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【スパロボSS】真・スパロボの学園(19)~卓球~

ニコ動を徘徊していたら、うっかり見つけた仮面ライダーミュージカルの病気動画

病気すぎるだろ、この公式・・・仮にも不特定多数のお客さんが見ている劇場で、このノリでいいのかw
そしてディエンド、お前は何をしに来たんだ?


A.C.E Rですが、オリキャラも発表されたようで、明日のファミ通公式がどうなることやら、ちょっと期待してますが
未だに戦闘動画が公開されないのは、何故なんだぜ?
そろそろ開発中でもいいから、マジで機体が動いているところをみせて欲しい
さて、やっと書けた19話
黒アゲハさんのリクエストは、この次の『外伝』で書く予定

それにしても、脳内でイメージしているものを、文章にするのって、いくつになっても難しいです
挿絵で補完しろよ、って噂もありますけど、そんなのやってたら時間ないわw


伊豆急下田、ハ○ヤホテル・・・
ホテルの廊下を、スリッパでぺとペとと歩く男が二人
方やしっかりと浴衣を着こなし、方や慣れない浴衣に絡まりつつ、フラフラと歩く
行き交う宿泊客と比べ、頭一つ抜き出た金髪男性だ。外国からの観光客であろうか
「良い湯であったな」
「けっ、わざわざ日本くんだりまで来て、男同士のペアで風呂入って何が良いんだか」
言うまでもないが、何となく風呂を満喫しちゃったグラハムと、付き合わされて辟易しているコーラサワーであった
「安心したまえ、私にその手の趣味はない」
「合ったら余計に困るわ!」
こういうことに真顔で返答するグラハムが、どこまで本気でどこまで冗談なのか分からない。つっこむコーラサワーの方が嫌になるのは、良く分かる話ではあった
「だいたいよぉ、俺達こんな暢気に、観光するために来たんじゃねぇだろ」
今更言うまでもないことだが、彼等は別に温泉に浸かるために来たわけではない。しかし、捜しても捜しても"ガンダム"が出てこないまま、とっぷり夜が更けてしまったので、なし崩し的に休憩タイムに突入してしまったのだ
「それは百も承知だ。だが、肝心の"ガンダム"も、"マイスター"とやらも見つからない以上・・・」
自分たちが軍隊であることから、逆に状況証拠だけで"民間施設"に下手な手は出せない。警察権限とはそう言うものである
「そちらの外人部隊だったか?ゲイリー・ビアッジ少尉の情報からでは、かの"ガンダム"がこの施設の上空に現れた、と言うこと以上のことが分からん」
それだけで、学園がガンダムを庇護している、と断定することは難しい
「あんだけ大層なメカを抱え込んでて、ガンダムだけ有りません、ってのもおかしな話だと思うがねぇ」
ナデシコに踏み込んだ三大陣営部隊が見たのは、マジンガーやらザンボットといった、既存の技術を踏み越えたスーパーロボットから、どこからどう見ても戦闘機だが、実は変形してロボットになります、と言うバルキリーのようなリアルロボットまで、それはもう百花繚乱とうことが場相応しい、戦闘技術の博覧会みたいな格納庫であった
もちろん、ガンダムと名の付くメカも沢山あって、余計に彼等に目眩を覚えさせたのは言うまでもない
(グラハムは二度目なので、そこそこ耐性が付いていたが)
「まったくだ。そもそもいくら軍艦とはいえ、こんな狭い場所で見つからないなどと、不気味な話だ。相手はそれこそニンジャかゴーストだとでもいうのか」
そのどちらとも、この艦の中に実在している、と言うことなど、グラハムの預かり知らぬことではあった
「大体面子も面子だぜ。どいつもこいつも、緊張感がねぇっつーか」
艦長からして、基本的な思考回路が軍人らしからぬモノで、放っておくと彼氏らしい男に言い寄っているから、やる気があるのかとつっこみたくなる
「そうだな・・・で、そちらはどうだったのだね?」
グラハムの視線の先には、厳しい顔をした若い女性が一人
こちらは軍服のままのソーマであった
「なんだよ、そっちはそっちで風呂にも入らずかい」
「シャワー程度なら浴びた」
コーラサワーの冷やかしにも、ソーマは眉一つ動かさずにそう応える。どうやら、湯に浸かる必要性は感じなかった、と言うことのようだ
「まったく分からない連中だ。少しも軍人らしくない」
シャワーを浴びながら、横を走り回る女性陣を横目に見ていたソーマ
仮にも軍艦にいるというのに、10代の子供が素っ裸で走り回ったり(プルのこと)、これを止めようと追いかけているのもやっぱり10代の子供で(ちづるとかさやかのこと)、その風景を覗こうなどと下心を出し、敢えなく見つかって返り討ちに遭う連中がいたり(言うまでもなくウッソや甲児のこと)
軍隊の規律、戦場の緊張感、そう言ったものとはまったく無縁という風景である
「同様というわけだな」
グラハムは顎に手を当て、むぅと考え事をする素振りを見せる
と言うより、確かに頭を抱えているのだ
こちらの切り込むスキというか、相手の素性をバラさせるネタというか、そう言うモノがからきし無いのである。それはまるで、迷宮事件にぶち当たった捜査班のような気分だ
「・・・ん、何か騒がしいな」
何かに気づいたコーラサワーが指さす先で、中高学生とおぼしき年齢の一団が、宿泊部屋の中でワイワイガヤガヤと群がっている
「それっ、やるぞー!オレは今、猛烈に熱血している!!」
「アイテっ、やったなぁ、そんじゃこっちは、ガンバー忍術で応戦だ!」
彼等は何かを投げ合ってじゃれ合っているようであった
「枕投げとはまた、実に普通の子供らしい遊びだな」
やれやれ、どこまでも暢気だと、グラハムは半ば呆れて言う

