「ラブラブピンクで医務室が包み込まれてるぞ」
いつもはそういうのも、ATフィールドのごとき見えないバリアで跳ね返す、イネス先生や赤城先生も、とっくに砂糖の嵐から逃げ出していたぐらい、医務室の周囲は甘ったるい空気で満ちていた
「心配して損した!」
「まーまー、若いうちにあれだけやっとくぐらいじゃないと、将来大人としてどうなるか、分かったもんじゃないんだな、これが」
「まぁ・・・それはそうなんだけどさ」
「ドサクサに紛れてって感じプンプン!なのが気にくわなーい」
さやかや比瑪も別にどうでもいいんだけど、と言うように苦笑いをして応えてはいる
「ナハハハハ!いいじゃねぇか、こういうのもさ!」
「はぁ・・・まったく」
「ところでさ」
「ん?」
その場に居た全員は、暢気に笑うその赤髪の男に向け、一斉に振り返った
「「「アンタ誰?」」」
「いやぁ、それは・・・俺が聞きたいんだな、これが」


その男は赤城先生(in臨時医務室)の見立てによれば、原因は不明なれど120%記憶喪失、と判断された
彼が覚えていたのは唯一、アクセルという名前(あだ名?)だけであった
どこから来て、何のために何をしようとしていたのか、全くもって不明である
「コロって忘れるぐらいだから、大したことじゃねぇんだろ」
当の本人は、至ってどうでも良いという顔であった
「不安ではないのか、自分が何者かを知らず、何処かも分からない場所に放り出されて」
刹那であったなら、それは耐え難いことであるかも知れなかった
「忘れちまったもんはしょうがないさ。なるようにならぁね」
アクセルはケタケタ笑って返すばかりである。基本前向きな甲児やケーンも、あんまりに相手が脳天気なので、ヒイロとは違った意味で心配するのが馬鹿みたいになってきていた
『だが・・・どこかで逢っていそうな気がする・・・』
刹那がそう思うのは、別に彼の声がバサラに似ているから、ではない
「それでアクセル君、君はこの後どうするのかね?」
状況が状況だけに、念のために呼び出されていたビアン校長が、アクセルにそう問いかける
「うーん、そう言われてもねぇ、行くアテもないし・・・もし良ければ、何か手がかりを思い出すまで、ここに置いて貰えると助かるんだけど」
ムシが良いけどな、とアクセルは語尾に付け加えた
「思い出す気はあるんだ?」
「生きて行くには困らない程度に」
ゲイナーのツッコミに、アクセルはあくまでひねた返事を返す
「君の意向は分かった。それで、君はこの学園で、誰かに何かを教えられるかな?それとも、誰かから何かを学びたいかね」
ここが"学校"である以上、その場に存在するメンバーは誰であれ、教師か生徒の立場を選ばなければならない(もしくはランドみたいな事務のお兄さんか)
「働かざる者食うべからず、学ばざる者も食うべからず、って事ね」
そりゃそーだ、とアクセルは一人納得したように、腕組みして頷く
「と言われても、記憶喪失である以上教えられることはないし、何をしたいかも分からないから覚えることもねぇなぁ・・・」
そう言う意味では、アクセルは究極的にどっちつかずな状態である
「ならば私から、一つテストをさせてもらおう」
「テストぉ?なんかいやな予感がするぜ」
「なに、適性検査のようなものだ」
露骨にいやな顔をするアクセルに、ビアンは何かを含んだ笑みを返す
「目の前に機械獣が一体いる。君はこれを撃破しなければならない。味方増援は期待できない。選択できる機体はこちらだ。この時どうする?」
そう言ってビアンが出した掲示物には、ゲシュペンストとヒュッケバインが載っていた
それをしばらく見ていたアクセルは、腕組みをして少し考え込んだ
「ゲシュペンストで機械獣相手、ね」