「・・・?こっちはこっちで、煙草くせぇなオイ」
コーラサワーが目をやった真横の部屋では、大の大人が何かを囲って眉をひそめている
「ったく、ガキは元気だねぇ。煩すぎてたまらねーな・・・お、カンだ」
「文句を言うな藤原。それなら、こっちの旅程に来なければいい話だったろう・・・捨てるぞ」
「キョウスケも無茶言うねぇ。温泉旅行とペンタゴナ見学の二択でどうしろってんだよ・・・ん、ポンだ。そいつもらい」
「ん~、だったら、アムロと一緒に留守番してれば良かったか、アクセル?」
「男だらけの留守番なんて願い下げだね・・・んで、どうでも良いんだけどさ、フォッカー先生よ。アンタ仮にも先生なのに、ここで煙草吸いつつ麻雀してて良いのかよ。子供の情操教育に問題ねーか?」
「バァーロッ!旅行中は無礼講だ!!・・・ヒックっ
フォッカー先生の脇には、既に空のビールビンが5本ほど並んでいた。もちろん、灰皿にはケシモクが山のように詰まっている
「うわー・・・もう出来上がってるよ、この人」
とか何とか言いつつ、アクセルも既にワイン1本空けかかってたりする
「それでも牌の見極めが鈍っていないとは。やはり侮れんな」
こんなときでもクールさを維持しているキョウスケだが、その脇には既に焼酎のビンが1本空で転がっていた
「そう言うあんたもだよ。麻雀ごときで真剣になりすぎだぜ?」
「オレの手持ちは全部賭けてるんだ。これ以上負けて、エクセレンに良いようにされるのではたまらん」
「何でこんなときに、財布の中身全部賭けるかな、こいつ・・・」
その理由は明解。それがキョウスケ・ナンブであるからだ

「おいおい、修学旅行中に賭け麻雀してるよ、アイツら」
ノリの軽いコーラサワーでも、これはさすがに引いてしまったようだ
「気が緩みすぎているな。何を考えているのやら。ま、人間臭さには共感するが」
「本当に学校運営をする気があるのか、連中は?」
多分あんまり本気ではないと思われるので、そばに学園関係者がいたとしても、きっと充分なフォローはできなかっただろう

さて、子供達の部屋では、枕投げが最高潮に達しつつあった
「おら行くぜ!オレのショットを食らいやがれ!!」
アポロが気合い一閃、凄まじいスピードで枕をレントンに投げつけるが
「あ、あぶない!?」スキル・リフテクニック発動
生身で分身して避けるレントン。避けた枕が、壁に当たって炸裂するほどの強烈な投擲であった。当たったら命が危ない
「やりやがったなアポロ!んじゃコイツを喰らいやがれ!」精神コマンド・必中&熱血
葵豹馬の必殺・超電磁スピン投げ炸裂(※生身で回転しています)
「そうはさせない!」特殊技能・カウンター発動
必殺技の出し抜けに、斗牙のカウンターキックが豹馬を襲う
「こら斗牙!枕投げは『枕を投げる』のがルールだぞ。格闘技は禁止だ」
「えっ、枕は単なる飛び道具なんじゃなかったの?」
エイジのツッコミにも、斗牙は素で応えていた
「しょうがねぇなぁ斗牙の兄ちゃんは。よぉし、一発オレが手本を見せてやらぁ」
へへん、と自信ありげに枕を持ち上げ、おもむろにジュンに投げつける勝平だが
「当たるもんか!・・・って言ってみたかったんだよね」
とまぁネタ台詞でもって、ひょいっと避けられてしまう
「ええー、なんで今のが外れんだよ!」
かなり気合いを入れて投げつけたのに、あのジュンに避けられては勝平も立つ瀬がない
「ま、お前はこの宇宙太様の"必中"あってのアタッカーだろうよ」
「んだと宇宙太、てめぇ!」
「ハイハイ、そこで仲間割れしないの」
恵子がなだめている横で、ちょいと枕を取り上げたのはサイ・サイシーである
「よおし、んじゃオイラが一つ、究極の枕投げを見せてやろうじゃないの?」特殊技能・ハイパーモード
「うあ、そんなことで金色になるな!?」
周囲のツッコミも無視し、シャッフル同盟の切り札モードを発動させたサイ・サイシー。そして大きく撥ね飛び上がると、その黄金の足技が華麗に炸裂した
「目に物魅せるは最終奥義!流星胡蝶脚!!」
言うが否や、百烈キックと見まがう凄まじい連続足技で、無数の枕が部屋中に降り注いでくるではないか。どこから枕が沸いて出ているのかは、言わぬが花というもの
「うあ、あぶねっ!」精神コマンド・ひらめき
「ちょ、やめ、やめろって!」精神コマンド・鉄壁
「それ枕投げじゃなくて、枕蹴りだろーが!」精神コマンド・不屈
「シャレになってねーぞ、オイッ!」特殊技能・切り払い
「当たったら死ぬってこれ!」特殊技能・撃ち落とし
・・・とか何とか文句を言いつつ、それぞれ自分の得意技で、その場を凌いでいる面々

そんな大騒ぎの脇で、一人静かに本を読んでいた小介だったが、珍しく額に明確な青筋が立っていた。勝平達のやり取りまでは、彼も何とか大人しくしていた物の、サイ・サイシーの枕の雨に、とうとう彼は静かにきれた
「まったく、本の一つもゆっくり読ませてくれないんですか!」精神コマンド・かく乱
その瞬間、部屋全体の空気が、異様に歪んだような感覚に包まれた
「あ、あれれれ?」
「なんか視界が歪む!」
「焦点がさだまらな・・・うわ!」
「ぎゃーっ!!」
かく乱の効果のため、前後不覚になった枕投げチームは、哀れ枕の雨の中に埋もれていく。だがもっとまずいのは、今まである程度切り伏せていた枕が、部屋のあちこちにぼこぼこ当たりまくり、襖や障子を次々と破壊していく。挙げ句の果てには、隣にいる大学生連中がいた部屋の壁まで突き破ってしまったのだ
間の悪いことに、その枕を頭に受けたのは、藤原忍であった
忍はその勢いで雀卓に倒れ伏した。もちろん、キョウスケ・アクセル・フォッカーが作っていた役は、華麗に宙に舞って飛散した
「・・・てめーら!ちったぁ大人しくしてらんねぇのかァァッ!!」精神コマンド・激怒
せっかく麻雀で良い牌が来てたのに、枕直撃で雀卓がリセットされたことに、忍は怒り心頭であった
そんな忍の叫びに呼応するように、どこからともなく流星の嵐が降り注ぐ!
「わーっ!なんだなんだ、これーー!!??」
「忍さんの方がよっぽど大人げないじゃないですかーーー!」
「だいたい、そんな古い精神コマンド、思い出したように使うなーーーーッ!!」
「うっせぇ!大人の遊びを邪魔するとこういうことになんだよ、分かったかクソガキども!!」
理不尽な忍の『大人の理論』が炸裂する
「ちょっとフォッカー先生たち、見てないで止めてくれよぉ!」
仁がそういうのは、状況からして至極正しいのだが、他の3人もなにやら静かに炎をたぎらせていた
「この場合はお前達が悪い」
「雀卓は良いにしても、宿の部屋を壊すな」
「というわけでだ」
全弾発射ァ!※弾は麻雀牌です
スクエア・クレイモア!※弾は麻雀牌です
青龍鱗!!※弾は枕です

ちゅどーん、どっかーん
お仕置きしている大人達も部屋を破壊しているのは、つっこんではいけない
そうして、中高生組の部屋が焼け野原になるまで、あとちょっと

「・・・アレ、普通か?」
とりあえずグラハムにそう振ってみるコーラサワー
「全面撤回したくなってきたな」
思わず腕組みして考え込んでしまうグラハム
「奴らは魔法使いか仙人か?」
ある意味人間を止めてるヤツもいる上、その他そもそも人間じゃないのも混じってるので、あながちソーマのツッコミは誤りではない
「呆れかえったら気が抜けて、腹が減ってきた・・・なんか食おうぜ?」
もうこの際だから、観光地の美味そうな料理でも食べて、ストレス発散と行こうというのが、コーラサワーの意見のようである
「気分をリセットするのにもそれが良いか」
グラハムも難しいことを考えるのを、そろそろ止めたかったようだ
「とりあえず売店に行って、瓶牛乳を買うとするか」
「あ?ミルクだなんて、お子様の飲み物だろうがよ」
「何を言う。熱い湯から上がった後は、腰に手を当て牛乳をぐいっと一飲みするのが、由緒正しい日本の風呂の風習だ」
「・・・アンタ本当に北米出身?」
「もちろん?」
コーラサワーの指摘にも、グラハムは平然としていた
「どうだねソーマ・ピーリス少尉?」
「・・・同行しよう」
ソーマは別に食事なんぞどうでも良かったのだが、ここで2人と行動を別にしたことで、何らかの重大情報を得るタイミングをロスすることが嫌だっただけだ
もちろん、それは他の二人も同じだったが
3人は揃って歩きながら、静かに腹の底を読みあって動いていたのだった


その頃売店そばの休憩所では
レトロゲームにはまって50円をつぎ込んでいる者
ちょっと夜中のお菓子を買い込んで、互いにそれを開けあってはつまんでいる者
マッサージシートにくるまれて至福の時を過ごしている者
・・・いつもの騒々しい学園から離れ、余暇を満喫しているメンバーで溢れていた
その中で
「ああ、まだこの辺りが濡れてるわね。ちょっとじっとしてて」
「・・・ん」
風呂上がりの刹那の髪を、マリナが優しく乾かしている
その二人の様子をカミーユやシンが、ニヤニヤしながら眺めている
「何だお前達。何か言いたげだが」
その妙な雰囲気が鼻についたのか、ちょっとムッとしながら刹那が言う
「んー?いやさ、ほんわかしてるというか」
「まるで弟をかわいがってるお姉さん、って感じの雰囲気だからさ」
「・・・」
二人のからかいに対し、ボキャブラリーの無さから返答に困っている刹那
マリナは思わずクスリと笑う
「そうね・・・こうして見ると、貴方はまったく普通の男の子なのに・・・」
そこまで言って、マリナは急に少し悲しそうな表情を見せる
「どうして貴方の様な人が、MSに乗るの?戦争を根絶できると、本当に信じて・・・」
刹那は、すっと後ろを振り返って、マリナの目をじっと見つめた
「俺は、クルジスで地獄を見た」
その言葉に、ハッとマリナは身をすくめてしまう
「あらゆる物が理不尽に潰され、物が命が失われていく光景。そこで俺は、この歪んだ世界に絶望した。神は居ない・・・そう実感した」
マリナは刹那の言葉をじっと聞いている
「だがその中で、俺は"ガンダム"に救われた」
「"ガンダム"?あのエクシアかよ」
シンにしてみれば、刹那の世界のガンダムはエクシアしか知らないので、そう言う言葉が出ても仕方ない
「違う。お前達に分かるように言うなら、『俺達の世界での最初のガンダム』にだ」
ありとあらゆる物が無力な中、圧倒的な力と美しさを見せつけたその"ガンダム"に、刹那の心は奪われた。まさにそれは"神"と現して過言ではなかったのだろう
「俺にとってガンダムとは、戦争を根絶する力そのものだ」
その"ガンダム"を扱う者として、彼はヴェーダに見いだされた
「それを体現する力が、ここにある。だがらこそ、俺は"ガンダム"になるために・・・戦っている」
「・・・深くは聞かないけれど」
マリナはそう前置きをしてから、言葉を紡いだ
「貴方は、とても辛い思いをしたのね。だから戦争をする人たちが、貴方のような人を増やすのが、嫌なのね」
彼女がそうしたように刹那もまた、マリナの言葉を一言一句逃さず、じっと聞こうとしているようだった
「それは人として、とても普通の姿よ。そう、やっぱり貴方は本当に、普通の人・・・」
「・・・紛争根絶を、肯定するのか」
刹那の言葉に、マリナは静かに首を振った
「人の心や感情は、管のようま一直線の流れを持っていると、私は思うの。特に、とても悲しい思いを、辛い思いをした人というのは、その痛みを他者に分かって貰いたいと思う余りに、受けた暴力をそのまま他の人に与えてしまうようなの」
虐待を受けた子供が、大人になってから自分の子に暴力を振るう、という事例がそうだという
「貴方は、戦場で受けた辛さを、未だに戦争をしている人たちに分からせたいのね。貴方自身がそう思っているかどうかに関わらず。そのための力もあるのだから」
そのように考えたことがなかった刹那は、その語りかけをどう理解したものか、と考えているように見える
「でもね悲しいけれども、貴方たちが『戦う力を根絶するためにしている戦い』で、思いもかけず辛い思いをした人がいるのよ。貴方が悲劇を分からせたいと思っている人たち以外にも、戦争に関わらざるをえない人たちはいるのだから。そう言う人たちもまた、貴方に鏡のように暴力を仕返してくるわ。それがこの間あったようなことなのよ。暴力の連鎖というのは、きっとこう言う流れのことを言うのだと思うわ」
「あー・・・それ、俺は良く分かる気がする」
シンが合いの手を入れてくる。マリナの台詞には、横で聞いている若い二人のパイロットにも、少々思うところがあるようで、冷やかしで付いて来ていたつもりが、いつの間にか会話に紛れ込んでいたのであった
「・・・だが俺は、それ以外に紛争根絶の手段を知らない」
「普通はそうだと思う。やっぱり直接的なことに訴えがちだわ。その中で別の手段として取れるのが"対話"だと、私は信じているの」
刹那の立場を理解しようと、それを尊重しようと慎重に、マリナは言葉を紡ぐ
「対話という手段は、銃を向け合う戦いと違って生身で向き合うから、相手のことを知ろうと自然に考えるわよね。そこから、相互理解に繋がる糸口は、見えてくることもあるわ」
「けどマリナ姫、言葉だけで相互理解ができるなら、ニュータイプなんて考え、出やしませんよ。言葉を交わすだけで暴力になる、そういうことって、あるでしょう?」
深層心理のレベルでの理解を目指す、そういうことがニュータイプの理想だが、そう言う話が出てくる時点で、表面的な言葉のやり取りに限界がある、と言う一面を示していると言える
「言葉の暴力の象徴みたいなお前が言うなよ」
「うるさいな」
シンのツッコミは正しい、が次ぎに進もう
「もちろん、言葉にも"力"があるわ。だから"暴力"になって、それを鏡のように返されることがある。けれども、何より語り合う相手のことを考える、そう言う過程が入っている。これはとても大事なポイントなのではないのかしら。銃や剣での争いは、その武器しか見える物がないでしょう。それを振るっている者の事なんて考えることがあるかしら?」
例えて言うなら、エクシアによって紛争介入された者は、エクシアに乗っている刹那の想いなどいざ知らず、ただ"エクシアの持つ力"を憎むだろう
「カミーユ君の言う通りにね、言葉の戦いも、連鎖に陥ることがあるでしょう。けれどもその渦は、暴力によって起きる連鎖よりも、もっともっと小さく収まるのじゃないかしら」
それはある意味理想論かも知れなかった。端で聞いていたカミーユもシンも、彼女の言いたいことは良く分かるが、それほど世界が生やさしくない、とは考えていた
「それが、世界と向き合え、と言うことか・・・」
その後、刹那が何かを言おうとした時だった