彼が選んだのはゲシュペンストの方だった
「しかも一機で、か・・・この場合撤退がベターだと思うが、撃破が目的なら・・・とにかく一点を選んで攻撃をかけるな、なるべく相手を行動不能にできる場所、脚に該当する移動能力のある場所だ。そこにまずはスプリットミサイルを叩き込む。ある程度ダメージが溜まってきた段階で、スラッシュリッパーを使って、その破断口にトドメを刺して機動力を断つ。最後にメガ・ビームライフルだな。ま、やれるかどうかは五分五分だと思けどな」
「プラズマカッターは使わんのかね?」
「ゲシュペンストで機械獣の相手をしてるんだぜ?接近戦なんてリスクが高いことはやらないだろ。もうちょっと近接戦闘に特化してるか、せめてあと2機ぐらい援護がいればともかく」
「もう少し血の気が多いように見えたが、案外堅実なのだね、君は」
「分の悪い賭をするのは、多分趣味じゃないんだと思うんだな、コイツが」
ふむ、というとビアンは少し顎の辺りをさすり、何かを考えたようだった
「にしてもお前よ、記憶喪失ってわりにはスラスラ応えるのな」
一部始終を聞いていたケーンがそういう。もちろん戦闘のプロである鉄也だけでなく、それほど戦闘に詳しくないエイジ辺りも、同じようなことを思っていた
「んー?そうなのか、ぜんっぜん意識してなかった」
それに対するアクセルの答えは、相変わらず惚けたものだった
「機械獣相手の戦術を、あれだけ雄弁に述べておいて良く言いますね」
マックスの指摘は全くその通りで、周囲の取り巻きもそうだそうだと言わんばかりに頷いている
「その点は、この男が何らかの軍関係者だからなのだろう。俺だって、機体さえ分かっていれば、その後の戦略は立てられる」
刹那にそう言われて、アクセルはしばらく"?"という顔をしていたが、その後思いついたようにぽんと手を叩いた
「ああ、そうか。なんで俺がゲシュペンストを選んだのか、ってことか」
「それもそうだが、何故あの機体の名前や特徴が、すぐにすらっと出てくる」
「そーだよなぁ、知らないはずだもんなぁ、俺。ん、ま、重要な手がかり!ってことで良いんじゃないのか、これが」
この何処か浮ついた態度が天然なのか、記憶喪失からくるすっとぼけなのか、はよくわからない
何処かがずれたアクセルに、どう対応したらいいのだろうかと、高等部のメンバーは複雑な顔をしていたのだが、質問した当人のビアンはすでに、何かを納得した様子だった
「ではアクセル君、しばらく教育実習生という形で、我が学園に迎え入れよう。そのうち、いろいろと戦術を教授して貰いたいものだな」
誰に何の相談もなく、ビアンはそう決めてしまった
「??? いいのか、それで・・・置いて貰えるからいいけど」
アクセルもきょとんとしているが、他のメンバー(特に刹那)も話の流れがつかめずにいた
だがその妙な空気を打ち破るように、画面いっぱいに突然ベルサイユのばら状態の煌めき効果がかかった
「我が校に久しぶりの転入生・・・いい、実にエレガントだ!」
彼らの背後に、バラの背景を背負いながら、蒼碧金髪のナイスミドルな男性が降って湧いた
「やあサンドマン先生、今日も煌めいてますな」
開いた口がふさがらない状態の刹那を差し置き、ビアン校長は至って普通にサンドマンと挨拶を交わす
「フフ・・・君がこれから、我が校に通う新しい戦士、もとい生徒だね・・・君のための美しい制服を、我らが仕立てて見せよう!」
サンドマンが言うやいなや、アクセルの周りを3人のメイドが取り囲む
「はぁ~いアクセル様、まずはお洋服を脱ぎましょうねぇ~」
「は!?」
事態を飲み込めていない本人を無視し、彼女らは手際よく彼の上着を脱がして行くではないか
「ちょっと待てマテ待て!女の子に囲まれるのは嬉しいが、これはマズい、不味いって!!」