「ほうほう、これはまた盛り上がっておられるな」
先ほどの騒動現場からやってきた、グラハム・コーラサワー・ソーマの三人が、売店に顔を出した
「あら、中尉さん達じゃないですか。お風呂は楽しかったですかぁ?」
相変わらず暢気な様子で、ユリカがそう言いながら三人を出迎える
「思いもかけませんでしたが、少々疲れが癒されたように感じますよ」
社交辞令的に、グラハムはそう切り返す
「それはよかったです♪んじゃ、ロラン君とそのお友達特製、絞りたて牛乳でぷはーっと行きましょう!」
きらり、と笑顔で瓶牛乳を差し出すユリカ
「・・・本当に牛乳が出て来やがった・・・」
美女の笑みに応えたいところだが、さっきつっこんだネタが本当になり、コーラサワーはがっくりと膝をついてしまう

コミカルな光景だが、刹那達は内心穏やかでなかった
「刹那、アレは・・・」
「ユニオンのグラハム・エーカー、AEUのパトリック・コーラサワー、後一人は・・・おそらく人革連の兵だろう」
その程度の情報なら、ヴェーダから得られることができるという
「下手なことやるなよ?」
「分かっている」
カミーユに念を押されるまでもなく、これまでのことを水泡に帰す気は、刹那にも更々なかった

一口飲んで、その牛乳のナチュラルな味に、グラハムは素直に感心した
「これは素晴らしいですな。ここで飲みきってしまうのが惜しい」
「お褒めにあずかって光栄です。でもそれ、今日の分はあと2本分ぐらいでおしまいなんです」
残念そうにするロラン。グラハムもこれまた素直に残念だったが、ふと横で卓球に興じているピエール達の姿が目に止まった
「・・・どうだろう?ここは一つ我々とちょっとした勝負をして、その残りの牛乳を賭けてみるのは」
「え?でも軍人さん相手に、僕たちが何かの勝負をしたって」
ゲイナーの指摘は至極尤ものように聞こえる。それは当のグラハムも承知していた
「なに簡単だよ。あの卓球で我々三人と試合をするのさ。純粋なスポーツなら、別に君らでも充分張り合えると思うがね?」
だが、これに一番違和感を覚えたのは、巻き込まれたコーラサワーとソーマの方である
「相変わらず唐突だなアンタは?なに考えてんだよ」
「余興だよ、余興」
もちろんグラハムとて、本気で余興にするつもりはなかった
だがこのまま明日、手ぶらで本陣に戻ることができようはずもない。だとするなら、何でもいい、口実を付けてとにかく多めに彼等と接触を図り、ぼろを出しそうなところを探るのが必要だと考えたのだ
「それとも、卓球は苦手だったかね」
それをコーラサワーに悟られぬよう、挑発とも取れる投げかけを返してみせる。本来の意図はどうであれ、コーラサワーはカチンと来たのは言うまでもない
「なにぃ?んな訳あるか、俺は練習試合で2000勝の男だ!
「・・・何でも2000勝していればいい、と言うものではあるまい」
ソーマはいつの間にかツッコミ要員と化しているようだった

さて一方で学園側であるが、卓球程度なら別に何とでもなるかと、早速誰を選手として出すかという話に入っていた
「どーする?ここんとこ出番のないヤツにしようか」
何かすごいメタメタな発言だが、そのシンの言葉に合わせ、場の視線はある一人の青年に集まった
「・・・僕?」
それは運動神経のへったくれもない、引き籠もり青年であるゲイナーであった
「出番という意味では、シンの方が良いでしょ」
「余計なお世話だよ」
いろいろ事情があるのだよ By作者
「牛乳がどうのって言って、実は何か無茶降りしようとしているんでしょう、どうせ軍人さんは?そんなの、僕は巻き込まれたくありませんよ」
ふてくされて言っているが、その読みは実に正しい。意外と真理を突くのが、ゲイナーの小憎らしいところである
「イイじゃない別に。たまにはゲームチャンプらしいところを、リアルで披露しなさいよ」
「サ、サラ?そんな無茶苦茶な」
が、その"ゲームチャンプ"と言う言葉に、コーラサワーがぴくりと反応した
「なんだぁ、そんな顔して、通り名持ちかい」
「ゲイナーは、バーニングPTで常にトップスコアキープの、"キング"なのさ」
「ばーにんぐPT、なんだそら」
「ネットワーク上での、ロボット対戦ゲームですよ」
期待に反した答えに、コーラサワーはがっくりしたようである
『んだよそりゃ』
まぁそれが普通の人の反応だろう
そんなコーラサワーを尻目に、イマイチ乗り気になれないゲイナーは、まだもじもじしている。これにはサラも呆れ、ちょっと尻を叩く必要があると感じたようだ
「なによ、あれだけ恥ずかしい告白はできて、たかが卓球はできないわけ?あの言葉に相応しいぐらいの男になる、ってぐらい言いなさいよ」
「・・・サラ・・・」
ここまで言われて、それでも拗ねて引き籠もっているようでは、さすがに男が廃るというもの
「わかったよ、やるよ、やればいいんでしょう。まったく」
でもサラに言われてから動くなら、悪い気はしない。負けん気が実は強いゲイナーは、こっそり気合い×3を使い、まさに気合いを入れ直してみた。そうして、ラケットを手に卓球台に向かう彼は、安直と言えば安直ではある
『舐められたもんだぜ、こんなへなちょこをよこされるとは、よ』
なし崩し的に一番手になったコーラサワーだが、その手にはどこからか持ち出したマイラケットが既に握られていた
「魅せてやるぜ、このコーラサワー様の華麗なるサーブ!」
スコン!と放たれた美しいサーブ。それはかなりのキレを持ち、ゲイナー側のコートに向かっていった。なんやかんや言っても軍人の体躯から放たれたそれを、ゲイナーが打ち返せるとはグラハムも含めた3人、誰も考えていなかった。が
「させないっ!」
カコン!
目にも止まらぬスピードで、その弾に追いついたゲイナーの一撃が、コーラサワーのコートに返された
「んな、なにぃ!?」
驚いて打ち返すコーラサワー。そしてそれをまた、凄まじいスピードで対面に移動し、華麗に打ち返すゲイナー
「えい、このっ!」
「ちっ、一丁前に!!」
舐めてかかっていたコーラサワーも、これは本気にならざるを得ない
「すごいな。ゲイナーはあんな特技があったのか」
学友の意外な姿に、刹那は本心から驚いていた。それを見透かしたように、真横に突然ライトがぬっと現れた
「説明しよう!ゲイナーは元々オーバーセンスのLVが高いので、命中と回避の値に補正がかかっている。さらに先ほど気合いを3回使ったので、気力130でスキル・ゲーマが発動中。技量値にも補正がかかっているのだ!
「さすがライト、説明もお手のもんだな」
「まっかせなさい!」
そう言われても困る、と言うのが刹那の本音であった
さて卓球台では、相手の思わぬ反撃に、コーラサワーは心底焦っていた。目の前の線の細い青年のどこに、こんな技能があるのだ。次々と自分の脇を通り過ぎるピンポン球の姿が、彼には信じられなかった
一方でゲイナーは、最初は乗り気でなかったものの、徐々に何か熱い物に火が付いたようで、一発とて弾を落とさないまま試合を進めている。そして
「ゲイナー君、頑張って!」
サラのだめ押し応援が、ゲイナーの心に火を付けた
「負けられないんだ、僕は!」精神コマンド・勇気
『熱血』『必中』『加速』『不屈』『直撃』『気合い』が一気に発動する!
この状況で、加速と不屈は必要なのか、と言うツッコミはあえてするな!

「ふっざけんな、そんな気合いで物事何でも上手く行くと思うなよ!」
だが、それでもなんとかなっちゃうのがスパロボ学園である
逆に言うと、現実の実績が通じない世界である
「ええい、俺はなあ、スペシャルで!」
すかっ
「2000回で!」
すかっ
「練習試合なんだよォォ!」
すっかーん・・・コロコロコロ
意味の良く分からないコーラサワーの叫びは、露と消えることになった
「はい、0対11です。ゲイナーさんの勝ち」
ルリの冷徹な言葉で場が締められたが
「おーい、少尉さん、大丈夫?」
余りにストレートに負けたコーラサワーに、ちょっぴり同情したペローがポンポンと肩を叩いてやるが、既にコーラサワーは『真っ白に燃え尽きたぜ・・・』という、あしたのジョー状態になっていた