アクセルも男、女性にそれなりの好意があるのを隠しはしないが、服を脱がす方ではなく脱がされる方に回るのはたまらない。しかも相手は結構な年下っぽいし
「そうは言われましてもぉ、採寸に一分の狂いがあっても困るデスから」
「大丈夫ですわ。堅くならずに、リラックスして下さいまし♪」
全く悪意のないメイド隊の、その(採寸することへの)無情の笑みが、アクセルにはむしろ怖い
「いやいやいや!ロリコンかなんかと間違えられるって絶対!!」
だとしたら、その彼女らに囲まれ、毎日熱い視線を投げかけられている、当のサンドマン先生はどうしたらいいのだろうか
「そんなの御免だからな。アイツにどうやって顔向けすりゃいい・・・」
そこまで口にしたところで、アクセルはメイド達に周囲を完璧に取り囲まれた
「え、ええと、あの、ちょ・・・ぎゃああああああああああああああっ!?
そのままアクセルは、サンドマン先生の放つ光に導かれ、裁縫室に連れさらわれていった
『アレは学園に入るための通過儀礼なのだな・・・』
他のクラスメイト並び、アクセルの姿を生暖かく見送った刹那は、誰もその光景をつっこまないことで、これがいつものことなのだと、やっと納得した
「とりあえず、軽い感じの彼だけど、あの辺りは普通の反応で良かったよ」
ヤレヤレと肩を落としながらゲイナーがそう言う
「何かあったのか、以前?」
「うん、クワトロ先生が初めてこの学校に来た時ね」
なんでも、周りを取り囲んでくるメイド隊を追い払うどころか、口八丁手八丁に口説きまくった挙げ句、採寸させながら足元に侍らせて喜んでたらしい
「・・・超変態だな、そこまで行くと」
「うん、僕もそう思う」
もちろんその光景に気づいたサンドマン先生に、グラビトンプレッシャーパンチをクリティカルヒットで叩き込まれたそうだが
『・・・ン、そうすると、マリナ・イスマールも、この騒ぎに巻き込まれた、のか?』
刹那がつっこむとおりで、彼女ももちろん制服の仕立ては合ったのだが、ああいう性格と身の上のため、ぜーんぶエレガントに事が進んで、何の騒ぎにもならなかったは、後で彼が知ることである
結局アクセルに仕立てられたのも、刹那がされたのと同じく、それまで着ていたものと何ら変わらない、白と赤を基調にした服であった
「あんな目に遭って、それで結果がこれじゃあ、ますます納得がいかないぜ、まったく」
「気持ちは分かる。俺も最初引っかけられたからな。だがこの制服、なかなかどうして舐めたものではないぞ」
「どこからどう見ても、何の変哲もない洋服じゃねぇか?」
「生半可な短刀では、コイツは切り裂けない。ハンドガン程度の弾丸なら、3,4発受け止められる。機密性は高く、口元を抑えるだけでガスの部類を短時間防げるだろう。それでいて伸縮性抜群で、戦闘行動に支障は出ない」
「・・・どんな宇宙服だ、こいつは」
いや、通常のアストロノーツが使う機密服さえ、そんな頑丈にはできてない
「俺も聞いてみた。だがサンドマンの言うところでは、『メイド達の愛』がこもっているので、そのような奇跡が起きても不思議ではない、という非理論的な内容だった」
ちなみに、グラヴィオンチームのうち斗牙の服は、特にいろいろと愛がこもりまくっているので、学校の屋上からうっかり転落しても、死ねない程度の傷しか負わないんだとか
「・・・つっこむ言葉が見つからんわ」
「良かった、俺と同じ事を考えるヤツが居て」
余談であるが、これと同じ事を甲児に聞いたところ、サンドマン先生だから普通だろ、と言われてしまったのである
そういうわけで、アクセルと意見の同意を見、刹那は嬉しい気持ちにちょっとだけなったのだが、冷静に考えればどうでもいいことであった