「フン、情けない。ならば次は私が行く」
今まで状況を静観していたソーマだが、ある意味ではこちらの実力を他陣営に見せつけるチャンス、と思ったのだろう。自ら進み出てきた
手には既に、ラケットがしっかりと握られている
それを使っておもむろに、無言でサーブの練習をしてみせたソーマだが、その弾が卓球台に当たった途端、盤面が派手に割れた
「ち、軟弱な卓球台め」
いや、そう言う問題ではない
「・・・ラケットは何ともないのだな」
ちょっと引いてるグラハムの言うとおり、こんな惨事を引き起こしたわりに、ラケットには傷一つ無い
「ハニカム合金を3面合わせしたものだ。木製のラバーでは持たない」
超兵が扱うもの、ならではなのかも知れないが
「いつもそんな物を持ち歩いているのか」
「超兵に抜かりはない」
いや、本当にそう言う問題ではない
さてさて、そんな物を見せつけられては、スパロボ学園側としても、半端な面子を出すわけに行かない
「よし、じゃあ俺が行こう」
爽やかな笑顔と共に進み出てきたのは、獅子王凱である
「よーし、新しい卓球台持ってきたぜー」
重そうな黒光りする卓球台を持ち込んできたのは、甲児やボスといった面々であった
「サンキュー、甲児。よし、じゃあ俺もちょっと練習させてもらうよ」
カンッ!と放たれたサーブ球は、ワンバウンドしてきちんとソーマ側に飛んでいった。そこまでは普通だったが、着地した先の床に派手な穴が開いた
「あっちゃー、こりゃ周りも超合金Z製にしないと危ないかな?」
この新しい卓球台、なんと超合金Zで作られた特製のものであった
「いや大丈夫さ。球を落とさなければいい・・・そうだろう、お嬢さん?」
キラリ、と輝くスーパー系ヒーロー特有の瞳。ソーマはその気配に少々気圧されてしまう。こういうキラキラした男は、彼女の周囲にはいないからであろう
『な、なんなのだこの男は?』
何かムカつくというか、どきどきすると言うか、妙な感情がわき上がることにイラついた彼女は、凱と目を合わせないようにしながら無言で配置につく
「ではいくぞ!」
「よし、来い!」
次の瞬間から、鋼の卓球台の上は、凄まじいラリーの応酬となった
しかもそれはまさに人外の試合で、撃ち返される弾が余りのスピードに灼熱し、まるで炎を纏っているかのように見えるほどであった。と言うかその炎の軌跡を確認するのが精一杯で、球自体が見えない
「凄まじい試合だ・・・一体全体どうなっている」
「ハロ、ちゃんとスピード測ってる?」
「球ノ平均時速120キロ、1分間ニ平均50回打チ合ッテル」
ハッキリ言って、ちょっとでも興味を出したりして、手など差し込もうものなら、粉々に砕かれるレベルである。何かうっすら、衝撃波が見えるような気もするし
「それは人間のレベルを超えてないか?」
超兵と名乗るソーマにしてもおかしいが、それをまともに受けている凱にも、刹那は驚きである
「これまた説明しよう!凱はああ見えてサイボーグなんだな、これが
「・・・そ、そうか」
としか刹那は返しようがない。そしてそうすると逆に、ソーマの異常値が上がってしまうのだが、素手でMSをぶち壊すような人を見慣れている学園生徒には、まぁ外の世界にもそう言う人が居るだろう、と何となく納得しちゃってるので、あえてつっこまないのである
さて、ラリーは10分を越えていた。そして凱が公言したとおり、両者とも一度も球を落とすことなく、延々と打ち返してあっているのだ
『くっ、優男と侮ったが、この私の球にこうも打ち返すとは』
そろそろタイムリミットの11分に迫りつつある。早く決着を付けなければ
そう思っていたのは、凱も同様であった
「くっそぉぉ!俺は、俺は負けない・・・!」
そう叫んだ凱の身体が金色に光り始めたように見えた
「なんだ?ヤツも流派・東方不敗の使い手か」
「いや違う、あれは・・・」
凱の胸のGストーンが緑の輝きを放つ
「ハンマァァァ、コネクトォォォォ!!」
その声に合わせ、ラケットが瞬時に小さなハンマー形式に変形する!
「えーっ、それガジェットツールだったのッ!?」
大いなる勇者としての力全開の凱は、ソーマから撃ち返された球にその全てをぶつけた
「光になれェェェェッ!」
「いやいや、するなーーーーーーッ!!」
ずどーん
哀れ次の瞬間には、せっかく用意した卓球台もろとも、ピンポン球は光に還っていた
「はい、凱さんルール違反です。ソーマさんの勝ち」
まぁ当然だ。光になったのが卓球台だけで良かった、と言うくらいである
「んもう凱兄ちゃん!勢い余って、何でも光にしちゃ駄目だよ」
「いやぁ、御免な護。ちょっとやりすぎちまったかな。はははは」
あくまで爽やかな凱に、ソーマは何をつっこんで良いのか分からなかったが、とりあえず勝ったので良しとしよう、と自分に納得させていた

「さてでは、ようやく私の出番、と言うところか」
言い出しっぺが最後に卓球台の前に立つ
それに応えるように立ち上がったのは、何と刹那であった
「刹那?貴方が行くのは・・・」
彼の立ち振る舞いを心配し、マリナが不安そうに声をかける
その彼女に、刹那は振り返らずに言葉を紡いだ
「これは、俺の罪だ」
「・・・え」
「戦いを止めるための戦いを始めた。俺が・・・俺達が、戦いの連鎖の引き金を引いた。ヤツは俺が呼び込んだ俺の鏡だ。だから、俺がそれを受けなければならない」
「そんな真剣に考えるほどの事じゃないだろ?」
所詮は遊びのレベルだ、と言うのがシンの考えであった。だが刹那は首を振った
「どんな形であれ、投げかけたものが還ってくる。それはマリナ・イスマールの言うとおりだ。ならばそれさえも打ち砕き、戦いを止める戦いを続ける。少なくとも今の時点では、俺はこの方法以外を知らない」
そう言うと刹那は、用意されたラケットを手に、グラハムと対峙する
「私の相手は君か。名前は?」
「刹那・F・セイエイ。スパロボ学園高等部、ゲーム同好会所属。バーニングPT歴半年」
「丁寧な自己紹介をありがとう。いい目をしている。戦い甲斐がありそうだ。私はグラハム・エーカー、ユニオンのMSWAD所属の中尉だ。愛機はフラッグ」
もちろんグラハムは、まさか目の前にいる相手が、心から求めて止まないガンダムのパイロットとは、夢にも思っていない
「・・・行くぞ」
「望むところだ」
刹那のサーブで試合が始まった
二人はソーマVS凱のように人外レベルではないし、グラハムは直球真っ直ぐストレートな、愚直という言葉の似合う男であるから、変な手はまったく使っていない
一方で、刹那もここでは特殊技能も精神コマンドも使わずに挑んでいたので、見た目には普通の卓球なのだが、それがまた、かなりのスピードでのラッシュとなった
ガッ!
まずは一手、刹那がグラハムの動きを捉え、見事なスマッシュを決めてみせる
「ほう、やってくれる・・・だが!」
続いてのラッシュの後、今度はグラハムが言葉どおり、刹那のコートに一発打ち込む
「くっ・・・まだ!」
この後二人は球の応酬に突入した。一歩も引かず、球の方がすり切れそうになるほど、延々とラケットが球を叩く音だけが、その場に響いている
「うお・・・こりゃすごいわ」
「またぞろ、11分の限界に突入する気かね」
その様を眺めるギャラリーの中で、マリナは複雑な気持ちになっていた
彼はここでどうなれば、戦いの無意味さを分かってくれるのだろうか
もしかしたら負けた方がいいのだろうか
しかしそれが、さらなる何かの引き金になることも有り得る