「やっほー、せっちゃん。元気ぃ?」
黄色い声でそう声をかけてきたのは、大学の実習が終わったらしいエクセレンであった
「その変な呼び方は止めてくれ、と言ったはずだが」
「あらん、いいじゃない。"せっちゃん"、君の甘いマスクに超お似合い♪」
エクセレンのおふざけネーミングセンスは、落語部のタスクと良い勝負である。どのレベルでの勝負なのか、はあえて言及すまい
「おおー、刹那ぁ、お前そんな仏頂面のくせに、こんな巨乳の美女を落とすとは、意外にやるねぇ」
「そう言う関係では・・・」
茶化すアクセルに、エクセレンは茶目っ気たっぷりにウィンクしてみせる
「ざんねんでした!せっちゃんはちょ~っと歳が離れてるわねん」
からかい対象としては、広くラムネス辺りもいじっているので、これは特に恋愛対象として、と言うことらしい
「んじゃぁ、俺が立候補しようかな?アンタは実に俺好みなんだけど」
「いやん、モテモテねぇ、アタシ。これでアナタとイチャイチャしてたら、キョウスケも慌てててくれるかしらん?」
・・・キョウ・・・スケ?
それまで不抜けていた彼の顔が、一瞬のうちに緊張感有るものに変わったのを、刹那は見過ごさなかった
「どうしたアクセル。何か引っかかったか」
「・・・なんか、気になる名前・・・みたいなんだな」
ちょっとこの辺まで出かかってるのに、とアクセルはイラつくように髪をくしゃっとかきむしった
「俺がそんなに気になるか」
「うわ!?」
背後にキョウスケが立っているのを、真剣に悩んでいたアクセルは全然気づかなかったようだ
そうして一瞬、それまで見せていた緊張感を何処かに仕舞った・・・かに見えたアクセルだったが、キョウスケの顔をしみじみと見るにつけ、やはり何か気になるらしく、眉をひそめてしまった
「アンタが、キョウスケ?」
「キョウスケ・ナンブ。大学で物理をやってる」
ちなみに自然科学の物理ではなくて、弾道を計算したりするための内容である
「意外と文系なのだな」
キョウスケが学んでいることまで知らなかった刹那は、彼の意外な一面に驚いたようであった
「別に好みじゃない。必要だから学んでるだけだ」
「とか何とか言ってるわりに、ちゃんと上位なのよね、成績」
エクセレンのツッコミどおりで、同じ学部で習っているイルムなどと比べても、トップとは行かないまでも10位以内には必ず入っている
「そっちは?見ない顔だが」
「アクセル。記憶喪失でね、これ以上は思い出せないんだな、これが」
それ以外に、一応教育実習生として、学園に入ることになったことなどの事の経緯は、かくかくしかじかと刹那が説明してやった
その脇で、キョウスケをじっと見ていたアクセルは、会話が一段落するのを見計らって言葉を紡いだ
「あんた・・・強そうだな」
「ああ」
アクセルの問いに、キョウスケの返答は単刀直入だった
「ちょいと手合わせしてくんない?なんかさ、身体が動きたがってんだよ」
アクセルはキョウスケの返事も聞かず、なにやら合気道にも似た手合いの構えを見せる
「何か思い出せそう、ということか」
いつもなら、こう言うことは面倒くさがってスルーするキョウスケだが、今回は素直にそれに応じてやった
「分からんね。とにかく、やってみないと」
言うが否や、彼等二人は互いの間合いに飛び込んでいった
「あらやだ、いい男同士が生身でぶつかり合うなんて、いいネタじゃない。ウッソちゃん呼んでこないと」
二人のやり取りをそう茶化すエクセレンの横で、刹那は交わされる拳・足技をじっと見ていた
『アクセル・・・あの男、確実に何処かで訓練を受けている』
その身のこなしは、サバゲー部屈指の実力者である、キョウスケに全く引けを取っていなかった
その一方で当のアクセルは、何度となく拳を振るわせることで、脳裏に何かが引っかかり始めていた
『何か、何かがこう、頭の隅っこで唸ってんだが・・・』
アクセルはやはり、良くは分からないがキョウスケを知っている気がした。しかもその存在がさらに、何か忌まわしいものと関わっている、と言うような感覚さえ有る
『もう・・・少し・・・あとちょっとで出て来そうなんだ・・・ベー・・・オ・・・』
次の瞬間、二人の拳の間に、何者かの影が立ち塞がった
「熱き拳の交錯、しかと見届けさせてもらった!」
それを軽く受け止めていたのは、誰有ろう東方不敗先生であった
師匠は視線をずぱっ、っとアクセルに合わせると、半ば引いている彼に向かって、不敵な笑みを浮かべた
「記憶喪失で路頭に迷っておる、と学長に聞いていたが、なかなかどうしてお主、筋の通ったよい拳を放つな」
「は?はぁ、そりゃどうも」
まあ褒められて嬉しくないことはないので、そう返事してしまったのがアクセルの不運であった
「よろしい、このワシが指導する格闘部への入部、許可して進ぜよう」
「なんだそりゃ?前振りも何も無しかよ」
教育実習生とはいえ、これと言ってやることのなかったアクセルにとっては、名目のある居場所ができるのはいいことなのだろうが、彼の脳裏には『記憶喪失ながら、なんかこの先は嫌な予感がするッ!』という、直感からくるエマージェンシーで満ちていた
その心の声に従い、何とか状況をスルーしたいアクセルだったが
「貴様、師匠が有り難くも、道を示そうというのだ。その好意、無駄にするつもりか?」
どこからともなく追いついてきたドモンのだめ押しが入る
「いや、だってよアンタ、俺はただこの兄さんと手合いをして」
「これぞ、この学園に辿り着いた貴様の宿命よ!」
「さすがは師匠。定めとはかくあるべし・・・このドモン、目から鱗が落ちる思いです!!」
「わけわかんねーよ!?」
アクセルの無駄あがきはそこまでだった。流派東方不敗の前には、あらゆる説明が無効化する。そういうものである
「さぁ征くぞアクセルとやら!今日より貴様を、立派なガンダムファイターとして鍛えてやるわ」
むんず、と師匠に首根っこを掴まれるアクセル
「野暮な話かも知れないが、MFというのは個別カスタマイズされているものなのではないのか」
別にどうでも良いことであるが、いきなりアクセルを放り込めるMFがあるのか、というのを刹那は一応ドモンに確認してみたようだ
「今ちょうどシャイニングが空いていてな・・・癪だがヤツを乗せてやる。これも師匠の望みを叶えるためだ」
アクセルの逃げ道は、とうの昔に塞がれていたようである。なお、何をどう師匠が望んでいるかは深くつっこむまい
「ちょ、ちょっと待ってよ、何だこの流れ!?おい刹那、助けろッ!」
「そう暴れなくても大丈夫だ。単に軽自動車ぐらいなら、素手で破壊できるようになるぐらいだろうから」
暴れて抵抗するアクセルに、刹那は実にドライかつ理不尽な返事を返した
「そんなの大丈夫じゃねぇって!?勘弁してくれよ、おいぃぃぃっ!!」
こうして泣き叫ぶアクセルが連れ去られるのを、刹那達は生暖かく見送ったのだった
「・・・何だったんだのかしらねぇ、彼」
最初に口を開いたのは、エクセレンであった。キョウスケはすぐに応えず、少し思いを巡らせてから、ふと言葉を紡いだ
「詳しくは分からんが、何処かの世界ですれ違った、ということなのかもしれん」
「"何処かの世界"・・・だと」
また件の平行世界か、と刹那はちょっと嫌気がさしたように言葉を返した
「そうだな、面倒くさい問題だとは思うが」
キョウスケは言われなくても、刹那が感じていることを察していたようだった
「避けられない事だ。特にこの学園の中にいるなら、な・・・」
しばらくして、高等部の掃除を終えて廊下を歩く刹那に、ビアンの方から声をかけてきた
「アクセル君はどうしたかね?」
「東方不敗に捕獲された。今頃シャイニングの中だろう」
なるほど、とだけ言って帰ろうとするビアンへ、刹那は思い切って口を開いた
「ビアン校長・・・聞きたいことがある」
「ほう、なにかね」
表情一つ変えずに振り返るビアンだが、その裏に何かを待っていたような印象を受けたのは、刹那の気のせいではない
「何故あの質問で、あのアクセルという男の素性を見極められた?」
「見極めた、と言うわけではないがね。ただ・・・機械獣とPT、特にゲシュペンストが同時に存在する世界は、そう沢山はないということ・・・それで決断したと言うことだ」
「"世界"・・・何度か出て来ている、平行世界というやつか」
またそのキーワードか、と刹那は如何せん疲れたような表情を見せる
「理解しづらいのは分かる話だ」
キョウスケと同じように、ビアンも刹那の心境を肯定した。そして最初は誰でもそう言う顔をする、とビアンは付け加えた
「理屈は聞いた、頭では理解した。ただ、理性が納得しない」
例えばそれが、『自分が見知らぬ世界』・・・つまり、バイストンウェルや遠い異星、または甲児と鉄也が動かす個人所有のロボットが居て、自分たちが使うような軍事兵装としてのロボットが一般的でないという、常識そのものがずれた世界ならばともかく
前の『もう一人のヒイロ』のような、同一人物でありながら違う者、という存在は刹那の理解の範疇を超えていた・・・いやまぁ、普通の人でもそんなの聞いたところで、頭がおかしいと思われるだけだとは思うが
「世界とは可能性の産物。これは理解できるかね」
ビアンの言わんとしていることが直接的すぎて、刹那はただ眉をひそませてそれに応えるしかなかった
「例えば君と同じクラスのダバ・マイロード君は、『もしもクワサン・オリビーが精神崩壊していなければ』、ペンタゴナの王に収まっていてもおかしくはなかった。さらに言うなら、『反乱軍の中でシンボルにならなければ』ポセイダルの支配は未だ続いていたろうし、そもそも『ポセイダルがヤーマン族と関わらなければ』、彼の存在すらなかっただろうな