『想いを成し遂げる・・・一度、どういう体験をした方が、彼には力になるのかも知れない・・・』
人が次のステップを見いだす瞬間が、勝利か敗北かというのは難しいところである
だが少し話を聞いた中で、刹那は勝利というものより、むしろ敗北故に今立っていると言う部分があるのでは・・・マリナはそう感じたのだ
「頑張れ、刹那ー!」
「ロランの牛乳がかかってるぞー」
いつの間にかギャラりの気持ちが、刹那に向かって集まり始めていた
多くの人が、自分に勝つことを望んでいる
それが刹那には不思議で、しかし何か暖かいものを感じていることも分かっていた
『今までの経緯を考えれば、おそらく彼等は俺の目的を・・・やろうとしていることを、知っているはずだ。その程度はともかく』
それでもヒイロ達を筆頭に、救い受け入れることを躊躇わない
生きて答えを見たいという、そう言う自分を否定しない
ヒイロは言った。『俺達はその思いを、決して見捨てない』と
『ならばすでに起こした戦いも、新たに始めた想いへの戦いも、俺は諦めることはできない』
あの時感じた『託された想い』はきっと、間違いではない
それがこの嵐のようなラッシュの中で、刹那が踏ん張っている原動力であった

「しぶといな少年!だが、これで終わりにする!!」
グラハムが最後の一撃を放たんと、全身全霊を込めて右腕を振り上げる
そして打ち下ろされた黄金の右ストレートが、刹那のラケット目がけて突進した
「・・・早い!」
既にギリギリだった刹那は、その軌跡を捉えることが、一瞬できなかった
『・・・刹那、負けないで・・・』
感極まったマリナがそう祈った時、奇跡が起きた
プレイキャラになるのかサブキャラになるのか、そもそもスパロボに出るかも決まってない彼女が、うっかり精神コマンド・共感を発動させたのである
その効果であろう。刹那は飛び込んでくる球を、その目にクッキリ捉えた
「・・・そこぉッ!」
ぱこーん
刹那のカウンタースマッシュが決まった
打ち返された弾がグラハムの右脇をすり抜け、入り口のドアに突き刺さった
「はい時間切れ。1対2で刹那さんの勝ちです」
ピーッとルリが笛を吹いたのを合図に、壮絶な(?)卓球試合はスパロボ学園の勝利となった
「やったー、刹那すごいよ!」
一斉に駆けよってくるゲイナーやシーブックに、刹那はもみくちゃにされてしまう
そこで感じる想いを、まだどう処理して良いかも分からずに
翌朝
成果もないまま、三大陣営の一行は伊豆急下田を後にした
「フッ・・・私の負けだよ、刹那君」
グラハムは正直に負けを認めた。悔いはない
「お前が悔いが無くても、こっちは悔いがありありだぜ!」
一体上官にどうこれを報告したものだろう・・・
コーラサワーは朝からキリキリ痛む胃に悩まされていた
「今回は運がなかったのだよ」
グラハムはさらりと言ってのけた
「だが、場の準備はどうであれ、彼等の方から現れるさ。少なくとも、ソレスタルビーイングはな・・・」
それだけはおそらく、間違いないことである
「さて、帰ったならば早速、卓球の特訓に精を出すか」
「ああ!?あんた、それにまだ拘ってんのかよ」
「もちろん。私は諦めが悪い男なのだよ。彼は面白い。あの目、実に興味深い。必ず彼に勝つ。勝って私のものとする!
「・・・やっぱお前、危ない趣味あるだろ?」
「そう言う意味ではない!」
刹那への激しい、しかし何処か間違ったライバル心を燃やすグラハムは、後に刹那と意外な邂逅を経験することになる
そんな彼等を見送るナデシコの甲板
「いっやー、上手く誤魔化せて良かったな」
「誤魔化したッつーか、話を横道にそらせた、と言うか」
「どっちにしろ結果オーライ、ということで」
ヤレヤレ、と胸をなで下ろしている一行の後ろ、艦橋には既にユリカの姿があった
「さー、皆さん帰りますよ♪」
「ナデシコ、エンジンスタートします」
それを聞いて、豹馬や健一達はゾロゾロと艦の中に帰っていく
「行こう刹那。帰り道は楽だよ」
刹那に手を差し伸べるゲイナー
「帰る・・・」
「学園にさ。修学旅行は終わり」
「帰って・・・いいのか、俺は」
躊躇いがちな刹那に、ゲイナーはちょっと考えてからこう言った
「確かに、紛争根絶とかガンダムの奪い合いとか、そういうのは余所でやってて欲しいな、って気はあるよ。正直に言えば、僕には関係のない話だし、僕がどうこうできることでもないでしょう」
「それは、そうだ」
「でもね、君が生きたいと思うことは、人間らしくていいと思う。何かを知りたいってもがくのも、人として当たり前だよね。僕にもそう言う時期があったし、これからもあると思う。だからさ・・・上手くは言えないけど、一緒にジタバタする相手として、好感は持てるんだ」
うーん、とちょっと顎に手を当てて考えた後、ゲイナーはふと何かを思いついたようだった
「"もがき仲間"って言うのかな、そういうのでもいいんじゃない?」
「・・・仲間」
刹那にとっての仲間とは、同じソレスタルビーイングに属する者達、であった
だがそれ以外の考え方もある
対話という戦いをする相手としての、仲間
「確かに、そういうのもあり、でいいかもな・・・」
ゲイナーはその時、少し刹那が笑っていたようにも見えた
けれどもすぐに、いつもの仏頂面になっていた彼に、ゲイナーは少しもどかしさを感じた。それでも彼は変わっている、ということを感じるが故に・・・
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2010/06/17 16:07 | 刹那 参戦編COMMENT(5)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