そういった可能性の到達点が、それぞれの世界の『今』である
「よって、世界とは既にこの時点で1つではない。それぞれの"もし"によって分岐した、僅かな位相のずれをきっかけに遊離した時間が、それぞれの歴史を持って時間を刻んでいる。それが、平行世界というわけだ」
「この間のヒイロのことか」
「そうなるな。今ここに居るヒイロ君は、争いうという流れを断ち切った先にいる。だが全く違う歴史を歩み、そのワルツの中から逃れられず、あまつさえそれ以上の厄介ごとに巻き込まれた彼が、今も渦から抜け出せずに彷徨っている、ということだな」
「だがそういった"可能性"を追い続けるのは・・・」
もしビアンの言っていることが本当ならば、真の意味での紛争根絶は根本的に無理である。世界中のIFなんて、探し続けたところで終わりがあるはずがない。人類の歴史でそうなのだから、もっと前に踏み込んでいったことなど考えると、もう追求を止めるほか無い。変革を夢見たところで、何処かで『変われなかった世界』が残るからである
だがそれでは、あのヒイロに言われた『一箇所に留まるな、自分の足で世界を見て回れ。そうすれば変われる』という助言と、決定的に矛盾する
「その可能性に常に干渉し、考えを巡らせることができるのが、この学園の役割でもある」
「何・・・だと?」
「前に竜馬君が野生をむき出しにしたことがあったろう。アレは彼が二重人格なのでも、化け物なワケでもない。あれこそが平行世界の彼なのだ」
「意味が・・・わからない」
言葉を詰まらせる刹那。ビアンはそう言う反応が普通だ、と前置きした上で続けた
「流竜馬と呼ばれ、その根底を同一とする存在は、少なくとも4名いる。甲児君に至っては、5人は居たかな」
他にもそう言う人物は、この学園には多くいるそうである
「その4人が、状況によって切り替わると?・・・馬鹿な、理不尽を通り越している。そもそも何をもってして"同じ"かはわからないが、もしさっきの説明に従うなら、ある"IF"によって分岐したそれぞれの存在は、お互いのことを否定し合い、共にいることはできないのではないのか?ましてや全く同じ空間で、器を一つにして共存するなど、できるはずがない」
刹那は自分が精一杯に自分が理解した内容で、その馬鹿げた話に反論して見せた
「そう。一つ一つの可能性の選択が、幸運であることも悲劇であることもある。だがこの学園は、それら存在しうる可能性を、出来る限り同時に包括し、且つ試行できる空間なのだ
だからここでは時間が進まないのだ。どの時点で何が行われても、可能性の試行のために空間が閉ざされているから
「それは・・・無限の地獄ではないのか!?」
「なに、先生方も生徒達も、学園からは出ようと思えば出られる。私を除いてな。だから私はここが、君が君の世界に変革をもたらす、いくつかのヒントを何度も探し、試す良い場所だと思うがね?」
「だが、それでも俺達の世界では、時間は進んでいる。今こうしていても、紛争は起こっている!失敗のない世界で、ぬるま湯に浸っている余裕は無い!!
「ならばもっと積極的に悩み、幾度も挑戦したまえ。満足することは決してないだろうが、ここでの失敗さえ繰り返さなければ、君はきっと紛争根絶というものが何か、見いだすことができるはずだ」
あくまでビアンの言葉はハッキリしていて、しかしその表情はある種の慈愛に満ちていた
「そのために、わざとこの学園に俺を・・・?アンタは・・・アンタは何者なんだ・・・」
だがビアンは、愕然としている刹那に背を向け、夕日の差し込む廊下を歩み始めた
「昔いろいろと、褒められたものではないことをやってな。出られないのだよ、ここからな」
ただ、そういった言葉だけを残して・・・
その頃、遠く離れていたCBの元に、三大陣営の合同演習の報がもたらされていた
刹那に残された時間は、本当にギリギリになり始めていたのだった
「ファイト!ファイトォォォ!!」
先ほどから海岸線では、シャイニングがマスターガンダムとゴッドガンダムに追いかけられながら、ひたすら夕陽に向かって駆けていた
「休むな、アクセルッ!」
「うわーっ、もう何周してんだよ?大体なんでこんなに広いんだ、この海岸線ッ!」
仮にも全長15mのMFで走っているのに、いつまでも砂浜が切れないのが、アクセルには不思議だった
「ええい、たかが30周した程度で根を上げるでない!」
「勘弁してくれ、どんなスポ根だよこの光景!?ロボットん中で走ったって、トレーニングになんかなりゃしないだろうが!」
尤もなことのように聞こえるが、それは踏んではいけない地雷のスイッチを押す言葉であった
「貴方、沖女流の特訓を否定するのかしら?」
「コーチの熱の入った特訓は本物なんだから!!」