た、卓球……

やはり旅館ネタといったら、風呂上がりの牛乳に卓球が鉄板なのか……と密かに納得しました(笑)


>アムロが留守番
そういう引っ張り方してきましたか…。これでアムロさんがグレて、次回大暴走ですね(笑)

>精神コマンド『激怒』
SRCの精コマファイルで見慣れている私は多分勝ち組(待て

>青龍麟!!※弾は枕です
実弾飛ばす事を考えたら、多分玄武剛弾の間違いかと。EXCEEDではアルフィミィが飛んで行きましたし……



さて、私の日記で散々ゲシュキックネタをやったんで、こちらにも普及させますかね(え
ゆいゆいに犠牲になっていただきましょう。いつしかの『ファイナルコード』にて偽ゲシュキックでデュオをKOした所をカイ先生と東方不敗先生に見られて、ゲシュキックと石破天驚拳を伝授させようと先生達がひたすら追いかける、と(笑)

No:1956 2010/06/17 21:38 | 漆黒の翼 #e9EPk88s URL編集 ]

お約束は守るよ!

> やはり旅館ネタといったら、風呂上がりの牛乳に卓球が鉄板なのか
それはもう外しちゃ駄目でしょ

> >アムロが留守番
> そういう引っ張り方してきましたか…。
いやそれが、次回の外伝はどう頑張ってもシリアスになるんです
ギャグ入れたいけど・・・どうしよう

> >精神コマンド『激怒』
> SRCの精コマファイルで見慣れている私は多分勝ち組(待て
第4次スーパーロボット大戦Sで、意味もなく使ったいい思い出があります(ぇ

> >青龍麟!!※弾は枕です
> 実弾飛ばす事を考えたら、多分玄武剛弾の間違いかと。
いや、たしかエネルギー波をいっぱいまき散らしてたから、これでもいいかなーと

>EXCEEDではアルフィミィが飛んで行きましたし……
・・・何してんの、彼女は?w

> さて、私の日記で散々ゲシュキックネタをやったんで(ry
それは後2話後に使わせていただく予定です
グリリバネタも・・・w

No:1957 2010/06/18 00:31 | あるす #- URL編集 ]

ガンダムがいつまでも戦争しているのは…

戦争してないと続編といった話の続きが作れないからである(身も蓋もないが)。

で、馬鹿馬鹿しくも面白い修学旅行の中で刹那とマリナ。そして、学園の皆さんとの交流がいいですな。
最終的に刹那はどういう道を選ぶのでしょうか?
どんな道でもここの刹那なら……。
楽しみです。

しかし、ようやくグラハムらしくなりましたね。
いや、今までのグラハムが結構、まともな人だったので違和感というかむず痒かったんですよね。
やっぱ、グラハムはガンダムであっちの世界に旅立った人ってイメージがあるので。
一期での彼と刹那の戦いは好きでしたね。
ミスター・ブシドー?
そんな人はおりません。

ところで『ガンダムSEED DESTINY 「もう一つの最終回 NEXT PLUS」』というシリーズ三本をニコニコ動画で見つけて見てみたのですが、非常に面白かったです。
よかったら、見てみてください。

では、次回も楽しみにしています。
では、

No:1958 2010/06/18 00:52 | #- URL [ 編集 ]

修学旅行といえば・・・

修学旅行といえば、枕投げと好きな娘の話が鉄板ですが、あの枕投げ?は壮絶でしたね。好きな娘の話は・・・気がつけば誰かがいつも「好きだ」「愛してる」「守る」とか叫んでいるんで十分ですよね。
ところで、アムロさんはじめ居残り組に関しては文章化されるんでしょうか?あと、ペンタゴナがもう一つの修学旅行先ってなぜですか?
さて、今回の話の要である卓球ですが・・・
超兵って強化人間かコーディネーターみたいなものと思っていましたが、ソーマたんの弾が卓球台に当たった途端、盤面が派手に割れたって文章がある限り何か違うジャンルの気がしました。
あと、ソーマたんは凱にきゅんとしてたみたいですが・・・
あれ、アレルヤは?

以上、藤原の激怒に「第四次だ~」と喜んでいた壱華でした。
では、次回も楽しみになっています。
(P.S.サッカーはよく分かりませんが、ワールドカップで日本は一勝しただけでも嬉しいですね。自分たちの国の代表として闘う選手達に一喜一憂するのは私たちの世界でもGガンの世界でもきっと変わらないんだと思います。次回はネーデルガンダム要するオランダとの闘い、サッカーではかなりの強豪ですが、頑張って欲しいですね。)

No:1959 2010/06/18 05:58 | 壱華 #- URL [ 編集 ]

切換どころが大事

どこで物語をひっくり返そうか
それが今の悩みです

:さん>
>戦争してないと続編といった話の続きが作れないからである
それを言っちゃおしまいだよw

>ようやくグラハムらしくなりましたね
今までは端役でしたからね
変態らしさを出す面がなかったのです

>『ガンダムSEED DESTINY 「もう一つの最終回 NEXT PLUS」』というシリーズ三本
・・・声に耐えるのが大変でしたが、良動画ではあると思います(苦笑


壱華さん>
>アムロさんはじめ居残り組に関しては文章化されるんでしょうか?
へい、それが外伝でございます

>超兵って強化人間かコーディネーターみたいなものと思っていましたが
ああ、ありゃあれです、所謂誇張表現ですw

>あれ、アレルヤは?
ハブラレルヤです(爆

>藤原の激怒に「第四次だ~」と喜んでいた
良かった、判る人がいっぱいいてくれて・・・w

No:1960 2010/06/18 22:38 | あるす #- URL編集 ]

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