目の前に現れたのは、見上げるほどにデカいガンバスター(既に合体してます)であった
「おお、カズミにノリコじゃないか。どうだ、特訓は進んでるか?」
「こんにちわ、ドモンさん!そりゃもう絶好調ですよ」
先ほど訓練がてら、宇宙怪獣を薙ぎ払ってきたところです。まだまだ余力があるわ。その証明にそこの彼に、コーチ仕込みの稲妻キックを披露して差し上げてもよくってよ?」
どんなキックかは想像が付かないが、全長200mのアレに蹴られて無事に済むはずは、無い
「・・・師匠、俺、力の限り走ります(血涙)」
シャイニングが情けなくマスターガンダムに平伏している姿は、遠くで見ていたウッソに隠し撮りされ、数日後の新聞の一面を飾ることになった、と言う
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2010/05/18 23:41 | 刹那 参戦編COMMENT(2)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

アクセル……お気の毒に

あの師弟コンビに加えてガンバスターコンビにまで睨まれてたら、そりゃ逃げ場ないですって(笑)



えと、ビアンが言ってた「争いのワルツ~」に一応前回執筆者として補足を。

前回の『彼』の言葉で説明するならば、
「争いのワルツの中から抜け出す…逃げ出す事はできるだろうが、それはしない。
 今となっては『運命を享受する事』と同じな上、『自分を救う為に命を投げ出した者達の思い』……すなわち『未来への希望』を踏みにじるような行為だから」
ですです。


この場合の『争い』の意味としては、『武器を持たない戦い』も含んでいます。

No:1907 2010/05/19 07:00 | 漆黒の翼@携帯 #e9EPk88s URL [ 編集 ]

熱血は正義だ!

> あの師弟コンビに加えてガンバスターコンビにまで睨まれてたら
師匠だけで〆るつもりが、途中で彼女たちが頭に降りてきました
結果としては良かったと思います(ぇ


> えと、ビアンが言ってた「争いのワルツ~」に一応前回執筆者として補足を。
だいたいは分かってました
ま、せっちゃんに説明するために、それが善か悪かという部分や、本人が望んでいるかどうかと言う視点を取っ払い、完全に第三者視点で感じたイメージで書いたわけで
あのお話のネタは、もうちょい先でも使わせていただきます
説明省けて助かっちゃいました(苦笑

No:1912 2010/05/20 01:04 | あるす #- URL [ 編集 ]

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